これから地価が上がりそうな地域!埼玉県の場合【2024年】

この記事を書いた人
小島 優一
宅地建物取引士

宅地建物取引士、2級ファイナンシャルプランニング技能士。生命保険会社にてリテール業務に従事した後、2014年に不動産仲介会社であるグランドネクスト株式会社を設立。 2021年より幻冬舎ゴールドオンラインにて不動産を通じて財産を守る、増やす、残す記事を連載している。 >> 詳細はこちらから

この記事のまとめ
  1. 2024年に埼玉県で地価が上がりそうな地域は「埼玉県南部」
  2. 東京都へのアクセス利便性と再開発が主な理由
  3. 埼玉県南部でも立地によっては格差がある

埼玉県で不動産の購入を考えているのですが、今後値上がりが期待できそうなエリアはありますか?

山口編集者山口編集者

亜美解説員亜美解説員

これから不動産の購入を考える上では、エリアというキーワードは重要なポイントです。エリアによっては資産性がかなり左右されるため、値上がりを期待するなら意識しておく必要がありますよ。

これから不動産の購入を考える際、エリア選びは重要なポイントです。エリアによって資産価値が大きく変わるため、将来的な値上がりを期待するならば、慎重に検討する必要があります。

今後埼玉県で不動産価格が値上がりする可能性が高いエリアは、川口市やさいたま市といった「埼玉南部」を中心としたエリアです。

え?埼玉南部?東京に近いから?なんかありきたりな答えの気もするけど何か理由はあるの?

山口編集者山口編集者

今後日本では、少子高齢化に伴う人口減少により、エリアごとに資産価値の差が広がることが予測されています。不動産を購入する際は、東京へのアクセスの良さや人口流入が期待できるエリア、将来性が見込まれる再開発が進んでいる地域などを考慮することが重要です。

注意

「埼玉県南部ならどのエリアでも値上がりするだろう」という安易な考えは禁物です。慎重にエリアを選ばなければ、値下がりのリスクを抱えることになります。

では、なぜ埼玉県内に数あるエリアの中から「埼玉南部」を中心としたエリアが、不動産価格の値上がりが期待できるのか、具体的な要因を交えて解説していきます。

資産価値が落ちない地域の基準や、埼玉県の地価上昇率をランキングでご紹介もします。

山口編集者山口編集者

【2024年】埼玉県の地価公示価格は?

埼玉県の地価公示価格は

亜美解説員亜美解説員

2024年における埼玉県の地価公示価格について、その動向や上昇率、東京都心からのアクセスの良い路線や人口増加の影響など、詳しく見ていきましょう。

地価公示価格の動向

令和6年1月1日を基準日とする地価公示の結果では、埼玉県の地価は2022年から2024年にかけて、さらに上昇傾向を示しています。

特に東京へのアクセスが良好な南部地域では、地価の上昇が顕著です。

これは、圏央道の整備や東京から近い立地に加え手頃な価格の土地に対する需要が増加したことが主な要因です。

2023年から北本市や桶川市など北部地域でも地価が上昇し、住宅地の需要がより郊外に拡大していることがわかります。

埼玉県南部は、東京都心へのアクセスが良く、人口増加が続いているため、地価の上昇が続いています。

住宅地では浦和駅、大宮駅、川口駅などの京浜東北線沿線の生活利便性が高い地点で地価の上昇が顕著で人気があります。

埼玉地価上昇

参照元:埼玉新聞

一方、秩父市や本庄市、行田市、羽生市、加須市など、アクセスの良くない地域では地価が下落しています。

これは人口減少や農地の宅地転用が影響しています。

また、埼玉県北西部では新築物件の供給が続いているため、中古物件の地価が上昇しにくい状況が見られます。

しかし、利便性の高いエリアでは中古物件の価格も上昇しており、特にここ3年間で20〜30%の上昇が見られます

MEMO

総務省統計局の「住民基本台帳人口移動報告(2021年)」によると、2021年の人口転入超過数が全国1位となったのはさいたま市の10,527人であり、東京都の過剰な地価高騰の影響で、都心から周辺に移動する人口が増加し、さいたま市や川口市などがその受け皿になっています。

埼玉県の地価変動は、住宅需要の動向や再開発事業の進展など、地域ごとの特性によって異なりますが、埼玉県南部は右肩上がりに上昇している傾向が続いているため、購入するべきは埼玉県南部でしょう。

用途別の地価上昇率

埼玉県の住宅地は前年から0.4ポイント増加し、+2.0%の上昇を見せています。

商業地は0.8ポイント増加し、+2.4%の上昇となっています。

工業地も前年から0.1ポイント増加し、+3.2%の上昇を示しました。

住宅地の上昇市町村は都心に近接する地域から周辺地域に広がり、前年の33市町から37市町に増加しました。

特に、浦和駅、大宮駅、川口駅などの京浜東北線沿線では、生活利便性が高いため地価の上昇が顕著です。

商業地では、大宮駅周辺や川口駅周辺の商業集積度が高まっている地点が上昇しています。工業地は首都高や外環道に近い交通利便性の高い地点で地価が上昇しています。

埼玉県地価公示

参照元:令和6年 地価公示結果の概要(埼玉県分)

東京都心からアクセスの良い路線

埼玉県南部は東京都心へのアクセスが非常に良好であり、これが地価上昇の大きな要因となっています。

特に、京浜東北線、埼京線、湘南新宿ラインといった主要鉄道路線が充実しており、通勤や通学に非常に便利です

そのため、東京都からの移住者が増加しています。

これらの路線が交わるさいたま市や川口市では、再開発事業が進行中で、商業施設やオフィスビルの新設、都市基盤の整備が進んでいます。

これにより、地域の利便性と魅力が向上し、地価の上昇が顕著です。

また、商業施設、医療機関、教育機関などのインフラが充実しており、生活利便性が高いことが住宅需要を支えています。

特に南部地域では、ショッピングモールや大型商業施設が多く、新たな住民にとって魅力的な環境が整っています。

重要

再開発に伴う地価上昇が顕著です。

人口増加と転入超過

総務省の統計によると、埼玉県は全国的に見ても人口転入が多い地域です。

特に、他県と比べて人口増加の歴史が長いことが特徴です。

埼玉県は47都道府県の中で唯一、100年間にわたり人口が増え続けてきた県です。

また、さいたま市は2021年に全国で最も多くの転入超過数を記録しました。

人口増加は住宅需要の増加を促進し、これが地価上昇につながっています。

MEMO

埼玉県の持続的な人口増加は、地域の地価に対する需要を高める要因となっています。

地価が上がりそうな地域は埼玉だとどこ?

地価が上がりそうな地域 埼玉

亜美解説員亜美解説員

今後、地価の上昇が期待される埼玉県内の地域について、具体的なエリアとその理由を解説します。

埼玉で地価が上がりそうな地域
  • さいたま市
  • 川口市
  • 戸田市
  • 1位:さいたま市

    さいたま市はすでに地価の上昇気流に乗っており、今後もこの傾向が続くと考えられます。

    特に、大宮区や浦和区などの駅近エリアは通勤の利便性が高く、最近の都心部のマンション価格の高騰により、23区からの移転先として非常に人気があります。

    また浦和区では浦和駅西口の再開発が2023年から着工して益々人気の地域となるでしょう。

    都内の地価高騰が続いているため、さいたま市の「都心に比べてコストパフォーマンスが良い」という魅力は変わらず、今後も地価上昇の傾向が続くと予想されます。

    株価の暴落や円高などの影響がない限り、このトレンドは維持されるでしょう。

    2位:川口市

    川口市も荒川を挟んで東京都に隣接しています。

    特に川口駅前では2020年は「プラウドタワー川口」、2023年には「プラウドタワー川口クロス」といった大規模マンションが建設されました

    さらに、川口市の「蕨」エリアは9.27%の地価上昇を見せ、市街地総合整備事業が進行中で生活利便性が高いと評価されています。

    中心となる価格帯は新築戸建住宅が4500万円~5300万円程度です。

    また、「戸塚安行」エリアも9.09%の地価上昇を記録しており、土地区画整理事業の進行や高台に位置するため、新型コロナ禍においても需要が強く、地価の上昇が続いています。

    3位:戸田市

    戸田市は埼玉県内で「地域子育て応援タウン」に認定され、充実した子育て支援サービスを提供しています。

    特に「とだファミリー・サポート・センター」や「産前産後支援ヘルプサービス」など、出産や育児に関するサポートが充実しており、安心して子育てができる環境が整っています。

    さらに、交通の利便性も高く、JR埼京線の戸田公園駅・戸田駅・北戸田駅からは、大宮駅や池袋駅、新宿駅など主要な駅へのアクセスが良好です

    市内には豊富なバス路線があり、特にコミュニティバスtocoは低料金で利用できるため、移動も便利です。

    加えて、緑豊かで公園が多く、自然を感じながら生活できる点も大きな魅力です。

    これらの要因が相まって、戸田市の地価は上昇しています。

    埼玉県の地価上昇率ランキング

    埼玉県の地価上昇率ランキング

    埼玉県内で特に地価上昇が顕著なエリアをランキング形式で紹介し、それぞれの特徴を解説します。

    山口編集者山口編集者

    埼玉県内で特に地価上昇が顕著なエリアをランキング形式で紹介し、それぞれの特徴を解説します。

    【埼玉県】地価上昇率ランキング
  • さいたま市浦和区
  • さいたま市大宮区
  • 川口市
  • 1位:さいたま市浦和区

    さいたま市浦和区地価詳細

    • さいたま市浦和区:1,180,000円
    • 変動率:9.3%上昇

    さいたま市浦和区の地価上昇は、再開発、交通の利便性、そして教育環境の充実が主要な要因となっています

    まず、浦和駅西口の再開発プロジェクトにより、地域の魅力が大幅に向上しました。

    2023年1月から始まった「浦和駅西口南高砂地区第一種市街地再開発事業」では、地上27階・地下2階の高層ビルが建設される予定で、商業施設や525戸のマンションが含まれます。

    また、大型コンサートホールや集会室などが入る新たな市民会館も設置される計画で、駅周辺の賑わいと利便性がさらに増すと見込まれています。

    MEMO

    竣工は2026年の予定で再開発が完成する前の購入がおすすめです。

    次に、浦和駅はJR東北本線、高崎線、京浜東北線、湘南新宿ラインの4路線が通り、東京や新宿へ約30分でアクセス可能な優れた交通の利便性を提供しています。

    都内や横浜方面への直通アクセスも良好で、通勤・通学に非常に便利です。

    さらに、浦和区は名門校が集まる文教地区であり、進学実績の高い学校や教育支援施設が豊富です。

    このため、教育環境を重視する家庭にとって魅力的な地域となっています。

    これらの要因が相まって、浦和区の地価上昇が続いています。

    2位:さいたま市大宮区

    さいたま市大宮区地価詳細

    • さいたま市大宮区:998,000円
    • 変動率:8.2%上昇

    さいたま市大宮区の地価上昇理由は、交通の利便性、商業施設の充実、そして地域全体の活気にあります。

    まず、大宮区は交通の利便性が非常に高いです。

    大宮駅は全国有数のターミナル駅であり、JR京浜東北線、埼京線、湘南新宿ライン、宇都宮線など多くの在来線が通っています。

    また、新幹線も運行しており、東京駅へ約24分、池袋駅へ約25分、新宿駅へ約31分、渋谷駅へ約35分と、都心へのアクセスが抜群です。

    さらに、大宮駅は北日本への玄関口として知られ、新潟、長野、仙台方面へも新幹線で短時間で行けるため、旅行や出張にも便利です。高速道路のインターチェンジも区内にあり、車での移動も快適です。

    次に、大宮区内には多くの大型商業施設が集まっており、買い物や食事が楽しめる環境が整っています。

    代表的な施設として、そごう大宮店、大宮タカシマヤ、大宮マルイ、ルミネ大宮、エキュート大宮、コクーンシティ、DOMショッピングセンター、大宮ラクーン、ビバモールさいたま新都心があります。

    これらの施設は日常の生活必需品からファッション、グルメまで幅広いニーズに応えています。

    さらに、大宮区は活気ある地域です。中心駅である大宮駅周辺は商業施設やオフィスビルが立ち並び、特に大宮南銀座は埼玉県最大級の歓楽街として有名です。

    駅周辺の賑やかな雰囲気は地域全体の魅力を高め、多くの人々を引き寄せています。

    これらの要因が相まって、さいたま市大宮区の地価上昇が続いています。交通の利便性、商業施設の充実、そして地域の活気が、大宮区を魅力的な住環境にしています。

    3位川口市

    川口市の地価詳細

    • 川口市:645,000円
    • 変動率:4.2%上昇

    川口市の地価上昇理由は、交通の利便性、商業施設の充実、そしてベッドタウンとしての発展が挙げられます。

    まず、交通の利便性が高いことが大きな要因です。

    川口市は京浜東北線、武蔵野線、埼玉高速鉄道などの鉄道路線が通っており、東京都心や千葉、神奈川方面へのアクセスが良好です。

    特に京浜東北線は、東京駅や横浜駅へのアクセスが便利で、通勤や通学に欠かせない路線となっています。

    また、2001年に埼玉高速鉄道が開業し、さらに交通の利便性が向上しました。

    この鉄道は東京メトロ南北線を経由し東急目黒線「日吉」駅まで直通運転しているため、東京都心へのアクセスも簡単です。

    次に、商業施設の充実が挙げられます。

    川口駅周辺には、古くから商業が栄えてきたエリアであり、「かわぐちキャスティ」や「川口キュポ・ラ」、「アリオ川口」などの大型商業施設があります

    さらに、近郊の工場跡地にショッピングモールが次々と建設されており、「イオンモール川口前川」や「ララガーデン川口」、「Ario川口」などが開店し、買い物環境が充実しています。

    これにより、地域の生活利便性が向上し、住みやすい環境が整っています。

    また、川口市はベッドタウンとしての発展が進んでいます。市域の大部分が都心から10~20km圏内に位置しており、都心への近接性からマンション建設が進み、人口が増加しています。

    工場の郊外移転により、まとまった遊休地が豊富にあり、高層マンションが多く見られるエリアとなっています。

    このため、人口が増えるに従い商業施設や文化施設も次々と誕生し、街全体が活気づいています。

    以上のように、交通の便の良さ、商業施設の充実、ベッドタウンとしての発展が、川口市の地価上昇に大きく寄与しています。

    資産価値が落ちない地域の基準

    資産価値が落ちない 地域の基準

    不動産の資産価値を維持するには、地域の利便性や環境が重要です。

    以下の基準を参考にして、資産価値が落ちにくい地域を見極めましょう。

    資産価値が落ちない基準
  • 交通の利便性 
  • 大規模開発の進展 
  • 商業施設の充実 
  • 環境面の安全性と利便性 
  • 地盤の安定性 
  • 用途地域の確認
  • 接道義務の確認 
  • 交通の利便性 

    地域の交通アクセスは不動産の価値に大きく影響します。

    新駅の開設や路線の延伸でアクセスが向上すれば、人々が集まりやすくなり、不動産の価値が上昇します

    駅からのアクセス、バス路線の充実度、道路の広さなども重要なポイントです。

    車での移動も考慮する必要があります。

    大規模開発の進展 

    大規模な開発プロジェクトは地域の発展を促進し、資産価値を向上させます。

    商業施設、学校、公園などの整備が進むことで、そのエリア全体の魅力が増し、不動産価格が上昇します。

    再開発が成功した豊洲や武蔵小杉などがその例です

    商業施設の充実 

    ショッピングモールや他の商業施設が新たに建設されると、そのエリアの需要が高まり、不動産の価値が上がります。

    特に車移動が中心の地域では、この効果が顕著です。

    新しい商業施設ができることで、その地域の魅力が増し、資産価値が安定します。

    環境面の安全性と利便性 

    公園や文化施設の存在、治安、教育環境などは、住民の満足度に直結します。

    文教地区や安全なエリアは、長期的に安定した資産価値を提供します。住みやすい環境を提供することが重要です。

    地盤の安定性 

    地盤の状態は資産価値に直接影響します。地震や台風のリスクを最小限に抑えるため、地盤が安定しているかを確認することが重要です。

    自治体のハザードマップや専門家の地盤調査を利用して、リスクを評価しましょう。

    用途地域の確認 

    土地の用途地域を確認することも重要です。

    住環境を重視する場合、商業地域や工業地域の近くではなく、住宅専用地域を選ぶことが望ましいです。

    用途地域により周辺環境が大きく変わるため、注意が必要です。

    接道義務の確認

     建物を建てる際には、道路に接する必要があります。

    旗竿地や袋地など、道路に接していない土地を購入すると、建築や将来の売却に問題が生じる可能性があります。

    購入前に、接道義務の確認を行うことが大切です。

    これらの基準を考慮して、長期的に資産価値が安定する地域を選ぶことで、将来の不動産投資を成功させることができます。

    資産価値が落ちにくい条件を整えて、安心して投資を進めましょう。

    まとめ

    埼玉県の地価公示価格は、南部地域を中心に上昇傾向が続いています。

    特に東京へのアクセスが良好なエリアでは、人口増加と再開発の進展により地価の上昇が顕著です。

    さいたま市や川口市、大宮区など、交通の利便性や商業施設の充実した地域は引き続き注目されるでしょう。

    一方で、アクセスの悪い地域や人口減少が進むエリアでは、地価の下落が見られます。

    今後の地価動向を注視しつつ、資産価値の維持や向上を見据えた不動産購入を検討することが重要です。