中古マンションの不動産取得税とは?計算方法や軽減措置の種類と条件、支払い方法やタイミング、シミュレーション

中古マンションを購入し不動産取得税の納税通知書を持参して、指定の銀行やコンビニなどで支払いを済ませようとした場合、「記載されている不動産取得税は正しいのだろうか?」と疑問に感じた方はおられませんか?

実は中古マンション取得者が不動産取得税の減免申請を行わないと、減免されずに不動産取得税を請求されている可能性があります。多くの不動産に関する悩み事や相談事を解決してきた不動産コンサルタントが、不動産取得税の概要や軽減措置、必要な手続き、シミュレーションについて解説します。

この記事のざっくりしたポイント
  1. 不動産取得税とは不動産を取得した人が一回のみ払う税金
  2. 不動産取得税は軽減することが可能
  3. 減免されず誤った税額で通知が来る場合があるため要確認

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マンション購入時にかかる不動産取得税とは

中古マンションを購入した場合、登記もしくは申告してから3か月後~半年後に不動産取得税の納税通知書が届きます。不動産取得税とは、どの様な税金なのか?概要について解説します。

誰が何に対して払う税金なのか?

 

不動産取得税とは、どんな税金で、誰に対して納めなければならないのでしょうか?一体どのくらいの金額になるのかということも心配です…。

 
 

不動産取得税は、個人法人に関わらず不動産を取得した人にはじめの1回だけ課される税で、都道府県に対して支払う税金です。

 

気になる金額については少々複雑な計算が必要ですが、少しずつ解説を交えながらシミュレーションしていきます。まず用語の定義の補足説明ですが、不動産の取得とは土地や建物を購入した場合だけでなく、贈与、交換、増築などの様々な理由を含みます。

不動産取得税の税率と計算方法

不動産取得税は課税標準額に税率4%を乗じて算出されます。

不動産取得税 = 課税標準額 × 4%

上式から不動産取得税は土地・建物の購入価格から計算されるのではなく、課税標準額が使用されます。ただし税率は令和6年3月31日までの特例措置により、以下のようになります。

  •  土地および住宅にかかる税率:3%
  •  住宅以外の家屋にかかる税率:4%

計算式は下記になります。

土地および住宅の場合 : 不動産取得税 = 課税標準額 × 3%

 

住宅以外の家屋の場合 : 不動産取得税 = 課税標準額 × 4%

また2021年3月31日までに取得した宅地の場合、宅地の評価額が1/2になる特例措置が取られます。

不動産取得税はいつ払う?納付方法と支払いタイミング

不動産を取得した場合、納税先となる都道府県の税事務所へ申告します。

注意
申告をしなかった場合、減税措置を取られることなく不動産取得税を請求されることがありますので、必ず申告してください。

都道府県の税事務所により申告期限は異なります。不動産取得日から10日~2か月以内に申告など幅があるため、事前に申告期限や手続き方法などを都道府県の税事務所に確認することが必要です都道府県の税事務所からの納税通知書は登記もしくは申告から3か月~半年ほどで届きます。

納税通知書が届きましたら不動産取得税を支払います。支払う場所は都道府県の税事務所が指定する銀行・信用金庫・コンビニエンスストアで行います。現在では、電子納付やクレジットカードによる支払いもできます。

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マンションにかかる不動産取得税は軽減することが可能!

マンションの不動産取得税には軽減措置が行われます。建物と土地に対して可能な軽減措置は異なりますので、それぞれ解説します。その前に上記でも解説しましたが、不動産取得税は課税標準額に税率を乗じて算出されます。中古マンションの購入価格に税率を乗じるのではありませんので注意が必要です。

課税標準額は原則として固定資産税評価額が使用されます。固定資産税評価額は、市区町村が固定資産評価を明確にするため、固定資産課税台帳に登録されている価格です。したがって、

課税標準額 = 固定資産税評価額

と考えてよいです。

筆者の経験上もしくは税理士との情報交換によりますと、鉄筋コンクリート造(RC造)のマンションの場合、固定資産税評価額は、購入価格の4割~6割ほどの金額になります。評価額は、築年数や構造材の種類・数量などにより異なります。

建物に対して可能な軽減措置の種類と条件

建物に関する軽減措置は耐震基準に対する適合の有無に分けて解説します。

耐震基準に適合する中古マンションの場合

控除内容と軽減措置の条件について解説します。

〇控除内容〇

固定資産税評価額から100万円~1,200万円を控除できます。マンションの新築年月日により、控除額は異なります。新築年月日による控除額の違いを下表にします。

マンション新築年月日 控除額
1997年4月1日以降 1,200万円
1989年4月1日~1997年3月31日 1,000万円
1985年7月1日~1989年3月31日 450万円
1981年7月1日~1985年6月30日 420万円
1976年1月1日~1981年6月30日 350万円
1973年1月1日~1975年12月31日 230万円
1964年1月1日~1972年12月31日 150万円
1954年7月1日~1963年12月31日 100万円

〇軽減措置の条件〇

主な軽減措置の条件は下記の通りです。

  • 個人が自己の居住用に主とした住宅であること。(賃貸マンション・アパートは適用外)
  • 床面積が50㎡以上240㎡以下であること。
  • マンションの場合、共用部分(共用廊下・階段・エントランスなど)の床面積を専有部分(各所有者が居住するマンションの一住戸)の床面積に按分して加算。
  • マンションの床面積は内法面積が適用され、壁芯面積ではないことに注意
  • 1982年1月1日以降に建築された建物。もしくは、新耐震基準の適合が証明された建物。
  • 調査が住宅の取得日前2年以内に終了していること。

新耐震基準に適合しない中古マンションの場合

控除内容と軽減措置の条件について解説します。

〇控除内容〇

固定資産税評価額から3万円~12.6万円を控除できます。マンションの新築年月日により控除額は異なります。詳細については都道府県の税事務所に確認する必要があります。

〇軽減措置の条件〇

主な軽減措置の条件は下記の通りです。

  • 個人が自己の居住用に主とした住宅であること。(賃貸マンション・アパートは適用外)
  • 床面積が50㎡以上240㎡以下であること。
  • 取得後、6か月以内に耐震改修工事がされいていること。

     

  • 取得後、6か月以内に耐震基準の適合有無を確認し、適合証明を受領
  • 取得後、6か月以内に取得者が居住していること。

 

土地に対して可能な軽減措置の種類と条件

中古マンションの土地に関する不動産取得税の軽減措置は下記の通りです。

  1. 45,000円
  2. 土地1㎡当たりの価格×住宅床面積の2倍(200㎡が限度)×税率(3%)

①と②のいずれか高い金額を不動産取得税から差し引くことができます。

その他「認定長期優良住宅」と「公共事業」のケースも軽減がされる

認定長期優良住宅の場合、控除額が増えます。公共事業のために不動産を収容され、その代用としての不動産を取得した場合、不動産取得税が軽減されます。

認定長期優良住宅

新築マンションが認定長期優良住宅に認定されますと控除額1,200万円に100万円が加算され、1,300万円の控除を受けることができます。

注意
ただし2022年3月31日までに取得した場合に限ります。また、この制度は中古マンションには適用されません。

公共事業のために代替え不動産を取得する場合

不動産を公共事業のために収容される場合、公共機関に不動産を譲渡する前後に、代替え不動産を取得した際に不動産取得税の軽減措置を受けることができます。もし公共事業が無ければ、新たな不動産を取得する必要が無かったからです。

また多発する災害により不動産に甚大な被害が生じ、滅失もしくは損壊した場合、その代替えとして不動産を取得した際にも不動産取得税の軽減措置が設けられます。

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不動産取得税がかからないケースと軽減措置に必要な手続きについて

 

不動産取得税が、かからないケースはあるのですか?

 

 

相続や少額の土地・建物を取得した場合、非課税になります。

 

軽減措置に必要な手続き

上記の「不動産取得税はいつ払う?納付方法と支払いタイミング」において解説した通り、不動産取得税の軽減措置を受けるには都道府県の税事務所へ申告する必要があります。

手続きに必要な書類として以下となります。

  • 不動産取得税減免申請書
  • 土地・建物の全部事項証明書(登記簿謄本)
  • 売買契約書

軽減措置の種類により必要書類が異なりますので、都道府県の税事務所へ確認する必要があります。万が一手続きを忘れた場合、後日においても対応してもらえる可能性がありますので、必ず手続きを行うようにします。

不動産取得税が非課税になるケース

相続により不動産を取得した場合、不動産取得税は非課税となります。相続をした不動産は相続税の対象となり、不動産取得税を課しますと二重課税となるためです。ただし、中古マンションの購入をするにあたり、親からの資金援助を受けるため「相続時精算課税(*)」を利用した場合、不動産取得税が掛かります。

*相続税精算課税制度:相続の一部を前倒しで行う仕組みです。存命中に子供に贈与した財産は、親が死亡した時の相続財産に加えて、相続税額を清算します。

また下記の不動産の取得についても不動産取得税は非課税となります。

  • 10万円未満の土地を取得
  • 12万円未満の家屋を取得(売買・贈与など)ただし、建築による取得は除外
  • 23万円未満の家屋を建築(新築・増築・改築)による取得

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マンション購入時の不動産取得税シミュレーション

上記で解説しました不動産取得税の算出式を基にしまして下記の事例に挙げた中古マンションの不動産取得税をシミュレーションします。

 

【事例】平成30年に竣工した鉄筋コンクリート造(RC造)の中古マンション(耐震基準に適合)を、4,000万円にて購入する場合ただし、4,000万円の内訳は、 ・土地相当額:1,000万円 ・建物相当額:3,000万円とします。また、中古マンションの専有面積は70㎡、土地持分は60㎡とします。

建物の不動産取得税

建物の不動産取得税を算出するにあたり建物の課税標準額の目安を算出します。当時例のRC造中古マンションの課税標準額が購入価格の約40%に相当すると仮定した場合

建物の課税標準額 = 3,000万円 × 40% = 1,200万円

となります。ここで不動産取得税における建物の1,200万円控除の措置を適用しますと、

したがって建物の不動産取得税は、かかりません。

ただし建物の課税標準額が1,200万円を超える場合、1,200万円を差し引いた残額に税率3%を乗じた金額が不動産取得税となります。

土地の不動産取得税

土地の不動産取得税を算出するにあたり、令和6年3月31日まで宅地の評価額が1/2になる特例措置があるため税率を乗じる金額は、

1,000万円 × 1/2 = 500万円

となります。土地の不動産取得税は税率3%を乗じて算出します。

土地の不動産取得税 = 500万円 × 3% = 15万円

ここで土地の不動産取得税の控除を適用します。控除額は、

  1.  4.5万円
  2.  土地1㎡当たりの価格×住宅の床面積の2倍×税率(3%)

のいずれか高い金額が控除額として適用されます。②を計算しますと、

②(評価額500万円÷60㎡)×(70㎡×2)×3% = 35.0万円

①と②を比較した場合、②の方が高いので、35万円が控除額として適用されます。

したがって土地の不動産取得税は、

土地の不動産取得税 = 15万円 - 35万円 = -20万円

したがって土地の不動産取得税はかかりません。

建物、土地ともに不動産取得税が、かからない結果となりました。

まとめ

2019年10月より消費税が増税され、以前では2015年に相続税が増税されたこともあり、税金は増える一方だという印象があるかもしれません。しかし不動産取得税は軽減税率によりその税額が抑えられていることに注目です。

不動産取得税ざっくりしたまとめ

  1. 令和6年3月31日までは特例措置により土地および住宅にかかる税率が課税標準額の3%(住宅以外は4%)
  2. 課税標準額の計算にあたって、様々な軽減措置や、税額そのものから金額を控除してもらえるお得な特例がある

 

また都道府県から納税通知書が送られてきて「金額何だか多いな」と、思うときはすぐに支払わずに購入をした不動産会社にチェックを依頼することも大切です。不動産取得税の課税にあたっては、基本は不動産を取得した人から都道府県への申告があってこそ正しく課税されることになります。

注意
実際のところは申告せずに放置したままでも都道府県でも、軽減措置や特例を踏まえたうえで課税した金額で納税通知書を送ってきてくれますが、だからといってそれが絶対に正しい税額だとは言えません。

特にマンションの場合は長期優良住宅の認定を受けていることが多く、その他期間限定の特例がうまく適用されているかどうかもしっかりチェックしたいところです。