不動産購入時の住宅ローンの「事前審査」を徹底解説

この記事のざっくりしたポイント
  1. 事前審査の重要項目とは
  2. 事前審査に落ちやすい人の特長とは
  3. 安定した収入に家族がいると事前審査に通りやすい

住宅ローンには事前審査と本審査があります。 事前審査は申込者の信用と属性と不動産の情報を審査して「融資してもいい人かどうか」ということをざっくりと審査することです。

本審査は申込者の属性と不動産情報を確認資料とともに人間の手で審査を行う、どちらかといえば確認作業の審査になります。 したがって事前審査の内容が正確であれば住宅ローン審査に通過できる可能性は非常に高いと言えますし、事前審査に落ちて本審査で通過するということはありません。

住宅ローンを借りることができるかどうかを決定するための最も重要な審査が事前審査ということができます。 事前審査ではどのような点をチェックしているのか、詳しく解説していきます。

事前審査の内容

住宅ローン事前審査では基本的に事前審査申込書に記載した全ての項目がチェックされます。 その中でも最も重要なポイントは以下の4つです。

事前審査の最も重要なポイント
  1. 年収(返済負担比率)
  2. 収入の安定性
  3. 個人信用情報
  4. 担保評価

それぞれ審査ではどのように見られるのか、詳しく解説していきます。

個人の年収評価

住宅ローンの申込時には年収を申告します。 年収は高ければ高いほど審査で有利になることは間違いありませんが、住宅ローンでは返済負担率の基準を年収が満たしているかどうかということを主にチェックしています。

返済負担率というのは「住宅ローンと他社借入の年間返済額が年収の何%か」という考え方です。 ほとんどの住宅ローンでは返済負担率30%〜35%と決まっていることが一般的です。

MEMO
例えば年収400万円の人が返済負担率30%の住宅ローンを組もうとする場合、他社借入の年間返済額との合計で400万円×30%=120万円以内の返済にならなければなりません。

当然ながら年収の高い人の方が許容される住宅ローン年間返済額が大きくなるので審査には有利になります。 また正社員の最低年収程度の年収200万円くらいはないと住宅ローンの借入は難しいでしょう。

収入の安定性

いくら収入が高くてもその収入が今後も継続する見込みがないと審査に通過することは難しくなります。 住宅ローンは数十年という長い年月をかけて返済していくローンであるためです。 そのため収入が高い水準で安定している上場企業会社員や公務員は審査で有利になります。

また一般的に勤続年数が長ければ長いほど離職率は低くなっていくので勤続年数が長い方が審査で有利になり、最低でも3年以上の勤続年数はあった方が審査で心配ありません。

個人の信用調査

事前審査では個人信用情報に照会を行います。 住宅ローンはあらゆる個人ローンの中で最も審査が厳しいローンですので、個人信用情報に以下のような金融事故情報があるブラックの人は絶対に審査に通過することはできません。

審査通過に不利なブラック情報
  • 債務整理
  • 長期延滞
  • 代位弁済
  • 強制解約
注意
ブラックでなくても他社借入の返済に年間2回程度遅れている人、消費者金融カードローンやクレジットカードのキャッシングが多い人も審査では不利になります。

物件の担保評価

住宅ローンは購入(建築)する建物と土地、また建物だけ建築する場合にもその建物と建物が建っている土地も担保にしなければなりません。 この際、担保評価額の範囲内までしか融資を受けることができません。

MEMO
例えば評価額1,000万円の土地に建築価格3,000万円の建物を新築する場合には、4,000万円の住宅ローンしか組むことができません。

事前審査では周辺の基準地価などからざっくりとした担保評価を行い、住宅ローン申込金額が担保評価額の範囲内かということも審査をしています。

事前審査で落ちる理由

事前審査で落ちる理由は基本的に上記のポイントを満たすことができないケースです。 ただし返済負担率がオーバーしている場合や担保評価額が基準を満たすことができない場合には減額になることがあり、必ずしも一発で審査落ちになるわけではありません。

MEMO
例えば4,000万円の住宅ローンに申込をした人の担保評価額が3,000万円の場合には、4,000万円の申込が3,000万円へ減額回答となることがあります。

確実に一発で審査落ちになるケースは個人信用情報に問題があったケースです。
ブラックはもちろん消費者金融からの借入が多い、クレジットカードの支払いに遅れが多いというケースでも問答無用に審査落ちになることもあります。

また収入が不安定な人も審査に落ちてしまうことがあり、勤続年数1年未満などの人はよほど年収が高く個人信用情報が綺麗でない限りは審査に通過することは難しいでしょう。

*詳細「住宅ローンの事前審査で落ちる理由

借入履歴を正直に申告する理由

住宅ローンの事前審査申込書に借入履歴を申告する欄がありますが、審査で有利にしようと借入件数や金額を実態よりも少なく申告する人も存在します。 しかしこのような行為はほとんど意味がないばかりかマイナス効果になってしまいます。

借入履歴は個人信用情報に記録されているのでわざわざ申告させなくても審査をする側を個人信用情報から正しい内容をチェックすることが可能です。 では何のためにわざわざ借入履歴を申告させるかといえば「自分の借金の金額を正しく把握できている、計画性のある人間かどうか」を知るためです。

注意
実態とは異なる借入履歴を申告した人は「自分の借金すら把握していないだらしない人=リスクの高い人」と判断されたり「自分に有利になるように嘘の申告をする人=信用できない人」などと判断されてしまうこともあります。

少しの間違いであれば問題ないことも多いのですが、あまりにも借入件数や借入金額を過少申告していると「信用できないリスクの高い人」と判断されて審査に落とされてしまうこともあります。 借入履歴は正直に申告するようにしてください。

*詳細「住宅ローンの事前審査で借入履歴を正直に申告する理由

転職履歴を申告する理由

住宅ローンの事前審査申込書には現在の勤務先のほか以前の勤務先を申告する欄もあり、これまでの転職履歴を申告しなければなりません。 前述したように住宅ローンは返済期間が長いので、現在の収入が今後も安定して継続するという見込みが重要になります。

MEMO
これまで仕事をコロコロ変える人は、「今後、今の仕事も辞めてしまうかもしれない」という目で見られてしまい、審査にはマイナスになります。 逆に新卒採用されてから一度も転職履歴がない人は「これからも現在の勤務先に勤務し、現在の収入が継続していく可能性が高い」と判断されます。

返済期間の長い住宅ローンで重視されるのは「収入の高さより安定性」ですので、転職が多い人ほど「安定性がない」と判断されて審査で不利になります。 ただし、転職者の中には自分のキャリアアップのために転職をしている人も数多くいます。

このような転職の場合には今の勤務先と前の勤務先に関連性があるはずですので、前の勤務先の業種と今の勤務先の業種が一緒の場合には「キャリアアップのための転職」と判断されて審査でマイナスにならないこともあります。

*詳細「住宅ローンの事前審査で転職履歴を申告する理由

家族状況を申告するのはなぜ?

住宅ローンは借主しか審査の対象となりません。 したがって本人に信用があれば、家族状況に関わらず審査に通過することはできます。 しかし住宅ローンの事前審査申込書には家族状況を申告する欄があります。 これは家族がいる人の方が返済を真面目に行う傾向にあるためです。

住宅ローンで購入した家というのは家族の家でもあります。 返済が苦しいからと言っても大切な家族の住居を失ってしまうわけにはいかないので、家族がいる人ほど金銭的に苦しい時でも返済に励みお金を稼ごうとします。 また奥さんが働いていない人でも返済が苦しくなったときにパートなどで働き、返済を助けてくれる可能性もあります。

一方で独身者で自分1人しか住宅ローンを組んだ家に居住していない場合には、返済が苦しくなったとき家を捨てて逃げてしまうことは家族がいる人よりも簡単ですし、奥さんが返済を助けてくれるようなこともありません。

このようにローンに対して強い責任感を持つことができるのは独身の人よりも家族がいる人の方ですので、リスクを判定する材料として家族状況も事前審査で申告するのです。 家族がいる人の方が審査で有利になります。

*詳細「住宅ローンの事前審査で家族状況を申告するのはなぜ?

事前審査は何回までしていい?

カードローンやクレジットカードの審査では短期間の間に申込を何度も行うと審査に不利になっていきます。 個人信用情報にはCICとJICCは半年間、KSCには1年間申込の情報が記録され、申込情報が多い人ほど「よほどお金に困っている」とか「個人信用情報からは見えない隠れた借金があるかもしれない」などと判断されてしまうことが多いためです。

一方で住宅ローンでは申込情報が多くてもそれほど不利にはなりません。

そもそも住宅ローン審査は厳しいので金利の低い銀行の住宅ローン審査には通過できなかったけど、金利が高い住宅ローンには通ったなどと言うことはよくある話ですし、銀行も保証会社の異なる2つの住宅ローンに短期間のうちに申し込ませてしまうことなど日常茶飯事です。

またカードローンやクレジットカードはお金に困った人が借りるローンだからこそ申込情報が多いと「よほどお金に困っている」と疑われてしまい、リスク管理のために審査に落とされてしまいます。

しかし住宅ローンは住宅購入のためにしか利用することができないローンです。 そのためいくら住宅ローンへの申込情報が多くても「よほどお金に困っている」などと疑われてしまうことはありません。

ただし①ネット銀行かメガバンク②地方銀行か信用金庫③フラット35という審査難易度が異なる3種類の住宅ローン審査全てに通過することができなかったら、おそらくそれ以上他の住宅ローンに申込をしても結果は同じです。 このような場合にはまず審査落ちの原因を考え、審査に落ちた原因を解消してから再度申込をした方がよいでしょう。

*詳細「住宅ローンの事前審査は何回までしていい?

本審査で落ちることはある?

冒頭述べたように事前審査は本人の申告をもとに行われ、本審査では証明書類などをもとに申告内容が正しいかどうかの確認を行います。 また、担保評価では実際に現地まで赴き評価をすることが一般的です。

この際に年収や勤続年数や勤務先が申告内容と相違していた場合、担保となる土地の条件が悪く評価が著しく下がってしまった場合などは事前審査に通過しても本審査で落ちてしまうことがあります。 本審査で落ちた場合には正しい内容に修正して事前審査からやり直す場合もあり、審査には時間がかかってしまいます。

このような事態を防ぐために事前審査申込の際には手元に源泉徴収票などを用意して、申告内容が正しいかどうかをチェックした上で間違いのないように申込をしてください。 また、本審査では全ての申込事項に対して証明書類などから裏をとります。

注意
虚偽申告は絶対にバレますしマイナスにしかなりませんので正しい内容を申告してください。

*詳細「住宅ローンの本審査は落ちることはある?

ネット銀行の事前審査

ネット銀行には保証会社が存在しませんので前述したような内容をコンピューターが審査しています。 一方で店舗型銀行の保証会社付住宅ローンの事前審査では、前述したような審査内容を保証会社が審査します。

一般的には金利の低いネット銀行の事前審査の方が厳しいので、少しでも信用情報に問題がある場合や返済負担率が基準オーバーだったような場合には、問答無用で審査落ちになるか減額になります。

MEMO
保証会社付きの地方銀行などの住宅ローンの方が金利は高いですが少しくらい基準オーバーでも、審査に融通を利かせてくれる場合もあるようです。

フラット35の事前審査

フラット35の事前審査は住宅金融支援機構が決めた基準のチェックリストを取り扱い金融機関が保管しています。 金融機関にフラット35の申込を行うと、取り扱い金融機関がこの基準をもとに審査を行います。

フラット35の審査基準はホームページで公表されており、基本的にこの基準を満たしている人であれば審査に通過できます。 また、フラット35には勤務先や雇用形態の基準がありませんので、返済負担率さえ満たしていれば契約社員や派遣社員でも審査に通過できることもあります。