- 仲介手数料の交渉が断られた5つの理由を解説
- 交渉結果は言い方で変わる?コツと注意点
- 仲介手数料の交渉がしやすい物件の特徴とは
お部屋探しの際に「仲介手数料の交渉で断られた」との声をよく聞きます。実は、仲介手数料の交渉がうまくいかないのには理由があります。
杉解説員
山田編集者
仲介手数料とは何の費用なのか
賃貸契約を行う際、費用明細の中に「仲介手数料」という項目があります。この「仲介手数料」とは何の費用でしょうか。
ここでは、仲介手数料の基礎知識や費用相場を解説します。
仲介手数料の基礎知識
仲介手数料とは、物件探しで仲介に入ってもらった不動産会社に対して支払う手数料です。仲介とは、借主とオーナー、もしくは借主と管理会社の間に入って、物件内覧や契約手続きのサポートなどを行うことです。
仲介手数料は契約が締結された際に支払われます。
杉解説員
山田編集者
仲介手数料の相場
仲介手数料の相場は「家賃の0.5〜1ヶ月分+消費税」です。仲介手数料の上限は、宅地建物取引業法という不動産に関する法律で「家賃の1ヶ月分+消費税」と定められているためです。
仲介手数料の額に差があるのは以下の2つの理由が挙げられます。
- 不動産会社が上限を限度に自由に定められるから
- オーナーと借主の配分によって金額が変わるから
杉解説員
山田編集者
1ヶ月分の仲介手数料は違法なのか?
結論、1ヶ月分の仲介手数料は違法ではありません。宅地建物取引業法で不動産会社が受け取る仲介手数料の上限が「家賃の1ヶ月分+消費税」と定められているためです。
オーナーと借主の承諾を得ていれば、借主が家賃1ヶ月分の仲介手数料を支払うことは違法ではありません。承諾を得る方法としては、重要事項説明や入居申込みの際に仲介手数料に関する同意書を求められるケースが一般的です。
杉解説員
山田編集者
仲介手数料の交渉が断られた5つの理由
仲介手数料を交渉しても断られるケースがあります。ここでは、仲介手数料の交渉を断られた理由を5つ紹介します。
貸主からの報酬がない物件だから
賃貸借契約が締結されると、不動産会社は借主だけでなくオーナー側からも報酬を受け取れる場合があります。しかし、オーナー側からの報酬がないケースもあり、その場合は借主からの仲介手数料が利益となるため、交渉には応じてくれません。
不動産会社が受け取るオーナー側からの報酬には、仲介手数料とは別に「広告料」と呼ばれるものがあります。広告料の金額はオーナーと不動産会社の話し合いで決まるため、もし広告料が発生しない物件の場合、不動産会社は借主からの仲介手数料でしか利益を得られません。
杉解説員
1社のみが取り扱っている物件だから
入居申し込みを入れる物件が、他の不動産会社で紹介できない物件の場合、仲介手数料の交渉で断られることがあります。
1つの不動産会社でしか申し込みできない物件の場合は、窓口が1社だけのため、他の不動産会社から申し込まれることはありません。そのような物件では、仲介手数料を交渉されて低い利益で契約するよりも、仲介手数料を満額支払ってくれる他の借主を探したほうが確実だという理由で、交渉がうまくいかないのです。
杉解説員
山田編集者
値引きしなくても入居者が決まる繁忙期だから
仲介手数料の交渉は、時期によって成功する確率が大幅に異なります。とくに、賃貸需要のピークである2〜4月は仲介手数料を交渉しても高確率で断られる傾向にあります。
それは、2〜4月の時期は新年度に向けて部屋探しをする人が多く、仲介手数料を下げなくても入居者が決まるシーズンのためです。不動産会社としても、この時期は仲介手数料を満額支払ってくれるお客様を優先するため、交渉は難しいといえます。
高圧的な姿勢で交渉したから
仲介手数料を高圧的な態度で交渉するお客様は不動産会社から嫌われるため、仲介手数料の交渉は難しいでしょう。この場合、仲介手数料の交渉どころか他の手続きに関してもまともに取り合ってもらえない可能性があります。
物件を紹介する不動産会社は、オーナー側にお客様を紹介する責任があるため、後々トラブルになりそうな人は断るケースが多いのです。
入居審査後に交渉したから
仲介手数料の交渉を入居審査後に行うと断られやすくなります。入居審査には、申込書の送付やオーナーとのやり取り、契約書の作成など多くの業務が発生します。入居審査後に、キャンセルの可能性がある仲介手数料の交渉を持ちかけると、不動産会社やオーナーに迷惑がかかってしまうのです。
また、入居審査後の交渉は、不動産会社やオーナーから「入居後にもトラブルを起こすのではないか」などのイメージを持たれやすく、最悪の場合、審査承認を取り消される可能性もあります。
仲介手数料の交渉結果は言い方で変わる
仲介手数料の交渉は、交渉の仕方ひとつで結果ががらりと変わる可能性があります。
何の対策もなく交渉を進めてしまうと断られる可能性が高いため、ここで紹介するポイントを参考に仲介手数料の交渉に臨んでみてください。
値引き額を具体的に提示する
仲介手数料は、具体的な金額を提示しなければ断られる可能性が高いでしょう。金額が抽象的な交渉は借主の熱意が感じられず、不動産会社からすると「いくらになれば契約を進められるのか」という不安を持ってしまうのです。
杉解説員
山田編集者
注意点としては、仲介手数料が少額の場合は交渉自体が難しいことです。仲介手数料が30,000円以下の場合などは、そもそも不動産会社の利益が少ないため、それ以上の交渉ができない場合が多いでしょう。
仲介手数料の交渉は、具体的な金額を提案し、契約に対して前向きな姿勢を見せることが重要だといえます。
予算に限界があると伝える
契約手続きを進めるための予算に限界があり、このままの仲介手数料では進められないということを伝えた上で、仲介手数料の交渉をしてみましょう。具体的な予算を伝えると、交渉に現実味が湧き、より真剣に交渉に向き合ってくれます。
「全体的な予算が〇〇万円なので、仲介手数料を〇〇万円引いてもらえれば契約手続きを進められます」などと伝えてみましょう。このように伝えることで、不動産会社が仲介手数料をどれだけ引けば契約を進められるかがわかります。
契約前提の値引き交渉だと伝える
不動産会社は、仲介手数料を割り引いても契約するかわからない借主の交渉には応じてくれません。そのため、仲介手数料の交渉時は、契約前提の値引き交渉だということをかならず伝えましょう。
仲介手数料を割り引く場合、担当者は上司や代表に承諾を得なければなりません。一生懸命上司を説得して仲介手数料を割り引いたにもかかわらず契約が進まなければ、その労力が無駄になってしまいます。
仲介手数料交渉の可能性を少しでも上げるためにも、契約前提という言葉が重要となるでしょう。
他社と比較する
2社以上で物件を内覧し、他社と比較した上で仲介手数料の交渉に臨む方法も効果的です。不動産会社には「他社と契約されるくらいなら利益が低くても契約したい」という思いがあるためです。
この方法を交渉で利用するためには、他社の費用明細をかならず持参しましょう。目に見える資料を提示することで、交渉を有利に進められます。この場合も「仲介手数料を〇〇万円引いてもらえたらこちらで契約します」と伝えましょう。
杉解説員
仲介手数料の交渉を成功させるコツ3選
ここでは、仲介手数料の交渉を成功させるためのコツを3点紹介します。
賃貸需要が少ない閑散期に交渉する
仲介手数料の交渉をする上で、部屋探しの時期が重要なポイントとなります。賃貸需要が高い時期に交渉しても断られる可能性が高いため、閑散期を狙うと良いでしょう。
狙うべき閑散期は5〜8月、または年末年始の時期です。この時期は部屋探しのお客様が減るシーズンのため、不動産会社は少しでも契約を締結したいのです。
不動産会社が仲介手数料を割り引いても契約したいと考えるこの時期に、仲介手数料の交渉を行えば成功率が上がるでしょう。
貸主側にもたらされるメリットを提示して交渉する
仲介手数料の交渉を成功させるためには、不動産会社に与えるメリットを提示しましょう。交渉した結果、不動産会社にもメリットがあれば成功する確率が上がります。
貸主側に与える代表的なメリットとして以下が挙げられます。
- 室内を丁寧に使い、原状回復工事費用がかからないようにする
- 部屋探しをしている知り合いを不動産会社に紹介する
- 口コミを投稿して不動産会社の評価を良くする
杉解説員
山田編集者
丁寧な対応を心がける
仲介手数料の交渉時は高圧的な態度を取らず、丁寧な対応を心がけることが重要です。高圧的な態度は不動産会社にとって悪い印象を持たれ、オーナーに紹介できないと判断されるかもしれません。
あくまでも「お願いします」というスタンスで交渉に臨み、良識のある人として認識してもらいましょう。担当者に「この人のために交渉に応じてあげたい」と考えてもらえれば、交渉の成功率が上がります。
仲介手数料の交渉がしやすい物件の特徴とは
仲介手数料は、交渉する方法や時期だけでなく、物件によっても交渉の成功率が変わります。ここでは、仲介手数料の交渉が成功しやすい物件を紹介します。
自社で管理している物件
仲介手数料の交渉をする際は、自社で管理している物件を狙いましょう。自社で管理している物件とは、オーナーから直接賃貸管理を任されている物件のことです。
自社管理物件は、オーナーから直接管理依頼を受けているため、不動産会社は少しでも満室に近づけたいと考えています。そのため、「仲介手数料を削ってでも部屋を埋めたい」となるケースが多く、仲介手数料の交渉に応じてくれやすいのです。
長期で空室の物件
不動産会社にとって、賃貸経営で一番つらいのは空室が増えることです。そのため、長期で空室となっている物件を選び交渉すれば、成功する確率が上がります。
空室を埋めれば、その資金を元手に他の部屋のリフォームが行えます。その結果、他の部屋も埋まり満室に近づけられるのです。
このように、長期で空室となっている部屋を狙うことは、双方にとってメリットがあります。そのためには、インターネット上でどの部屋が空室になっているのかを、常に確認することが重要です。
管理状態が良くない物件
仲介手数料の交渉をうまく進めるための方法として、管理状態が良くない物件を選ぶことも考えられます。管理状態が良くない物件は、入居希望者が少なく需要が低いため、交渉の成功率が上がるのです。
管理状態が良くない物件の例として以下が挙げられます。
- 一昔前の設備を使用している
- 建物の修繕が行き届いておらず清潔感に欠ける
- 駐輪場やエントランスなどの共用部分にゴミが散乱している
一般的に「借りたくない」と思われる物件は、需要が低いため入居希望者を逃したくありません。
自分が妥協できる範囲を考慮し、「住める」と判断した物件で交渉を行ってみましょう。
まとめ
今回は、仲介手数料の交渉が断られる理由や、成功させるコツを紹介しました。
交渉の成功率は、部屋探しの時期や交渉する借主側の姿勢によって変わるでしょう。また、仲介手数料の交渉を成功させるためには、自分のことだけでなく、相手のことも考えて対応することが重要です。その姿勢が担当者に伝われば、交渉の成功率が上がるでしょう。
杉解説員