- 控除申請の方法は、確定申告またはワンストップ特例制度の2種類
- ふるさと納税の「ワンストップ特例制度」は、住宅ローン適用初年度は利用できないので注意
- 確定申告する場合は、シミュレーションで限度額を計算するのがおすすめ
住宅ローンを組んで住宅を購入したほとんどの方に関係のある「住宅ローン控除」。
事務員
浜崎編集長
今回は、住宅ローン控除の基本知識からふるさと納税を併用する際の注意点や計算の仕方、確定申告がいいのかワンストップ特例制度で申請するのがいいのかを解説します。
税額控除の基礎知識
まずは住宅ローン控除やふるさと納税とはどういった制度なのか、併用は可能なのかを説明します。
浜崎編集長
住宅ローン控除とは
住宅ローン控除とは住宅ローン減税(控除)制度のことで、正式名称は「住宅借入金等特別控除」です。
10年以上のローンを組んで住宅を購入した場合に、年末時点のローン残高の1%(最大40万円)が所得税から控除される制度です。
所得税から控除しきれなかった所得税の課税総所得金額の7%(最大13万6,500円)を限度に住民税から控除される仕組みです。
また中古住宅の購入やリフォームする場合でも、新築後20年以内や大規模な修繕など既定の条件を満たすことで住宅ローン控除が適用されるケースがあります。
住宅の購入には大きな費用が必要なため、約10年間の税額控除を受けられる住宅ローン控除は魅力的な制度です。
住宅ローン控除を受ける場合、1年目は確定申告しなければいけないので確認することが大切です。
ふるさと納税とは
ふるさと納税は、自治体に自己負担2,000円の寄附をすることでその自治体から特産品などの返礼品がもらえる制度です。
さらに寄附金額に応じた金額分の所得税や住民税の控除を受けられます。
また年収や家族構成によって控除を受けられる税額には上限があり、年間で6自治体以上に寄附すると確定申告が必要です。
気を付ける点としては、ふるさと納税は「寄附した金額が税額の控除で戻ってくる」仕組みで減税や節税になっているわけではないことがあります。
ふるさと納税は控除上限額を超えると自己負担になる仕組みです。
あらかじめ、上限の金額を把握してから寄附します。
浜崎編集長
住宅ローン控除とふるさと納税は併用可能
住宅ローン控除とふるさと納税は、どちらも所得税や住民税から一定額の控除を受けられる制度で、併用が可能です。
2つの制度を併用しても控除される最大金額は変わりませんが、条件によっては控除額が大きく変わってきます。
事務員
住宅ローン控除とふるさと納税を併用する時の注意点
住宅ローン控除とふるさと納税を併用するときには、注意する点が大きく分けて2点あります。
- 控除申請の方法によって金額が変わる
- ワンストップ特例制度は住宅ローン適用初年度は利用できない
制度を併用して活用するために、注意するポイントよく確認することが大切です。
控除申請の方法によって金額が変わる
控除申請の方法によって控除される金額が変わる可能性があります。
控除申請の方法は2つあります。
- 確定申告で申請する
- ワンストップ特例制度で申請する
ふるさと納税の寄附金税額控除申請をワンストップ特例制度で行う方は、住宅ローン控除と併用しても控除限度額に影響はありません。
確定申告で申請する場合
ふるさと納税と住宅ローン控除を併用する際に、自分で確定申告する場合には最大金額の控除を受けられない可能性があります。
原因として確定申告すると、ふるさと納税は所得税から控除されてしまうことが関係しています。
そのためふるさと納税によって所得税から控除される分の所得税が減額されてしまい、所得税が減額することで住宅ローン控除の金額も少なくなります。
こうなると控除額の最大金額を使い切ることができないので注意が必要です。
所得税が控除しきれなかった額は住民税から控除される仕組みにはなっていますが、それにも所得税の課税総所得金額の7%(最大13万6500円)という上限があるため、満額の控除が引かれなくなってしまう可能性が出てきます。
事務員
ワンストップ特例制度で申請する場合
住宅ローン控除とふるさと納税の控除の最大金額を使い切れない場合は、ふるさと納税の「ワンストップ特例制度」の利用を検討します。
ワンストップ特例制度はふるさと納税をした際に確定申告なしで控除が受けられる制度です。
そのため控除額が所得税から引かれないため、住宅ローン控除に影響する金額が少なくなります。
ワンストップ特例制度を使うと、ふるさと納税の控除が寄附をした翌年の6月以降に支払う「住民税」から控除されます。
住宅ローン控除は「所得税」から控除されるため、控除額の計算に影響を与えずに控除の最大金額を使い切れる可能性が高くなります。
事務員
浜崎編集長
ふるさと納税先を最大5自治体まで選び「寄付金税額控除に係る申告特例申請書」を寄附する自治体に提出することで、ワンストップ特例制度が申請できます。
ワンストップ特例制度は住宅ローン適用初年度は利用できない
ワンストップ特例制度の利用条件として「確定申告しないこと」がポイントなります。
住宅ローン控除の適用を受ける場合、初年度は確定申告することが必要です。そのため住宅ローン控除の適用を受ける1年目は、ワンストップ特例制度を利用できません。
確定申告が不要になったタイミング、つまり住宅ローン控除の適用を受ける2年目からは、ワンストップ特例制度を利用できるようになります。
確定申告する場合は、シミュレーションで限度額を計算する
確定申告する必要がある場合のふるさと納税の控除の限度額を計算できます。
以下のサイトの「ふるさと納税の控除限度額 計算シミュレーション」を活用して、自身の控除の限度額をチェックしてください。
住宅ローンを満額消化できるかモデルケースで紹介
モデルケースの2例を挙げてふるさと納税の控除限度額を計算して、住宅ローンをどれだけ消化できるかシミュレーションします。
年収500万円/共働き/住宅ローン控除25万円/1年目
- 年収:500万円
- 社会保険料:70万円
- 配偶者:なし(共働き)
- 扶養控除:なし
- 住宅ローン控除:25万円
このケースの場合、住宅ローン控除が無い場合に自己負担2,000円で済む寄付の上限額は62,910円です。一方、住宅ローン控除25万円がある場合の上限額は28,695円となります。
住宅ローン控除がある場合と無い場合で上限額が34,215円も変わってきます。
年収800万円/配偶者あり/住宅ローン控除35万円/2年目
- 年収:800万円
- 社会保険料:110万円
- 配偶者:あり(収入なし)
- 扶養控除:なし
- 住宅ローン控除:35万円
このケースの場合、住宅ローン控除が無い場合もある場合どちらも上限額は123,874円となり、差額はありません。
事務員
浜崎編集長
まとめ
住宅をローンで購入した際に控除を受けることができる住宅ローン。
自治体に寄附することで、寄附先の自治体から返礼品を受け取り所得税や住民税の控除を受けられるふるさと納税。
この2つの制度を併用できれば、さらにお得に税額控除を受けられる嬉しい制度です。
確定申告する必要がない給与所得者で1年間に行ったふるさと納税先が5自治体以内であれば、ワンストップ特例制度が利用できます。
ワンストップ特例制度を利用することで、控除額の漏れ発生を防ぎやすくもなります。
事務員
浜崎編集長