- 24時間換気の導入は義務付けられている
- 専門家に相談しながら24時間換気システムの種類などを決めると良い
- アレルギー体質のお子さんがいる家庭などは特に慎重に選ぶことをおすすめ
戸建ての購入・建築を検討している人は24時間換気システムについて知っておいた方が良いです。というのも24時間換気システムはカビや結露、シックハウスなどにも影響するからです。また24時間換気システムの導入は義務付けられているので、導入しない新築戸建てはありません。
義務化された24時間換気システムの設置はどこにすればいいか、迷っている方もいるでしょう。
そこでこの記事では24時間換気システムの概要や仕組み、種類ごとの違いなど詳しく解説します。今後戸建てを購入する予定の方はぜひ確認ください。
24時間換気システムは新築戸建てのどこに設置すべき?ポイントを解説
新築戸建てにおいて、快適な住環境を確保するために欠かせないのが24時間換気システムです。
しかし、このシステムをどの部位に設置するかについて迷っている方も多いことでしょう。住まいにとって最適な場所を見極めるためのポイントをご紹介します。
まず24時間換気システムの実際の設置場所は、建物の構造や間取りによって異なります。
一般的なガイドラインとしては、次のようなポイントが挙げられますが、具体的なケースによっては専門家のアドバイスを受けることが重要です。
浴室やトイレなど湿気の多い場所
湿気がこもりやすく、24時間換気システムを設置することで湿気を排出し、健康な住環境を維持できます。
リビングルームや寝室
主要な生活空間でも設置されることがあります。特に、換気が不足しやすい部屋では、24時間換気システムが効果的です。
キッチン
料理中に発生する匂いや湿気を排出するためにも、キッチンに設置されることがあります。
床下空間
一部の住宅では床下空間に設置され、そこから換気を行います。床下の湿気やカビの防止にも寄与します。
24時間換気システムとは
まずは24時間換気システムについて解説します。24時間換気システムとは名称の通り24時間吸気と排気を行うことで、室内の空気を循環する仕組みのことです。リビングや居室に給気口が取り付けられているので、そこから外気を取り込みます。そして洗面所やトイレなどの排気口から室内の空気を外に逃がすという仕組みです。
以下より24時間換気システムが義務化されている点と換気扇との違いについて詳しく解説していきます。
あ!そういえばわたしの部屋にも給気口?みたいなものあります!
それがまさに24時間換気システムのための給気口だね。そこから外の空気を取り込んでいるんだよ。
24時間換気システムは2003年の法改正で導入が義務化されている
24時間換気システムは2003年の法改正で導入が義務化されています。その理由は主に建物の気密性が高くなってきたからです。建築技術が上がったことでマンション・戸建て(建物)の気密性が上がったため、部屋の空気を循環させる必要が出てきました。
部屋の空気を循環させないとシックハウスやカビ・結露が発生しやすいです。また建物の気密性が高いと換気扇を付けているときにドアの開閉がしにくいというデメリットもあります。そのため2003年に法改正され新築住宅の建築時は24時間換気システムの導入が義務化されました。
ということは2003年以前の建物には24時間換気システムはないんですか?
いや建物によっては導入されているよ。「義務化」されたのが2003年ということだね。
換気扇との違い
「換気」と聞くとキッチンやトイレにある換気扇を思い浮かべる人も多いでしょう。ただ24時間換気と、いわゆる一般的な換気扇は異なる役割を担います。というのも24時間換気の役割は上述したように室内の空気を循環させるという仕組みです。空気を循環させることでシックハウスや結露を防ぐ目的があるので、常時換気していないと意味がありません。
一方、換気扇の役割は短期間で空気を入れ替えることです。たとえばキッチンの換気扇は料理の臭いを排出することで、キッチン内に嫌な臭いを立ち込めないことが目的です。浴室の換気扇は湿気を浴室から逃がすことでカビの発生を防いでいます。逆に言うと常時換気する必要はないので、一定時間で換気扇は止めます。
なるほど!換気扇はあくまで一時的に空気を循環させることなんですね!
そうだね。循環というよりは、臭いや湿度の高い空気を排出することが主な目的になるね。
24時間換気システムの仕組みについて
次に24時間換気システムの仕組みについて、以下を解説していきます。
- 給気口は「天井タイプ」と「壁タイプ」の2種類
- 24時間換気を止めるとシックハウス症候群や結露、カビの原因に
- 24時間換気の電気代について
給気口は「天井タイプ」と「壁タイプ」の2種類
給気口のタイプは天井タイプと壁タイプの2種類あります。24時間換気システムが導入されている家に住んでいる方はリビングや居室に給気口があるはずです。多くは壁に設置されていますが、天井に設置されているタイプもあります。
一般的な給気口は表面を押すことで段階的に開閉できるタイプ…もしくは、中心のつまみを回すことで段階的に開閉できるタイプです。窓の近くに設置されているケースが多いでしょう。また壁に設置されているケースが多いのは開閉や手入れがしやすいからです。
24時間換気を止めるとシックハウス症候群や結露、カビの原因に
上述したように24時間換気の目的はシックハウスや結露、カビが発生しないために室内の空気を循環させることでした。基本的に24時間換気は作動していますが浴室などのスイッチを操作することで止めることも可能です。しかし24時間換気を止めると、上記シックハウスや結露が発生するリスクがあるので、常時作動させておくと良いでしょう。
本当だ!浴室のスイッチに「24時間換気 一時停止」があります。
浴室の換気扇はよく作動させるけど、24時間換気はあまり気にしないよね。皆さんも、自宅の浴室のスイッチをチェックしてみましょう。
台風などで雨風が強い場合は24時間換気システムを停止する
ただ例外として台風などの雨風が強い場合は24時間換気システムを停止した方が良いです。合わせてリビングや居室にある給気口も閉じておきましょう。というのも雨風が強い状態で24時間換気システムを作動していると、雨風が室内に入る恐れがあるからです。
24時間換気の電気代について
次章で解説する「24時間換気システムの種類」にもよりますが、24時間換気システムは電気代がかかります。換気システムを作動し続けるため毎月数百円程度かかると言われています。そのため中には「電気代がもったいないから停止させる」という人もいるでしょう。しかし繰り返しますが24時間換気システムを止めると、シックハウスや結露・カビの発生リスクがあります。
24時間換気システムは3つの種類がある
24時間換気システムは第1種換気・第2種換気・第3種換気と3種類あります。この章では、それぞれのメリット・デメリットについて解説していきます。
24時間換気システムの種類① 第1種換気とメリット・デメリット
第1種換気は給気口と排気口のどちらにも換気扇を設置するというタイプです。両方に換気扇を設置することで強制的に換気します。一般的に換気扇は排気口のみに設置されています。その換気扇を給気口にも取り付けることで、自然ではなく自立的に空気を取り込めるのです。
メリットは熱交換システムを利用すれば室内温度をコントロールできる点になります。熱交換システムは家の中の空気が冷たければ排気口から出ていく空気の熱を取り出して給気口に送れるからです。つまり寒い冬でも室内の空気が自動で暖められます。また給気口にも換気扇がついているので換気効率が高い点もメリットです。
24時間換気システムの種類② 第2種換気とメリット・デメリット
第2種換気は給気口だけに換気扇が設置されているタイプです。つまり排気口に換気扇はありません。また給気口にはフィルターが取り付けられています。メリットはドアや窓を開けても外から菌・汚染物質などが入りにくい点です。というのも給気口だけに換気扇・フィルターがあるため、入ってくる空気にフィルターを掛けられるからです。また室内の気圧が高くなりやすいので、外から菌や汚染物質が入りにくくなります。
デメリットは結露が発生しやすい点です。その理由は排気を自然排気に頼るからです。つまり、排気する力が弱いので室内に湿気が溜まりやすいのです。また排気する力が弱いと給気口付近の空気は外気と同じ温度になりやすいです。そのため冬は寒く・夏は暑くなりやすい点もデメリットといえます。
24時間換気システムの種類③ 第3種換気とメリット・デメリット
第3種換気は排気口だけに換気扇を設置するタイプです。つまり第2種換気とは逆の仕組みになります。第3種換気は一般的な一戸建てマンションに採用されているケースが多いです。メリットは排気する力が強いので湿気が室内に溜まりにくい点です。また給気口と排気口どちらにも換気扇がある第1種換気よりは電気代が安い点もメリットといえます。
デメリットは熱交換システムに対応していない点です。つまり外気の温度によって室温が変化しやすいため、冬は寒く夏は暑くなりやすいです。
自分が購入する戸建てにどれを採用すべきか…という点は後ほど解説します。
戸建てにおける24時間換気システムの選び方
戸建における24時間換気システムの選び方は以下の通りです。
- ほとんどの住宅は「第1種換気方式」と「第3種換気方式」を検討する
- アレルギー体質などの家族の状況によって合わせる
- 専門家に相談して最適な24時間換気システムを検討する
詳しく解説していきます。
ほとんどの住宅は「第1種換気方式」と「第3種換気方式」を検討する
ほとんどの住宅は第1種換気方式と第3種換気方式を検討します。その理由は以下の通りです。
- 第1種換気方式:どんな住宅でも換気効果が得られる
- 第3種換気方式:低コストである程度の換気効果が期待できる
上述したように第1種換気方式は給気口にも排気口にも換気扇がありました。そのため強制的に外気の取り込み・排気ができるので、どのような住宅でも高い換気効果を得られます。言い換えると、空気が循環しないため結露が出やすい…ハウスダストのリスクが高い…という状態を避けやすいのです。
ただ第1種換気方式はコストが高いので第3種換気方式を検討するケースも多いです。上述したように第3種換気方式の給気方法は「自然給気」ですが、排気は換気扇でした。そのため第1種換気方式より吸気する力は弱いものの、排気する力は同じくらい強いです。排気する力が強ければ湿気は排出されるので、ある程度の換気効果は期待できます。
アレルギー体質などの家族の状況によって合わせる
またアレルギー体質など家族の状況に合わせることも大切です。繰り返しますが、換気効果によってシックハウスやハウスダストの影響は異なります。当然、きちんと室内の空気を循環させて、外気を取り込んだ方がシックハウスやハウスダストは発生しにくいです。そのためアレルギー体質の家族がいる場合は換気効果の高い第1種換気方式が良いでしょう。
一方、そこまでアレルギー体質ではなく換気システムよりもコスト面に配慮したい場合などは第3種換気方式が良いでしょう。ほかにも窓面が多く窓を開けて換気することが多い家や、吹き抜け部分にファンがついている家などは自然に空気が循環しやすいです。そのため、第1種換気方式でなく第3種換気方式で良いかもしれません。
なるほど。家族の状況によって導入する24時間換気システムを決める…というわけですね。
そうだね。家族の状況や家の広さ・形状など、どの24時間換気システムが良いかは色々な要素で考える必要があるね。
専門家に相談して最適な24時間換気システムを検討する
このように、どの換気方式が良いかは家族の状況や家の特徴によって異なります。そのため、24時間換気システムについては専門家に相談した方が良いでしょう。そもそも室内の換気効率を素人が考えるのは極めて難しいといえます。また戸建てで換気システムを自由に導入するとしたら、すでに完成している建売住宅ではなく注文住宅です。
注文住宅は自由に選べる範囲が広いので色々と考えることが多いです。たとえば間取り・壁紙や床の素材や・外壁・キッチンのグレードなど、考えることは山ほどあります。その中で換気システムの優先順位は高くない人がほとんどでしょう。とはいえ24時間換気システムは重要なので専門家に相談して任せてしまった方が良いのです。
24時間換気システムのフィルターは定期的に掃除・交換
常に稼働し続ける24時間換気システムのフィルターは、定期的な掃除や交換が必要です。掃除する際は、取り外したフィルターを水洗いして、ホコリや汚れを落としてください。時間がない場合は、フィルターのホコリを掃除機で吸い取るだけでも十分キレイになります。交換する際は、メーカーごとに異なる交換推奨時期を確認してください。
一般的には、2年に一度の交換を推奨しているメーカーが多い傾向にあります。交換手順についてわからない場合は、設置されているフィルターのメーカーに直接問い合わせてください。
24時間換気システムの掃除方法と頻度について
最後に24時間換気システムの掃除方法と頻度について解説します。24時間換気システムの給気口の蓋は取り外し可能です。フィルターが付いているタイプはフィルターが汚れてくると換気性能が落ちます。フィルターのタイプによって水洗いできるタイプもあれば、交換するタイプもあります。シーズンごとに交換や掃除するのが理想です。
今、部屋の給気口をチェックしていたんですけど…フィルターが汚れていました…
普段あまり見ないところだからね…。フィルターが汚れていると空気を取り込みにくくなるので、定期的にチェック・清掃しましょう。
まとめ
このように24時間換気システムは意外と重要な要素です。とはいえ、戸建てを検討するときに「24時間換気システム」の優先順位が高い人はほぼいないでしょう。
まずは上述した24時間換気システムの仕組みや種類ごとの違いを理解しておきます。その上で専門家に相談しながら24時間換気システムの種類などを決めると良いです。アレルギー体質のお子さんがいる家庭などは特に慎重に選ぶことをおすすめします。