- 住宅ローンの事前審査期間が長い理由は?
- 住宅ローンの仮審査連絡がこない場合は?
- 住宅ローンの事前審査が長いと落ちる?2週間以上かかる場合もある
住宅ローンには事前審査と本審査があります。
事前審査は申込者の信用と属性、返済計画から「融資可能かどうか」ということをざっくりと審査することです。本審査は、申込者の属性や売買される不動産情報などより多くの資料をもとに審査を行います。
事前審査の内容が正確であれば住宅ローン審査に通過できる可能性は非常に高いと言えますし、事前審査に落ちて本審査で通過するということはありません。
中山解説員
浜崎編集長
住宅ローンの事前審査期間が長い理由
「住宅ローンの事前審査(仮審査)の結果が2 -3週間以上来ない…。」「住宅ローンの仮審査・本審査の否決の連絡がくるまでの日数が長いから落ちたの?」などの心配するような投稿を、知恵袋などの掲示板で見かけることがあります。
しかし、住宅ローンの事前審査の否決が通ったときは連絡が早い・通らないと連絡が遅いという訳ではありません。
この章では、事前審査期間が長引く理由を4つに絞ってご紹介します。
①追加書類の提出が増えた
住宅ローンの審査では、時折、追加書類の提出が必要になることがあります。
追加書類の提出が必要になると、金融機関とのやり取りが増え、その結果、審査の結果が出るまでの時間が長くなることがあります。
②金融機関の繫忙期で申込が多い
住宅ローンの需要が最も高い1月~3月は、申し込みが集中することが多いです。
住宅ローンの審査は、担当者が1件ずつ確認しているため、この時期は数週間長引く可能性があります。
中山解説員
③事前審査~本審査時点で申込者の状況が変わっている
事前審査の申込をした時と、本審査の時点で申込者の状況が変化していた場合、審査に時間がかかることがあります。
例えば審査中の退職・転職や、それによって申請者の収入が大きく変わる場合などが該当します。
浜崎編集長
④過去に借金の滞納などがあった
申込者が過去にクレジットカードの支払いを数か月滞納していたり、ローンの返済が滞るなどとったことをしていた場合は要注意です。
この場合、個人信用情報に「遅延」や「異動」などの情報が記録されてしまい、「異動」と記録された場合には、審査に通らない可能性が高いです。
浜崎編集長
住宅ローンの事前審査の内容
住宅ローンの事前審査では基本的に事前審査申込書に記載した全ての項目がチェックされます。 その中でも最も重要なポイントは以下の4つです。
- 年収(返済負担比率)
- 収入の安定性
- 個人信用情報
- 担保評価
それぞれ審査ではどのように見られるのか、詳しく解説していきます。
年収(返済負担比率)
住宅ローンの申込時には年収を申告します。 年収は高ければ高いほど審査で有利になることは間違いありませんが、住宅ローンでは返済負担率の基準を年収が満たしているかどうかということを主にチェックしています。
返済負担率は「住宅ローンと他社借入の年間返済額が年収の何%か」という考え方です。 ほとんどの住宅ローンでは返済負担率30%〜35%と決まっていることが一般的です。
当然ながら年収の高い人の方が許容される住宅ローン年間返済額が大きくなるので審査には有利になります。 また正社員の最低年収程度の年収200万円くらいはないと住宅ローンの借入は難しいでしょう。
収入の安定性
いくら収入が高くてもその収入が今後も継続する見込みがないと審査に通過することは難しくなります。 住宅ローンは数十年という長い年月をかけて返済していくローンであるためです。 そのため収入が高い水準で安定している上場企業会社員や公務員は審査で有利になります。
また一般的に勤続年数が長ければ長いほど離職率は低くなっていくので勤続年数が長い方が審査で有利になります。
個人の信用調査
事前審査では個人信用情報に照会を行います。 住宅ローンはあらゆる個人ローンの中で最も審査が厳しいローンですので、個人信用情報に以下のような金融事故情報があるブラックの人は絶対に審査に通過することはできません。
- 債務整理
- 長期延滞
- 代位弁済
- 強制解約
物件の担保評価
住宅ローンは購入(建築)する建物と土地、また建物だけ建築する場合にもその建物と建物が建っている土地も担保にしなければなりません。 この際、担保評価額の範囲内までしか融資を受けることができません。
事前審査では周辺の基準地価などからざっくりとした担保評価を行い、住宅ローン申込金額が担保評価額の範囲内かということも審査をしています。
住宅ローンの事前審査が長いと落ちる?落ちる理由
事前審査で落ちる理由は基本的に前述のポイントを満たすことができないケースです。 ただし返済負担率がオーバーしている場合や担保評価額が基準を満たすことができない場合には減額になることがあり、必ずしも一発で審査落ちになるわけではありません。
浜崎編集長
確実に一発で審査落ちになるケースは個人信用情報に問題があったケースです。
ブラックはもちろん消費者金融からの借入が多い、クレジットカードの支払いに遅れが多いというケースでも問答無用に審査落ちになることもあります。
住宅ローンの仮審査の連絡がこない場合は?審査期間の平均は?
住宅ローンの仮審査の結果の連絡が中々こない・事前審査が長いと「審査に落ちたのでは?」と心配になりますよね。
住宅ローンの本審査や仮審査の否決にかかる日数について、知恵袋などでもよく投稿されているので、気になっている方も多いのではないでしょうか。
中山解説員
住宅ローンの審査期間の平均は?
住宅ローンの事前審査の場合、審査期間の平均は即日~1週間程度です。
事前審査の段階では、まだ簡易的な検査のため、3-4日程度で連絡がくることが多いようです。
また、最近ではweb審査も増えてきているため、入力フォームに情報を入れるだけで即日分かる審査もあります。
住宅ローンの本審査の場合の審査期間の平均は、2週間程度です。しかし、前半の章で解説した通り、繁忙期などの理由によって1カ月ほどかかる場合もあるのでご注意ください。
中山解説員
浜崎編集長
住宅ローンの仮審査の結果の連絡が中々こない場合は?
住宅ローンの仮審査の申し込みをしてから2週間以上たっても連絡が来ない場合は、担当者に連絡してみてもよいでしょう。
浜崎編集長
住宅ローンの事前審査の否決の連絡が遅いから審査に落ちる、早いから審査に受かるとは限りません。
前半の章で述べた通り、繁忙期であったり、追加の書類が必要になったなどの理由で遅れている可能性があります。
事前審査に関するよくある疑問
中山解説員
浜崎編集長
- 借入履歴は正直に申告しないとまずい?
- 転職履歴を申告する理由
- 家族状況を申告するのはなぜ?
- 事前審査は何回までしていい?
- 本審査で落ちることはある?
- ネット銀行の事前審査
- フラット35の事前審査
借入履歴は正直に申告しないとまずい?
住宅ローンの事前審査申込書に借入履歴を申告する欄がありますが、審査で有利にしようと借入件数や金額を実態よりも少なく申告する人も存在します。 しかしこのような行為はほとんど意味がないばかりかマイナス効果になってしまいます。
借入履歴は個人信用情報に記録されているのでわざわざ申告させなくても審査をする側を個人信用情報から正しい内容をチェックすることが可能です。 では何のためにわざわざ借入履歴を申告させるかといえば「自分の借金の金額を正しく把握できている、計画性のある人間かどうか」を知るためです。
浜崎編集長
中山解説員
転職履歴を申告する理由
住宅ローンの事前審査申込書には現在の勤務先のほか以前の勤務先を申告する欄もあり、これまでの転職履歴を申告しなければなりません。 前述したように住宅ローンは返済期間が長いので、現在の収入が今後も安定して継続するという見込みが重要になります。
返済期間の長い住宅ローンで重視されるのは「収入の高さより安定性」ですので、転職が多い人ほど「安定性がない」と判断されて審査で不利になります。 ただし、転職者の中には自分のキャリアアップのために転職をしている人も数多くいます。
家族状況を申告するのはなぜ?
住宅ローンは借主しか審査の対象となりません。 したがって本人に信用があれば、家族状況に関わらず審査に通過することはできます。 しかし住宅ローンの事前審査申込書には家族状況を申告する欄があります。 これは家族がいる人の方が返済を真面目に行う傾向にあるためです。
住宅ローンで購入した家というのは家族の家でもあります。 返済が苦しいからと言っても大切な家族の住居を失ってしまうわけにはいかないので、家族がいる人ほど金銭的に苦しい時でも返済に励みお金を稼ごうとします。 また返済が苦しくなったときに配偶者がパートなどで働き、返済を助けてくれる可能性もあります。
一方で独身者の場合は返済が苦しくなったとき家を捨てて逃げてしまうことは簡単ですし、配偶者が返済を助けてくれるようなこともありません。
浜崎編集長
中山解説員
事前審査は何回までしていい?
カードローンやクレジットカードの審査では短期間の間に申込を何度も行うと審査に不利になっていきます。 個人信用情報にはCICとJICCは半年間、KSCには1年間申込の情報が記録され、申込情報が多い人ほど「よほどお金に困っている」「個人信用情報からは見えない隠れた借金があるかもしれない」などと判断されてしまうことが多いためです。
一方で住宅ローンでは申込情報が多くてもそれほど不利にはなりません。
そもそも住宅ローン審査は厳しいので、金利の低い銀行の住宅ローン審査には通過できなかったけど、金利の高い住宅ローンには通ったなどと言うことはよくある話です。銀行も保証会社の異なる2つの住宅ローンに短期間のうちに申し込ませてしまうことなど日常茶飯事です。
中山解説員
浜崎編集長
本審査で落ちることはある?
冒頭で述べたように、事前審査は本人の申告をもとに行われ、本審査では証明書類などをもとに申告内容が正しいかどうかの確認を行います。 また、担保評価では実際に現地まで赴き評価をすることが一般的です。
この際に年収・勤続年数・勤務先が申告内容と相違していた場合や、担保となる土地の条件が悪く評価が著しく下がってしまった場合などは事前審査に通過しても本審査で落ちてしまうことがあります。 本審査で落ちた場合には正しい内容に修正して事前審査からやり直す場合もあり、審査には時間がかかってしまいます。
浜崎編集長
ネット銀行の事前審査
ネット銀行には保証会社が存在しませんので前述したような内容をコンピューターが審査しています。 一方で店舗型銀行の保証会社付住宅ローンの事前審査では、前述したような審査内容を保証会社が審査します。
一般的には金利の低いネット銀行の事前審査の方が厳しいので、少しでも信用情報に問題がある場合や返済負担率が基準オーバーだったような場合には、問答無用で審査落ちになるか減額になります。
フラット35の事前審査
フラット35の事前審査は、住宅金融支援機構が決めた基準のチェックリスト用いて取り扱い金融機関が審査します。
フラット35の審査基準はホームページで公表されており、基本的にこの基準を満たしている人であれば審査に通過できます。 また、フラット35には勤務先や雇用形態の基準がありませんので、返済負担率さえ満たしていれば契約社員や派遣社員でも審査に通過できることもあります。
まとめ
今回の記事では住宅ローンの事前審査について解説しました。
転職履歴の多い人よりも1つの会社に長く勤めている人、また家族がいる人の方が審査に有利といえます。
また年収や信用情報に不安がある人は正直に申告することに抵抗を感じるかもしれませんが、嘘の申告をすることの方がデメリットが大きくなります。正直に申告をすることを心がけ、もし事前審査に落ちてしまったとしても別の金融機関に変える、プロに相談するなどして諦めずに対策を練ることが大切です。