住宅ローンのボーナス払いの平均額は?やめた方がいい?デメリットや割合についても解説

この記事を書いた人
小島 優一
宅地建物取引士

宅地建物取引士、2級ファイナンシャルプランニング技能士。生命保険会社にてリテール業務に従事した後、2014年に不動産仲介会社であるグランドネクスト株式会社を設立。 2021年より幻冬舎ゴールドオンラインにて不動産を通じて財産を守る、増やす、残す記事を連載している。 >> 詳細はこちらから

この記事のまとめ
  1. 住宅ローンのボーナス払いの平均額や割合は?
  2. 住宅ローンのボーナス払いはやめた方がいい?
  3. 住宅ローンのボーナス払いのデメリットを解説
  4. 住宅ローンのボーナス払いをしている人は支払いがきついと感じてる?

住宅ローンを組んでマイホームを購入しようと決めた時に、ボーナス払いにするかやめた方がいいのか悩むのではないでしょうか?月払いだけにすると、毎月の返済額が多くなり大変!かといってボーナス払いにした場合には安定的に十分な金額の賞与をもらえるだろうか…と。そこでこの記事では住宅ローンのボーナス払いの平均額や割合、ボーナス払いにした場合のメリットとデメリット・支払いをやめたい・きついと感じた場合の対策等について解説します。

住宅ローンのボーナス払いの平均額や割合は?

住宅ローンのボーナス払いの平均額や割合

住宅ローンのボーナス払いとは

住宅ローンの返済方法には毎月定額を返済していく毎月払いと年2回のボーナス支給時期に増額して返済するボーナス払いの2つがあります。ボーナス払いは、賞与支給月には毎月の返済額にボーナス分をプラスして返済しなければなりません。

 

住宅ローンを借りている人はボーナス時にはいくらぐらい返済しているのでしょうか?

 
 

借りられる金額は金融機関によって異なるが、ボーナス時も含め住宅ローンの平均返済額は10万円程度なので、余裕をもって借りている人が多いのだろうね。

住宅ローンの平均返済額は10万円前後

国交省の発表した令和元年度住宅市場動向調査によりますと住宅ローンの年間返済額は分譲戸建住宅取得世帯で平均 121.6 万円、分譲マンション取得世帯では平均 131.6 万円となっています。したがって、住宅ローン利用者は、毎月10万円程度をローンの返済していることになります。

なお住宅ローンの返済負担率は分譲戸建住宅取得世帯で平均 20.0%、分譲マンション取得世帯が18.2%です。住宅ローンを借りた人は、年収の約2割程度を返済に回していることになります。

出典:国交省 令和元年度住宅市場動向調査

ボーナス時の住宅ローンの返済割合はいくらが妥当?

上記の調査で年間の返済額が約120万円、返済負担率が約20%ということは、逆算すると年収は約600万円。すなわち年収600万円の人は20%にあたる120万円を住宅ローンの返済に充てていることになります。それでは借入のうちボーナス部分はいくら充てたらよいのでしょうか。

ボーナス払いの割合は金融機関ごとに決まっていて、だいたい借入の40~50%を上限とする場合が多くなっています。またボーナス払いだけで返済することはできません。しかし金融機関から借りられる額と返せる額は異なります。また一般的には、ボーナスでの返済額を融資額の30%以内が妥当で、無理のない割合としては20%程度と考えると良いでしょう。したがって年間返済額が120万円の場合は24万円、ボーナス月には毎月の支払額に12万円程度上乗せして支払うのが妥当といえるでしょう。

ボーナス時の返済比率は、それぞれの家庭の状況により異なる

ボーナス時の返済比率を20%が妥当としても融資を受ける人の収入やボーナスの多寡・貯蓄高・家族構成・ライフプランなどによって異なります。たとえば公務員や業績が安定していてボーナスの変動が少ない企業に勤めている人は、ボーナスの比率をあげて30%程度にしても問題は少ないかもしれません。

逆にボーナスの変動が大きい人や年俸制の人はボーナス不支給のリスクが高いのでボーナス比率を20%以下に抑えた方が良いでしょう。しかしボーナスというものは景気の変動で大きく左右されます。特に今年は春以降コロナ禍によりボーナスが激減している人も多く、住宅ローンの返済に苦労している人も多くいます。

MEMO
したがってこのような場合に備えて、金融機関の上限以内だからといって、ギリギリまで借入をするのはリスクが高く自分の属性をよく考えて返済可能額を決めるようにしましょう。

住宅ローンのボーナス払いはやめた方がいい?デメリット

住宅ローンのボーナスのデメリット

毎月の返済額が少ないのは毎月の生活にはゆとりが出てよいかもしれませんね。しかし住宅ローンをボーナス払いするのはやめた方がいいとも聞きます。何かデメリットはありますか。

 

 

そうだね、ボーナス払いを多くすると、利子は増えることになるね。それにボーナスは定額ではないので比重が高くなると危険だね。

 

ボーナス払いはやめた方がいい?利子負担が増える

すでに述べたように、ボーナス払いを選択すれば元金の減りが遅いので利子が必然的に多くなります。しかし先ほどの例でいえば、35年で支払い総額はわずか4万5千円程度、金利を2.5%にしても7万3千円程度しか増えません。したがってボーナス払いにより利子負担が増えるということについては、それほど気にする必要はないでしょう。

MEMO
それよりも金利差が支払総額に大きな影響を与えるので金利の低い住宅ローンを徹底的に検討した方が、利子負担を軽減できます。

ボーナスが支給されない時、家計を圧迫する要因に

最も大きなリスクはボーナスが支給されない場合・減額された場合です。ボーナスというものは通常業績により支給の多寡がきまりますので、景気が悪くなれば支給額が減り、家計を大きく圧迫することになります。また会社を退職して年金生活に入ると当然ボーナスはなくなります。ボーナスが0になれば金融機関への返済が不可能になり、せっかく手に入れたマイホームを手放さざるを得ないという事さえ起こり得るでしょう。

注意
特に今年は新型コロナの感染拡大により経済活動が著しく停滞しました。観光業界や外食産業・航空業界はボーナスを大幅に減らさざるを得ない状況にあります。そのため住宅ローンを返済できないという相談も増えています。こうした現実も鑑み、ボーナス不支給の対応策を考えておかねばなりません。

住宅ローンのボーナス払いをしている人が感じているメリット

住宅ローンのボーナス払いのメリット

 

住宅ローンをボーナス払いにするメリットについて教えてください。

 
 

住宅ローンをボーナス払いにしている人からすると、月々の返済額が減ることが最大のメリットのようです。毎月給料だけで返済する人は便利だが、ボーナスというものは支払額が決まっていないので借りすぎには気を付けよう!

 

毎月払いのみとボーナス払いを併用するときの違いについて

ボーナス払いにすれば月々の支払額が少なくなるので毎月の生活にはゆとりが生まれることでしょう。しかしボーナスというものは会社の業績によって変動します。したがって景気が悪化したり今年のコロナ禍のような事態が発生すると、ボーナスが支給されない場合もあります。

MEMO
ボーナス払いを選択する場合には、余裕資金を蓄え、ボーナスがなくなったり減少した場合でも、対応できるようにしておかねばなりません。

ボーナス払いを利用すると利息を多く支払うことになる

ボーナス払いを選ぶと、ボーナス返済部分については次のボーナスまでは元本部分と利息の支払いを先延ばしすることになります。したがってボーナス払いの場合には元本の減りが遅くなり利息も増えてしまうことに。

それではボーナス払いにより総支払額や利息額にどれほどの違いが出てくるかシミュレーションしてみましょう。ボーナス支払い分を0とする場合、1/3支払いの場合・1/2支払いの場合と比較してみます。

【ローン借入条件】

  • 借入金額:3,000 万円
  • 返済期間:35 年
  • 金利:年率1.5%(全期間固定金利)
  • ボーナス分なし:ボーナス時支払い0円
  • ボーナス時1/3支払い:900万円(3,000万円×1/3)
  • ボーナス時1/2支払い:1,500万円(3,000万円×1/2)
  • 返済方法:元利均等返済
  • 融資手数料や保証料・団信は考慮しません。

 ボーナス分
なし
ボーナス(1/3)ボーナス(1/2)
毎月の返済額91,855 円64,298 円45,927 円
ボーナス月の増額分
返済額
0円165,731 円276,219 円
年間返済額1,102,260 円1,103,038 円1,103,562 円
総返済額38,579,007 円38,606,476 円38,624,764 円
 内利息分8,579,007 円8,606,476 円8,624,764 円
 利息割合22.3 %22.3 %22.4 %
総支払額38,579,007 円38,606,476 円38,624,764

利用シミュレーションサイト:住宅金融支援機構 返済プラン比較

これを見て分かる通りボーナス返済比率が多くなればなるほど月々の返済額は少なくなります。たとえばボーナス払いを1/3にすれば、賃貸住宅の家賃よりもむしろ安い返済額でマイホームを手に入れることができます。

したがってボーナス払いの利用は毎月の生活に余裕のない人には有効な方法といえるでしょう。しかしその反面、ボーナスが不安定な人や他に自動車ローンなどの借入がある人はボーナス払いの借りすぎには気を付けなければなりません

注意
またこの表で言えることはボーナス部分が増えれば利息・総返済額が増えることになります。利息部分も支払期間からみればそう大きな金額ではありませんが、確実に増えることを覚えておきましょう。

住宅ローンのボーナス払いをやめたい・きついと感じたらどうする?

住宅ローンのボーナス払いがきつくなったらどうする?

もし住宅ローンのボーナス払いをやめたい・支払いがきついと感じたら、どうしたらよいのでしょうか。

 

 

そうならないように、借りすぎないことが大事だよ。それではボーナス払いができなくなった場合の対策について説明しよう。

 

ボーナス払いの割合を低くする

既に述べたようにボーナスは実績に応じて支払われるのが原則なので、なるべく月払いを増やしボーナスの割合を低くすることが重要です。給与とボーナスなどの収入と生活費などの必要な出費を十分に考えて無理のない返済額と返済方法を考えましょう。

月々の返済額をメインにボーナス払いはプラスα程度に考え無理のない返済をすれば、貯蓄も可能貯蓄をして余裕資金を得れば、たとえボーナスが出なくても慌てることはありません。

そもそもボーナス払いをストップする

ボーナス払いがきついと感じたらボーナス払いをやめて月々の返済のみに変更することもできます。通常住宅ローンは返済が始まってもボーナス払いと月払いの割合を変更することが可能です。会社の業績が悪くなってきたら早めに金融機関に相談して対策を打つようにしましょう。

MEMO
ただし金融機関によっては返済方法の変更について手数料が必要なこともあります。

返済額を減らせる可能性がある借り換えをする

住宅ローンの借り換えを行うことで返済額を減らせる場合もあります。金利の低い住宅ローンに借り換えたり返済方法を変更することで、月々の返済額や総返済額を減らせる可能性があります。特に金利の高い時期に住宅ローンを組んだ人は、検討してみる価値は十分あります。

MEMO
ただし借り換えを行うには金融機関に事務手数料などの諸費用を支払う必要があるので、支払い総額をシミュレーションするようにしましょう。

住宅ローンのボーナス払いで返済を早く終わらせたいなら繰上げ返済を!

なるべく早く返済を終わらせたいなら繰上げ返済を!

貯蓄が十分にできた場合や子供が独立し余裕資金ができたというような場合には、住宅ローンの繰り上げ返済を行いましょう。まとまった額を返済することにより元本部分を返済できるので、支払利息を消して総支払額を減少することが可能に。繰り上げ返済は早ければ早いほど効果があるので、余裕資金ができた場合にはまず検討してみましょう。

MEMO
なお金融機関によっては繰り上げ返済額に制限がある場合や手数料が必要な場合もあるのであらかじめ確認することが必要です。

まとめ

ボーナス払いをすれば毎月の返済が少なくなるので月々の生活にゆとりが生まれるでしょう。しかしボーナスというものは業績に対して支払われるものなので、会社の業績が悪くなったりコロナ禍のような状況になった場合には支給されないこともあります。

したがって余剰資金はできるだけ貯蓄をして、可能であれば繰り上げ返済や借り換えを検討してみてください住宅ローンを組む際には金融機関が貸してくれる上限額を借りるのではなく、自分の家計の収支状況やライフプランを考え、ボーナスが支給されないことも想定して無理のない融資を受けるのがベストです。