- マンションコンシェルジュとは受付・フロントに常駐して居住者(入居者)のサポートやゲストの応対、各種サービスによる付加価値を提供する仕事
- メリットの一つに長期的にみても不動産の資産性や付加価値の上昇に貢献していることが言える
- サービスをあまり使わない人にとっては管理費が高くなるためデメリットとなる
ホテルやレストラン、百貨店などの建物に入ってまず目につくのが受付やフロントに常駐するコンシェルジュ。しかし近年では高級マンションにも常駐しており、居住者の利便性や満足度に寄与しています。
しかし未だに多くの人にとってマンションコンシェルジュの必要性や重要性を理解していない人は多いのではないでしょうか?本記事ではマンションコンシェルジュの基本的情報の紹介をはじめ、コンシェルジュサービスの仕事内容、付帯してることで得られるメリット・デメリットについて解説します。
マンションコンシェルジュとは
コンシェルジュ(Concierge)とはフランス語で「門番」や「守衛」といった言葉から派生しており、日本ではホテルやマンション、百貨店、レストランなどでお客様のご要望やリクエストに応える職業のことを指します。
したがってマンションにおけるコンシェルジュとは、受付・フロントに常駐して居住者(入居者)のサポートやゲストの応対、各種サービスによる付加価値の提供など、マンションで暮らす人を総合的にサポートする仕事です。
マンションコンシェルジュのサービス内容
マンションコンシェルジュの代表的なサービス内容は以下の通りです。
- 来訪者の受付・案内
- 共用施設の申し込み
- 宅配便の受付及び受け取り
- クリーニングの取り次ぎ
- デリバリー・ケータリングの紹介及び手配
- タクシーの手配
- 郵送物の発送
- 買い物代行サービス
- 各種レンタルサービスの紹介
- カフェの運営
- 周辺施設(環境)のインフォメーション
この他にもマンションによっては様々なサービス内容を兼ね備えたところも存在しますし、マンション住人からの要望であれば従来サービス内容に含まれないものでも、コンシェルジュの役割及び業務範囲内でサポートしてくれるといったことも可能です。
マンション管理人との違い
コンシェルジュとはフランス語で「集合住宅の管理人」といった意味も含みます。そのため従来マンションに常駐している一般的な「管理人」と呼ばれるスタッフと混同しがちです。しかし両者には明確な区別があります。
コンシェルジュの業務は主に入居者の要望やリクエストに応えることや、サポートすることで、入居者の利便性や満足度を向上させることに寄与します。その一方、管理人は入居者の要望に対してフォーカスするのではなく、マンション(建物)自体の管理や維持を目的とした業務になります。
マンションのコンシェルジュの仕事内容
マンションのコンシェルジュには入居者の要望やリクエストに応えると同時に、入居者の暮らしに寄り添う姿勢も重要になります。しかし実際どんな仕事をどのようなタイムスケジュールで行っているのかわからないという人も多いのではないでしょうか?
そこで本章ではマンションのコンシェルジュの仕事内容について、1日の流れやキャリアアップの概要の観点から解説します。
マンションコンシェルジュの1日の流れ
マンションコンシェルジュの業務形態は主に2~3交代制のシフトが組まれています。そのためコンシェルジュの実働時間としては、シフトによって5~7時間程度で交代になるためフレキシブルに働くことも可能です。以下ではマンションコンシェルジュの1日の流れについて紹介します。
◯7:00~8:00 フロント・受付窓口がオープン
コンシェルジュ業務のはじめマンションで働くスタッフ間の情報共有や朝礼からはじまります。主に前シフト担当者からの引き継ぎをはじめ、個々人の居住者の状況の把握や1日のスケジュールの共有などが一般的です。
◯10:00~13:00 各種サービスの提供
居住者の方からお預かりしてる荷物の整理やフロントに届いているメールの確認、来客者の対応、共用部のチェックなど。その他にもバックオフィスで、書類や報告書の作成、伝票整理、事務作業もおこないます。
◯13:00~14:00 休憩
◯14:00~18:00(19:00)
郵便物や宅配便の取り次ぎや来訪者の入館手続きや案内、各種サービスの手配などをおこないます。またこのタイミングで日報や夜番のスタッフへの引き継ぎも。
マンションコンシェルジュのキャリアアップ
マンションコンシェルジュにはハイクオリティなサービスの提供や、レベルの高いスキルやマナーが身につきます。そのため将来的にはコンシェルジュの責任者だけでなく、自分に合ったキャリアを目指すことが可能です。以下ではマンションコンシェルジュのキャリアアップについて解説します。
◯入社1~2年目
コンシェルジュとしての基本的な知識や所作を習得します。入社後の研修では座学やロールプレイングを通して基礎的な言葉遣いやビジネスマナー、コンシェルジュとしての立ち居振る舞いなど、多岐に渡るプログラムを実施します。
◯3年目以降~
コンシェルジュとして一定の知識と経験を習得した後は現場となるマンションでハイレベルのサービスを提供するプロフェッショナルを目指すだけでなく、より専門性が高く現場のスタッフを育成するディレクターなどのキャリアアップを目指すことが可能です。
マンションにコンシェルジュサービスがあるメリット
現在、多くの高級マンションや分譲マンションでは受付やフロントにマンションコンシェルジュが常駐しています。しかしマンションにコンシェルジュサービスがあることでどのようなメリットが受けられるのでしょうか。以下ではマンションにコンシェルジュサービスがあるメリットについて解説します。
マンションの資産価値が高くなる
はじめのメリットは、マンションの資産価値が高くなるという点です。高級ホテルやレストランのように建物内の品質や状態を維持することや、マンション自体の付加価値を高めることにコンシェルジュサービスは寄与します。
マンション入居者の使い勝手がよくなる
マンションコンシェルジュを活用するようことでマンション入居者の使い勝手や利便性が高まることがメリットとして挙げられます。コンシェルジュのサービス内容は上記にも記載したように多岐にわたります。また日々の生活の利便性を高めてくれるサービスも多く使い方によっては家事や仕事の負担やストレスを軽減させることも可能です。
防犯対策にもなる
マンションのコンシェルジュサービスは防犯対策にも寄与します。近年、多くのマンションではエントランスにオートロックが付いていたり、エレベーター内での鍵の使用、防犯カメラの設置など至るところに防犯対策がなされています。しかし、だからと言って防犯面が完璧というわけではありません。
そのため受付やフロントにコンシェルジュがいることで、抑止力にもつながりますし、居住者の安心にも役立ちます。したがってコンシェルジュサービスが備わっていることは、防犯対策になるだけでなく、安心安全に暮らすための一つの要素になるため、大きなメリットと言えるでしょう。
マンションにコンシェルジュサービスがあるデメリット
コンシェルジュサービスにはメリットがある一方で、デメリットや不要に考える人も多いのが現実です。以下では、マンションにコンシェルジュサービスがあるデメリットについて解説します。
人件費による管理費の値上がり
マンションのコンシェルジュサービスは常駐するスタッフに支払う人件費の観点から、管理費が値上がりするためデメリットに感じる人も多いです。管理費とは日常の生活を安心かつ安全に過ごすために不可欠な管理に費やす費用のことを指します。そのため管理費に含まれるコンシェルジュサービスにかかる人件費も該当します。
不要だと感じる人が多いと廃止になるケースも
コンシェルジュサービスは多岐にわたるサービスが用意されている反面、居住者によっては使わない人や不要と考えている人も一定数存在します。理由としてはコンシェルジュサービスを維持するために不可欠な管理費や共益費を高いと感じる人も多く、竣工当時は活用されていたコンシェルジュサービスも次第に必要性が乏しくなり、サービス自体が廃止になるケースも少なくありません。
まとめ
近年、マンションの居住者の利便性や満足度を高める要素に挙げられるマンションのコンシェルジュサービス。ただ利便性や満足度に寄与するだけでなく、長期的にみても不動産の資産性や付加価値の上昇に貢献するため、あれば嬉しいサービスです。しかしサービスをあまり使わない人にとってはデメリットにもなり得ます。
マンションコンシェルジュを必須と考えるのではなく自分の生活に必要かどうかを前提に考え、サービスと管理費の兼ね合いをしっかり検討してから必要性について議論するようにしましょう。