固定資産税の納付書はいつ届く?計算方法も解説【2024】

この記事を書いた人
小島 優一
宅地建物取引士

宅地建物取引士、2級ファイナンシャルプランニング技能士。生命保険会社にてリテール業務に従事した後、2014年に不動産仲介会社であるグランドネクスト株式会社を設立。 2021年より幻冬舎ゴールドオンラインにて不動産を通じて財産を守る、増やす、残す記事を連載している。 >> 詳細はこちらから

この記事のざっくりしたポイント
  1. 固定資産税・都市計画税納税通知書の発送は4月~6月(都内23区は5月)
  2. 税率は固定資産税評価額によって決まる
  3. 固定資産税は特例によって税額を半減する事も可能

宅地建物取引士、2級FP技能士、管理業務主任者、賃貸不動産経営管理士。

株式会社MKM代表取締役。 大手ハウスメーカーにて注文住宅の受注営業、家業の建設会社では職人として従事。 個人向け不動産コンサルティング会社のコンサルタント・インスペクターを経験し、中古+リノベーションのボランタリーチェーン展開、資格の予備校にて宅地建物取引業法専属講師など、不動産業界に幅広く従事。

不動産を所有すると税金を納めなければなりませんが、初めてマイホームを購入した人は、いつどのように納めたらよいかわからないのではないでしょうか。もしかすると税金を納めること自体理解していない人もいるかもしれません。

多額の住宅ローンを組んだ上に、さらに税金を支払わなければならないのは嫌ですが、日本国内に住宅や土地を所有すると、固定資産税や都市計画税を払わなければならないのです。

 

そこでこの記事では主に初めて固定資産税を払う人を対象に、納付書の届く時期や支払方法・納税額の決まり方などについて解説します。

 

 

2024年の固定資産税納付書はいつ届く?

 

固定資産税とは、どのような税金を言うのですか?

 
 

固定資産税は、日本国内に不動産を所有する人に対して課せられる税金なんだよ。まず固定資産税について簡単に説明しよう。

 

固定資産税は毎年1月1日時点で固定資産課税台帳に記載されている土地や建物などの不動産を保有する人に対して課せられる税金。固定資産税は地方税であり各市町村が税金を課します(固定資産税は地方税であり各市町村が税金を課します)。

固定資産税・都市計画税納税通知書の発送は4月~6月(都内23区は5月)

固定資産税・都市計画税の納付書及び通知書は、市町村によって異なりますが毎年4月~6月(都内23区は5月)頃に郵送されます。

令和6年度の東京都の固定資産税通知書発送日
  • 令和6年度(2024年度)固定資産税・都市計画税納税通知書の発送日は、令和6年(2024年)5月1日(水曜日)です。 

固定資産税は納付書により納めますが、口座振替の場合は、納付書は送付されません。また固定資産税は1年を4期に分けて納税しますが、全期間分をまとめて納めることも可能です。

MEMO
都市計画税 都市計画法に基づく市街化区域にある土地や建物を所有する人に対して課税される税金。都市計画税はすべての市町村が課税するわけではなく特定のエリアに住む人に限られます。

固定資産税・都市計画税を支払うタイミング

納付するタイミングは各市町村によって若干異なりますが分納の場合は年4回に分けて支払います。一般的な納付タイミングは次の通りです。

固定資産税・都市計画税を支払うタイミング
  1. 5月末…第1期分の納付
  2. 8月末…第2期分の納付
  3. 12月末…第3期分の納付
  4. 翌年2月末…第4期分の納付

なお口座振替の場合には各期の納期限日に引き落としされます。

固定資産税の納付書が届かない場合は?

課税標準額が免税点を下回る場合には固定資産税は課税されないので納税通知書は発送されません。各固定資産税の免税点は次の通りです。

固定資産税の免税点
  1. 土地 :30万円
  2. 家屋 :20万円
  3. 償却資産 :150万円

なお納付書を紛失した場合には、納税する各市町村の税務課に納付書を再発行してもらうことができます。ただし納税通知書は、再発行ができないので各市町村で保管する「土地家屋名寄台帳」や「土地家屋課税台帳」の写しを発行してもらうことで同じ情報を得ることが可能です。

固定資産税の支払方法

 

固定資産税はどのような方法で支払えばよいのでしょうか?

 
 

固定資産税は、各市町村の窓口で、納付書と現金を持参し支払うのが一般的だが、振込や口座振替などさまざまな方法で支払えるんだよ。

 

口座振替

固定資産税の支払いを、金融機関の口座振替に登録をしておけば、期日に自動的に引き落としてくれます。

固定資産税は支払いが遅れると延滞利子がかかることにもなりますので口座振替にしておくと安心です。しかし金融機関に十分な預貯金残高がないと振替不能ということもあるので気をつけねばなりません。

銀行やコンビニでの振込

固定資産税の払い方は一括払いか年4回に分けて支払う方法かどちらかを選べます。

注意
ただし一括払いを選択しても、割引の制度はありません。

振込による場合は、銀行や郵便局・コンビニエンスストアに納付書を持参し支払います。市町村によっては、利用できる金融機関窓口が決まっていますのであらかじめ確認しておきましょう。

またインターネットバンキングを利用すれば、自宅にいながらパソコンで振り込めますので便利です。利用する際には、納付書に記載された納付番号や確認番号などを打ち込めばよいだけです。

 

特に納付書にページーマークがあれば、手数料なしで支払いができるのでお得です。

 

クレジットカード・電子マネー(自治体による)

市町村によってはクレジットカードや電子マネーで支払うこともできます。クレジットカードや電子マネーはポイントをためることができるので、利用可能であればお得と言えるでしょう。

注意
ただし決済手数料を必要とする自治体もありますので、よく確認して利用するようにしましょう。

eLTAX(地方税共通納税システム)

eLTAXは、地方税の納税などの手続きを、インターネットを利用して電子的に行う方法で、令和元年10月から稼働しています。

このシステムを利用すれば、固定資産をいくつかの市町村にわたって持つ場合に一度で支払い手続きができるので便利です。

eLTAXのサイトはコチラ

固定資産税はいつから発生する?

 

年度の途中にマイホームを購入した場合、いつ固定資産税が発生するのでしょうか?

 
 

固定資産税は毎年1月1日を基準として課税されるのはすでに述べたが、いろいろな場合を想定して説明しよう。

 

家を新築で建てた場合

土地を取得した年と建物を新築した年が異なる場合

土地:固定資産税は毎年1月1日を基準として課税するので年内に土地の所有権の移転登記が済んでいれば、来年度より土地についての固定資産税を納めなければなりません。

建物:建物部分については翌年の1月1日には竣工していないので来年度に課税されることはなく翌年から課税されます。

注意
なお前年度分の土地は、住宅が建設中であっても住宅用地とはみなされないので、住宅用地の特例の適用は受けられません。

※住宅用地の特例とは1月1日において人が住むための建物の敷地として利用されている場合、特例措置が適用となり税金が軽減される制度です。詳細は後述します。

土地を取得した年と年度と建物新築した年が同じ場合

土地も建物も1月1日以降に取得した場合は当年度には固定資産税が発生せず、翌年に土地・建物とも課税されます。

マンションを購入した場合

マンションを1月1日以降に購入した際の固定資産税の発生時期は土地と建物を同じ年に新築した場合と同様です。当年は固定資産税が発生せず、翌年に固定資産税を納めます。

固定資産税の支払いが遅れた場合について

固定資産税の納期限までに納税できなかった場合には市町村から督促状が郵送されます。その場合、納付できなかった期間に応じて延滞金を支払わなければなりません。

注意
督促状には再度支払期限が指定されますが、その設定された期限までに支払いできない場合には、市町村から財産を差し押さえられることもあり得ます。

なお延滞金の税率は納付期限の翌日から1ヵ月を経過する迄とそれ以降では税率が異なります。

納付期限の翌日から1ヵ月以前
上限年7.3%、ただし令和3年1月1日から令和3年12月31日までは年2.5%

納付期限の翌日から1ヵ月以降
上限年14.6%、ただし令和3年1月1日から令和3年12月31日までは年8.8%
 

固定資産税の支払いができないときは減免あるいは分割により支払う制度がありますので各市町村に相談するようにしましょう。

 

固定資産税の税率や納税額の決まり方

 

固定資産税や都市計画税の税率や納税額は、どのようにして決まるのでしょうか?

 
 

固定資産税や都市計画税の税率は固定資産税評価額によって決まるんだよ。またそれぞれの制度には、特例があって納税額を大きく減らせるので、それについても説明しよう。

 

固定資産税・都市計画税の計算式

固定資産税・都市計画税は、固定資産税評価額を課税標準として計算されます。課税標準とは固定資産課税台帳に記載されている固定資産税評価額のことを言い、これを基として固定資産税が計算されます。

したがって土地や住宅を購入した際の金額ではないので税率は低く抑えられます。なお課税標準は、3年に1度評価替えされます。

固定資産税の計算
税額=課税標準 × 1.4%(標準税率)

都市計画税の計算
税額=課税標準 × 最高0.3%(制限税率)

MEMO
標準税率と制限税率:標準税率は地方税法に規定されている通常の税率をいい、制限税率は課税する場合に超えてはいけない税率を言います。

したがって都市計画税の税率は0.3%を超えて課税することはできませんが、それ以下の税率は自由に定められるので自治体によって税率が異なる場合もあります。

住宅用地の固定資産税は課税標準に特例がある

 

固定資産税や都市計画税については特例があり、これを利用することにより税金を安く抑えることが可能です。

 

固定資産税の特例

住宅用地と新築住宅の建物に対して特例が設けられています。

住宅用地

小規模住宅地
200㎡以下の部分:課税標準×1/6

一般住宅地
200㎡超の部分:課税標準×1/3

 

※ただし、住宅の床面積の10倍までが上限

店舗併用住宅の場合、居住用部分が1/2以上あれば敷地全てが住宅用とみなされます。

新築住宅の建物

課税床面積が120㎡までの部分について、建物の構造により一定期間固定資産税が1/2になります。令和6年3月31日までに新築された場合の特例です。

固定資産税が2/1になる期間
  • 3階建以上の耐火構造または準耐火構造住宅…5年間
  • 上記以外の一般住宅…3年間

この特例を受けるためには下記条件に合致することが必要です。

固定資産税の特例を受ける条件
  • 店舗併用住宅の場合は居住用部分が1/2以上であること
  • 居住部分の課税床面積が一戸につき50㎡以上280㎡以下であること

  ※一戸建て以外の貸家住宅の場合は、一戸につき40㎡以上280㎡以下であること

認定長期優良住宅の建物

新築から5年間にわたり税額が1/2に減額になります。3階建て以上の中高層耐火住宅等の場合は、7年間。なお特例を受けるためには、新築した年の翌年の1月31日までに申告が必要です。

MEMO
長期優良住宅:長期にわたり良好な状態で使用するための措置が講じられた優良な住宅のこと。 長期優良住宅計画を作成して所管行政庁に申請し、基準に合致する場合は認定されます。

都市計画税の特例

都市計画税においても住宅用地の特例があります。新築住宅の建物については、軽減特例はありませんが、市町村によっては条例で定めている場合もあります。

住宅用地

小規模住宅地
200㎡以下の部分:課税標準×1/3

一般住宅地
200㎡超の部分:課税標準×2/3 

タワーマンションは高層階と低層階で固定資産税が変わる

かつては同じマンションの場合、床面積であれば固定資産税は同じ額でした。しかしタワーマンションは上層部は景観が良くなるので、一般的に取引価格は高くなります。

そこで平成30年度より新築マンションについては取引価格に即して固定資産税か決められるよう税制が改められました。

 

これによりマンションの固定資産税は中間の階を境に、上層になればなるほど固定資産税は高くなり、逆に下層になればなるほど固定資産税は安くなります。

 

 

 まとめ

固定資産税は金額も大きくなるので支払うタイミングを考えて用意しておきましょう。支払いが遅れると延滞金を支払わなければなりませんので、自動振替にしておくと便利です。

なお住宅を新築したときは固定資産税の住宅用地等申告書の届け出を忘れずに行い、軽減措置を受けるようにしましょう。