- 新住所登記とは?
- 新住所登記をする理由は学校や保育園の学区
- 新住所登記のデメリットは厳密には法律違反になる
マンション購入時に登記する際は新住所登記するか?旧住所登記するか?の二択があります。その際、新住所登記をした方がメリットはあるのですが、いまいち良く分からない…という方も多いでしょう。
そのためこの記事では不動産業界で長らく働いている営業マンが、マンション購入時に新住所登記する理由を解説していきます。
新住所登記とは?
そもそも新住所とは購入したマンションの住所のことで、旧住所とは今住んでいる家の住所のことです。新住所登記を選ぶと登記事項証明書(≒登記簿謄本)の以下の部分の住所が購入した後のマンションの住所になります。
- 表題部
- 権利部(甲区)
- 権利部(乙区)
要は謄本に記載されている住所が新しいマンション(謄本に記載されているマンションと同じ)の住所になる、ということです。一方、旧住所で登記しても問題ありませんがその場合は謄本に記載する住所は、新しいマンションではなく今住んでいる家の住所になります。
必要書類はなに?
「新住所登記」に必要な書類は何があるでしょうか。
新住所登記でも旧住所登記でも不動産売買による所有権移転登記手続きの必要書類と変わりはありません。
一般的に必要な書類は以下の通りです。
- 登記済権利証
- 売主の印鑑証明書(発行から3ヶ月以内)
- 買主の住民票(有効期限はありません)
- 当該不動産の固定資産評価証明書(本年度のもの)
- 司法書士への委任状(売主は実印を押印して下さい)
- 売買契約証書(売主は実印を押印して下さい)
新住所登記する理由
新住所登記をする理由は「将来的にマンションを売却するときに住所変更登記の費用を節約できる」からです。新住所登記は義務ではありませんが後々のことを考えると新住所登記をした方が良いでしょう。
このメリットに関しては以下の順番で解説していきます。
- 旧住所で登記するとは
- 住民票は移す必要がある場合とは
- 将来マンションを売却する時
- 住所変更登記が必要
旧住所で登記するとは
たとえばAさんが現在板橋区に住んでおり、豊島区のマンションを購入したとします。仮に旧住所登記を選択すると豊島区のマンションの所有者(謄本に載る所有者)は「板橋区に住んでいるAさん」です。
そのときは板橋区に住んでいるので「豊島区のマンションの所有者は板橋区に(当時)住んでいるAさん」で間違いはありません。
住民票は移す必要がある場合とは
ただし実際に豊島区のマンションに引っ越した後は、住民票を板橋区から豊島区へ移さなければいけません。これは行政のルールであり住宅ローンを組んでいる金融機関も「(住むことを確認するために)新しいマンションの住所の住民票を提出すること」を求めてきます。
将来マンションを売却する時
仮にAさんが15年後に豊島区のマンションを売却する場合、登記事項証明書に記載されている住所と印鑑証明書に記載されている住所が一致している必要があるのです。というのも、登記事項証明書はそのマンションの所有者を客観的に証明する書類だからです。
つまり登記事項証明書と印鑑証明書の氏名が同じでも住所が異なるということは、そのマンションの所有者と実印を押す人が同一物であるという証明になりません。
なるほど。マンション売却には実印を押印するタイミングがいくつかあるので、その実印が登記事項証明書と完全に一致している必要があるということですね。
住所変更登記が必要
そのため登記事項証明書の住所を変更する(住所変更登記)必要があります。住所変更登記をする際は司法書士に手続きを依頼するのが一般的なので、費用が数万円程度かかってしまうのです。言い換えると新住所登記することで住所変更登記に関する費用が浮くというわけです。
登記は司法書士の資格がなくてもできるけど、複雑で煩雑なので一般的には司法書士に依頼するよ。
新住所登記するデメリット
一方、新住所登記するデメリットには以下の点があります。
- 厳密には法律違反
- 学区の問題がある
厳密には法律違反
新住所登記するということは引き渡し前に住民票を移転している必要がありますが、住民票を新住所に移転するには引越しが完了していることが条件です。
しかし引渡し前に引越しすることは不可能なので、引渡し前に住民票を移転するということは、新しいマンションの住所を管轄する役所では「引越しは終わっています」と嘘をつく必要があります。
とはいえ本当にすぐ引っ越すのであれば問題となることはないでしょうし、実際に問題になった話は聞いたことはありません。そのため「厳密にいうと」法律違反ではありますが、そこまで大きな問題とはいえないでしょう。
正直に「引越しは終わってませんが来週引っ越す予定です」というと、恐らく住民票移転はできないので覚えておこう。役所は機械的だからね…。
学区の問題がある
お子さんの通学や通園は一般的には住民票ベースで決まります。そのため住民票を移動することで転校になる…などの問題も発生するので、その点は学校や幼稚園・保育園と相談しておいた方が良いでしょう。
まとめ
このように新住所登記することで、後々マンションを売却することで住所変更登記をしなくても済みます。その点がメリットではあるので、上述したデメリットと比較してどちらで登記するか判断しましょう。