- エレベーターの設置基準は31メートル以上の建物が対象
- エレベーターを設置する際は数やサイズ、エレベーターホールまでの距離などを要チェック
- エレベーターなし物件は管理費用を抑えられる一方で、査定価格が下がる場合がある
エレベーターの有無は、マンションを購入するうえで重要なポイントの一つです。マンションでの快適な暮らしを送るために必要不可欠なエレベーターですが、設置されていないマンションもあります。
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浜崎編集長
エレベーターは何階建てから必要で、どのような基準で設置されるのか、エレベーターを基準にしたマンションの選び方についても解説します。
マンションの購入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
マンションのエレベーターは何階から必要?
そもそもマンションのエレベーターはどのような基準で設置されるのでしょうか。
ここでは、エレベーターが何階建てから設置されるのかなど、基本的な疑問から解決していきます。
建物の高さ31メートル以上で設置義務がある
マンションのエレベーターは、実は階数ではなく「高さ」で設置義務が設けられています。
建築基準法34条に記載されているとおり、「高さ31メートルを超える建造物」にはエレベーターを設置しなければいけません。
建築基準法第34条2項
高さ三十一メートルをこえる建築物(政令で定めるものを除く。)には、非常用の昇降機を設けなければならない。
引用:e-Gov法令検索
これらに加えて、地方公共団体が条例でエレベーターの設置について定めている場合もあります。
また、サービス付き高齢者向け住宅の場合は、原則3階建て以上の物件にエレベーターの設置が必要です。
浜崎編集長
31メートルは7~10階の高さ
エレベーターを設置する基準である31メートルですが、具体的にどのぐらいの高さなのでしょうか。
あくまで基準ですが、31メートルはおよそ7~10階建ての高さに相当します。
7〜10階建てというのは一般的な高さの基準で、場合によってはこれに該当していないのにエレベーターが設置されている物件もあります。
階数ではなく高さで定められているため、低層マンションに該当する階数でも31メートルを超えていればエレベーターの設置対象です。
また、31メートル未満のマンションでも、大家さんの判断でエレベーターが設置されている場合もあります。
31メートル未満のマンションには「設置義務がない」だけで、エレベーターの設置自体は可能です。
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マンションのエレベーターでチェックしたいポイント
実際に分譲マンションを購入する際の、エレベーターに関するチェックポイントについてご紹介します。
エレベーターの数が足りているか
マンションにエレベーターが何台設置されているかを確認する必要があります。
エレベーターの台数が極端に少ないと、購入する部屋の位置によっては非常に不便を感じてしまいます。
たとえば、急いでいるのにエレベーターがなかなかこない、満員で乗れないなど、エレベーターまでの距離が遠いなどです。
エレベーターの台数として望ましいのは、50戸につき1台とされています。
150戸のマンションの場合、3台のエレベーターが設置されていれば上記のような不備は感じません。
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浜崎編集長
エレベーターのサイズが小さすぎないか
台数と同じく、エレベーターのサイズも確認したいポイントです。住宅用エレベーターのサイズには、以下のような規格があります。
6人乗り | 間口1050×奥行1150×高さ2200(mm) |
9人乗り | 間口1050×奥行1520×高さ2200(mm) |
小さいマンションには、3人乗りの小型なエレベーターが設置されている場合もあります。
普段は小さいエレベーターで問題ないかもしれませんが、車椅子やベビーカーを使うとき、引越しで大きな家具を運搬するときなどに不便です。
エレベーターホールまでの距離が遠すぎないか
エレベーターホールから各住戸への距離は、50メートル以内が理想です。
50メートルは、女性が重い荷物を持って移動できる限界と言われる距離。これ以上の距離があると、移動に不便を感じてしまいます。
また、マンションには「内廊下式」と「外廊下式」があり、それぞれ各住戸までの距離が異なります。
内廊下式の場合、マンションの中央にエレベーターが設置されていることが多いため、そこまで長距離の移動にはなりません。
対して外廊下式の場合、マンションの端にエレベーターが多い傾向にあります。そのため、端の部屋を購入した場合、歩く距離が長くなる可能性があるのです。
各住戸からエレベーターホールまでの距離だけではなく、エレベーターホールからエントランスまでの距離も重要です。
エレベーターを降りてからの移動距離が長いと、朝の貴重な出勤時間などをロスしてしまいます。
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浜崎編集長
エレベーターの音がうるさくないか
エレベーターと部屋が近い場合、エレベーターの機械音やエレベーター待ちの人の話し声・足音が聞こえることがあります。
距離の面で不便は感じないものの、さまざまな音がストレスの原因になるかもしれません。
また古いマンションの場合、エレベーターも古くなっている可能性があります。
エレベーター自体が劣化していると、異音も発生しやすいです。
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浜崎編集長
メンテナンスや清掃がされているか
エレベーターに定期的なメンテナンスや清掃が施されているかどうかも、重要なチェックポイントです。
定期的な点検が実施されているマンションであれば、毎日安心して利用できますね。
ただし、メンテナンスの機会が多いマンションもあり、日常的な利用に不便を感じる場合もあります。
また、マンションのエレベーターは多くの住民が共有するスペースなので、マナーの悪い住民がいた場合、ゴミや吸い殻が捨てられていることがあります。
清掃業者が定期的に訪問するマンションであれば問題ありませんが、マンションによって差があるため注意が必要です。
マンションを購入する前に、清掃業者の訪問間隔などを確認しておくことをおすすめします。
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浜崎編集長
防犯対策されているか
エレベーターは密室空間であるため、防犯対策がしっかり備わっているかの確認が必要です。防犯カメラ・鏡・窓などの設置が主な防犯対策の例です。
とくに防犯カメラに関しては、設置されているだけで犯罪抑止の効果があります。
万が一犯罪が発生した場合も、犯人の特定率向上につながるため、防犯カメラの設置も必須です。
緊急時の対策がされているか
エレベーター内で発生する非常事態の対策が施されているかも重要です。
たとえば、急病人が出た場合のストレッチャーや、棺などを乗せることが稀にあります。
小さいエレベーターだとストレッチャーが入らないこともありますが、トランクルームがあればストレッチャーを乗せられます。
また、地震を感知する「P波センサー」も搭載されているか確認したいポイント。
P波センサーは、初期微動を感知し最寄り階でエレベーターを停止させられます。地震でエレベーター内に閉じ込められることがないため必須の設備ですが、古いものには搭載されていません。
停電が起こった場合のために、エレベーターが止まらないよう停電時自動着床装置が設置されているかも大切です。
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浜崎編集長
ペット専用ボタンがあるか
マンションでペットを飼いたい場合、エレベーターにペット専用のボタンがあるか確認しましょう。ペット専用ボタンを使えば、エレベーターを待っている人にペットが乗っていると伝えられます。
ペット可能なマンションでも、ペットが苦手な人が住んでいる可能性もあるので、ペット専用ボタンがあると便利です。
また、ペット同士のトラブル防止にもつながります。
住民同士が快適に生活できるための配慮・マナーとして、マンションを購入する前にペット専用ボタンがあるかの確認は重要です。
エレベーターなしマンションのメリット
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浜崎編集長
共益費・管理費などのコストが抑えられる
エレベーターのないマンションは、メンテナンス費用などを含めた共益費や管理費のコストを削減できます。
また、エレベータなし物件というだけで安く購入できることもあるため、予算を重視する方にとっては非常に大きなメリットです。
一般的に、エレベーター付きのマンションの方が人気を集める傾向にあります。そのため、エレベーターはついていなくても、駅から近くて便利なマンションが空いていることもありますよ。
忙しい時間帯にエレベーターを待つ必要がない
朝の通勤時間帯など、エレベーターが混雑していると待ち時間が増えてしまいます。エレベーターなしのマンションであれば、そもそも待ち時間は発生しません。
マンションによってはエレベーターの数が少なかったり、部屋からエレベーターまでの距離が遠い場合があります。
エレベーターがないマンションであれば移動手段は階段のみなので、エレベーターを利用するまでの時間は計算不要です。
とくに通勤時に関しては階段を降りるだけで済むため、むしろエレベーターを使わない方が短時間で外に出られる場合もあります。
階段を使うと適度な運動になる
エレベーターなしのマンションは昇り降りの手段が階段のみです。そのため、生活をするだけで適度な運動ができるメリットがあります。
エレベーターが付いているマンションは確かに便利ですが、運動不足を加速させる要素であることは否定できません。
運動不足解消のために、あえて階段の上り下りが必要なマンションを選ぶのも一つの方法です。
エレベーターなしマンションのデメリット
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浜崎編集長
引っ越しや家具の購入時に料金がかかる
エレベーターなしのマンションに引っ越しをする場合、エレベーターがないことで引っ越し費用に追加料金が発生する可能性があります。
エレベーターなしのマンションから別の物件に引っ越す際も同様です。
エレベーター付きのマンションから引っ越す際の価格よりも高くなり、場合によっては自分で家具を運搬しなければなりません。
家具を購入しても、エレベーターがないという理由で部屋まで運んでもらえないこともあります。
売却するときの価格が安くなる
エレベーターがついていないというだけで、売却時の査定額が安くなる可能性があります。
そもそもエレベーターなしという理由で買い手自体が見つかりづらいのもデメリットです。
エレベーターなしのマンションは便利さと引き換えに安く購入できる点がメリット。
浜崎編集長
体調が悪いときや荷物が多いときは階段が大変
階段のみが移動手段となるため、体調不良の時や荷物が多い時は部屋に帰るのも一苦労です。
たとえば、エレベーターなしの5階に住んでいる場合、ある程度体力のある時であればそこまで大きな負担にはなりません。
ただし、上述した理由など何らかのイレギュラーがある場合、1階から5階まで階段で上がるのは時間も体力も消耗します。
また、若いうちはエレベーターがなくても運動不足の対策になるため、大きな不便は感じません。
それが高齢になると、階段を登るだけでも体力を大幅に消耗するため、一転して大きなデメリットになります。
これらの理由から、エレベーターなしのマンションを購入する場合は、そのマンションに高齢になっても住み続けるのかどうかも重要な観点です。
まとめ
今回は、分譲マンションを購入するうえで重要な、エレベーターに関する知識を紹介しました。
マンションのエレベーターは階数ではなく、31メートルという高さが設置基準です。
10階を超える高さであれば、ほとんど設置されていると考えられます。
マンションを選ぶ際は、エレベーターの数やサイズ、エレベーターホールまでの距離などをチェックしましょう。
また、場合によってはエレベーターなしのマンションを購入することもあるかもしれません。
その際は、本記事で紹介しているエレベーターなしのマンションに関するメリット・デメリットをぜひ参考にしてください。
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浜崎編集長