引っ越しをする際、少しでも初期費用を抑えようと“仲介手数料無料”を条件に部屋探しをする人は多いのではないでしょうか。初期費用は家賃や販売価格に合わせて変動するため、家賃や販売価格が高い物件ほど初期費用も高くなります。仲介手数料無料と聞けば、それだけでお得に感じることもあるでしょう。
平松編集者
岸田解説員
不動産の仲介手数料無料は罠?ゼロ円のからくり【賃貸・売買】
仲介手数料は、賃貸や売買契約をした際に不動産会社に支払う謝礼のようなものです。当然、仲介をメインとする不動産会社にとって仲介手数料は売上の柱になります。
平松編集者
岸田解説員
不動産会社自体がオーナーである【賃貸・売買】
仲介手数料は、あくまでオーナーと入居者を仲介した謝礼として不動産会社に支払うものです。単純に仲介業務が発生しなければ、仲介手数料は発生しません。そのおもな例が、不動産会社自体がオーナーのケースです。
岸田解説員
ほかの名目で費用を徴収している【賃貸・売買】
仲介手数料としてではなく、ほかの名目で不動産会社が費用を請求しているケースもあります。賃貸の場合は、入居前の消毒・除菌代、鍵交換代、事務手数料、書類作成費用など、借主が負担するケースが多いです。売買の場合は、広告費やコンサルティング費用として売主が負担するケースが多い傾向にあります。
岸田解説員
公的賃貸物件やマンスリー物件などの物件【賃貸】
同じ賃貸物件でも、公社の賃貸物件やマンスリー物件には仲介手数料が発生しません。たとえ仲介業者の斡旋があっても仲介手数料が発生しないため、初期費用を抑えることができます。
また、事故物件などの告知事項がある物件においても、仲介手数料無料のケースがあります。いずれの場合においても物件数が限られているのがデメリットと言えるでしょう。
保証会社への加入や各種サービスへの加入が必須【賃貸】
仲介手数料を無料にする代わりとして、保証会社や各種サービスへの加入を条件とするケースもあります。保証会社へ加入の際は家賃の50〜100%の初回保証料が必要になりますが、今の時代は保証会社の加入を必須としている賃貸物件も多いです。
一方、各種サービスについてはウォーターサーバーの無料レンタルやインターネット回線の契約が挙げられます。
岸田解説員
オーナーが仲介手数料を負担している【賃貸】
賃貸物件では、オーナー自身が仲介手数料やADを負担していることがあります。ちなみに、ADとは広告費のことです。不動産会社も広告宣伝費を負担することなく確実に仲介手数料が手に入るメリットがあり、オーナーにとっても入居者を確保しやすいメリットがあります。
岸田解説員
集客や人件費カットの目的【賃貸】
仲介手数料無料の物件を宣伝することで集客を目的にしているケースや、人件費を削って物件を仲介手数料無料にするケースも珍しくありません。仲介手数料無料の物件はそう多くはないため、実際の希望を聞きながら仲介手数料無料ではない物件を紹介することもあります。
岸田解説員
仲介手数料無料には落とし穴も
仲介手数料無料に関しては違法性がないものの、家賃や販売価格に上乗せされていたり、内見などのサービスが省かれたり、各種サービスの加入を条件としていたりと、見えない落とし穴があります。
岸田解説員
仲介手数料無料のデメリット!【賃貸・売買】
平松編集者
岸田解説員
仲介手数料無料のデメリット【賃貸/貸主】
- 入居者が決まりにくくなる
- ADを付ける必要がある場合も
- 最終的に家賃を下げざるを得ない
仲介手数料無料の物件は、不動産会社から見て売上に貢献しない物件ということになります。人件費をかける余裕がなければ、仲介業務が手薄になる可能性は大いにあるでしょう。また、ADをつけなければ入居者を見つけることが難しくなることもあります。
入居者が決まらないということは、家賃収入が途絶えるということです。収入がゼロになるだけでなく、最終的にADをつけなくてはならない、家賃を下げざるを得ない可能性もあるでしょう。
仲介手数料無料のデメリット【賃貸/借主】
- 家賃が高めに設定されている
- サービスが手薄になる
- 別の名目で請求される
- 条件面でマイナスポイントがある
- 短期間の退去で違約金が発生するケースも
仲介手数料無料のからくりで紹介したとおり、家賃が高めに設定されていたり、別の名目で費用を請求されたり、サービスが手薄になったりとさまざまなデメリットがあります。
また、仲介手数料無料の物件は入居者がつきにくい物件が多いです。立地条件が悪い、物件の状態そのものが悪い、いわゆる事故物件であるなど、どこかしらにマイナスポイントを抱えている可能性もあります。
さらに、仲介手数料無料の物件は長期的な居住を条件とするケースも珍しくありません。短期間で退去となると違約金が発生する場合もあるでしょう。
岸田解説員
仲介手数料無料のデメリット【売買/売主】
- 両手取引による囲い込みで購入希望者がつきづらい
- 購入希望者がでなければ価格を下げざるを得ない
- 最終的に受け取れる金額が少なくなる
売買物件の仲介手数料が無料になるのは、不動産会社が物件を買い取った場合、もしくは依頼した不動産会社が買い手から仲介手数料を受け取れる場合が想定されます。買主から仲介手数料を受け取り、売主からの仲介手数料を無料にするということは不動産会社が「両手取引」を行う必要があるでしょう。
この場合、不動産会社が自社で買主を見つけなければならないため、他の不動産会社から購入希望者を紹介されても断ってしまう、いわゆる“囲い込み”状態になります。これにより、購入希望者が現れにくく結果的に売出し価格を下げざるを得ない可能性があるのです。受け取れる金額が減るなど、最終的に損する場合もあるでしょう。
仲介手数料無料のデメリット【売買/買主】
- 仲介手数料無料の物件自体が少ない
- サービスの質が低下しやすい
- 販売価格が上乗せされている
先述の通り、仲介手数料無料の売買物件は両手取引の可能性が高いため、取り扱っている不動産会社は限られており、全体的な数としても非常に少なく、見つけ出すのは困難です。
岸田解説員
両手取引や不動産会社自体が売主の場合は良心的なケースですが、そうでない場合はサービスの質が低下したり、販売価格を大幅に上乗せされたりと足元をすくわれる可能性もあるでしょう。
仲介手数料が発生する仕組みや上限とは
仲介手数料は、仲介業務に対して支払う成功報酬です。物件紹介、現地案内、オーナーとの交渉、書類作成などの業務内容を知れば、“なぜ仲介手数料を支払わなくてはならないのか”もわかるでしょう。
平松編集者
岸田解説員
仲介手数料の上限【賃貸】
賃貸の場合、借主と貸主それぞれから受け取れる仲介手数料は【賃料の0.5ヶ月+消費税】が上限とされています。しかし、依頼者の承認があればどちらか一方から【賃料の1ヶ月+消費税】以内で受け取ることが可能です。
岸田解説員
仲介手数料の上限【売買】
売買の場合、購入金額に応じて仲介手数料の上限額が変動します。たとえば400万円以上の物件を購入する際は【(売買価格✕3%+6万円)+消費税】が仲介手数料の上限です。仮に3,000万円の物件を購入した際は、105万6,000円が仲介手数料の上限ということになります。
平松編集者
岸田解説員
仲介手数料無料は危険?トラブルを回避しながら初期費用を抑える方法【賃貸】
“少しでも初期費用を抑えたい”という理由で仲介手数料無料の賃貸物件を探している人も多いでしょう。しかし、初期費用を抑えることが目的なら、仲介手数料以外の項目でコストカットすることも可能です。
岸田解説員
仲介手数料無料の“罠”でトラブルに遭わないためにも、仲介手数料以外で初期費用を抑える方法を2点紹介します。
- 敷金・礼金のかからない物件を選ぶ
- フリーレント付きの物件を選ぶ
敷金・礼金のかからない物件を選ぶ
空室対策の一環として、初期費用に含まれる敷金や礼金を不要とする物件が増えています。家賃が高いほど敷金・礼金も高くなるため、仲介手数料以外で初期費用を抑えたいなら敷金・礼金ゼロの物件を選ぶのも一つの方法です。
岸田解説員
フリーレント付きの物件を選ぶ
フリーレントは、一定期間家賃が無料になる契約形態をいいます。物件にもよりますが1〜3ヶ月が相場であり、契約時に発生する家賃や前家賃、敷金礼金もゼロになるため、初期費用を大幅にカットすることができるでしょう。
平松編集者
仲介手数料が安い不動産会社ランキング
仲介手数料無料は、一見メリットしかないように見えますが、その裏にある罠や落とし穴についてお伝えしてきました。
それでもメリットは大きいので、仲介手数料無料は魅力に感じることでしょう。
下記の記事では、仲介手数料無料もしくは安い会社を掲載しているので、気になる方はぜひ見てみてください。
罠に気をつけて!仲介手数料無料の不動産会社を利用するなら慎重に
仲介手数料無料の裏には、条件面でマイナス要素があったり、販売価格や家賃が高めに設定されていたりとデメリットも多いため、目先のメリットだけで契約した人の中には“罠にはまった”と後悔する人もいるでしょう。
平松編集者
岸田解説員