- 仲介手数料を値切る客は嫌がられる?口コミまとめ
- 仲介手数料の交渉が断られる理由とは?
- 仲介手数料無料のからくりを解説
賃貸物件を借りるときに初期費用の一つとしてかかるのが仲介手数料です。
住まいを変えるときには引越し代などもかかるため、できるだけ初期費用を抑えるために、仲介手数料を安くしたい人も少なくありません。
そのため、不動産会社に仲介手数料を値切りたいケースもあるでしょう。しかし値引き交渉を断られるケースももちろんあります。
この記事では、仲介手数料を値切る客が、不動産会社にどう思われるのか?について解説します。
値引き交渉するときの言い方とメールでの例文もご紹介しますので、仲介手数料を安くしたい方は参考にしてください。
矢口解説員
山田編集者
仲介手数料とは?
最初に、仲介手数料の概要や相場について解説します。
仲介した不動産会社に支払う手数料
仲介手数料とは不動産を仲介した不動産会社に支払う手数料のことです。
不動産会社は不動産の売買や賃貸物件の賃貸借の契約を成立させるために、売主(貸主)と買主(借主)の間を仲介して条件を調整し、重要事項の説明や契約事務を行います。
仲介手数料は、「約定報酬」「媒介報酬」「媒介手数料」とも呼ばれており、支払うタイミングは契約締結時の振り込みが一般的です。
なお、仲介手数料は賃貸や売買の契約が成立した際に支払うお金であり、取引が成立したことに対する成功報酬となります。そのため、契約まで至らなかった場合には、どんなに担当者が営業活動をしていたとしても支払う必要はありません。
仲介手数料の相場は家賃の0.5~1ヶ月分
賃貸借契約の場合、仲介手数料の相場は家賃の0.5~1ヶ月分です。
賃貸の仲介手数料の上限は「家賃1ヶ月分+消費税」であり、宅地建物取引業法(宅建業法)により定められています。したがって、不動産会社がそれ以上の金額を受け取ると、法律違反になってしまうのです。
なお、仲介手数料の内訳は取引の当事者間で自由に取り決められます。
賃貸の場合、双方が同意していれば、借主が家賃1ヶ月分の仲介手数料を支払うことも違法ではありません。
矢口解説員
山田編集者
仲介手数料を値切る客は、なぜ嫌がられるのか
不動産会社の主な収入源は仲介手数料のため、仲介手数料を値切る客は敬遠される傾向があります。
ここでは、その具体的な理由について解説しましょう。
- 不動産会社や営業マンの利益が上がらない
- 時間と労力が見合わない
- 横柄な態度で交渉すると対応されないことも
不動産会社や営業マンの利益が上がらない
不動産会社は仲介手数料を「収入の柱」としているため、仲介手数料が減ってしまうと利益が減少してしまいます。
そのため、仲介手数料の減額に応じない方針の会社も少なくありません。
営業担当の社員にも毎月「ノルマ」が課せられるのが一般的です。仲介手数料の金額が少ないと売上金額が多くならないので、報酬形態がインセンティブ制の場合は、たちまち収入が低くなってしまいます。
したがって、不動産会社や営業マンの利益が上がらない案件は、親身に動いてくれるのが難しいといえます。
時間と労力が見合わない
不動産の契約を成立させるには、物件の広告を不動産ポータルサイトに載せたり、見込み客を現地に案内したりと、さまざまな営業活動を行います。
賃貸の場合、営業担当者は一つの契約を成立させるまでに貸主と借主の間をやり取りし、条件をすり合わせて契約を成立させます。なかには、契約がスムーズに行かないケースも少なくありません。
矢口解説員
横柄な態度で交渉すると対応されないことも
不動産会社にとってお客さんは利益をもたらしてくれる大切な存在です。
とはいえ、「お客なのだから当然」という態度で交渉してしまうと、「横柄な客」と思われてきちんとした対応をされないことも考えられます。
不動産会社に限らず、企業にとっては利益を上げることが大事なミッションです。あらかじめ不動産会社で規定されている仲介手数料を値切る際は、丁寧な姿勢で申し出ましょう。
山田編集者
矢口解説員
仲介手数料を値切る客でNGなタイプ
不動産会社に仲介手数料の値引き交渉をするには、それなりの姿勢で臨むことが必要です。
ここでは、仲介手数料を値切る客でNGとされるタイプについてご紹介します。
- 過剰な値切り方をする人
- 横柄な人
- しつこい人
過剰な値切り方をする人
値引き交渉するのはお客の権利でもありますが、あまりにも過剰な値切り方をすると相手にされない可能性があります。
例えば、仲介手数料だけでなく、家賃や火災保険料・家賃保証料などの値引きも要求する場合です。
火災保険や家賃保証は不動産会社が代理店を兼ねている場合も多く、仲介手数料や広告料以外の収入源になります。
そのため、これらの項目もあわせて値引き要求されると、不動産会社の利益が少なくなってしまうからです。
山田編集者
横柄な人
態度が横柄な人も不動産会社に嫌がられるタイプとして挙げられます。
お客だからといって強気の姿勢で交渉されると、契約して入居者になった場合、後々問題を起こす可能性があるからです。
オーナーや管理会社にとっては人間性に問題がある人は敬遠される傾向があり、万が一、紹介した入居者がクレーマーとなると自社の信頼を失いかねません。
仲介手数料の値引きどころか、審査の段階で落ちてしまう可能性があるため、くれぐれも不動産会社に対する態度には気をつけるようにしましょう。
しつこい人
一度断られたにもかかわらず、再度しつこく交渉してくる人も不動産会社に避けられます。
値引きしたくても経営上の理由で実現できない場合もあるので、どうしても値引きをしてもらいたい場合は違う物件を選ぶか、他の不動産会社に仲介依頼するようにしましょう。
矢口解説員
山田編集者
仲介手数料の交渉が断られた!その理由とは
山田編集者
矢口解説員
- 繁忙期で値引きしなくても他の入居者が決まるから
- 他の不動産会社では扱っていない物件だから
- 貸主からの広告料がない物件だから
- 強気の姿勢で交渉していた
繁忙期で値引きしなくても他の入居者が決まるから
不動産の繁忙期は1月〜3月です。この時期は多くの見込み客が来るため、人気のある物件の場合、値引き交渉しても通る可能性はほとんどありません。
他の入居者が決まりやすいため、仲介手数料をすんなり支払ってくれるお客を優先するからです。
一方、閑散期は7~8月頃であり、この時期を狙って仲介手数料の値引きを交渉すると承諾してくれる可能性があります。
他の不動産会社では扱っていない物件だから
その不動産会社でしか取り扱っていない物件も、値引き交渉が通らないことが考えられます。
他の不動産会社と仲介手数料を比較できないので、不動産会社同士を競わせて仲介手数料を下げるという方法が取れません。
貸主からの広告料がない物件だから
不動産の仲介会社が得られる報酬には、仲介手数料の他に貸主からもらう広告料(AD)があります。
広告料の相場は「賃料1ヶ月分」ですが、仲介手数料のように宅建業法などで規制されていないため、貸主と不動産会社の話し合いで金額を設定することが可能です。
したがって、空室期間が長い物件の場合は、広告料として「家賃2ヶ月分」を貸主が負担するケースも珍しくありません。
このように、入居者を入れることにより貸主から広告料をもらえる場合は、仲介手数料を値引きする可能性もあります。
しかし、貸主からの広告料がない物件の場合は、仲介手数料しか利益をもたらさないため、断られることもあるでしょう。
強気の姿勢で交渉していた
強気の姿勢で値引き交渉するのも断られる理由の一つです。不動産契約が成立するまでには多くの時間や労力がかかることもあり、不動産会社の担当者は決してラクな気持ちで仕事をしているわけではありません。
「カスタマーファースト」は企業活動において欠かせない要素ですが、消費者側もそこで働く人の身になって行動することが大切です。
値引き交渉をするときは、丁寧な姿勢で申し出ましょう。
矢口解説員
山田編集者
仲介手数料の交渉に関する評判・口コミ
ここではXの口コミで、不動産業者の本音を画像付きでご紹介したいと思います。
- 言った瞬間に「嫌な客」確定
- 仲介を値切る客は煙たがられる
- 入居後に問題を起こす可能性が高い
- 安易に値切る客には相応の対応しかできなくなる
言った瞬間に「嫌な客」確定
「値引きを交渉した瞬間に『嫌な客』確定」という口コミがありました。
不動産会社にとっては「利益をもたらす客=良いお客」という図式があるため、担当者によってはそのように判断されるようです。
仲介を値切る客は煙たがられる
「仲介を値切る客は煙たがられる」という口コミもみられます。
仲介手数料は不動産会社の収入だけでなく、営業マンの収入源だからです。
あまり無茶は言わないほうがいいとアドバイスしています。
入居後に問題を起こす可能性が高い
契約書を作成して重説の段取りまで行ったのに、仲介手数料は半額しか払いたくないと急に言い出し困っているケースです。
説明は済ませているのに、今になって支払いを渋る人は今後も問題を起こす可能性があるとみなされています。
安易に値切る客には相応の対応しかできなくなる
「安易に値切る客には相応の対応しかできなくなる」という口コミもあります。
不動産会社は時間や労力を使って契約を成立させるため、安易に値切るようなお客にはそれなりの対応を取ることになります。
山田編集者
矢口解説員
審査後でもOK?
賃貸契約の申し込みをすると、不動産会社は入居希望者がその部屋を借りられるかどうかを審査します。
ここでは、審査後に仲介手数料の値引き交渉をするのは可能なのか?について解説しましょう。
審査後でも仲介手数料の値引き交渉はできる
仲介手数料の値引き交渉は審査後でも可能です。
初期費用は敷金や礼金などが含まれているため、審査後に値引き交渉しても通らない可能性が高いでしょう。
しかし、仲介手数料は不動産会社が受け取るので、契約成立前ならば承諾してくれる可能性があります。
契約成立後は難しいので、値引きを交渉するならば契約前にするのがポイントです。
重要事項説明書にサインした後は交渉が通らない場合がある
契約前ならば仲介手数料の値引きを交渉できますが、重要事項説明書にサインした後は交渉しても通らない場合があります。
例えば、重要事項説明書に「借主は仲介手数料 家賃1ヶ月分の支払いを承諾している」などと記載されているケースです。
確認の署名欄にサインをすると、仲介手数料の金額に同意しているとみなされます。
そのため、サイン後に値引きを交渉しても不動産会社が承諾することは期待できません。
山田編集者
矢口解説員
言い方とメールでの例文
山田編集者
矢口解説員
丁寧な言い方で値引きをお願いする
いくらお客でも、「値引きして当然」という態度では仲介手数料を安くすることは期待できません。
丁寧な言い方で値引きをお願いするようにしましょう。
値引き交渉のコツとしては、以下の5つが挙げられます。
- 予算が少ないことを相談する
- AD付き物件を紹介してもらう
- 具体的な値引き額を伝える
- 他社の仲介手数料と比較する
- 値引きしてくれたら契約するという意思を伝える
まず、部屋を借りる予算が少ないということを相談してみましょう。
収入に見合った家賃の物件を選ぶことが先決ですが、初期費用を浮かす意味でも仲介手数料の値引きが必要なことを話します。
貸主が広告料を不動産会社に支払う「AD付き物件」を紹介してもらうのもおすすめです。
交渉する際には具体的な金額を提示することも欠かせません。あまり大幅な値引きは受け入れられない可能性があるので、注意しましょう。
仲介手数料を値引きしたい物件を他の不動産会社が扱っている場合は、他社の仲介手数料と比較するのも効果的です。
不動産会社は成約しないと手数料やオーナーに対する実績が発生しないため、「値引きしてくれたら契約する」という意思も伝えましょう。
メールで値引き交渉するときの例文
不動産会社の担当者に直接交渉するのが苦手な場合は、メールで値引き交渉するのも良い方法です。
メールで値引き交渉するときの例文をご紹介します。
株式会社〇〇不動産 〇〇様
お世話になっております。先日物件をご紹介いただいた〇〇です。とても良い部屋だったため契約を検討していますが、思った以上に初期費用がかかるため、契約するかどうか迷っております。
そこで、もしよろしければ仲介手数料を〇円に値下げしていただくことは可能でしょうか?承諾していただけたらご契約したいと考えております。ご検討のほどどうぞよろしくお願いいたします。
まず、先日物件の紹介でお世話になったことを伝えましょう。
次に、部屋を借りるための予算が少ないため、仲介手数料の値引きを相談します。
その際には具体的な金額を提示するのもポイントです。
最後のほうでは承諾してくれたら契約することを伝えて、担当者がしっかり検討してくれることを促します。
矢口解説員
山田編集者
おすすめのタイミング
仲介手数料を値切るには、言い出すタイミングを見極めなければ成功しません。
ここでは、仲介手数料を値切るタイミングについて解説します。
- 賃貸仲介の申込書を書くとき
- 値引き交渉が通りやすいシーズンを選ぶ
- 契約書を作成する時点まではOK
賃貸仲介の申込書を書くとき
仲介手数料の値引き交渉をするタイミングは、申込書を書くときです。
この時期は正式に契約をしている段階ではないため、お金に関する交渉をしやすいタイミングといえます。
値引き交渉が通りやすいシーズンを選ぶ
値引き交渉が通りやすいシーズンならば、仲介手数料を安くすることを期待できます。
不動産の繁忙期は1〜3月であり、この時期は多くのお客が賃貸物件を探すシーズンなので、値引き交渉しても通らない可能性があります。
不動産の閑散期といわれている7〜8月の時期ならば、値引きを期待できます。
契約書を作成する時点まではOK
賃貸借契約を締結する時点までは、仲介手数料の値引きを交渉できます。
ただ、なるべく契約書を作成する頃までには交渉するのがマナーです。
契約の段階で仲介手数料の値引きをいきなり申し出られても不動産会社は困ってしまいます。
なお、重要事項説明書には、「賃料及び賃料以外に授受される金額」の欄に仲介手数料の額が記載されているので、宅建士から重要事項説明を受けている段階で値引きを申し出るのが一般的です。
契約するまでは値引きを申し出られますが、なるべく早い段階で交渉するのがマナーです。
仲介手数料が安いor無料の不動産会社のからくり
山田編集者
矢口解説員
貸主から広告料や仲介手数料をもらっている
まず、安くできる理由としては、貸主から広告料や仲介手数料をもらっているケースが挙げられます。
空室期間が長い物件の場合は、貸主が広告料を不動産会社に支払うこともあるため、借主からもらう仲介手数料が少なくなっても利益が残ります。
また、貸主が仲介手数料を借主の分まで負担するケースも少なくありません。
この場合も、なかなか入居者が入らないケースが見受けられます。仲介手数料の負担を軽くすると入居者が入る可能性が高くなり、貸主は家賃収入を得られるようになります。
自社物件は仲介手数料が無料
不動産会社が自社で所有している物件で、直接入居者と契約する場合は仲介業務が入りません。
他の不動産会社が間に入って仲介しないため、そもそも仲介手数料が発生しないのです。
したがって、不動産会社と直接、賃貸借契約を結ぶ場合は仲介手数料がかからないのがメリットです。
そのため、不動産会社が自社物件を直接貸し出している場合は、仲介手数料が「無料」であるとアピールできます。
不動産会社間で取引をしている
不動産会社で取引をしていると仲介手数料を安く、あるいは無料にするケースもあります。
オーナーは管理を任せている不動産会社に入居者募集を一任していることも多く、その場合、管理会社が別の不動産会社に仲介業務を委託し、その後の管理業務を代行してもらうという方法です。
入居者を見つけた不動産会社は管理会社から業務委託費を受け取れるので、仲介手数料が減額・無料になったとしても良いと判断する場合があります。
矢口解説員
山田編集者
まとめ
仲介手数料を値切ることはお客の権利でもあります。
しかし、不動産会社にとって仲介手数料は大切な収入源です。仲介手数料を減らすと自社や営業担当者の利益が少なくなるので、全ての不動産会社が快く承諾してくれるわけではありません。
ただ、自社物件やAD付きの物件を選べば、仲介手数料を無料あるいは減額することも可能です。どうしても仲介手数料を抑えたい方は、最初から仲介手数料無料・半額などの物件を選ぶのもよいでしょう。
山田編集者
矢口解説員