賃貸も分譲も、物件探しの時には新生活の想像が膨らみワクワクするものですが、物件探しのためにインターネットから色々な物件情報を見ていると、何やら見慣れない記号や略語ばかりの間取り図を見かけることがあります。
物件詳細にその略語の意味が書いてあることも多く、意味を不動産屋さんに問い合わせてみようと思っても営業されてしまうのではないか心配という事もあります。そこで今回は予め知っておきたい「略語がいっぱいの間取り図の読み方」をご説明しつつよくある質問や誤解について解説します。
世帯人数別にふさわしいマンションの広さ・間取り!
初級編
これまであまり引っ越しの経験がなく、間取り図を見慣れていない方が知ってい置いた方がいい間取り図の略語をご紹介します。
間取りの形や記号、略語を見れば直感的に何を指しているのか分かるものもありますが、ご自身の認識と相違ないかという意味でも一応確認してみてください。
間取り図略語「K」「DK」「LDK」
「K=キッチン」「DK=ダイニングキッチン」「LDK=リビングダイニングキッチン」という意味となりますが、「リビングとダイニングの線引きは?」「キッチンは何畳?」という質問をされる方がいらっしゃいますが、実はそれぞれに決まった畳数や仕切りのようなものはありません。
キッチンは対面型の独立したものや、廊下と居室が扉で仕切られた1Kであれば分かりやすいのですが、リビングダイニングはほとんどの場合で明確に分かれていません。感覚的にはLDKが1つのスペースにまとまった部屋で真ん中に廊下のあるマンション等であれば、廊下の延長線をリビングとダイニングの線引きの目安とされるケースが多く、とはいえ「くつろぐ」「食事」「炊事」という生活の大半を過ごす場所ですから、明確な線引きも必要ないという方もいます。
間取り図略語「㎡」「畳」「帖」
部屋の広さを表す単位です。
「㎡=平米」であり「1㎡=約0.64畳=0.3坪」となります。逆に考えると、「約3.3㎡=約2畳=1坪」と換算することができます。
尚、「畳」と「帖」に明確な違いはありませんが、和室の場合は「〇畳」、フローリング等の洋室であれば「〇帖」と指すことが一般的です。
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間取り図略語「UB」
こちらもご存知の方は多い「ユニットバス」の略です。
ユニットバスというと、お風呂とトイレ、若しくは洗面がまとまったスペースをイメージされる方が多いと思うのですが、実は洗面とトイレが完全に独立したファミリータイプの部屋でもUBと記載されることがあります。この理由についてはまた後程ご説明します。
間取り図略語「CL」「WIC(WCL)」
どちらも「クローゼット」を意味します。
正確には「CL=クローゼット」は服を掛けたり物を収納する広さ、「WIC=ウォークインクローゼット」は人が出入りできる広さのあるものという違いがあります。
「W」
間取り図によって表記は違いますが、洗濯機置き場を「W」と表記する場合があります。
「洗」と記載しているケースも多いのですが、キッチン近くや洗面所、単身用アパートであればベランダに表記されている場合もあります。
間取り図略語「R」
ワンルームの部屋であれば居室スペースに「R」と表記されることが多く、場合によっては「冷蔵庫」を指す事もあります。
キッチン付近にRと小さく書かれていることがありますが、「その付近に冷蔵庫のコンセントがありますよ」と示していることが多く、「冷」という表記になっていることもあります。
間取り図略語「BR」「MBR」
「BR」はの意味は「BR=ベッドルーム」となります。まれに「MBR」と書くこともあり「メインベッドルーム」という意味となります。寝室の中で最も広く寝室に適切なお部屋の場合に使われます。
世帯人数別にふさわしいマンションの広さ・間取り!
中級編
ここまでは初級編で頻繁にみられる略語を簡単にご説明しましたが、続いては中級編として、「よく見るけど何の略?」と思われがちな間取り図の略語をご紹介させていただきます。
間取り図略語「SB」
シューズボックス。下駄箱の事を指しますが、広めである場合は「SIC/SCL=シューズインクローゼット」と表記する場合もあります。
間取り図略語「Ent」
エントランス。玄関を指します。
間取り図略語「Sto」
ストレージの略語です。キッチン横にあることが多いのですが、「ストレージ=収納」という意味で、ちょっとした収納スペースを指すことが多いようです。
間取り図略語「WC」
トイレの事を指します。トイレのタイプを表すために「和」「洋」という風に書かれることもあります。
間取り図略語「CF」
クッションフロア。あまり見かけなくなりましたが、「居室」や「洋室」と記載する代わりに「CF」と記載していることがあります。
間取り図略語「RF」
ルーフフロアー。ロフトの事を指し、そのまま「LOFT」と記載されることもあります。
間取り図略語「HALL」
ホール。玄関から居間までの廊下や広間の事を指します。
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上級編
更に今度は、「全然何のことだか分からない…」と言われがちな間取り図の略語をご紹介させていただきます。あまり深く追求してしまうと建築用語などに関連してしまうため、あくまで一般的な間取り図で使用される略語で見る機会の少ないものという範囲であることをお忘れなく。
間取り図略語「MB」
メーターボックス。昔の区分所有のマンションですと玄関入ってすぐに設置されていることもありましたが、今ではほとんど、玄関横に設置して、完全に居住スペースとは分離されています。
間取り図略語「PS」
パイプスペースのことを指し、水道管や電気の配線などが集まる場所で、通常は共用部の廊下に面した箇所におかれます。ちなみに英文字にすると「pipe shaft」であり、pipe spaceではありません。
間取り図略語「RBL」
ルーフバルコニー。周辺住民への日照を確保することを目的として段々型のマンションを見かけることがありますが、段になっている場所を広いバルコニーとして使用する場合に表記されます。
間取り図略語「EV」
エレベーター。こちらも、部屋の間取りの外に記載されることの多いものですが、バリアフリー住宅などでは家の中に簡易エレベーターが設置されていることもあり、戸建ての間取り図でも稀に見かける略語です。
間取り図略語「AC」
エアコンを指し、そこにエアコンが置いてあるという意味ではなく、その位置にエアコンを設置するコンセントなどが壁に設置されて、エアコンの設置が可能ということを示していることがほとんどです。
間取り図略語「アルコープ」
アルコープとは玄関ドアが共用部の通路から少し引っ込んだところにある玄関前のスペースのことをいいます。簡単な柵が玄関前に設けられていることがあり、子供の自転車や傘立てが置いてあることも多く、通路との間に空間を置くことでプライバシーを確保できることがメリットです。
SLDKの「S」って何?
さて、間取り図の略語を駆け足で見てきましたが、間取り図でちょっと気になる疑問を取り上げてみたいと思います。
まずは「SLDKのSって何?」という疑問です。
不動産屋さんに「Sって何ですか?」と聞くと、担当者によっては端的に「納戸です」と回答されることがありますが、納戸と言われても何の目的の部屋なのかイメージしづらいかと思います。
間取り図では「SR」と書かれることもあり、つまりはサービスルームの事になるのですが、実は「洋室」「和室」といった部屋としての表記ができないのです。
その理由は採光や空気を取り入れる窓が無い場合は建築基準法で居室として認められないために、自由に使えるスペースという意味で「S=SR=納戸」という表記をするのです。
よって、「3SLDK」という部屋は「3部屋+納戸+リビングダイニングキッチン」となり、建築基準法を無視するのであれば「4LDK」と言い換えることもできます。
ユニットバスの本当の意味
本記事の初級編にて、トイレと風呂が別であっても「UB(ユニットバス)」と表記することがあると解説しました。これは非常に多い誤解なのですが、ユニットバスの意味は「トイレ、洗面、風呂などが一体型(3点ユニット)」という事ではありません。
昔の家で考えると、風呂もトイレも別となっていることがほとんどでしたので、大工さんが風呂とトイレを個別に作ってくれていましたが、現在では、工場で壁や天井、床、浴槽、洗面台、便器などを予め決められた大きさで作り、それらを建築現場まで持っていき、最後に部屋の中に決められた一つのスペースに収まるように組み立てます。
一時、ワンルームの多くでそれらをひとまとめにした3点ユニットを採用することが多かったため、「ユニットバス=3点ユニット」という認識が広まってしまったのですが、正確には「部品(ユニット)」を持ってきて組み立てた「風呂(バス)」のことをユニットバスと言うのです。
よって、ユニットバスと一口に言っても、風呂だけのユニットバスもありますし、洗面台と風呂の2点ユニットもあります。
物件探しの時に「UBは嫌です」なんて伝えると、それは「お風呂がある家は嫌です」と言っていることになってしまうのですが、不動産屋さんの担当者も昨今の誤解からその意図するところは理解してくれるかとは思います。
ただ、「UB=3点ユニット」ではないということをマメ知識として覚えておくと、バストイレ別の物件も探しやすくなるかもしれませんね。
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まとめ
今回は間取り図に見られる略語の説明とよくある質問と誤解について解説いたしました。こう見ると「なんでわざわざ、理解しづらい略語で書くの?」と思われるかもしれませんが、これは間取り図のスペースと文字の大きさに理由があります。
もし「下駄箱」という文字を玄関横の小さなスペースに書こうと思ったら、文字の大きさを小さくしなければならず、文字が小さくなれば漢字は潰れて読めなってしまいます。そのような理由から下駄箱を「SB」と書いたり、収納を「CL」と書いて見やすくするのです。
大きなスペースの居室には「洋室」「キッチン」と書かれていることもありますが、お洒落で洗練された建物ですと、略語や英語で書いたほうが見栄えが良いという理由もあるようです。間取り図を見た時に勘違いはしないよう、基本的な略語は理解しておきたいものですね。