10年前に買った投資用のマンションは1部屋をそろそろ売却したいって親から相談を受けたんだけど売るときに税金ってかかるのかな?
もちろん税金は発生するよ。
不動産屋さんに相談したら売るまでの税金はそんなにかからないって言われたんですよ。
いや、売ったときの年度末に確定申告をして払わないといけない税金もあるし、十分に確認しておくことが大事です。
売却時にかかる税金の種類
- 印紙税
- 抵当権抹消時の登録免許税
- 譲渡税
まず、印紙税、登録免許税は不動産の売買決済時にかかる費用ですが、譲渡税に関しては売却の年度末に確定申告を行うことにより支払わないといけません。
3つとも大きく性質が異なりますので、実際にかかる費用などについて項目ごとに説明します。
印紙税
印紙税は売買契約書に貼り付ける印紙を購入することで印紙税を支払います。
売買契約書は課税文書に該当しますので、所定の印紙税に伴う印紙が必要になります。 印紙税の税額は売買金額によって異なり、実際の金額はは下記の通りです。
平成26年4月1日から平成32年3月31日までに売買契約書を取り交わした時には上記図表の様な軽減措置が受けられる税率となります。
実務では5,000万円以下は1万円、5,000万円以上は3万円ぐらいが良く出てきます。また、1億円以上は都度調べていますね。
印紙税を払わなくていい方法はないのですか?
原則は売買契約書を2部作成して買主、売主双方が印紙を貼ります。ただ実務では印紙税を節約するために、売買契約書は1通だけ作成し、売主にはコピーを渡して印紙税を節約しているケースもありますね。
売主さんはコピーで大丈夫なんですか?
契約の効力は原本でもコピーでも原則変わらないから問題ありません。
登録免許税
売却予定のマンションは、まだ借り入れは終わってないのですか?
はい、まだ払っていますね、銀行の抵当権もついています。
ならば登録免許税もかかってきますね。
不動産を売る場合、その不動産に抵当権が設定されている場合抵当権を抹消しないと買主に所有権を移転できません。抵当権を抹消する際にも登録免許税が発生します。
今回のケースはマンション1部屋ですので建物にかかる不動産で1不動産1,000円発生します。
司法書士手数料
抵当権を抹消する時に、自分で抹消することも可能です。しかし、手続きに手間がかかりますので、多くは司法書士に依頼します。その際は、司法書士に対する手数料がかかります。
おおまかな相場としては1不動産あたり10,000円前後かかります
譲渡所得税
不動産を売却する時にかかる税金で譲渡所得税は初耳ですが?
売買決済の時にはかかりませんし、売却して利益が出ている場合に発生する税金なので不動産屋さんがそこまで説明をしていない場合もあります。
でも、場合によっては大きな税金を支払わないといけないので絶対に知っておかないといけない税金ですよ。
所有期間によって税率が変わる?
譲渡所得税は、購入した時より高く売れて売却益が発生した時に発生します。
計算方法は
譲渡所得×譲渡税税率です。
ここで譲渡所得について詳しく説明します。
譲渡所得は売却金額から売却にかかった諸経費や購入時のお金を差し引きます。
もしも、この物件をマイホームとして住んでいたら更に3,000万円を特別控除できる恩恵があります。
詳しく表したのがこちらの図表です。
実は、購入金額はわかるけどマンションを買ったときの書類が何もないんです。
その場合は今回売却する金額の5%を取得価格として費用計上します。
実務上、購入時の契約書があるかないかで、この譲渡税が大きく変ってくるので、売主さんには何としても探してくださいって話していますね。
購入した不動産が建物の場合、一つ注意ポイントがあり、建物を売却する時には購入した費用をそのまま売却金額で差し引いてはいけません。
建物の場合は、所有期間中の減価償却を差し引いた金額を計上するルールになっています。減価償却した金額の計算をしておらず、購入時の金額をそのまま差し引いて計算していると実際にかかる譲渡税に大きな開きがでるので注意が必要です。
次に譲渡税の税率ですが、所有期間が5年越えているかどうかで税率が大きく変わります。
5年を超えて所有しているときの譲渡所得税率は、長期譲渡所得としてみなされます。
所得税15%、住民税5%、 復興特別所得税 所得税15%×2.1%がかかります。
5年以内の売却となりますと、
所得税30% 住民税9% 復興税特別所得税 所得税15%×2.1%がかかります。
このように大きく税率が異なります。
譲渡所得の税率って5年間所有しているかいないかで大きく変わるんですね。
実務上、5年以内で売却したいって人には5年保有するまで待ちませんかって話す場合もありますよ。
不動産屋さんによっては仲介手数料が入るから、あまり気にせずに売却しましょうと提案する所もあるので注意です。
ところでこの復興特別所得税ってなんですか?
復興特別所得税って何?
復興特別所得税は、2013年から新たに所得税を払っている人にかかる税金で、目的は、東日本大震災の被災者に対して支援、復興のために徴収されるものです。期間が定められており、2037年12月31日までですので約25年間徴収されます。
東日本大震災後に始まった税金ですので、なじみが薄く、給与所得者に関しては、自動的に差し引かれますので問題はありません。しかし、確定申告を行う人は新たな税金ですので注意が必要です。
消費税が関係する投資不動産は何?
そういえば増税になる消費税での影響はないの?
不動産を売買時に、増税により影響が出るパターンを説明するね。
2019年10月より消費税が10%に増税されます。
消費税が課税なのか非課税なのかの線引きは、売主が個人なのか、不動産業者なのかで異なります。
土地が売買対象の場合は売主が個人、不動産業者でも非課税扱いです。
しかし、この土地が駐車場となると、売主が個人、不動産業者でも課税扱いとなります。
投資用不動産に関しては、個人だろうが不動産業者だろうが事業として扱われますので課税されます。
また、消費税増税後の消費マインドが落ち込むことが懸念されています。
消費税が5%から8%に増税になった2014年、駆け込み需要により住宅着工件数が大幅に上昇しましたが増税後反動により大幅に減少しました。
今回も増税前に需要が増え、増税後に反動が来ることが予測され、消費税増税前に売却した方がいいという意見も多数あります。
2018年まで不動産価格は上昇していたので、私は消費税増税直後は5~10%程度不動産相場は下落しオリンピックが終わる2020年の秋ぐらいまでずるずる下がり続けると予測しています。
まとめ
不動産売却時には大まかに印紙税、登録免許税、譲渡税がかかってきます。
消費税増税後は過去不動産市況が落ち込んだので、今回もずるずる下がっていくのではと思います。