- 火災保険の料金は主に「建物の構造・築年数」「面積・所在地」「補償内容と特約」「保険金額」の4つの要素から構成されている
- 10年一括の火災保険料は戸建てで平均7~9万円、マンションで平均3万円
- 保険料を安くするには必要・不要な特約を明確にすることが大切
一戸建てやマンションを購入したときに、火災保険の保険料をいくら掛けたらよいのか迷いませんか?保険料が少ないと建物の再建築ができませんし、掛けすぎた場合には評価額を超える保険金は無駄になってしまいます。したがって住宅や家財の評価額に合った火災保険料を設定する必要があります。
そこでこの記事では火災保険料の相場や保険料の決め方・安くする方法などについて解説します。
火災保険の相場を調べることは困難
事務員
小島社長
火災保険に入ろうと考えたときに、相場を知りたいと考える人がほとんどではないでしょうか。しかし火災保険料はいろいろな要素から決まってくるので、相場を調べることは難しいと言えます。保険料を決める要素には、建物の種類や構造・補償内容・保険期間・築年数・特約の有無などさまざまです。したがって火災保険料の相場をいくらと言い切ることはできないと言えるでしょう。
火災保険の料金が決まるポイント
事務員
小島社長
建物の構造と戸建てかマンション、築年数
火災保険は、建物の主要部分の構造、および工法によって保険料が異なってきます。建物の構造によって損害に大きな差が生じるので、保険料も違ってくるのです。
構造級別 | 建物の種類(材質) |
M構造(マンション構造) | コンクリート造建物・コンクリートブロック造建物・れんが造建物・石造建物・耐火建築物の共同住宅建物 |
T構造(耐火構造) | コンクリート造建物・コンクリートブロック造建物・れんが造建物・石造建物・鉄骨造建物・耐火建築物・鉄骨造の一戸建てなどの準耐火建築物 |
H構造(非耐火構造) | 木造住宅などM構造、T構造に該当しない建物 |
木造住宅は一般的にH構造ですが、耐火建築物や準耐火建築物に分類されるものはT構造となります。
なお築年数が一定以下の場合、「築浅割引」を行っている保険会社もあり、保険料は安くなります。
対象の所在地と占有面積
対象の所在地
建物の所在地により、保険料も異なってきます。例えば東京のように住宅が密集している地域は、延焼のリスクがあるので保険料は高くなります。
専有面積
また建物の占有面積の大きさにより評価額は決まり、保険金額も同額に設定されます。そのため保険金額に比例して、保険料も高くなるのが一般的です。
補償内容と補償対象、保険期間、特約
補償内容
火災保険料は、補償内容が手厚くなるにしたがって当然高くなります。
例えば川沿いの戸建て住宅は水災のリスクがあるので補償を厚く、マンションや高台にある戸建て住宅は水災の補償を外すという選び方もあります。
補償対象
火災保険の補償対象は、建物と家財に分けられますが、補償範囲を建物だけにするか・家財のみにするか・建物と家財の両方を範囲にするかで保険料は異なってきます。
- 建物の対象になるもの…建物・門・塀・物置・車庫・庭木など
- 家財の対象になるもの…家具家電製品衣類・自転車など
保険期間
火災保険の保険期間は1年~10年間で、保険期間を長期にすることで保険料を安くできます。
なお、契約期間は最長10年でしたが、近年災害が多発しており、損害保険料率算出機構は2022年より最長5年に短縮すると発表しています。
特約
特約とは、基本的な補償内容に特約で補償を追加したり削除・変更するもの。保障内容を拡充する場合の保険料は高くなり、縮小する場合には一般的に安くなります。
保険金額
補償される保険金額を高く設定すれば、当然保険料も高くなります。保険金額を評価額より低く設定した場合は、十分な保険金額が下りず建て替えや補修の際に追加の費用が必要になってくることもあります。また評価額以上の保険金額で契約しても、評価額までの金額しか受け取ることはできないので、損をすることに…。
したがって保険金額は、建物の再調達価格と同一金額にすべきでしょう。
再調達価額(新価)と時価
火災保険の契約をする際には下記の2つから建物の評価額(建物の価値)を決めます。
- 再調達価額(新価):災害によって建物に損害が発生した場合、同等の建物を新築または購入するのに必要な金額のこと。
- 時価:再調達価額から使用したことによる価値の減少分を差し引いた金額のこと。
一戸建て・中古における火災保険の相場
事務員
小島社長
新築や中古の火災保険の相場は、最低限の補償で年間1~3万円、厚い補償を付けた場合は10年一括で20~30万円に達するものもあります。
価格.comのサイトを見ると、10年間の火災保険料は下表の通り7~9万円程度と見てよいでしょう。なお各保険会社では、個人情報を入れることなしでシミュレーションをしてくれるサイトもあります。また本格的に保険会社を探す場合には、個人情報を入れて一括見積サイトを利用すると便利です。
引用:価格.comの一戸建て火災保険料比較
マンションや賃貸における火災保険の相場
マンションの場合は一戸建てと比べると、一般的に災害リスクが低いので火災保険料は安くなります。価格.comの火災保険の相場を見ると、10年間の火災保険料は下表の通り3万円台で済みます。
賃貸物件の場合は、建物自体についてはオーナーが火災保険に加入します。
借主は家財保険に加入しますが、それにセットする形で借家人賠償責任保険に加入すると良いでしょう。借家人賠償責任保険は、自分の過失による災害で賃貸物件に損害を与えた場合に補償を受けられます。
引用:価格.comのマンションの火災保険料比較
後悔しない火災保険の選び方
事務員
小島社長
補償対象と補償範囲で選ぶ
補償対象
補償の対象には建物・家財・建物と家財の3種類があります。
賃貸の場合はオーナーが火災保険に加入するので、賃貸人は基本的には家財のみを補償対象とします。
持ち家の場合は、建物だけでなく家財を含めて加入すべきです。災害により家財を使えなくなりすべてを買換えすると相当の費用が必要になるので、両方加入した方が良いでしょう。
補償範囲
火災保険には、火災や落雷・破裂・爆発などの基本的な補償と、追加で加入するオプション補償があります。オプション補償には、水災や盗難・水漏れ・破損・汚損などがあり、加入すれば補償は受けられますが、保険料はその分高くなります。したがって自分の住んでいる周辺環境を考えて、必要なオプション補償に加入するようにしましょう。
構造級別で選ぶ
既に述べたように、火災保険料は対象となる建物の構造と種類により変わってきます。構造階級別はⅯ構造が最も耐火性があり、次いでT構造・H構造の順になり、耐火性の最も強いⅯ構造の保険料が最も安く、H構造が高くなります。
したがってマイホームの構造階級および建物の種類を知ることは、火災保険に加入する上で重要なことです。
なお建物の種類(材質)は、建築確認申請書や登記簿謄本・検査済証・重要事項説明書などに記載されています。
建物と家財の保険金額で選ぶ
建物
既に述べた通り、建物の評価額を決める基準には再調達価額(新価)と時価の2種類があり、どちらかに決めて契約します。
再調達価額は、新築時の価格に物価変動を加味して算出する「年次別指数法」と1㎡当たりの標準的な建物単価に床面積を掛けて算出する「新築費単価法」があります。
時価の場合は経年劣化による価値の減少分を差し引くので、保険金額は再調達価額で設定した場合より評価額は低くなり保険料も安くなります。
家財
家財は、建物の中や敷地内にある動かせる生活必需品を言い、ライフスタイルや家族の人数・建物の広さ・年齢などにより異なります。家財の保険金額は、一般的に自由に設定できますが、保険金額を高くすると必然的に保険料も高額になります。
小島社長
保険期間で選ぶ
既に述べた通り、保険期間は1~10年の間で設定でき、長期契約にして一括払いを選択すれば保険料は安くなります。しかし近年災害が多発し10年の期間は見直され、最長で5年としている保険会社もあるので、契約の際にはよく確認しましょう。
賃貸物件については1年未満の短期契約ができることもありますが、持ち家の場合には、長期契約をすることで保険料を安く抑え、更新の手間も省けます。ただしライフスタイルの変化により補償を見直す必要性や、条件の良いニュータイプの火災保険も発売されるので、よく検討する必要があります。
地震保険のセットかどうかで選ぶ
近年大きな地震が多発しています。しかし火災保険では、地震や噴火などはもちろんのこと、地震を原因とした火災・損壊・流失・埋没などについての損害は補償されません。したがって火災保険だけでなく、地震保険にも加入し安心感も得るべきでしょう。
地震保険は単独では契約できず、火災保険とセットする形で契約します。また地震保険は国と保険会社が共同で運営しているので、保障内容や保険料は各社同一となっています。
火災保険を安くする3つの方法
建物の種類や構造によって発生する火災保険の相場や火災保険料を構成する要素について理解できたところで、実際加入する火災保険料を安くする方法について見ていきましょう。以下では火災保険を安くする方法を3つに分けて解説します。
長期契約にする
火災保険は最短で1年の契約、最長の契約なら10年までの補償期間を選択することが可能です。そのため加入期間を長くしたり、保険料の支払い方法を年払いや一括払いにすることで期間内に支払う保険料の総額を安くできます。
仮に10年契約で保険料を一括で支払った場合、そうでない場合(1年契約を10回繰り返すケース)と比べて17~18%程度保険料を抑えることができます。また毎年更新する手間も簡略化できるため、支払い金額が不足したりするリスクも軽減できます。
必要・不要な特約を明確にする
火災保険の料金を安くするためには火災保険に含まれている特約を要・不要に分類して、発生確率の高低を明確にすることも大切です。火災保険の中には当然使わないであろう補償なども存在します。また火災保険の補償内容と特約を組み合わせることで火災時以外にも状況に応じて補償を組み合わせることが可能です。
特約の要・不要を明確にするためには、市区町村が発表するハザードマップを確認して水災のエリアを確認しましょう。また家財の多さに着目して家財保険を付帯するかどうかを決める、他の保険と重複する補償を確認することも大事です。
補償限度額をなるべく高くしない
火災保険の補償限度額は再調達価額を基準に定めます。仮に保険料を安く抑えたいのであれば補償限度額を超えないようにしましょう。例えば建物を再建築するのに3,000万円が必要になるなら、保険金額の補償限度額も3,000万円に設定する必要があります。
仮に3,500万円の保険金額で契約しても建物が損壊してそれに必要な金額が3,000万円であれば、その差額分が無駄になってしまいます。
小島社長
まとめ
近年豪雨や地震などが多発し、損害を受けるリスクは高まっていますが、火災保険や地震保険に加入することで備えられます。しかし評価額以上の保険料を掛けても、限度額までしか補償はされません。逆に評価額よりも大幅に低い保険料の場合には、元の生活を維持するのは難しくなります。
火災保険の相場や仕組みを知り、マイホームの強みと弱みを把握して、自分に合った火災保険を選ぶようにしましょう。