- 「すまい給付金」とは条件に該当する新築住宅を建てた場合、収入に応じて最大50万円が給付される制度
- 収入目安が年収775万円以下の人が対象
- 給付対象の住宅の引き渡し・入居期限は2022年12月31日
新築住宅の場合「すまい給付金」の条件に該当する住宅は数多くありますが、中古マンションの場合は限られてきます。理由は「すまい給付金」の条件として売主が宅地建物取引業者であることです。
何故、個人と売買契約を結ぶと「すまい給付金」の対象にならないのか?等を含めて「すまい給付金」について徹底解説します。
「すまい給付金」の受給条件 ※1
中古マンションを購入しようと思いますが「すまい給付金」って何ですか?
簡単に言えば、収入に応じて最大50万円がもらえる制度です。ただし条件がありますので詳しく解説します。
「すまい給付金」とは?
消費税率引き上げによる住宅取得者の負担を軽減するために創設した制度です。住宅ローン控除は支払っている所得税・住民税から控除する仕組みのため、収入が低いほど効果が小さくなります。「すまい給付金」は住宅ローン控除による軽減効果が及ばない収入の人に対して消費税増税による負担の軽減を図るものです。
中古マンションの売主の条件
中古マンションの売主は宅地建物取引業者であることが条件となります。個人の場合、売買契約した際に消費税が不要となるので「すまい給付金」の対象になりません。「すまい給付金」は消費税率引き上げによる増税分を緩和する制度なのでその趣旨から外れるからです。
売り主 | 消費税 | 住まい給付金 |
宅地建物取引業者 | 課税対象 | 給付対象 |
個人 | 非課税 | 給付対象外 |
給付対象となる中古住宅取引
「すまい給付金」の対象者の条件
①住宅所有者:不動産登記上の持分保有者
②住宅居住者:住民票において、取得した住宅への居住が確認できる人
③収入が一定以下の人
ⅰ消費税率8%の時:収入の目安が510万円以下の人
ⅱ消費税率10%の時:収入の目安が775万円以下の人
④住宅ローンを利用しない場合:年齢が50歳以上の人
消費税率10%の時、収入が650万円以下(目安)であり都道府県民税の所得割額が13.30万円以下が条件となります。
「すまい給付金」上での住宅ローンの条件
- 自ら居住する住宅の取得に必要な借入金であること
- 返済期間が5年以上の借入であること
- 金融機関等からの借入金であること:住宅ローン控除の対象となる金融機関と同じです。
- 親類・知人などからの借入金は、住宅ローンではない。
「すまい給付金」の住宅の条件
「すまい給付金」は良質な住宅の形成も目的です。品質に対して一定基準を満たす住宅が対象となります。
①引き上げ後の消費税率(8%もしくは10%)が適用されること
②床面積が50㎡以上であること(内法面積 )
→床面積は不動産登記上の床面積です。中古マンションの場合、契約書等に記載される壁芯寸法ではなく、内法寸法による面積となります。
③第三者機関の検査に合格した住宅であること
→売買時等に第三者の現場検査を受け、現行の耐震基準もしくは一定の品質が確認された以下のⅰ~ⅳのいずれかに該当する住宅
- ⅰ既存住宅売買瑕疵保険へ加入した住宅
- ⅱ既存住宅性能表示制度において耐震等級1以上獲得した住宅
- ⅲ住宅瑕疵担保責任保険に加入している住宅:建設後10年以内
- ⅳ建設住宅性能表示制度を利用している住宅:建設後10年以内
「すまい給付金」の実施期間
「すまい給付金」は消費税率が引き上げられる2014年4月以降に引渡しされた住宅から、2022年12月31日までに引渡し・入居した住宅が対象です。給付対象となる住宅は引き上げ後の消費税率が適用された住宅となります。よって、消費税率5%が適用された住宅は対象外です。
時期 | ~2014年3月 | 2014年3月~ 2019年3月 | 2019年10月~ 2022年12月 | 2023年1月~ |
消費税 | 5% | 8% | 10% | |
住まい給付金 | 対象外 | 対象 | 対象 | 対象外 |
「すまい給付金」の給付額 ※2
給付額は住宅の価格で決まるのですか?
いいえ、給付額は収入と持分割合で決まります。もう少し詳しくいえば都道府県民税の所得割額で決まります。
給付額
住宅取得時に適用される消費税率により給付額は違います。都道府県民税の所得割額により給付基礎額が決まります。給付基礎額に持分割合を乗じた金額が給付額となります。
給付額 = 給付基礎額 × 持分割合
収入 ※3
都道府県民税の所得割額と課税証明書
都道府県民税の所得割額は市区町村が発行する課税証明書で確認できます。課税証明書は発行年度の前年の収入により算出された都道府県民税の所得割額を証明します。
住宅の引渡し時期と課税証明書の発行年度
課税証明書の発行年度は引渡し時期で決まります。
引き渡し時期 | 2018年 平成30年 | 2019年 平成31年 令和元年 | 2020年 令和2年 | 2021年 令和3年 | ||||
1~6月 | 7~12月 | 1~6月 | 7~12月 | 1~6月 | 7~12月 | 1~6月 | 7~12月 | |
課税証明書 発行年度 | 平成29年度 | 平成30年度 | 令和元年度 | 令和2年度 | 令和3年度 | |||
対象となる 収入期間 | 平成28年 (1~12月) | 平成29年 (1~12月) | 平成30年 (1~12月) | 平成31年・ 令和元年 (1~12月) | 令和2年 (1~12月) |
基礎給付額
都道府県民税の所得割額に対する給付基礎額は下表の通りです。
消費税10%(住宅ローン利用有)
消費税10%(住宅ローン利用無)
簡易的な給付額のシミュレーション ※4
国土交通省すまい給付金のWEBサイトでは額面収入から給付額を計算できる簡易的なシミュレーションを公開しています。下記のURLが参考になりますので気になる方はご参照ください。
「住宅ローン減税やすまい給付金を拡充] (日本住宅新聞)
「住宅ローン減税、3年延長で調整「すまい給付金」拡充も」 (毎日新聞)
「すまい給付金」の申請方法と期限
住宅ローン控除の場合、確定申告する際に必要書類を添付して申請すれば良かったのですが、すまい給付金の場合はどうなのですか?
申請はすまい給付金事務局に対して窓口提出もしくは郵送となります。期限は住宅の引渡しから1年でしたが現在1年3か月に延長されています。
すまい給付金の申請は住宅取得者(不動産登記上の持分所有者)がそれぞれ行います。同じ住宅に居住する住宅取得者が複数名いる場合はそれぞれ申請する必要があります。取得した住宅に居住した後に、給付申請書と必要書類を一式、すまい給付金事務局へ持参もしくは郵送にて提出します。
申請の流れ
すまい給付金の申請手順と手続き内容は下表の通りです。
STEP.1取得した住宅に入居STEP.2必要書類の収集STEP.3給付申請書への記入STEP.4給付申請書と必要書類を一式、すまい給付金事務局へ提出STEP.5すまい給付金事務局で審査
STEP.6審査結果がハガキで郵送:振込予定日・給付額を通知
STEP.7振込予定日に金融機関口座確認
申請方法
申請は住宅を取得し入居した後に可能です。申請期限は住宅の引渡しから1年以内ですが、現在1年3か月に延長しています。
給付金の受領
すまい給付金事務局は申請書類に基づき審査し、不備・不適格などが無ければ提出から1.5か月~2か月ほどで申請者に給付金が支払われます。
住宅事業者が申請者の代わりに給付金を代理受領することも可能です。その場合、住宅取得者は給付金分を除いた金額を住宅事業者に支払います。残代金は住宅事業者が代理受領した時点で相殺となります。
給付申請書の種類
申請書はすまい給付金事務局まで取りに行かないといけないのですか?
すまい給付金WEBサイトからダウンロードできます。その他にも必要書類がありますので説明します。
すまい給付金の給付申請書は以下の種類ごとに異なります。
- 取得住宅の種類 :新築住宅 or 中古住宅
- 給付金受領方法 :申請者本人が給付金を受領 or 事業者が代理で給付金を受領
- 住宅ローン利用有無:住宅ローン利用 or 現金
取得住宅の種類 | 給付金受領方法 | 住宅ローン利用有無 | |
1 | 新築住宅 | 本人受領 | 住宅ローン |
2 | 現金 | ||
3 | 代理受領 | 住宅ローン | |
4 | 現金 | ||
5 | 中古住宅 | 本人受領 | 住宅ローン |
6 | 現金 | ||
7 | 本人受領 | 住宅ローン | |
8 | 現金 |
給付申請書・必要書類の入手方法
すまい給付金の給付申請書はすまい給付金申請窓口もしくはすまい給付金のWEBサイトからダウンロードして入手可能です。
必要書類
中古住宅(中古マンション)の場合の必要書類は下表の通りです。
書類名称 | 確認内容 | 入手先 | |
必須書類 | 給付申請書 | すまい給付金申請 | すまい給付金WEBサイト からダウンロード |
住民票(原本)(マイナンバー無記載) | 取得住宅への居住、入居日など | 市区町村:引越し後 | |
建物登記事項証明書(原本) | 取得住宅の持分者、持分割合、 床面積 | 法務局 | |
個人住民税の課税証明書(原本) | 住宅取得者の収入 (都道府県民税の所得割額) | 市区町村:引越し前 | |
不動産売買契約書 (コピー) | 取引の実在性、適用消費税率 | 宅地建物取引業者 | |
中古住宅販売証明書 (原本) | 売主が宅地建物取引業者の確認 | 宅地建物取引業者 | |
住宅ローンの金銭消費貸借契約書(コピー) | 住宅ローン借入の有無 | 金融機関 | |
振込先口座が確認できる書類(通帳)(コピー) | 給付金振込口座の確認 | 金融機関 | |
いずれか ひとつ | 既存住宅売買瑕疵保険の付保証明書(コピー) | 引渡し時に売主から交付 | |
既存住宅性能評価書 (コピー) | 耐震等級1以上に限る | 登録住宅性能評価機関 | |
住宅瑕疵担保責任保険の付保証明書(コピー) | 建設後10年以内で、住宅瑕疵担保責任保険へ加入の場合 | 売主 | |
建設住宅性評書 (コピー) | 建設後10年以内で、建設住宅性能表示を利用の場合 | 売主 |
まとめ
国土交通省は「すまい給付金」の利用者が想定を下回っていると分析しています。まだまだ世間に「すまい給付金」が知られていないこともありますし、不動産会社の中にもよくわかっていない業者が意外とあります。
消費税率アップの支援策として最大50万円の給付があるのですから利用しない手はありません。「住宅ローン控除」、「すまい給付金」は時限立法ですので近日中に中古マンション購入を検討される方は、この機会に両者を併せて活用されることをお勧めします。
出所
このコラムは以下の記事を参考に記述しております。