家を買う時代は終わったのか?専門家が教える真実と未来の選択肢

家を買う時代は終わったと言われる理由

この記事を書いた人
小島 優一
宅地建物取引士

宅地建物取引士、2級ファイナンシャルプランニング技能士。生命保険会社にてリテール業務に従事した後、2014年に不動産仲介会社であるグランドネクスト株式会社を設立。 2021年より幻冬舎ゴールドオンラインにて不動産を通じて財産を守る、増やす、残す記事を連載している。 >> 詳細はこちらから

この記事のまとめ
  1. 家を買う時代は終わった?!噂の理由を解明
  2. 持ち家のメリット・デメリットを解説
  3. 一生賃貸が賢いのか調査!

物価高騰や税金の負担が加速する現代において、マイホームを持つことの難易度は年々上がり続けています。

なかには家を買う時代は終わったという意見もあり、将来に向けて「家を買うべきか」「借りるべきか」悩んでいる人も多いのではないでしょうか?

そこでこの記事では、家を買う時代は終わったと言われる理由をはじめ、持ち家と賃貸のメリット・デメリットを分かりやすくご紹介します。

西解説員西解説員

人それぞれ理想の人生プランや老後の過ごし方が異なるので、自分に向いているのはどちらかを慎重に見極めることが大切です。

『家を買う時代は終わった』と言われる理由を解説

家を買う時代は終わったと言われる理由

家を買う時代は終わったと言われる理由は、下記の7点です。

家を買う時代は終わったと言われる理由
  1. 住宅価格が高騰して買えない
  2. 今家を建てるべきか迷う
  3. 老後の心配が多い
  4. 賃貸派が増加している
  5. 何月に家を買うべきか分かりにくい
  6. 持ち家で後悔する人も
  7. 貧乏人ほど家を買うという噂がある

マイホームは一生に一度の大きな買い物です。

デメリットを事前にチェックしておくことが重要です。

住宅価格が高騰して買えない

食品や日用品の価格が上昇しており、それに伴い住宅の建材や人件費も高騰しています。

新築マンションコロナ禍のステイホーム需要で価格高騰。現在は落ち着いてきているが、供給数が少ないため価格は上昇傾向。
中古マンション新築マンションの供給数が少ないことから中古マンションのニーズも上昇し、価格は右肩上がり。
注文住宅コロナの落ち着きとともに買い手が少なくなっており、価格は落ち着いている。土地価格が下がり始めている傾向。

不動産業界はコロナ禍の影響を受けており、価格の変動が大きい傾向があります。

特にマンションは需要に対して供給が少ないため、価格高騰が続くと予測されています。

今家を建てるべきか迷う理由とは?

20代後半から30代の多くの人がマイホームを検討しますが、仕事の昇進や子育てなどのライフイベントが重なると、すぐに決断できないこともあります。

【家を買うタイミング】
  • 平均年齢:30代後半〜40代前半
  • 世帯年収の中央値:400~600万円
  • 頭金:購入金額の10〜20%

平均的には、30代で家を購入する人が多い傾向にあります。頭金が貯まったり、子供が進学したり、家族の生活が安定した時期に家を購入する人が多いです。

住宅ローンを早く完済したい人は20代で購入することもありますが、子供が巣立ってからゆっくり過ごしたい人は40〜50代で家を建てることも珍しくありません。

老後の心配が多い現実

60歳までに住宅ローンを完済する計画を立てても、土地や建物の固定資産税、そして住宅の維持費は続けてかかります。

これらの費用をすべて自分で負担しなければならないのが持ち家のデメリットであり、老後には一定の資金を貯めておく必要があります。

持ち家の維持費はどれくらいかかりますか?

山口編集者山口編集者

西解説員西解説員

住宅の寿命は平均で30年と言われており、時間が経つにつれて外壁や屋根の補修、給湯器の交換などが必要となり、500万円から1,000万円ほどの費用がかかることもあります。

賃貸派が増加している背景

現代では結婚して家庭を持つことが一般的でなくなり、賃貸派が増えています。

【賃貸派が増えている4つの理由】
  1. 人口減少で将来的に空き家が増える
  2. 住宅価格が高騰していて負担が大きい
  3. 非正規雇用の増加
  4. マイホーム優遇税制措置の縮小

核家族や単身世帯の増加、将来的な賃貸価格の安さを見込む声もあります。

同時に、非正規雇用の増加や手取り収入の減少により、マイホームを持ちたいけれど金銭的に厳しい世帯も増えています。

現在はマイホームに関する税制優遇措置があるものの、その継続に不安を感じる声も多いです。

山口編集者山口編集者

何月に家を買うべきか分かりにくい理由

家を買う時期によって数百万円単位で価格が変わることがあるため、いつ家を買えばいいのか分かりにくいという口コミもありました。

住宅価格の変動には運の要素も影響しますが、買う月によって受けられる恩恵も異なるので、下調べが重要です。

例えば、取引が活発な1〜3月は物件の種類が多く、12月は住宅ローン控除を最大限に活用できます。

西解説員西解説員

12月と4月は駆け込み需要で住宅価格が高くなる傾向があるため、値引き交渉を慎重に行いながら購入する必要があります。

持ち家で後悔する人の実例

勢いでマイホームを買って後悔している口コミもあるため、失敗しやすいポイントを事前に確認することが大切です。

【持ち家で後悔しやすいポイント】
  • 住宅ローンを返済できない
  • リフォーム費用と維持費が高い
  • 家族構成が変わって手狭になった
  • 立地と周辺環境が悪かった
  • 隣人トラブルがあった
  • 急な転勤が決まった
  • 子供の進学が遠方になった

転勤や子供の進学などで状況が大きく変わると後悔することが多いので、リスクヘッジを最大限にしておく必要があります。

また、持ち家の大きなデメリットは気軽に引越しできないことであり、隣人や周辺環境が合わなかった場合はトラブルになりやすいです。

貧乏人ほど家を買うという噂の真相

金銭的な余裕がない状況でマイホームを購入すると、ローンや維持費が払えなくなる可能性があるので注意が必要です。

計画を立てずに家を買ったことで失敗している人の声も多く、貧乏人ほど家を買うという噂が広まっています。

西解説員西解説員

マイホームが将来的には資産として残るはずが、負債として残るリスクもあります。

持ち家のメリットとは?今買うべき理由を再考

家を買うべきか?

持ち家のメリットは、下記の6点です。

持ち家のメリット
  • 傷や汚れを気にせずに生活できる
  • リフォームやDIYが自由
  • 将来的には資産になる
  • 老後の金銭的負担が楽
  • 団体信用保険に加入できる
  • 税金の優遇が多い

マイホームには多くのメリットがあり、今でも購入する価値は充分にあります。

メリット1:資産形成としての価値

持ち家と賃貸の大きな違いは将来的な資産性です。

子ども世代に譲渡したり売却したりすることが可能です。

【資産価値が高い家の特徴】
  1. 人気エリアにある
  2. 駅から近い
  3. 周辺環境が充実
  4. 築年数が浅い
  5. きちんとメンテナンスされている

建物の資産価値は立地に左右されるため、慎重に検討する必要があります。

築年数が経過すると価値が下がるので、定期的なメンテナンスが重要です。

西解説員西解説員

地方かつ立地が悪い場合は将来的な価値が下がる可能性もあるため、事前に確認しておく必要があります!

メリット2:長期的な視点での評価と将来の見通し

60歳までに住宅ローンを完済する計画を立てれば、老後の支払いは固定資産税とメンテナンス費用だけです。

賃貸では家賃や共益費、更新料を払い続けなければいけないので、老後の金銭的負担は軽くなります。

持ち家があれば貯金が少なくても安心して生活できますか?

山口編集者山口編集者

西解説員西解説員

豊かな老後を送るためには、持ち家があっても2,000万円前後の貯蓄が必要だと言われています。

メリット3:安定した住環境の確保

賃貸では壁や床を傷つけないように注意しなければならないが、持ち家では家族がのびのびと生活できる。

特に小さな子供がいる家庭では傷がつくことが多く、賃貸を退去する際に費用がかかることもある。

MEMO

精神的負担が軽くなり、神経質にならずに子育てをゆとりを持ってできる。

メリット4:家族と生活の安定と満足度

注文住宅では部屋数や間取りを自由に決められるため、家族全員の要望を取り入れた理想の家を実現できます。

子どもの成長とともにリフォームやDIYをすることもでき、ライフスタイルの変化に柔軟に対応できます。

賃貸では設備の変更はできませんが、持ち家なら自由に設備をランクアップできます!

山口編集者山口編集者

メリット5: 長期的なコストメリットと経済的利益

マイホームを持つと税制面での優遇があり、将来的に金銭的な負担が減るメリットがあります。

代表的な優遇措置
住宅ローン控除年末段階での住宅ローン残高の0.7%が、所得税が控除される(10年間)
不動産取得税の軽減制度土地や家屋にかかる不動産取得税が軽減される
固定資産税の軽減制度条件を満たしていれば、毎年支払う固定資産税が軽減される
各地方自治体の給付金住んでいる地域によっては、新築の省エネ住宅やZEHなどを対象に給付金が支給される

特に少子化が進んでいる自治体ではマイホームを建てて家族で引っ越すと100万円前後の補助金がもらえることも珍しくはありません

環境にやさしい住宅が補助金対象になる傾向があるので、建設前に調査するのが良いでしょう。

メリット6:賃貸との比較と将来の展望

マイホームのメリットとして、「団体信用保険」に加入できることも挙げられます。

万が一の場合でも、家族にローンの負担が残る心配はありません。

【団体信用保険とは】

住宅ローン利用者が死亡もしくは高度障害になったときに、残りの住宅ローンの返済が免除される保険です。

住宅ローン利用者が予期せぬ事故や病気に直面しても、家族はローンを返済せずにマイホームに住み続けられます。

団体信用保険を活用すれば、将来の不安も最低限の生活は守られるので安心です。

賃貸のデメリットを知ろう:賃貸生活の課題

一生賃貸が賢い?賃貸のデメリット

賃貸住宅のデメリットは、下記の3点です。

賃貸のデメリット
  • 間取りや設備の選択肢が少ない
  • 退去時に原状回復の義務がある
  • 老後も家賃の支払いが続く

持ち家と同様に賃貸にもメリット・デメリットがあるので、ご自身の将来設計からどちらの方が向いているのかチェックしてみてください。

デメリット1:家賃の負担が増えるリスク

ローンを完済している場合、老後の支払いはマイホームの管理費と税金のみで済む一方で、賃貸は家賃の支払い負担が大きくなりやすいです。

孤独死が増えている現在はシニア世代の入居を断っている物件もあるため、年齢とともに契約できる物件が限られてしまうリスクもあります。

年金以外に所得がない場合は、収入のほとんどが家賃に消えてしまう状況になる可能性もあるので、家探しの難易度がかなり上がってしまいます。

デメリット2:住み替えの頻度とコスト

持ち家であればどこを傷つけても自己責任で済みますが、賃貸なら強制的に修繕費用が請求されます。

【原状回復義務】

退去する際に、入居時と同じ状態にして回復してから貸主に返還する義務のこと。

大家とトラブルになったり、傷をつけてしまって多額の費用を請求されたりなど、トラブルに発展する可能性があります。

普通に住んでいて自然にできてしまった色褪せや傷などの通常消耗に回復義務はありませんが、線引きが難しいことからトラブルになりやすいです。

デメリット3:資産形成が難しい

新築で家を建てる場合は家族の人数やライフスタイルに合わせて間取りと設備を選べますが、賃貸の場合は限られた選択肢の中から探さなければなりません。

家電や内装にこだわりがあったとしても自由に変更することができないだけでなく、変更したい場合は毎回オーナーに許可を取るという手間も発生します。

注意

理想の物件に出会うまで家探しを続けなければいけないため、マイホームよりは時間と労力が取られてしまいます。

賃貸のメリットを再評価:柔軟性と経済的自由

家は絶対買うな?賃貸のメリット

賃貸のメリットは、下記の4点です。

賃貸のメリット
  • 何回でも引越しできる
  • 修繕・メンテナンス費用がかからない
  • 収入に合わせて家賃を調整できる
  • 固定資産税を払わなくて良い

賃貸ならではのメリットもたくさんあるので、あえてマイホームを建てない選択肢をとる方も増えています。

メリット1:ライフスタイルの柔軟性

マイホームに比べて住み替えが圧倒的に楽なので、急にライフスタイルの変化があっても柔軟に対応しやすいです。

家族構成の変化や近隣トラブル、収入減少など人生では何があるか分からないため、その時々の状況に合わせて住まいを変えられるのは大きなメリットです。

マイホームを持ってしまうと家を売らない限りローンの支払い義務が続いてしまいますが、賃貸なら責任も最小限で自由に生きやすいですね!

山口編集者山口編集者

メリット2:初期費用の低さ

一戸建ての固定資産税額は平均10〜15万円となっており、ローン以外にも毎年高額な支払いが発生してしまいます。

固定資産税は年数の経過とともに安くなっていくものの、老後まで負担が続くことからマイホームを持っていても家計が苦しくなるリスクがあります。

MEMO

一方、賃貸であれば家賃や更新料などあらかじめ決まった支払いのみで生活できるため、まとまった支出を最小限に抑えられます。

メリット3:修繕費用の負担がない

マイホームの場合、設備の故障や建物の劣化がある度に自分で修繕依頼をして費用も負担する必要があります。

【マイホームに必要なメンテナンス】
  • 外壁塗装
  • 屋根の張り替え
  • バルコニーの修繕
  • 排水管の高圧洗浄
  • 給湯器の交換
  • 家電設備の交換

外壁塗装や屋根の張り替えなど大規模な修繕になると50〜100万円ほどの費用がかかってしまいますが、賃貸ならこのような費用負担はありません。

メリット4:収入に合わせて家賃を調整できる

マイホームのローンは毎月定額を払い続けなければいけませんが、賃貸なら収入に合わせて家賃を変動できます。

収入が減少したときはもちろん、急な転勤が決まった時にも気軽に引越しできることから仕事優先で家を決めたい方には最適です。

収入アップとともに家のグレードを上げることもできるため、今の状況に合わせて生活のレベルを変えられます。

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【2024・2025年】今後の住宅市場の動向と家を買うべきか?

これからの時代に家を買うべきか

物価高騰が続く2024・2025年の現在、これからの時代に家を買うべきか悩んでいる方も多いのではないでしょうか?

不動産価格の変動傾向や家を買うときの注意点をまとめたので、迷っている方はぜひ参考にしてください。

2025年は団塊の世代が75歳を迎える年

2025年は団塊の世代が75歳(後期高齢者)を迎える年であり、相続での売却や空き家が増加すると予測されています。

需要に対して供給が増える見込みなので、不動産価格が下落すると予想している方が多く、2025年までマイホーム購入を先延ばしにするケースもあります。

ただし、あくまでも予想にすぎないので、「後悔しそうなら少し待つ」「すぐマイホームが欲しいなら今買う」といったように深く考えすぎる必要はありません。

西解説員西解説員

不動産価格は年々上昇傾向なので、仮に2025年に物件が多く出回ったとしてもそこまで大きな変動は見られない可能性もありますよ。

市場の変動予測

昔は家族に合わせたマイホームを建てることが一般的でしたが、今の時代は将来売れる家を選ぶ方も珍しくはありません。

もちろん生涯マイホームに住むと決めている方は問題ありませんが、何があるか分からない現代だからこそ、万が一の時にすぐに売れる資産があることは心強いです。

そのため、家の価値を大きく左右する「立地」を重要視して、将来的に地価が上がりそうなエリアに家を建てるのがおすすめです。

家賃で家を買う選択は早めが良い

維持費やメンテナンスコストがかかるマイホームですが、それを加味しても生涯払い続ける家賃よりは安く済む可能性があります。

もちろん、引越し回数やライフスタイルによってどちらが安いかは異なるので、将来設計を明確にした上でマイホームか賃貸かを選ぶことが大切です。

【マイホームが向いている人】
  1. 無理のない返済計画を立てられる
  2. 収入が安定している
  3. 資産として家を残したい
  4. リフォームやDIYを自由に楽しみたい

家族に合わせた自分だけのマイホームが欲しいのであれば持ち家を買う選択肢もありますし、不測の出費がなく自由に暮らしたいのであれば賃貸が最適です。

西解説員西解説員

持ち家と賃貸のどちらが安いかは人それぞれなので、まずは長期的な視点で比較しながら、金銭面や自由度をしっかりと考慮してください。

まとめ

家を買う時代は終わったと言われる理由をはじめ、持ち家と賃貸のメリット・デメリットをご紹介しました。

【この記事のまとめ】
  1. 家を買う時代が終わったのではなく、昔よりも選択肢が増えただけ
  2. 2024・2025年のこれからの時代に家を買うのはあり
  3. 持ち家と賃貸のどちらが良いかはライフスタイルによる

どんなライフプランを描いているかによって適切な購入タイミングは異なるので、まずは将来的な収入や家計を考慮して最善の選択肢を見つけることが大切です。

西解説員西解説員

昔よりも様々な生き方が選択できる現在だからこそ、後悔しないように時間をかけながらマイホームを検討してみてくださいね!