マンション購入に必要な書類を解説。印鑑証明・源泉徴収票は?

マンション購入に必要な書類を解説。印鑑証明・源泉徴収票は?

この記事を書いた人
平野 直樹
不動産コンサルタント・一級建築士

関西大学工学部卒業後、首都高速道路の設計や戸建設計など建設コンサルタントとして活躍。川を活かした街づくりや土地有効活用を掲げるシンクタンクを経た後、現在は有限会社エクセイト研究所の取締役を務める。 保有資格:1級建築士、1級土木施工管理技士、宅地建物取引士

マンション購入時の必要書類のまとめ
  1. 購入前は「ローン審査・売買契約・登記手続き」などに関する書類が必要
  2. 契約後に必要な「不動産取得税の軽減・住宅ローン控除」の書類も準備しておく
  3. 書類が間に合わなければ購入が見送りになる場合もあるので注意が必要

 

中古マンション等を購入するときは住宅ローンを組んで購入するケースが多いですよね。 そうなると、マンションの契約や住宅ローンの申請など書類の準備が大変そうですね。

 
 

そうです。ちゃんと書類を準備できなければ、住宅ローンもマンション購入も難しくなる場合もあるので、必要書類は前もって準備しておく位が必要です。

 
 

マンションを購入するときに必要な書類が知りたいですね。

 

マンションを購入するときには面倒ですが、いくつもの書類が必要になります。しっかりと購入までの流れをつかみ書類を準備しておかなければなかなか前に進まず、最悪の場合、購入ができなくなる可能性も高いです。また書類の不備は税金の軽減手続きに支障が出る場合もあるので、前もって準備しながら流れを把握しておかなければいけません。

この記事ではマンションを購入するときに必要な書類をケースごとに解説します。また税金の手続きについても詳しく解説していきましょう。

マンション購入の申し込み時に必要な書類|住宅ローン事前・仮審査

物件の申し込みと住宅ローン事前・仮審査で必要な書類
 

部屋探しから引き渡しまでをスムーズにするにはどうすればいいでしょうか。

 
 

そのためには事前の準備や購入までの流れをしっかり理解することです。 特に住宅ローンの申し込みには必要書類も多く、準備にも時間がかかりますよ。

 
 

住宅ローンの申し込みに必要な書類などを知りたいですね。

 

マンションの購入においてスムーズな取引ができるかどうかは、住宅ローンの審査が大きなポイントです。書類の準備も個人事業主や給与所得者で変わります。ここで書類が中々そろわないことになってしまうと購入申し込みができなくなってしまい、その間に他の人で決まってしまう場合があります。

目ぼしい物件が決まっていたら、とにかく早めに書類を揃えなければいけません。ここからは住宅ローンの申し込みにおいて必要な書類について解説します。

物件と住宅ローンの申し込みに必要な書類

目ぼしい物件が決まればいよいよ住宅ローンの申し込みに入らなければいけません。仮審査などで事前に自分の収入に対してどの程度のローンが組めるのかが分かっていると、申し込みもスムーズに進むでしょう。

住宅ローンの申し込みに必要な書類は下記の内容です。

事前審査に必要な書類
収入証明正社員・契約社員 ・直近2年分の源泉徴収票
・所得証明
・給与明細書
・雇用契約書及び在籍証明書(契約社員のみ)
個人事業主 ・事業の概要に関する資料(会社案内、事業概要書等)
・確定申告書の控え
経営者 ・事業の概要に関する資料(会社案内、事業概要書等)
・所得証明書
・納税証明書(必要に応じて源泉徴収票も提出あり)
・会社謄本
・給与明細書
・決算書
身分証明等印鑑や運転免許証、パスポート、健康保険証の写しなど
借り入れ状況の確認他に借入している残高証明書

注意
勤続・開業・設立年数に応じて提出種類が異なります。

事前審査が通ると次に本審査へと移ります。一般的には事前審査で通った後に売買契約を締結し本審査へ移行します。

マンション購入契約をする際に必要になる書類

マンション購入契約をする際に必要になる書類
 

事前審査が通れば、いよいよ購入の契約ですね。

 
 

はい。売買契約にも複数の書類を準備する必要があります。但し、買主はわざわざ役所に取りに行くような書類はありませんので、比較的難しい書類ではありません。

 
 

どのような書類が必要ですか?

 

住宅ローンの事前審査が通るとマンション購入の契約を行います。重要事項説明書への記名押印や売買契約への記名押印が必要です。

売買契約締結時の書面
  • 重要事項説明書:当該マンションの法的な制限、取決め等が記載された書面
  • 売買契約書:売買金額、契約後の日程、売主との約束事および違約・解約等の事項が記載された書面
  • 一般媒介契約書:当該マンションの売買に関し、不動産会社に売主との取りまとめを委託する内容が記載された書面

ここからは購入契約における準備する書類について解説します。

マンションを購入するに当たって必要な書類

売買契約や重要事項説明書における必要書類や準備するものをまとめました。

契約に必要な書類
実印契約の印鑑は一般的に実印。
印鑑証明書場合によっては押印する実印の印鑑証明書も必要。別途共有者や連帯保証人がいる場合にはそれらの印鑑証明書も必要になる。
収入印紙売買契約書は買主用と売主用に2部用意されているが、買主側に貼る印紙。金額は売買代金によって異なる。
手付金売買代金の1割から2割程度が一般的。
身分証明書運転免許証など。

他にも売買契約時に仲介手数料の半額を支払う取り決めが事前に交わされている場合があります。この場合は手付金と合わせて仲介手数料の半額分が必要です。

住宅ローン本審査と役所手続きに必要な書類

住宅ローン本審査と役所手続きに必要な書類

住宅ローンの申し込みだけでも複数の書類が必要です。申し込みにおける事前審査が通った後に本審査となります。また本審査と同時に役所の手続き関係の書類が必要です。

ここからは住宅ローンの本審査に必要な書類や役所の手続きに必要な書類について解説しましょう。

住宅ローンの本審査に必要な書類

本審査における必要書類は下記の通りです。

本審査に必要な書類
収入証明給与所得者源泉徴収票、住民税課税証明書
個人事業主確定申告書の控え確定申告書、納税証明書
身分証明等運転免許証やパスポートなど、同居家族全員が記載されている住民票(発行後3ヶ月以内)
証明書関係印鑑証明書(ローンを組む本人、連帯保証人分)
借り入れ状況の確認他に借入しているローンの返済予定表など
物件に関する書類売買契約書、重要事項説明書、建築確認済証など

書類が多いので整理しながら進めていきましょう。

役所手続きに必要な書類

本審査も通り引き渡し日が近づくと引っ越しに向けて役所手続きが必要です。役所による手続きは各家庭によって異なる場合があります。一般的な役所手続きに必要な書類は下記の通りです。

住民票の異動手続きの注意点

新居に引っ越すにあたり住民票の移動をする必要がありますが、まだ住みはじめていない住所への住民票の移動は基本的にNGです。

注意
一般的な不動産取引では登録免許税を軽減するため引っ越し前の住民票の移動を進められますが、これは住民基本台帳法に抵触するため注意が必要です。

まずは現在住んでいる自宅が賃貸の場合は「賃貸借契約書のコピー」、自己所有の物件であれば「不動産売買契約書」を添付した「申立書」といった書類を担当の司法書士に取得してもらうことで登録免許税は軽減されます。

 公共料金関係の手続き

電気、ガス、水道といった公共料金の手続きが必要です。今の住まいの解約と購入したマンションの新規契約が必要です。役所手続きとは若干違う部分もありますが、必ず行わなければいけません。

MEMO
基本的には各事業者から送られている解約通知書や申込書に記名押印して、解約と新規契約ができます。

登記手続きと引き渡し時に必要な書類

登記手続きと引き渡し時に必要な書類
 

マンションを購入するにあたり、登記の手続きなどは必要ないのでしょうか?

 
 

もちろん必要です。マンションの引き渡し時に、司法書士が同席し登記の手続きを行いますよ。

 

マンションを購入したら権利関係を明らかにするという意味でも必ず行うのが登記の手続きです。自分でも登記はできますが多くは司法書士に依頼し登記手続きを行います。

ここからは登記手続きに必要な書類や引き渡しの際に必要な書類などについて解説しましょう。

登記手続きに必要な書類

行わなければいけない登記手続きは2点あります。

必要な登記手続き
  1. 土地、建物の所有権移転登記
  2. 住宅ローンで購入した場合の抵当権設定登記

また、それぞれに必要な書類は以下の通りです。

所有権移転登記に必要な書類
  • 権利証(登記識別情報)
  • 売主の印鑑証明書
  • 買主の住民票
  • マンションの評価証明書
  • 売買契約書
  • 司法書士への委任状

抵当権設定登記に必要な書類
  • 買主の印鑑証明書
  • 抵当権設定の契約証書
  • 権利証(登記識別情報)
  • 家屋証明書
  • 資格証明書

基本的に司法書士に依頼すると大部分は司法書士が準備します。しかし、本人でなければとれない書類があるので、前もって依頼する予定の司法書士と打ち合わせして引き渡しまでには書類を準備しましょう。

ローン資金の実行、代金の支払い

登記が完了すると、司法書士は金融機関に報告し、住宅ローンの資金が本人の口座に入金されます。このプロセスを「実行」と呼び、実行が確認されると、売主に代金から手付金を差し引いた金額と「固定資産税や管理費・修繕積立金の精算金」を振込みで支払います。その後、売主から領収証とマンションの管理規約、設備の取り扱い説明書を受け取ります。

固定資産税・都市計画税

毎年1月1日時点の不動産所有者に対して請求される税金であり、旧所有者は1月1日から引渡日の前日までの期間分を負担し、新所有者は引渡日から12月31日までの期間分を負担します。そのため、引渡日以降の負担分が精算金となります。

管理費・修繕積立金・駐車料金・その他の利用料金

これらの費用は毎月、所有者の口座から引き落とされます。旧所有者は引渡日の前日までの期間分を負担し、新所有者は引渡日以降の期間分を負担します。ただし、引き落とし手続きの都合上、引渡しの翌月分が旧所有者によって支払われる場合、新所有者は翌月分の精算金も支払うことになります。

マンションの引き渡し時に必要な書類

引き渡しの際にもいくつかの書類を準備しておかなければ決済できなくなってしまいます。この段階で書類が不備となると引き渡し日の再設定に多大な労力を要しますので、最後の詰めはしっかりと行いましょう。

引き渡し時に必要な書類
  • 実印:融資の書類印に必要
  • 本人確認証: 融資の確認に必要
  • 印鑑証明書: 融資の確認に必要
  • 通帳と通帳印: 入金の確認のため
  • 各種支払代金の準備: 仲介手数料や司法書士への費用など
  • 区分所有者変更届: マンション購入の場合は管理組合に提出するケースがある(中古マンション購入の場合)

あわせて登記を行うので一緒の書類がありますが各々の届け出に必要な場合があるので複数の準備が必要です。

税金の軽減手続きも忘れずに!必要な書類について

税金の軽減手続きも忘れずに!必要な書類について
 

やっとマンションの引き渡しが終わりましたね。これで後は引っ越すだけでしょうか?

 
 

最後に忘れがちなのが税金の軽減手続きです。マンション購入のあたり、いくつかの軽減措置を受けることができます。

 
 

それは絶対に忘れてはいけませんね。どのような書類が必要でしょうか?

 

マンションの引き渡しが終了すると書類の準備も終わったと思う人も多いでしょう。最後に税金の軽減手続きに関する準備を忘れないようにしておきましょう。ここからはどのような税金が軽減できるのか?軽減するための必要な書類はなにか?について解説します。

不動産取得税の軽減に必要な書類

不動産を取得した時にかかってくる税金が不動産取得税です。固定資産税評価額の4%(令和6年3月31日までは3%)がかかります。しかし要件を満たせば一定の軽減措置を受けることが可能です。軽減措置は県税事務所に申告しなければ軽減措置の適用を受けることができません。申告のために必要な書類は下記の通りです。

不動産取得税の軽減に必要な書類
  1. 印鑑
  2. 不動産取得税の納税通知書
  3. 売買契約書
  4. 登記事項証明書
  5. 住宅家屋証明書

これらの書類を持って県税事務所へ申告します。一定要件があるので適用を受けることができるかについてはマンションの状況によって異なります。

住宅ローン控除に必要な書類

必ず忘れずに行っておきたいのが住宅ローン減税控除の手続きです。年度末のローン残高1%分の所得にかかる所得税が10年間還付されます。新築、中古住宅購入、どちらでも期間は10年間です(特別特例取得に該当するものは13年間)。マンションを購入した翌年から還付を受けることができます。必要書類は下記の通りです。

住宅ローン控除に必要な書類
  1. 源泉徴収票
  2. 住民票
  3. 住宅ローンの年末時点の残高証明書
  4. 売買契約書
  5. 登記簿謄本
  6. 住宅借入金等特別控除額の計算明細

法務局や市町村役場で取得が必要な書類もありますがメリットは大きいので忘れずに行いましょう。

マンション購入までの流れ

マンション購入までの流れ

最後に、マンション購入までの簡単な流れについてまとめます。

STEP.1
ライフプランの検討
STEP.2
予算を決める(できればローンの仮審査まで通しておく)
STEP.3
マンションを選び申し込む
STEP.4
重要事項の説明、売買契約の締結
STEP.5
住宅ローンの審査
STEP.6
引き渡し、入居

Step1.ライフプランの検討

将来の家族構成や勤務先への距離、転勤の可能性など将来においてどのような出来事に直面するのかを考える必要があります。現時点で子供がいないからといって夫婦二人で住む程度の広さのマンションを購入すると、家族が増えた場合に買い替えしないといけなくなってしまいます。

現在、自分のおかれている状況だけで判断するのではなく、将来のライフスタイルに対応できるようなマンション選びがポイントです。

MEMO
必要な要素やいらない要素をしっかりと話し合って理想のマンションを検討しましょう。

Step2.予算を決める(できればローンの仮審査まで通しておく)

どの程度予算が準備できるのかを前もって調べておきましょう。現金一括払いで購入しようと考えている人は現在の手持ち資金で購入できるマンション選びで問題ありません。しかし住宅ローンを利用する場合は現在の年収でどれだけのローンが組めるのか?実際に無理なく返済できる額での融資枠はどの程度なのかを把握しておきましょう。

MEMO
できれば最初にローンの仮審査だけでも行って想定の予算を決めておくのがベターです。

Step3.マンションを選び申し込む

予算や住みたい場所、新築マンションにするのか、中古マンションにするのかといったことが決まるとマンション選びに入ります。マンションの探し方はインターネット、新聞広告などを利用して物件を探しましょう。またモデルルーム展示場を訪れ、販売担当者と話すのも効果的です。

気に入ったマンションがみつかると購入申し込みとなる買付証明書に記入して売主に購入意思を伝えます。もしも減額交渉や住宅ローン特約などを条件にしたい場合は、条件を買付証明書に記入し売主の承諾を待ちます。

MEMO
できれば、この時点で住宅ローンの事前審査も同時に行っておくと契約や本審査の流れがスムーズです。

Step4.重要事項の説明、売買契約の締結

売主が買付証明書の内容に同意すると売り渡し承諾書を買主へ渡します。これにてお互いの合意が取れました。ここからが契約作業ですが、まずは重要事項の説明を受けなければいけません。重要事項の説明とは物件の詳しい情報や売買の条件などについて説明を受けます。

物件の詳しい条件や契約条件に問題がなければ記名押印し、いよいよ売買契約の締結です。売買契約時には手付金が必要になり、一般的には売買代金の1割から2割程度が必要です。

注意
もし契約締結後に買主からキャンセルする場合、手付金は返還されません。

Step5.住宅ローンの審査

現金購入ではなくローンを組む場合は住宅ローンの審査を受けなければいけません。前もって事前審査などを受けておくと話がスムーズに進み、1週間程度で結果が分かります。中古マンション購入+リフォームなどローンの目的が異なる場合は、それぞれに対してローンの審査が必要ですので少し時間がかかるかもしれません。

MEMO
もしかすると住宅ローンが通らずに契約が流れてしまう可能性もありますが、売買契約に住宅ローン特約を付けておくと、契約が流れても手付金は返還されます。

Step6.引き渡し、入居

住宅ローンの審査が通ると決済となります。引き渡し日に残代金を支払い所有権の移転登記、鍵の引き渡しなどを受けて、晴れて自分のものとなります。あとは都合のいい日にちを調べて引っ越しし新しいライフスタイルを楽しみましょう。

まとめ

マンション購入時の必要書類のまとめ
  1. 購入前は「ローン審査・売買契約・登記手続き」などに関する書類が必要
  2. 契約後に必要な「不動産取得税の軽減・住宅ローン控除」の書類も準備しておく
  3. 書類が間に合わなければ購入が見送りになる場合もあるので注意が必要

マンションの購入にあたっては売買契約に関することだけではなく、住宅ローンに関することや税金の軽減に関することなど書類の準備をいくつか行わなければいけません。余裕があるスケジューリングで書類を準備しなければ、購入までの流れがスムーズに廻らずに最悪の場合、購入できないケースにも繋がります。

購入できないだけならまだしも手付金等、支払ったお金が返ってこないケースにも繋がりますので、一旦申し込んだ後は必ず書類や手続きに不備がないかを確認しましょう。まずはマンション購入までの流れを把握し、どの時点でどの書類が必要になるのかをしっかりチェックしておくことです。

流れを把握し前もって書類関係を準備することで、バタバタすることなく余裕をもって取り組むことができます。この記事がマンションの購入を考えている人の参考になれば幸いです。