家の購入は現金一括or住宅ローン?現金一括のデメリットや減税制度など比較まとめ

この記事を書いた人
小島 優一
宅地建物取引士

宅地建物取引士、2級ファイナンシャルプランニング技能士。生命保険会社にてリテール業務に従事した後、2014年に不動産仲介会社であるグランドネクスト株式会社を設立。 2021年より幻冬舎ゴールドオンラインにて不動産を通じて財産を守る、増やす、残す記事を連載している。 >> 詳細はこちらから

現金一括購入のメリット・デメリットまとめ
  1. 家を現金一括購入する最大のメリットは金利や手数料が不要になること
  2. 家を購入した人の約20%が現金一括購入をしている
  3. 一時的に貯金が減る、税務調査が入るかもしれない点がデメリット
 
宝くじが当たれば家を一括購入できるんですけど、普通にはとても一括購入はできませんね。
 
 
ほとんどの人は住宅ローンを利用して購入しますので、現金一括購入するほうが割合は低いですね。
 
 
実際に家を一括購入するとどんなメリットがありますか? それとデメリットなんてあるんですか
 

ローンなしで家を建てることができるまで貯蓄している人と住宅ローンを利用して家を建てている人はどちらが多いのでしょうか?答えは住宅ローンを利用した購入者の方が多いです。ただし20%程度の人が住宅ローンを利用することなく家を購入しています。家を現金一括で購入することは住宅ローンを利用する場合と比較するとさまざまなメリットがあります。しかし少なからずデメリットもあり、購入前に資金計画をしっかりと建てる必要があるのです。

では家を一括購入した場合には、どのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか?この記事では家を一括購入する際のメリットやデメリット、住宅ローンで家を購入した場合の違いなどについて詳しく解説します。

家を現金一括購入する最大のメリットは金利や手数料が不要になること

家を現金一括で購入することにおける最大のメリットはなんといっても金利を払う必要がないことに尽きるでしょう。例えば2,500万円の家を全額フルローンで35年間、金利1.0%で借り入れした場合の総支払額はいくらになるのでしょうか?元利均等払いのケースだと約2,970万円を支払わなければいけません。つまり現金一括と比較して470万円も多く支払わなければいけないのです。

更にかかる費用として保証料や融資の手数料といった金額が発生します。これらを含めると500万円以上の負担増となります。金利が高くなれば更なる負担増となりますし、万が一ローンが払えなくなってしまうと家を手放してしまう可能性もあるでしょう。

MEMO
現金一括購入してしまうと余計な費用を支払うことなく安心して住み続けられることができますので、金額的なメリットが非常に大きいといえます。

団体信用生命保険料なども不要に

また住宅ローンを利用する場合には団体信用生命保険の加入を条件とされるケースが多いですね。長い期間のローン契約なので万が一住宅ローンの契約者が亡くなってしまう、高度障害により住宅ローンの支払いが困難なるケースが考えられます。このような場合に団体信用生命保険料に加入していると、残りのローン残債が保険料として支払われる仕組みの保険です。

金融機関も住宅ローンが回収不能となる状況を何としても阻止したいので団体信用生命保険に加入してもらうことで回収不能になるリスクを回避しています。この保険に加入するには一定の保険料を支払う必要があり、金利に上乗せするなど金融機関によって異なります。当然ながら現金一括購入ならば団体信用生命保険に加入する必要はありません。

MEMO
これらの手数料が不要になる点も現金一括購入のメリットといえるでしょう。

家を現金一括購入するデメリット

 
住宅ローンを利用すると、わかってはいましたが総支払額で大きく違いが出るんですね。
 
 
金額面からいうと現金一括購入のメリットは非常に大きいといえますよ。
 
 
確かに。では家を現金一括購入することにデメリットなんてあるんですか?
 
多くの人は住宅ローンを利用せずに現金一括購入したいと考えているでしょう。それだけ金額面の違いは非常に大きいといえます。しかし現金一括購入にはデメリットもありますので、しっかりと理解しておく必要があるでしょう。ここからは現金一括購入のデメリットについて解説します。

住宅ローン控除等が受けれなくなる

最も大きなデメリットといえるのが住宅ローンの控除を受けることができない点です。住宅ローン控除とは住宅ローンを利用して住まいを購入した人を対象として、住まいの諸条件を満たすと所得税の控除を受けることができます。諸条件としては以下が主な条件の一部です。
住宅ローン控除を受ける諸条件
  • 床面積が50㎡以上
  • 借入期間が10年超であること
  • 中古住宅の場合は築20年未満であること
  • 確定申告が必要
住宅ローン残高の0.7%が所得税から控除され10年間も所得税から控除される制度です。住まいの購入促進の大きな手助けとなっている減税制度といえるでしょう。最大控除額は年間40万円なので10年間で最大400万円もの控除を受けることができる可能性があります。住宅ローン控除が利用できても基本的には現金一括で購入した方が総支払額は安いのは変わりません。
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しかし住宅ローン減税が利用できると一括購入と住宅ローンの支払い額の幅が大きく狭まりますのでデメリットといえるでしょう。

税務調査がくる可能性もある

家を現金一括購入すると税務調査が入る可能性があります。若くして、そう年収も高くない人や無職の人などがマンションや戸建てを現金一括購入した場合などにお尋ねの文章が届くケースが多いようです。これは税務署が所得税を申告漏れしていないのかを疑っている、誰かから贈与を受けた贈与税の申告漏れを疑っている場合に起こりやすいといえるでしょう。きちんと税金を支払っているのに疑われているような文書が届くと気持ちがいいものではありません。
MEMO
このような税務調査が入るかもしれないといった点もデメリットとして挙げられます。
 

家を現金一括で購入するメリット・デメリット早見表

 
なるほど。デメリットもあるんですね。
 
 
現金一括購入はいいことばかりではありません。しっかりとメリット・デメリットを理解しておきたいですね。
 
現金一括購入にはメリットばかりではなくデメリットもしっかりと理解しておく必要があります。家を現金一括購入するメリット・デメリットを表にまとめました。
メリットデメリット
総支払額が少ない住宅ローン控除が利用できない
団体信用生命保険料税務調査が入る場合がある
支払いがないので安心して住み続けられる一時的に貯金がなくなる可能性がある
家を担保にして融資を受けることもできる急な相続で、相続税が高くなる可能性がある

家を現金か住宅ローンで購入する時の違い

 
一括購入におけるメリット・デメリットが表になってわかりやすいですね。
 
 
あまりデメリットを感じる人も少ないと思いますが上記のようなデメリットがあるのでしっかりと理解しましょう。
 
 
そのほかで住宅ローンと現金一括購入ではどのような違いがあるのでしょうか。
 
 
家を現金一括購入するか住宅ローンで購入するかについてその他の違いとしては手続きや必要書類において大きく異なります。ここからは手続きの流れや必要書類を解説していきます。

購入までの流れ

まずは購入までの流れですが、現金一括購入とローンでの購入では大きく異なります。流れを比較してみましょう。
ステップ現金一括購入住宅ローン
1購入の申し込み購入申し込み
2住宅ローン事前審査
3売買契約売買契約
4住宅ローンの本審査
5住宅ローン承認
6ローンの借り入れ契約
7融資実行
8引き渡し引き渡し
購入までの流れにおいて労力が全く異なることがわかります。一括購入の場合は基本的に3ステップで拭き渡すことができますが、住宅ローン利用の場合は最低でも8ステップまでかかるのです。現金一括払いの場合は購入申し込みから引き渡しまでの期間を大幅に短縮することもできます。
MEMO
購入までの流れにおいても現金一括購入は手間が少ないといえるでしょう。
 

必要書類が違う

家の購入における必要書類も現金一括購入と住宅ローン利用では大きく異なります。こちらも表にまとめました。
必要書類現金一括購入住宅ローン
住民票
身分証明書(免許証など顔写真付き)
印鑑
(認印と銀行印)

(実印、銀行印、認印)
通帳
収入証明書(所得証明書や源泉徴収票)
家の資料
金融機関から指定があった書類
必要書類においても現金一括購入の方が集める書類が少ないことが一目見てわかります。特に住宅ローンを利用する場合には金融機関から指定があった書類が多くなるケースが考えられるのでさらに多くなると考えた方がいいでしょう。
MEMO
必要書類を集める手間についても現金一括管理の方がシンプルですので大きな手間もかからずに集めやすいことがわかります。

まとめ

家を現金一括購入する際には、さまざまなメリットを受けることができます。最大の違いは支払う金額が大きく変わる点でしょう。
 
住宅ローンを利用するとどうしても支払方法において総支払額が多くなり、特に借り入れ金額が多かった場合や返済期間が長くなるケースにおいては更に差が大きく広がります。 しかし、現金一括購入にはデメリットもありますのでしっかりとデメリットまで理解したうえで家の購入を考えましょう。
 
費用面だけではなく、購入までの流れや必要書類を集める点などにおいても現金一括購入の方がシンプルでスムーズです。 更に毎月住宅ローンの支払いに苦慮しなくてもよいといった心理的な安心感からも現金一括購入がおすすめといえます。
 
現在でも家を購入する人のおよそ20%は現金一括で購入していますので、できることならば現金一括購入で購入できる住まいを検討しましょう。