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地目変更とは?必要書類や自分で手続きする流れとタイミング、専門家に依頼する費用

この記事を書いた人
小島 優一
宅地建物取引士

宅地建物取引士、2級ファイナンシャルプランニング技能士。生命保険会社にてリテール業務に従事した後、2014年に不動産仲介会社であるグランドネクスト株式会社を設立。 2021年より幻冬舎ゴールドオンラインにて不動産を通じて財産を守る、増やす、残す記事を連載している。 >> 詳細はこちらから

この記事のざっくりしたポイント
  1. 地目変更とは、土地の種類を変更する登記のこと
  2. 農地に家を建てようとしたときに地目が田や畑になっている場合には、地目変更を行わなければならない
  3. 地目は登記記録を法務局で調べることでわかる

親が所有している畑や田に住宅を建設したい、農地を購入して家を建てたいなどと考えている方も多いのではないでしょうか?しかしそもそも畑や田に、家を建てられるのでしょうか。土地には登記をする際に記載される地目という区分があり、その種類によっては地目変更を行わなければ、勝手に家を建てることはできません。そこでこの記事では地目変更をするときに必要な書類や自分で手続きをする流れ・専門家に依頼する場合の費用などについて解説します。

地目変更(地目変更登記)とは?

 

地目変更とは、どのようなことを言うのでしょうか?

 
 

地目変更とは、土地の種類を変更する登記のことを言うんだよ。地目の種類によっては、地目変更をしないと住宅を建てることはできないんだよ。

 

宅地に地目変更が可能な農地・不可能な農地

市街化区域にある畑や田は、農業委員会に届出を行えば宅地に転用できます。しかし市街地調整区域にある農地は、建物を建てることは原則としてできません。したがって住宅を建てようとする土地が、市街化区域にあるのか市街化調整区域にあるのか、あらかじめ調べておく必要があります。なお家を建てる前に宅地に地目変更することはできず、宅地として造成した後に地目を変更することが可能になります。

MEMO
市街化区域と市街化調整区域は、都市計画法7条により次のように定められています。市街化区域:既に市街地を形成している区域及びおおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域市街化調整区域:市街化を抑制すべき区域であり、インフラ整備が遅れており土地が安価。

地目変更のタイミング

地目というものは、現在の土地の用途を示すものなので、家を建てる前に地目を宅地に変更することはできません。したがって整地を行い建物の基礎工事がなされ、近いうちに建物が建つことが見込まれる場合に、宅地として認められ地目を変更できます。地目を宅地に変更するタイミングは、次のようになります。

地目を宅地に変更するタイミング
  1. 地目が畑や田である土地を、宅地として造成する
  2. 現況が宅地となり、地目の変更ができる状態になる
  3. 地目変更を申請する、と同時に住宅を建設する

自分で地目変更する手続きと必要書類

地目変更の手続きは、土地を管轄する法務局から地目変更登記申請書を貰い記入し、必要書類を添付して提出します。法務局では書類を確認し後日現地調査を行い、間違いがなければ登記完了書が発行されます。なお地目変更にかかる期間は、1週間から2週間程度見ておいた方が良いでしょう。地目変更は測量や登録免許税も不要で難しい申請ではありませんので、自分で行った方が費用を浮かすことができます。提出する際には、あらかじめ法務局に書類の不備がないか電話で確認した方が間違いがありません。

必要な書類は次の通りです。

・地目変更登記申請書

→申請書は法務局の窓口あるいはホームページからダウンロードします。

・現地地図

→地目を変更したい土地がわかるような地図を添付。一般的には住宅地図を利用します。

・農業委員会から発行された許可書等

→農地転用許可証または転用届受理の通知・非農地通知書を添付します。

・住民票や戸籍謄本

・印鑑

専門家に依頼する場合の費用

地目変更手続きは自分でも行うことはできますが相続の発生に伴う土地の所有権移転や土地の測量が必要な分筆登記などがある場合には手続きが難しいです。自分で地目変更できない場合には司法書士や土地家屋調査士に依頼した方が良いでしょう。地目変更の費用は5万円程度プラス実費が相場です。しかし土地が3筆、4筆と別れている場合には7万円程度プラス実費がかかります。

地目の種類と調べ方

 

地目と一口に言いますがどんな種類があるのでしょうか?

 
 

地目は現況と利用状況によって決められ、23種類に区分されているんだよ。

 

地目の種類 まとめ表

不動産登記事務取扱手続準則第68条によりますと、地目の種類は下記のように分類されています。

地目内容
 田 農耕地で用水を利用して耕作する土地
 畑 農耕地で用水を利用しないで耕作する土地
 宅地 建物の敷地及びその維持若しくは効用を果すために必要な土地
 学校用地 校舎,附属施設の敷地及び運動場
 鉄道用地鉄道の駅舎,附属施設及び路線の敷地
 塩田 海水を引き入れて塩を採取する土地
 鉱泉地 鉱泉(温泉を含む。)の湧出口及びその維持に必要な土地
 池沼 かんがい用水でない水の貯留池
 山林 耕作の方法によらないで竹木の生育する土地
 牧場 家畜を放牧する土地
 原野 耕作の方法によらないで雑草,かん木類の生育する土地
 墓地 人の遺体又は遺骨を埋葬する土地
 境内地 境内に属する土地であって,
宗教法人法(昭和26年法律第126号)第3条第2号及び第3号に掲げる土地
(宗教法人の所有に属しないものを含む。)
 運河用地 運河法(大正2年法律第16号)第12条第1項第1号又は第2号に掲げる土地
 水道用地 専ら給水の目的で敷設する水道の水源地,貯水池,ろ水場又は水道線路に要する土地
 用悪水路 かんがい用又は悪水はいせつ用の水路
 ため池 耕地かんがい用の用水貯留池
 堤 防水のために築造した堤防
 井溝 田畝又は村落の間にある通水路
 保安林 森林法(昭和26年法律第249号)に基づき農林水産大臣が保安林として指定した土地
 保安林 公衆用道路 一般交通の用に供する道路(道路法(昭和27年法律第180号)による道路であるかどうかを問わない。)
 公園 公衆の遊楽のために供する土地
 雑種地 以上のいずれにも該当しない土地

地目は登記記録を法務局で調べることでわかる

土地の地目は、登記済証や権利書を見ればわかりますが、固定資産税納税通書に同封される課税明細書や評価明細書にも記載されています。また登記記録により確認することもでき、近くの法務局で申請する方法と法務省の「登記・供託オンライン申請システム」からPDFで入手することもできます。

注意
しかし住宅ローンを組む際に、金融機関から登記事項証明書の提出を求められますが、PDFでの提出は通常認められないことを覚えておきましょう。

地目変更と住宅ローンの関係

 

家を購入する際には、通常住宅ローンの借入をしますが、農地でもローンは組めるのですか?

 
 

そうだね、金融機関は地目を宅地に変更しないと、通常住宅ローンの融資はしないといっても良いだろうね。また建物が建っていない未利用地は、宅地への地目変更は原則的に認められない。それではどうしたら、住宅ローンを借りることができるのか説明しよう。

 

農地は地目変更してから住宅ローンを組む

農地の場合には建築前にあらかじめ農地転用を行い、地目を宅地に変更してから金融機関に住宅ローンの申請を行います。地目が宅地以外、特に田や畑となっている場合は金融機関から宅地に地目変更を求められる場合が多いです。したがって田や畑の造成工事が終わり、建築許可が下りた時点で直ちに地目変更登記をしましょう。地目が変更されたら、金融機関にローンを申し込めば抵当権が設定され融資を受けられることになります。

MEMO
なお山林や雑種地・原野の場合には地目を変更しなくても住宅ローンの借入ができることもあるので金融機関に相談してみましょう。

市街化区域と市街化調整区域では申請先が異なる

農地転用の申請をする場合、市街化区域の場合と市街化調整区域では申請の方法が異なります。農地が市街化区域にある場合には、自治体の農業委員会に地目の変更を申請します。土地の登記事項証明書や土地の図面などの必要書類を添付して提出します。農地が市街化調整区域にある場合には、都道府県知事の許可を受けなければなりません。申請方法は同じく自治体の農業委員会を通して行います。

地目変更して住宅ローンを組む際の流れ

地目変更の申請は造成工事により土地が整備され、建築許可を得た時点で行います。地目が宅地に変更になれば金融機関は抵当権を設定し住宅ローンの融資を受けることができます。宅地に地目変更し、住宅ローンを組むまでの流れをまとめると次のようになります。

住宅ローンを組むまでの流れ
  1. 田や畑の造成工事を行う。
  2. 各自治体に建物の建築の申請を行い許可を得る
  3. 住宅の建築を開始し、同じタイミングで地目変更を申請する
  4. 地目が宅地に変更されたら、直ちに住宅ローンの申請を行う

なお造成工事は先行して行わなければなりませんので資金に余裕がない場合にはつなぎ融資を受けなければなりません。

地目変更の注意点

 

地目変更の手続きをするときに、注意しなければならない点について教えてください。

 
 

地目を変更する場合には、農業委員会の許可を取らなければならないことは既に述べた通りだが、他にも注意点があるので説明しよう。

 

山林から宅地の場合、複数の地目が生じることもある

市街化調整区域にある宅地は開発の過程で複数の地目が生じる場合があります。例えば山林であった土地を宅地として開発した場合、地目が宅地・山林・道路などに分割している場合があります。自分の記憶だけで登記をすると、トラブルが発生することもあるので、登記地目と現況地目を適切に把握しておかなければなりません。

地目は「田」「畑」だと評価が下がる

市街化区域の田・畑には建物は建てられますが市街化調整区域には原則として建てられないのでその土地は評価が低くなります。しかし市街化調整区域にある土地であっても建築が可能である場合は同等の評価を得ることはできるでしょう。市街化調整区域内の土地の評価額は建築の可能性や建築できる建物の使途などによって異なります。

地目や面積の変更は1ヵ月以内にしなければならない

不動産登記法第1条により地目や面積に変更があった場合には、登記名義人は1ヵ月以内に地目変更登記の申請を行わなければなりません。これに違反する場合には10万円以下の過料に処せられることもあるので注意しなければなりません。

MEMO
登記名義人:一筆の土地または一個の建物に関する登記記録において、不動産に関して所有権・賃借権・抵当権などの権利を有する者として記載されている人のことを言う。

まとめ

農地に家を建てようとしたときに地目が田や畑になっている場合には、地目変更を行わなければなりません。地目の変更を行わないと、家を建てられないばかりか罰則に問われることもあり得ます。また地目の変更を行わなければならない場合は宅地に家を建てる場合と比べ時間と労力が必要になります。

この記事では地目変更の手続きや流れ・必要書類などについて解説を行いました。農地に家を建てる場合には、土地の地目をあらかじめ調査し、田や畑となっている場合には、早めに地目変更の手続きをするようにしましょう。