不動産トラブルの解説室 | 弁護士が不動産トラブルを解説https://grand-next.jp/lawyerTue, 23 Dec 2025 06:31:34 +0000jahourly1https://grand-next.jp/lawyer/wp-content/uploads/2025/12/icon-192x192-1-150x150.png不動産トラブルの解説室 | 弁護士が不動産トラブルを解説https://grand-next.jp/lawyer3232 家賃を払わない借主を追い出すには?家賃滞納者の追い出し方まとめ【弁護士が解説】https://grand-next.jp/lawyer/dealing-with-rent-arrearsSat, 11 Jan 2025 17:13:38 +0000https://grand-next.jp/lawyer/?p=60

この記事のざっくりしたポイント 家賃を払わない借主を追い出す方法まとめ 家賃滞納者の追い出し方として法的には3段階ある 法的手続きはいずれも費用と時間がかかる手続きとなる かつてアパートやマンションなどの賃貸物件を所有し ... ]]>

この記事のざっくりしたポイント
  1. 家賃を払わない借主を追い出す方法まとめ
  2. 家賃滞納者の追い出し方として法的には3段階ある
  3. 法的手続きはいずれも費用と時間がかかる手続きとなる

かつてアパートやマンションなどの賃貸物件を所有して家賃収入を得るのは、「地主」や「資産家」と呼ばれる特別かつ限られた世界の人々でした。

しかし空前の超低金利時代といわれる昨今「銀行に預けるよりは」と考え、将来のための資産形成の一つとして、 ごく普通の会社員生活を送りながら不動産経営を手がける人が増えています。

 

不動産経営に興味はありますが、もし借主が家賃滞納をしたら…と思うと心配です。

 
 

法治国家である日本には「借地借家法」という厳格な法律があり、家賃滞納が生じたからといってすぐさま借主を追い出すことはできません。無用のトラブルに悩まされることなく不動産オーナーとしての権利を守るためには、家賃滞納に対する督促や取り立て方法などの対策を事前に考えておくことが重要です。

 

今回は 家賃を払わない借主を追い出すにはどう督促や取り立てをしたら良いのか、家賃滞納者の追い出し方法を法律的な観点からしっかり解説 します。

家賃を払わない借主は追い出すことができる?

まず法律的に問題となる家賃滞納とは具体的にどんな状況を指すのでしょうか。

借主とは賃貸借契約を結んでいるわけですから約束の期日に家賃が支払われなければ即ち借主の責務不履行となり、契約は解除されると考えられがち です。

しかし賃貸借契約が解除できるのは 貸主と借主の合意がある、または法律で定められた要件を満たす 場合に限られます。つまり、 1回だけの家賃滞納で貸主が一方的に契約を解除し借主を強制退去させることはできません。

では、いつまで家賃滞納が続いたら「法律で定められた要件」を満たし、退去させることができるのでしょうか。実は、 この点に関して借地借家法には明確な規定がありません。

そこで過去の裁判例を参考に推測してみると、 まず契約解除の事由に該当するのは家賃滞納が3ヶ月続いた場合と想定 されます。

MEMO
賃貸借契約のような継続的契約の解除については「信頼関係破壊の法理」が適用されるわけですが、貸主と借主の間の信頼関係が破壊されたとみなされるまでには3ヶ月の時間を要するわけです。さらに3ヶ月以上の家賃滞納があり、契約解除ができたとしても、まだ借主を強制退去させることはできません。
 

簡単に強制退去させることはできないんですね。

 
 

権利者であっても司法手続きによらず実力をもって権利回復をはたすことは認められない「自力救済禁止の原則」があるため、家賃滞納があったとしても貸主が借主を強制的に退去させることは違法行為となってしまいます。

 

では、どうすればいいのか。という疑問に行き着くわけですが、 家賃滞納に対する督促や取り立て方法、さらに借主を退去させるための具体的な手続きや段階 については、次の章で詳しく解説しましょう。

家賃滞納者の追い出しをする前に

家賃滞納者を追い出したい場合、法律に基づいて行う必要がありますが法的手続きは時間も費用も掛かります。

そこでまずは管理会社に督促を依頼をする、連帯保証人に連絡をするなどのできることから着手しましょう。

管理会社に督促を依頼

家賃滞納が発生したらまず行うこと、それは 管理会社に督促を依頼する ことです。

不動産オーナーの多くは家賃徴収を含む物件管理を管理会社に委託しています。この場合、 家賃の督促・取り立ては管理会社の仕事であり、本来はオーナーが直接動く必要はありません。

とはいえ管理会社から「家賃滞納が発生しました」と連絡が来た際は、 オーナーから「きちんと督促してくださいね」と言い添えることをおすすめ します。管理会社は電話や書面、場合によっては訪問して督促を行ってくれるはずです。

その進捗状況は逐一報告を受け、滞納の理由、そしていつまでに支払いがあるのか、といった情報を確認しましょう。

連帯保証人に連絡

賃貸借契約時に連帯保証人を設定している場合は家賃滞納が発生した時点でただちに連絡 しましょう。

連帯保証人は言うまでもなく賃貸借契約における借主の責務を負っているわけですから、 借主が家賃滞納した場合は代わりに家賃を支払う義務があります。

もっとも連帯保証人に期待するのは多くの場合、家賃を肩代わりしてもらうというより、借主に対して「ちゃんと家賃を払うように」と苦言を呈してもらうことです。

連帯保証人は家族や目上の親戚に依頼しているケースがほとんど なので、保証人から厳しく注意してもらうことでスムーズに取り立てができるだけでなく、 その後の家賃滞納リスクがぐっと低下することも期待 できます。

家賃保証会社に連絡

家賃保証会社とは家賃滞納があった場合にその家賃を立て替えて支払ってくれる会社 で、保証料は賃貸借契約時に借主が支払います。

近年、 親の高齢化などから連帯保証人を頼めないケースが増えていることから広く利用される ようになりました。

そもそも家賃保証会社とは借主の家賃滞納が発生したときのために存在しているわけですから、 真っ先に連絡するのは当然のこと です。

家賃保証会社への報告期限を「滞納発生から40日以内」と設定している会社が多い ようなので、家賃滞納が生じた際は速やかに連絡しましょう。

 

報告期限を過ぎてしまうとどうなりますか?

 
 

報告期限を過ぎると、せっかく契約していたにもかかわらず賃料が満額保証されないこともあるので、注意が必要です。ちなみに、家賃保証会社が借主に代わってオーナーに家賃相当額を支払った後、借主に対する取り立ては家賃保証会社が行うことになります。

 

内容証明郵便で督促

家賃滞納が2ヶ月以上続くようなら内容証明郵便で請求書を送付して督促 を行います。

内容証明郵便とは、いつ、どのような文書が、誰から誰宛に差し出されたのかを、郵便局(日本郵便株式会社)が証明する郵便です。 内容証明郵便で督促を行うことで、その後訴訟に発展した場合、「実際に督促を行った」という履歴が残ります。

そのため、ここで送付する請求書には 金額と支払い期日を明示し、支払いがない場合には立ち退き・明け渡しなど法的手段を取ることを記載することが重要 です。

ここから先は万一訴訟になった場合のことを視野に入れ、借主とのやり取りの履歴をきちんと残しておきましょう。

法的手続き以外の解決法も視野に

家賃滞納を続ける借主を1日も早く退去させたいと考えるなら、まずは 裁判など法的手続き以外での解決を試みてみましょう。

明け渡しを求める訴訟裁判を起こした場合、判決が確定するまで通常は少なくとも半年ほどかかると言われています。当然、その間の家賃収入は期待できず、貸主にとっては精神的にも大きなストレスとなります。

さらに 訴訟のための弁護士費用や明け渡し訴訟の費用など、それなりの出費も覚悟しなければなりません。

それでは、どうしたら借主が退去してくれるのでしょうか。

例えば 滞納分の家賃回収を諦めて「◯月◯日までに退去すれば不払い分の家賃の支払いを免除する」と通知し、退去を促してみる のも手でしょう。

大きな損失と感じるかもしれませんが、裁判にかかる時間とお金を考えれば、少しでも早く退去させて次の借主を探したほうが、結果として「お得」になる場合がほとんどです。

MEMO
実際、不払い分免除の条件を提示することで、意外なほどあっさり退去する人が多いといわれています。信頼できる管理会社であれば、こうした解決方法に関するノウハウを蓄積しているはずなので、相談しながらベターな方法を探りましょう。

家賃滞納者を追い出す法的手続き

いろいろ手を尽くしても滞納家賃を取り立てられず借主の退去もない場合は 法的手続きに移ります。 この場合利用できるのは 「支払い督促手続き」「少額訴訟」「民事訴訟」 の3つです。

支払督促

支払督促とは申立人の申し立てのみに基づいて簡易裁判所の書記官が相手方に金銭の支払いを命じる制度 です。

支払督促申立書に必要事項を記入して提出するだけで、家賃滞納を続ける借主に対して裁判所から督促状を出してもらうことができます。

 

督促状を出すだけでは効果がないような気もしますが…。

 
 

たしかに督促状が届くだけではありますが、裁判所からの通知には心理的な効果が大きく、これに驚いて支払いに応じるケースは少なくありません。強制力のあるものではありませんが、手続きは簡単で費用も訴訟を起こす場合の半分で済むので、まずは試してみましょう。

 

少額訴訟

少額訴訟とは60万円以下の金銭の支払いを求める場合に利用できる訴訟 です。

申立費用が安く、手続きにかかる期間が短い上に原則1回の審理で判決が言い渡されます。裁判といっても裁判官とともに貸主、借主がテーブルについて話し合うイメージで、 この中で妥協点が見出されれば和解となる可能性もあります。

注意
また判決による判決書、和解による和解調書によって強制執行を申立てることができるので、支払督促と違って強制力のある制度といえます。ただし、少額訴訟でできるのは家賃滞納の取り立てだけで、強制退去を促すことはできません。

民事訴訟

家賃滞納が3ヶ月以上続き、契約解除を求めても立ち退かない借主を退去させるには、民事訴訟を起こす ことになります。

判決後、貸主と借主の間で退去日の調整を行いますが、これが決まらない場合は さらに強制執行の申立を行うことが必要 です。強制退去の日付は裁判所が定め、借主に立ち退き催告状が届きますが、その期日を過ぎても明け渡しがない場合、いよいよ強制退去となります。

強制執行によって立ち退きが完了するまでは早くても半年、裁判で争いになったりすると長い場合2年はかかる といわれています。

弁護士費用は100万円ほど必要で、しかもその間は家賃収入がありません 。さらに、借主の荷物を搬出・処分する費用として、10〜50万円はかかります。こうした費用は借主に請求することができますが、ここまで家賃滞納を続けた借主が支払いに応じることはまずあり得ないので、 すべて貸主の負担となることを覚悟しましょう。

信頼できる管理会社選びが重要

ごく普通の会社員が不動産経営を行うことが珍しくない今日、 家賃滞納の対策や取り立て方法などは誰もが知っておくべき情報 です。

借主の家賃滞納があった場合、 まずは管理会社に督促を依頼し、滞納の理由やいつまでに支払うかを確認してもらいます。 連帯保証人がいる場合は、 家賃滞納が発生した時点で即座に連絡を取り、借主に厳重注意をしてもらうことも有効 です。

それでも家賃滞納が解消されない場合は法的手続きに向けて動くことになります。 契約解除事由に該当するには家賃滞納が3ヶ月以上続くことが必要 なので、この間に内容証明郵便で請求書を送付し、実際に督促を行ったという事実を残しておくことが重要です。

法的手続きには 「支払督促手続き」「少額訴訟」「民事訴訟」 の3段階があります。いずれも費用と時間がかかる手続きなので、ここに至る前に 不払い分の家賃を免除する旨を通知し、借主を退去させることも検討すべき でしょう。

 

家賃滞納トラブルを解決するには、時間もお金も掛かって大変なんですね。

 
 

そうですね。これを未然に防ぐためにまず重要なのは、信頼できる管理会社を選んで管理を任せることです。家賃滞納が発生した場合に素早く有効な督促を行い、その後は家賃滞納が発生しないようきちんと対策を講じてくれる会社を選びましょう。

 
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越境物の覚書にデメリットはある?拒否された場合の対処法も解説https://grand-next.jp/lawyer/crossborderitems-troubleWed, 21 Feb 2024 16:26:16 +0000https://grand-next.jp/lawyer/?p=32

この記事のざっくりしたポイント 越境物の覚書のメリット・デメリットを解説 覚書は拒否できる?拒否された場合の対処法とは 覚書が無いと住宅ローンで不利になる可能性も 「越境物の覚書に関するデメリットはある?」 「覚書への署 ... ]]>

この記事のざっくりしたポイント
  1. 越境物の覚書のメリット・デメリットを解説
  2. 覚書は拒否できる?拒否された場合の対処法とは
  3. 覚書が無いと住宅ローンで不利になる可能性も
「越境物の覚書に関するデメリットはある?」「覚書への署名を隣人から拒否された」など、越境物の覚書についてお悩みの方もいるのではないでしょうか。越境問題が解消できない場合、「越境物の覚書」を作成しなければさまざまなデメリットが生じます。しかし一方だけの意思では作成できないため、作成が難しいこともあります。今回の記事では、越境物の覚書に関するデメリットやメリット、覚書への署名を拒否できるかどうかなどを解説します。また拒否されたときの対処法もご紹介しているため、ぜひ最後までご覧ください。

越境物の覚書とは

越境物の覚書とは、隣地との間に越境物がある場合に、その解決方法についてお互いが合意した内容を書面化したものです。ここでは越境物の覚書が持つ効力や記載すべき内容を解説します。

そもそも越境物とは

そもそも越境物とは、隣り合った土地の境界をまたいで存在する構造物などをいいます。越境物には、たとえば以下のようなものがあります。
地上越境物
建物・ブロック塀・植栽など
地中越境物
基礎・給排水管など
空中越境物
樹木の枝・電線・雨樋・庇など
地上のものだけでなく、地中や空中にあるものも越境物になるのですか?

事務員

櫻井弁護士

民法上、土地の所有権は上空にも地下にもおよぶとされています(民法207条 土地所有権の範囲)。そのため、地中や空中にも越境の問題が生じるのです。

越境物の覚書が持つ効力

越境物の覚書にはさまざまな効力があります。まず、それぞれが署名・押印した覚書の存在は、お互いに越境物があることを認め、解決方法に対して納得している証明になります。そのため現在はもちろん、将来的にも隣地所有者とのトラブルを防ぐ手段として有効です。また、「取得時効(民法162条)」を更新させる効力もあります。
取得時効とは何ですか?

事務員

櫻井弁護士

取得時効とは、所有の意志を持って10年または20年占有していた物の所有権を取得できる制度です。覚書を交わすことで進行していた時効が止まり、土地を失うことを回避できます。

越境物の覚書に記載すべき内容

越境物の覚書に記載すべき内容は以下のとおりです。
越境物の覚書に記載すべき内容
  • 越境が生じていること
  • 越境物の詳細
  • 越境の状態をお互いが確認したこと
  • 越境物の所有者はどちらか
  • 一定のタイミングで撤去や移動を行うこと
  • 越境されている側の土地所有者は、5で定めたタイミングまで撤去を保留すること
  • 土地の所有者が変わる場合は、次の所有者に覚書を継承すること

越境物の覚書に関するデメリットとメリット

土地に越境物がある場合、そのまま放置しておくことは危険です。ここでは、越境物の覚書を作成しないデメリットと作成するメリットについて解説します。

越境物の覚書を作成しないデメリット

越境物の覚書を作成しないデメリットは以下のとおりです。
越境物の覚書を作成しないデメリット
  • 不動産としての価値が下がる
  • 売買契約自体が白紙になることがある
  • 越境部分を時効取得される可能性がある
それぞれ解説します。

不動産としての価値が下がる

越境物の覚書がないことで、なぜ不動産の価値が下がるのですか?

事務員

櫻井弁護士

購入後トラブルが起きる、もしくはすでにトラブルになっていると思われるためです。越境物があるとわかったら、越境物を取り除くか覚書を作成する必要があります。
たとえば、越境物が植栽であれば越境部分を刈り取れば済みます。しかし、建物だとそう簡単にはいきません。そのため覚書が重要なのです。

売買契約自体が白紙になることがある

越境物の覚書がないという理由で、契約自体が白紙になることもあります。越境物があっても、買主がよいといえば売却は可能です。しかしトラブルになることが目に見えている不動産など、高いお金を払ってまで購入したいとはあまり思わないでしょう。すぐに越境が解消できない場合でも、覚書があれば契約解除を回避できる可能性があります。

越境部分を時効取得される可能性がある

前述のとおり、隣地から長年越境されていると、取得時効によって越境部分の土地を取られてしまう可能性があります。自分の土地であると思い込んでいる場合は10年、自分の土地ではないと知っていた場合でも20年占有を続けると時効は完成します。時効が完成すると所有権は隣地所有者に移り、土地の分筆や所有権移転登記を求められるおそれがあります。しかし、越境物の覚書を交わすことは民法第152条でいう「権利の承認」にあたるため、時効の進行は止められます。 
注意
土地を取られないためには、覚書が重要であるといえるでしょう。

越境物の覚書を作成するメリット

越境物の覚書を作成するメリットは以下のとおりです。
越境物の覚書を作成するメリット
  • 隣地所有者との将来的なトラブルを防げる
  • 越境物があっても買主が見つかりやすくなる
  • 買主が住宅ローンに通りやすくなる
それぞれ解説します。

隣地所有者との将来的なトラブルを防げる

越境物の覚書によって、隣地所有者との将来的なトラブルを防げます。自分と隣地所有者間のトラブルだけでなく、買主と隣地所有者間で将来起きる可能性のあるトラブルについても有効です。また、売買時に買主に対して越境について説明をしなかった場合や説明しても不十分で買主が越境を認識できていなかった場合、売主が買主から説明義務違反があったとして損害賠償請求されるおそれもあります。 
MEMO
当事者全員が越境について正しく理解し覚書を交わすことで、上記のようなリスクは避けられます。

越境物があっても買主が見つかりやすくなる

越境物があっても、買主が見つかりやすくなります。覚書がある=越境について隣地所有者が了承しており、話がついているということであるためです。覚書がなければあとあとトラブルが起きるかもしれない土地を購入しなければならなくなりますが、話がついているとわかれば買主は安心して購入できます。

買主が住宅ローンに通りやすくなる

越境物の覚書があることで、買主が住宅ローンの審査に通りやすくなります。建物の建築予定地に越境物がある場合、不動産の担保価値が下がるとの理由から融資を受けられないケースも少なくありません。理想は撤去ですが、覚書によって撤去の約束が取り付けられているのであれば、前向きに検討してくれる金融機関もあります。

櫻井弁護士

越境物の覚書と住宅ローンについての詳細は後述します。

越境物の覚書は拒否できる?拒否された場合の対処法

越境物の覚書は、一方の考えだけでは作成できません。しかし、覚書への署名は拒否できるのでしょうか?ここでは越境物の覚書が拒否できるかどうかや、拒否された場合の対処法について解説します。

越境物の覚書は拒否できる

越境物の覚書への署名は拒否できます。覚書の作成は法的義務ではなく、あくまでも土地所有者の意思が必要であるためです。そのため強制はできません。

覚書への署名を拒否された場合の対処法

越境物の覚書にはお互いの合意が必要です。そのため、片方が署名を拒否すればその内容は成立しません。ここでは、隣地所有者に覚書への署名を拒否された場合の対処法について解説します。

越境の状態を解消する

越境物の覚書が作成できなければ、越境を解消できないか試みましょう。隣地が越境してきている場合、覚書すら拒否されている状況で了承を得るのは難しいかもしれません。しかし、越境しているものによっては解消に応じてもらえる可能性があります。たとえばブロック塀の角が越境しているだけなら、その部分を削ればクリアできます。樹木の枝や葉であれば隣地所有者に切除するよう要請でき、相当期間内に切除されない場合は越境されている側が切除しても法律上は問題ありません。また、越境しているのが根であるなら、切り取ってもよいとされています。樹木については民法第233条で上記のことが認められていますが、だからといって強引に切除してしまうとトラブルを招くおそれがあります。隣地所有者と協議をしながら、慎重に進める必要があるでしょう。

越境部分を隣地所有者に売却または贈与する

越境を解消できない場合は越境部分の土地を分筆し、隣地所有者に売却または贈与する方法があります。分筆とはひとつの土地を複数に分ける手続きのことで、正式には「土地分筆登記」といいます。土地を分筆すれば越境問題はクリアできます。ただし贈与の場合はともかく、売却に応じてくれるとはかぎりません。応じたとしても、買いたたかれる可能性があります。 
注意
また、分筆によって土地が狭くなった分土地の価値が下がったり、建てられる家の面積が小さくなる可能性があります。

越境部分を分筆して売却対象から外す

隣地所有者と連絡が取れないなどで話もできないようなケースは、越境部分の土地を分筆して売却対象から外すという選択肢もあります。この方法であれば越境の問題はクリアできます。しかし、越境部分の土地を捨てるようなものであるため、最終手段だと思っておいたほうがよいでしょう。

不動産買取業者に買い取ってもらう

越境問題が解決できない場合は、不動産買取会社に買い取ってもらうのもひとつです。不動産買取業者とは、買い取った不動産を転売・賃貸する業者のことです。越境が解消していない土地でも、土地家屋調査士などの専門家と連携し、問題を解決したうえで転売などを行います。隣地所有者との交渉や覚書の作成は買取後に行われるため、隣地所有者とのトラブルを気にする必要がない点はメリットといえるでしょう。
デメリットはないのですか?

事務員

櫻井弁護士

相場より売買価格が安くなることや、必ずしも買い取ってもらえるとはかぎらないというデメリットがあります。そのため注意が必要です。

越境物の覚書は土地家屋調査士に依頼する

なぜ土地家屋調査士に依頼するとよいのですか?

事務員

櫻井弁護士

相場より売買価格が安くなることや、必ずしも買い取ってもらえるとはかぎらないというデメリットがあります。そのため注意が必要です。土地家屋調査士とは、土地・建物の存在を表す「表示登記」や測量、境界に関する業務の専門家です。越境の状態を把握するためには、隣地との境界をはっきりさせる必要があります。そのため、越境物の覚書は土地家屋調査士に依頼するのがおすすめなのです。
ここでは、土地家屋調査士に依頼する際の流れや費用相場について解説します。

依頼から作成までの流れ

土地家屋調査士に越境物の覚書の作成を依頼する際の流れは以下のとおりです。 
手順1
土地家屋調査士への依頼
手順2
文境界立会・境界確定
手順3
越境物の特定
手順4
越境の解消方法についての協議
手順5
越境物の覚書作成
それぞれ解説します。

1.土地家屋調査士への依頼

まずは土地家屋調査士に依頼します。探し方は以下のとおりです。
土地家屋調査士の探し方
  • 知人からの紹介
  • インターネットで検索
  • 日本土地家屋調査士連合会のホームページで検索
おすすめは、日本土地家屋調査士連合会のホームページで検索する方法です。「土地家屋調査士検索」から検索が可能です。

2.境界立会・境界確定

土地家屋調査士への依頼後、境界立会が行われます。境界立会とは、依頼者と隣地所有者が集まって土地の境界を確認することです。土地家屋調査士が主体となり、一点一点確認していきます。隣地が民有地だけであれば依頼者と隣地所有者、土地家屋調査士だけで行いますが、官有地も含まれているときは市や県の職員も参加します。民有地とは民間で所有している土地のことで、それ以外の土地は行政が所有する官有地です。境界確認後は土地家屋調査士によって確定測量が行われ境界の目印となる「境界標」が設置されます。そして確定測量図が作成されます。

3.越境物の特定

境界確定後、土地家屋調査士が越境物の位置や越境の状態などを確認・測量し、特定します。調査内容を依頼者と隣地所有者に確認し、越境部分の現況平面図を作成します。

4.越境の解消方法についての協議

越境をいつどのように解消するかについて、隣地所有者と協議します。たとえば建物の一部が越境している場合、越境している側が建て替えを行う際に越境を解消し、越境されている側はそれまで猶予するというのが一般的です。注意点は、隣地所有者ともめないようにすることです。ここでもめてしまうと、隣人トラブルが生じていることを売却時に告知しなければならなくなり、ますます売れにくくなってしまいます。話し合いがまとまったら、その内容で覚書を作成します。

5.越境物の覚書作成

覚書は自分で作成しても、越境物を調査してくれた土地家屋調査士に作成してもらっても構いません。土地家屋調査士に依頼する場合は、土地家屋調査士に隣地所有者との協議内容を伝え、それをもとに作成してもらいます。覚書は、同じものを2通用意します。依頼者と隣地所有者双方が署名・押印し、それぞれ1通ずつ保管します。

土地家屋調査士に依頼した場合の費用相場

土地家屋調査士に依頼した場合、いくらくらいかかりますか?

事務員

櫻井弁護士

50万円〜110万円程度が費用相場です。金額に幅があるのは、土地の面積や隣地所有者の数などによってかかる費用が異なるためです。
費用は、隣地が民有地のみか官有地も含むかによっても異なります。隣地に官有地が含まれている場合は市や県の職員と連携して業務を行う必要があり、手間がかかるため費用が高くなります。内訳は以下のとおりです。
隣地確定測量越境物調査合計
民有地のみ35〜45万円15〜30万円50〜75万円
官有地あり60〜80万円75〜110万円
土地の状況などによっては、さらに高額になる場合もあります。

越境物の覚書がないと住宅ローンが難しくなる

越境物の覚書がないことは、住宅ローンの審査にも影響します。ここでは、住宅ローンが難しくなる理由や覚書があっても審査に通らない場合があることについて解説します。

住宅ローンが難しくなる理由とは

なぜ越境物の覚書がないと、住宅ローンが難しくなるのですか?

事務員

櫻井弁護士

それは、越境物があることによって、新築や建て替え時の建築確認申請や完了検査が通らない可能性があるためです。完了検査に通らなければ審査には通りません。
土地の担保価値も下がります。審査では、担保となる物件にどの程度担保価値があるかも重視されます。以上のことから、越境物があり、その越境物を将来的に撤去するという約束がなされていないような土地は審査に不利になるのです。

覚書があっても審査に通らない場合がある

越境物の覚書があっても、審査に通るとはかぎりません。越境に関する考え方は金融機関によって異なり、厳しく判断する傾向にある金融機関では、越境物の覚書があっても融資が認められないことがあります。また、審査に通ったとしても、希望している融資額より減額されたり金利が高くなったりと、不利な条件でしか借入できない可能性があることを覚えておきましょう。

まとめ

越境物の覚書に関するメリットやデメリット、覚書への署名を拒否できるかについて解説しました。土地に越境物があるとさまざまな面で不利になります。しかし越境は珍しいことではなく、境界立会などで発覚することはよくあります。もちろん越境の状態を解消できることが一番ですが、ケースによっては撤去できないこともあるでしょう。そのようなときの切り札となるのが越境物の覚書です。越境物の撤去はできなくても、覚書を作成できるよう日頃から隣地所有者との関係を良好にしておくことが大切です。]]>
犬がうるさいと通報されたら?殺意がわくほどうるさく感じるケースもあるhttps://grand-next.jp/lawyer/dogbarking-troubleWed, 21 Feb 2024 16:15:00 +0000https://grand-next.jp/lawyer/?p=22

この記事のざっくりしたポイント 犬がうるさいと通報されたらどうなるのかを解説 殺意がわく?近所の犬がうるさい場合の対処法とは 慰謝料を請求されることはあるのか ペットを飼っている人にとって、ペットは大切な家族の一員です。 ... ]]>

この記事のざっくりしたポイント
  1. 犬がうるさいと通報されたらどうなるのかを解説
  2. 殺意がわく?近所の犬がうるさい場合の対処法とは
  3. 慰謝料を請求されることはあるのか

ペットを飼っている人にとって、ペットは大切な家族の一員です。家族にとってペットの鳴き声は気にならないものですが、周りの人にとっては迷惑になることがあります。

もし 周囲の住人から犬がうるさいと言われて通報された場合、どのように対処すればよいでしょうか。

逆に、近所の犬がうるさいときにどうすればよいのか困惑している人もいるかもしれません。鳴き声でノイローゼになったり殺意がわくほど怒りを感じたりするケースもあります。しかし直接苦情を言ったらトラブルになるのではないかと心配している人もいるでしょう。

本記事では、 犬がうるさいと通報されたらどうなるのか、犬がうるさい場合の対処法について詳しく解説します。

犬がうるさいと通報されたらどうなる?

犬がうるさいと通報された場合、法律や条例に違反するのでしょうか。

以下では、 犬がうるさい場合に関係する法律や条例を挙げて説明します。

動物愛護管理法による規定

動物愛護管理法第7条第1項は、ペットが人に迷惑を及ぼすことのないように努めなければならないと規定 しています。

犬がうるさい場合、人に迷惑を及ぼしているといえます。しかしながら、 「努めなければならない」とあるとおり、この規定はあくまで努力義務であり、違反したとしても罰則が定められているわけではありません。

櫻井弁護士

ただし、犬の飼育方法が悪かったり、飼い主の虐待によって犬が鳴きやまないような場合、飼い主に罰則が適用される可能性はあります。

民法上の責任

民法第718条第1項は、ペットが他人に損害を与えた場合の飼い主の損害賠償責任を規定しています。

犬がうるさく周囲の人に精神的苦痛を与えているような場合、損害賠償責任を負う可能性 があります。後で説明するとおり、犬の騒音が「受忍限度」を超えたかどうかが判断基準になってきます。

なお、 飼い主が相当の注意をもってペットを管理していた場合、損害賠償責任は発生しません。 しかし、犬がうるさいようなケースでは、飼い主が相当の注意をもって管理したと認められることは少ないといえるでしょう。

自治体ごとの条例

自治体には、都道府県ごとに迷惑防止条例が定められていますが、 迷惑防止条例には犬がうるさいときの賠償責任や罰則を定めた直接の規定はありません。 よって、条例違反に問うことはできないと考えられます。

犬がうるさくて殺意がわく? 仕返ししたい? 体験談

以下では、犬がうるさいというSNS上のリアルな声を紹介します。「殺意」というワードを用いているツイートを取り上げた上で、簡単な感想などを述べたいと思います。

鳴き声がマジでうるさい

犬の騒音が切実な問題であること がツイートから伝わります。騒音の程度や時間帯によっては損害賠償を請求できるかもしれません。

鳴き声で早朝に起こされて迷惑

早朝5時という一般人が通常就寝している時間帯に犬がうるさい場合、 受忍限度を超えて違法とされる可能性は高くなる でしょう。

両隣同時の犬が吠えあっている

両隣からの犬の鳴き声がうるさい場合、お互いの犬が吠えあってさらに騒音が大きくなる可能性があります。 自治体や保健所に相談したほうがよいでしょう。

早朝深夜お構いなしにうるさい

深夜に犬の鳴き声がうるさい場合、受忍限度を超えているとして損害賠償が認められる可能性 があります。

たかが犬の鳴き声といえど、それにより睡眠が妨害されたり生活に支障が出るようであれば、強い憤りを感じてしまうこともありますよね。

事務員

櫻井弁護士

ただし飼い主は他人に迷惑をかけていることに気が付いていない可能性すらあるので、感情的にならず冷静に対処すべきです。

近所の犬がうるさい場合の対処法

 

近所の犬がうるさくて耐えられない場合、どのような対処法があるのでしょうか。 まずは飼い主に直接伝えることが思い浮かぶと思いますが、おすすめしません。

直接伝えることによって逆に口論になったり、最悪の場合飼い主から逆恨みされて危害を加えられる可能性もあるからです。

櫻井弁護士

ここでは、飼い主に直接伝える以外で主な対処法を5つ挙げて詳しく説明します。

管理会社・大家

同じマンションやアパートの住人の犬がうるさい場合には、 管理会社や大家に苦情を申し立ててみましょう。 管理会社や大家を通じてペットの飼い主に指導が入るため、トラブルにならずに問題を解決できる可能性があります。

市役所・区役所

市役所や区役所などの自治体では、ペットの騒音などのトラブルの相談に乗ってくれる窓口を設けているところもあります。 そういった窓口が存在する場合、自治体に相談することをおすすめします。

犬の鳴き声がひどいようであれば、自治体の職員が飼い主にヒアリングをしたり、指導をしてくれる可能性があります。

保健所

その地域を管轄している 保健所に犬がうるさいことを伝える方法もあります。 飼い主のペットの管理方法がずさんで犬が放し飼いにされているような場合などは保健所から指導が入る可能性があります。

保健所へは匿名で相談できるのでしょうか?

事務員

櫻井弁護士

匿名で相談することはできませんが、飼い主に対しては名前を伏せてもらうことは可能です。

警察

犬がうるさい場合、警察へ通報することを考える方もいるでしょう。しかし、犬がうるさいからといって何らかの犯罪になることは少なく、民事的な賠償の問題にとどまるケースが多いです。

警察に相談することは可能ですが、民事的な問題については警察は介入せず、あくまで刑事事件化するようなケースでしか動いてくれない ということを認識しておきましょう。

弁護士

市役所などの自治体や保健所は、飼い主に対し指導してくれる可能性はありますが、強制力はありません。よって、指導に従わず鳴きやまない状態が続く可能性があります。

自治体や保健所などに相談しても問題が解決しない場合、弁護士に相談することをおすすめします。

犬がうるさい場合、先ほども説明した通り、 民法上の損害賠償責任が発生する可能性 があります。訴訟を起こすことで慰謝料を請求できるケースもありますので、弁護士に状況を相談してみるとよいでしょう。

犬がうるさくてノイローゼになったと言われたら

先ほども説明したとおり、民法第718条第1項は、ペットの飼い主が他人に損害を与えた場合の賠償責任を規定しています。 飼っている犬がうるさくて周囲の住民からノイローゼになったと言われた場合、損害賠償責任が発生する可能性があります。

では、 どのような場合に損害賠償責任が発生するか、具体的な事例を交えて説明します。

受忍限度について

どんな場合でも損害賠償責任が発生するわけではなく、裁判上、 犬の騒音が精神的苦痛を与えたと認められるためには、「受忍限度」を超えたことが要件です。

「受忍限度を超えた」とは、 社会生活上受忍すべき限度を超えて平穏な生活を営む権利を侵害したこと をいいます。

受任限度を超えるとは、具体的にどういった内容なのでしょうか?

事務員

櫻井弁護士

どのような場合に「受忍限度を超えた」といえるかは事案によって異なりますが、裁判では主に以下の考慮要素を総合的に判断します。

受忍限度について
  • 犬と被害者との間の物理的距離
  • 騒音のレベル
  • 騒音の時間帯
  • 地域性
  • 交渉の程度、被害者と加害者との関係性

一般的には 70デシベルを超えると、人は「うるさい」と感じる ようです。早朝や深夜など人が寝ている時間帯では、60デシベルでもうるさく感じます。

また、交渉の程度も重要な判断要素の一つです。 苦情を言っているのに放置していたり不誠実な態度を取っている場合、受忍限度を超えていると認められやすくなります。

地域性も重要です。 歓楽街の近くと閑静な住宅街では騒音に対する受忍限度が異なってきます。

これらの要素を総合考慮して、受忍限度を超えているかどうかを判断します。

犬の鳴き声がうるさいとして損害賠償が認められた裁判例

犬の鳴き声によって他人に損害を与えたとして、損害賠償が認められた裁判例(大阪地裁平成27年12月11日判決) をご紹介します。

被害者は、山間部の住宅街に居住していたところ、加害者の飼い主が被害者の自宅から約30m程度離れた場所に引っ越してきました。引越し後に加害者は犬を飼い始めましたが、この犬が早朝や深夜など就寝時間帯にもかまわず大きな鳴き声を上げることから、 被害者は睡眠障害を発症したとして、慰謝料を請求 しました。

裁判所は、犬の鳴き声が受忍限度を超えたかを判断する基準として、被侵害利益の性質、被害の程度、加害行為の態様、地域性、当事者間の交渉経過等を総合考慮して判断するとしました。

そのうえで、本件は、 犬の鳴き声の音量が、深夜や早朝においても60デシベルを超えていること、被害者から苦情を言われたにもかかわらず鳴き声をやめさせる措置を取ったとはいえないという事情を考慮して、受忍限度を超えると判断 しました。

慰謝料としては25万円が認定されています。

事務員

櫻井弁護士

このように、犬の騒音が受忍限度を超えている場合、訴訟を起こされて損害賠償責任が発生するケースも実際に存在しています。

「犬の騒音程度で違法になることはない」などと安易に考えず、 苦情や通報をされたら早めに対処すべきでしょう。

犬の鳴き声で苦情・通報されたらすぐやるべきこと

犬の鳴き声が受忍限度を超えた場合、損害賠償責任が発生する可能性があることは先ほど説明した通りです。

受忍限度を超えたか否かを判断する基準として、当事者間の交渉経過が考慮されます。 真摯に交渉した姿勢や、何らかの対策を取ったことはプラスの方向に働きます。 よって、苦情や通報されたら放置せず、何らかの対策を速やかに講じるべきでしょう。

ここでは、 犬の鳴き声で苦情・通報されたらすぐやるべきことを説明します。

周辺の住民への謝罪

苦情・通報された場合、 まずは謝罪 すべきでしょう。謝罪した上で話し合うことによって、トラブルを最小限に食い止めることができます。放置していたり無視していたりすると訴訟を起こされるかもしれません。

まずはできる限り話し合いをし、次の対処法を検討しましょう。

犬のしつけ

犬が鳴きやまない場合、 犬をしつけて鳴きやませる必要があります。 大きな声で鳴いた場合、犬の嫌がることをさせるとよいでしょう。例えば、大きな声で鳴いた場合、同じところをぐるぐる散歩したりして、大きな声で鳴くと面白くないことをさせられると認識させます。

他には、しつけグッズを購入して試してみるのもよいでしょう。

防音対策

犬をしつけたとしてもなかなか鳴き声が止まない場合もあるでしょう。その場合、大きな声で鳴いたとしても周囲に鳴き声が届かないような防音対策を施すほうが効果的です。

防音効果のある犬小屋や防音カーテンなどが売られていますので、できる限りの防音対策をすべきでしょう。

プロのトレーナーへの依頼

しつけをしても鳴きやまない場合、 プロのトレーナーへ依頼することを検討しましょう。 飼い主のしつけではなかなか鳴きやまなかったとしても、プロのトレーナーであれば正しいしつけ方法により鳴きやませることもできる可能性が高くなります。

インターネットで検索すれば、しつけを依頼できるドッグトレーナーが見つかるはずです。 費用はかかってしまいますが、周辺住民とのトラブルを抱えて過ごすよりはよいでしょう。

まとめ

犬がうるさい場合の対処法と、逆に犬がうるさいと苦情を言われた場合の対処法について具体的に解説しました。

ペットの騒音は隣人関係を悪化させ、大きなトラブルに発展しかねません。 受忍限度を超えた場合、損害賠償責任が発生する可能性もありますので、早めに対処することが必要 です。

また、 犬がうるさくて眠れないなどの悩みを抱えている人は、自治体や弁護士などの第三者に相談してみましょう。

犬の騒音は心身の健康に悪影響をもたらす可能性があります。病気になってからでは遅いため、早めの相談をおすすめします。

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不動産の紹介料は違法?個人で貰ったら確定申告は必要なのかも解説https://grand-next.jp/lawyer/introductionfee-reputationTue, 20 Feb 2024 16:23:07 +0000https://grand-next.jp/lawyer/?p=29

この記事のざっくりとしたポイント 不動産の紹介料とは? 紹介料を個人が貰うことは違法かどうかを解説 紹介料をもらった場合、確定申告が必要? 不動産業界では、 不動産の売却・購入を検討している人を紹介して成約した場合、「紹 ... ]]>

この記事のざっくりとしたポイント
  1. 不動産の紹介料とは?
  2. 紹介料を個人が貰うことは違法かどうかを解説
  3. 紹介料をもらった場合、確定申告が必要?

不動産業界では、 不動産の売却・購入を検討している人を紹介して成約した場合、「紹介料」として現金や商品券などを紹介者にプレゼントする制度があります。

紹介するだけで現金などを受け取れるので紹介者にとっては大きなメリットがありますが、一定以上の金額を受け取ると確定申告をする義務も発生します。

この記事では、 「不動産の紹介料を個人が貰うことは違法であるのか?」「友達を紹介するときの注意点は何か?」などについて詳しく解説します。 これから不動産の紹介ビジネスを考えている方は、ぜひ参考にしてください。

櫻井弁護士

お客さんを紹介するだけで現金や商品券を受け取れる嬉しいサービスです!
紹介料は、紹介だけでなく成約したら支払われる「成功報酬型」が一般的です。

事務員

不動産の紹介料とは

不動産業界では、不動産を売却・購入したい人を紹介してくれた人に対して成約した場合、「紹介料」を支払う制度があります。

ここでは、 不動産の紹介料の仕組みについて解説します。

お客さんを紹介してくれた人に対して不動産会社が渡す「紹介料」

不動産の紹介料とは、 お客さんを紹介してくれた人に対して成約した場合、不動産会社が渡す「謝礼金」のことです。 不動産会社は不動産を売却・購入する人を探しているため、以前に取引した顧客から新しいお客さんを紹介してもらうことが多々あります。

また、取引がある司法書士や税理士から、相続などで売却したいお客さんを紹介されることも少なくありません。 紹介によるお客さんは成約率が高いため、不動産会社としては謝礼金を払ってでも自社に紹介してもらいたいと考えています。

MEMO

不動産営業にとって人脈は大切なものです。やみくもに営業するより、現時点で不動産会社との取引を希望している人と引き合わせてくれる紹介者は、不動産会社にとってありがたい存在です。

紹介制度は大手不動産会社でも実施している

紹介制度を導入している不動産会社は多数あり、大手でも実施しています。 野村不動産や三井のリハウス、住友不動産販売など有名な不動産会社で取り入れられています。

紹介をメインにしている不動産会社も存在し、相場より高い紹介料を支払うのがセールスポイントです。 近年ではアプリでも紹介制度が提供されており、従来のアナログから現代的なデジタル方式へと変化しています。

櫻井弁護士

不動産の紹介料とは、お客さんを紹介してくれた人に対して不動産会社が渡す「謝礼金」なんですね!
近年ではアプリでも紹介サービスが提供されています。

事務員

不動産の紹介料は違法?個人でビジネスにできる?

不動産取引は宅建業の免許がないと第三者の仲介をすることは法律違反とされています。 しかし、 不動産取引を予定している人を紹介して利益を得るのは法律違反に該当しません。

ここでは、 宅建を持たない個人でも紹介業でビジネスが可能なのかについて解説します。

紹介料は違法ではない

結論から申し上げますと、 不動産の紹介料をもらうのは違法ではありません。

2016年6月15日に、経済産業省が合法と認める発表を行っています。 主な内容は以下の通りです。

【経済産業省の担当者コメント】

物件の説明、契約成立に向けた取引条件の交渉・調整等の行為は、顧客と不動産業者との間で直接行い、事業者は一切関与しないとされており、「宅地建物取引業」には該当しない

出典:経済産業省「 事業者から顧客への不動産業者の情報提供等に係る 宅地建物取引業法の取扱いが明確になりました

経済産業省の担当者によれば、「紹介する人は法人・個人を問わず、業者を紹介するだけであれば仲介行為に当たらないため、違法性がない」とコメントしています。( 全国賃貸住宅新聞 より)

今まで、仲介と紹介の線引きがグレーゾーンとなっていましたが、 経済産業省が公式に「違法性がない」との見解を発表したことにより、新たなサービスの創出や拡大につながることが期待されます。

宅建を持たない個人でも紹介業でビジネスが可能

経済産業省のお墨付きを得られたことで、宅建を持たない個人でも紹介業でビジネスが可能 になりました。そのため、 会社員が副業で行うケースも存在します。

そもそも紹介ビジネスは不動産業界だけでなく、美容院・携帯電話の紹介などで割引や商品券などを紹介者にプレゼントするケースが多く見受けられます。

不動産取引においても、 あくまでも紹介だけであって実際の契約行為を行うのでなければ違法性がないため、紹介業で利益を得ることは問題ありません。

櫻井弁護士

経済産業省の見解では「紹介だけなら違法性がない」と公表されました。
宅建を持たない個人でも紹介業でビジネスをすることが可能です!

事務員

友達を不動産会社に紹介したらお礼をもらっても良い?

売買契約など不動産取引の契約を行わない場合は、免許がなくても不動産の紹介ビジネスができます。ただ、 友達を紹介する場合は親しい間柄であるだけに、ある程度配慮することが必要であるともいえます。

ここでは、友達を不動産会社に紹介する場合のお礼の授受について解説しましょう。

紹介料を受け取る場合は友達にあらかじめ話しておく

友達を不動産会社に紹介した場合、「謝礼金をもらっても良いのか?」と考えてしまうことがあるかもしれません。

例えば、自分が購入したマンションを友達が気に入り、友達自身も買いたいと思う場合です。特に勧めていなくても、友達のほうから不動産会社への紹介を頼まれるケースもあります。

このような場合は紹介することに問題ありませんが、 紹介料を受け取るならば、あらかじめ友達に話しておいたほうがよさそうです。 そのときは分からなくても、いずれ自分が購入者となったときは紹介制度のことを知るでしょう。

MEMO

「なぜ、紹介料のことを黙っていたのだろうか?」と不審に思われると友人関係にヒビが入る可能性もあります。いずれ分かることですから最初の段階で友達に紹介料について知らせておくほうが無難です。

友達が受け取れる制度の会社もある

例えばママ友などに紹介する場合、いかにも利用しているという感じであると敬遠される可能性があります。したがって、友達に紹介する場合は気遣いが必要といえるでしょう。

紹介サービスの中には 友達が受け取れる制度の会社もあるため、紹介することにより、かえって感謝されるケースもあります。 自分が受け取って友達と折半するのも良いかもしれません。金銭面に関してはクリアでいたほうが、良い人間関係を維持できます。

櫻井弁護士

紹介料を受け取る場合は、あらかじめ友達に話しておきましょう!
友達と仲良く紹介料を折半するという方法もあります。

事務員

不動産の紹介料・謝礼金の相場と上限

不動産の紹介料は仲介手数料のように法的に定められていないため、不動産会社により金額には違いがあります。

ここでは、 不動産の紹介料の相場や、大手不動産会社の紹介制度の内容について解説します。

紹介料の相場は5万円

一般的な不動産の紹介料は 売買のケースで5万円程度です。

中には15万円を提示する会社もあり、不動産会社によって金額には違いがあります。

大手の不動産会社は5万円を提示する会社が多く、 現金ではなく商品券で支払うケースも存在します。 金額が高いほど多く支払う不動産会社もあるので、紹介する際はそれぞれの会社の紹介料を比較してみるとよいでしょう。

大手不動産会社の紹介制度の内容・金額

大手不動産会社の紹介制度の内容は以下の通りです。

会社名 紹介料の金額 内容

三井のリハウス

(成約者様紹介特典)

売買:5万円(商品券)

賃貸:1〜3万円(現金)

・対象は個人客

・紹介者へ進呈する商品券は残金決済お引渡し完了後に発送(売買)

・謝礼の進呈は規定手数料の支払い後、本人様名義の口座に振り込み(賃貸)

大京穴吹不動産

(ご紹介特典)

売買:5万円(現金)

賃貸:1万円(商品券)

・過去に取引がなくても紹介OK

・取り引きごとに特典が適用(複数紹介が可能)

野村の仲介+(PLUS)

(お客様ご紹介制度)

売買:5万円(商品券) ・過去に取引があった顧客らの紹介のみ可能

・地域や物件により、取り扱いできない場合あり

住友不動産販売

(ご親族お取引特典、成約者ご紹介特典)

売買:親族(最大10万円:商品券)

その他:最大5万円(現金)

・過去に取引した顧客の親族(2親等以内)が対象

・売却検討者を紹介の場合は紹介時に3,000円分のQUOカードを進呈

相鉄不動産

(クラブアップス会員特典)

売買:5~20万円(現金) ・過去に同社と取引があった顧客からの紹介に限定

・仲介手数料により謝礼金額が変わる

・会員登録が必要

東急リバブル

(紹介&再契約特典制度)

売買:5万円(商品券) ・紹介日から1年以内に売買契約を締結した場合に限り適用

・複数の取引を依頼された場合、特典の対象は初回取引のみ

大成有楽不動産販売

(お客様紹介制度)

売買:5,000~20万円(商品券)

賃貸:5,000円(商品券)

新築:10万円(商品券)

リフォーム:3,000~10万円(商品券)

・売買、リフォームは成約金額により紹介料が変わる

・賃貸は、賃料5万円以上の契約に限る

・売買は最も有利な割引のみ行い、重複割引はしない

売買の場合、最も一般的なのは「商品券5万円」で、賃貸が1〜3万円程度となります。

上記の会社の中で最も条件が良いのは「相鉄不動産」で、仲介手数料が300万円以上のケースでは、仲介手数料の5%(20万円を上限)を現金でもらえます。

櫻井弁護士

ちなみに仲介手数料が約300万円の場合、物件価格は9000万円です。

過去に取引があった顧客からの紹介に限定している会社が多いですが、大京穴吹不動産では今まで取引したことがない人でも対象となるので、どなたでも比較的紹介しやすいといえます。

不動産の紹介料は確定申告すべき?

ここでは、個人が不動産業者から受け取った紹介料・謝礼金は確定申告すべきなのかについて解説します。

副業の所得が20万円を超えるときは確定申告が必要

副業で紹介ビジネスを行い、 所得が20万円を超える場合は確定申告が必要です。

「所得」とは収入から必要経費を差し引いた額であるため、収入そのものではありません。

給与所得者が副業により20万円以上の所得を得た場合は、勤務先での年末調整とは別に、個人で確定申告を行う必要があります。

ただ、紹介料で必要経費がかからなければ所得は紹介料で得た金額そのものになるため、 例えば紹介料が21万円で経費がゼロの場合は確定申告が必要です。

20万円を超えて確定申告しないとどうなる?

副業での所得が20万円以上あるのに 確定申告をしないとペナルティが発生します。

本来納付するべきである所得税だけでなく、無申告加算税や延滞税といったペナルティが科される可能性があります。

無申告加算税に該当すると、 税額が15~20%加算されるので注意しましょう。 本来の税額より多くの税金を支払うことになってしまいます。

櫻井弁護士

紹介料ビジネスの所得が20万円を超えると確定申告をしなければなりません。
無申告でいるとペナルティとして税金が加算されるので注意しましょう。

事務員

まとめ

不動産を売却・購入したい人を紹介すると、不動産会社から紹介料をもらえる場合があります。不動産取引を考えている人が身近にいるならば、本人の承諾を得た上で紹介するようにしましょう。

紹介者自身も紹介料をもらえますが、紹介された人も割引や商品券をプレゼントされることがあるので、お互い納得の上で紹介制度を利用するのをオススメします。

櫻井弁護士

紹介者だけでなく、紹介される側にもメリットがあります!
個人情報を不動産会社に伝えるので、相手の承諾を得てから紹介しましょう。

事務員

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ペット不可で強制退去!退去費用は高額になる?入居者がペットを飼っていた時の対処法【弁護士が解説】https://grand-next.jp/lawyer/cope-with-pet-apartmentTue, 23 Jan 2024 17:01:21 +0000https://grand-next.jp/lawyer/?p=54

この記事のざっくりしたポイント ペット不可物件で強制退去をさせる手順を解説 退去費用は高額になる? まずは入居者と協議し 飼育解消できなければ契約解除へ 犬や猫などのペットを飼うことを禁止しているマンションは多数あります ... ]]>

この記事のざっくりしたポイント
  1. ペット不可物件で強制退去をさせる手順を解説
  2. 退去費用は高額になる?
  3. まずは入居者と協議し 飼育解消できなければ契約解除へ

犬や猫などのペットを飼うことを禁止しているマンションは多数あります。

そういったペット不可物件のオーナーが、もし賃借人が無断でペットを飼っていることを知ったとき、どのように対処すればよいでしょうか。

ペット不可物件なのに飼育をやめてくれない場合は強制退去をさせる場合もあります。 ぐに契約解除できるのかなど具体的にどのように進めていけば良いのか、弁護士の視点で解説します。

ペット不可物件でペットを飼っていたら強制退去?

近年、晩婚化や少子化の影響でペットを飼う人が増えてきています。しかし、マンションなどの賃借物件においては、ペットを飼うことが禁止されているところが多いです。

とある不動産業者による2016年のデータでは、東京23区内の賃借物件のうち、ペットを飼うことを可としている物件は全体の12%に過ぎないとのことです。

まだまだペットを飼うことを禁止している物件が多いことがわかります。

ペット不可の物件で飼育が確認された場合、強制退去させられることはあるのでしょうか。

 
そもそもペットを飼うことを禁止することを内容とする賃貸借契約は有効なんですか?
 
 
有効です。賃貸借契約の内容について、借地借家法は基本的には賃借人の保護する方向で定められていますが、借地借家法にはペットに関する明確な規定はありません。
 

契約の解釈論として、 ペット不可とすることについては賃貸人(オーナー)側に合理性があるとして、ペット不可の特約も有効 と解釈されています。

猫や犬などのペットを飼うと、壁を傷つけられたり、糞尿などで部屋が汚されたり、鳴き声で近隣に迷惑をかけたりということが懸念されます。こうしたオーナー側の懸念も至極もっともなことなので、契約内容として、ペット不可を定めておくことは合理的なものと言えます。

 
ペット禁止は契約書で定めてなくても良いのですか?
 
 
ペット禁止とするかどうかは契約当事者間で自由に決められますので、ペット不可と契約書で明確に定めておかないと、契約違反とは言いにくいです。
 

ただ、分譲マンションを賃貸する場合、マンション全体の管理規約でペットを飼うことが禁止されている場合があります。

その場合は、 マンションの管理規約を賃借人に交付しておくことで、ペット禁止も契約内容に含まれると主張できる でしょう。

まずは入居者と話し合いを

オーナー側として、賃借人がペットを飼っていることを知ったときは、賃借人としっかりと話し合いましょう。

オーナー側は基本的にはずっと賃借人に借りてもらいたいはずですし、賃借人側もずっと借りていたいはずです。 賃借人に対して、ペットを禁止する理由を伝えて、直ちにペットを飼っている状態を解消してもらうよう協議しましょう。

賃貸借契約を解除する

 
賃借人とペットについて話し合いをしても、応じてくれずに飼い続けていたら、どうすれば良いですか?
 
 
契約違反による契約解除を検討せざるを得ないです。
 

誠実に話し合いをしても応じてくれない賃借人とは、今後も信頼関係を持って賃貸関係を維持することは難しい でしょう。

賃貸借契約は長期にわたるものですので、お互いの信頼関係が第一です。信頼関係が保てなくなったら、契約解除を検討せざるを得ません。

 
契約を解除するにはどうすれば良いですか?
 
 
まずは賃借人に対して、書面で解除の予告を通知します。
 

2週間~1ヶ月度の期間を定めて、その期間内にペットを飼っている状態を解消しなければ、賃貸借契約を解除する旨を内容証明郵便などで通知 しておきます。

それでも改善が見られなければ、 定めた期間を経過した後に契約解除の通知書を内容証明郵便で送付 するという流れです。

賃貸借契約は、信頼関係が保たれていることが何よりも重要です。判例上、賃貸借契約は信頼関係が破壊されれば契約解除できるとされています。

軽微な契約違反では契約解除できません。これは、物件に居住する賃借人を保護するための法律です。

しかし、 契約内容でペット禁止を定めている場合、それに違反しただけでは直ちに信頼関係が破壊されたとは言えないかもしれません。

MEMO
話し合いをしても全く応じない、改善を求めても応じないという賃借人の応対、交渉状況などから、信頼関係が破壊されたものとみなされます。信頼関係が破壊されたら、賃貸借契約を解除できます。
 
賃借人が家賃をきちんと支払っているなど、ペット禁止以外の契約内容は守っている場合でも解除できますか?
 
 
ペット禁止が契約内容になっているのであれば、賃料支払等の他の義務を守っていても、信頼関係が破壊されたものとして契約解除できます。  

ペット不可での退去費用は高額になる?

契約を解除したら退去して物件を明け渡してもらい、物件の内部を確認しましょう。

壁や床に傷やしみができていないかなど、ペットを飼っていたことによって生じた物件の損傷部分があるかを確認してください。

この損傷部分の回復費用については賃借人に請求できます。

法律上、人が通常に使用していたことにより生じた損耗(通常損耗と言います。)については原状回復費用の請求はできませんが、 ペット禁止という契約内容に違反してペットを飼ったことにより生じた損傷は契約違反による損害賠償の対象となりますので、賃借人に原状回復費用を請求できます。

 
賃借人が原状回復費用を支払ってくれない場合はどうすればいいですか?
 
 
契約時に賃借人から入れてもらっている敷金・保証金から差し引くことができます。
 

敷金・保証金は、契約終了後明け渡しのときに賃借人に返すべきものですが、賃借人の債務不履行により生じた損害がある場合には、その損害の回復にかかる費用を差し引くことができます。

退去により 返還すべき敷金・保証金よりも原状回復費用のほうが高額の場合には、その差額分を賃借人に請求することになります が、賃借人が支払いに応じないなら訴訟提起して判決を得ることも検討したほうが良いでしょう。

ペット不可物件で強制退去をさせる手順

ペット不可物件でペットを飼っていることが分かった場合に、賃借人と話し合いをしようとしても賃借人が全く話し合いに応じないということもあります。

また、先述したような手順を踏んで 契約解除を通知しても、賃借人がこれに応じないというケースもあります。 このような場合にはどのように対処すれば良いでしょうか。

強制退去に踏み切ることも検討

 
契約を解除した以上は、明け渡さないといけないんじゃないですか?強制できないのですか?
 
 
法律上はその通りです。契約解除により賃借人は、物件を明渡すべき義務を負います。しかし、賃借人が任意の明渡しに応じない場合には、訴訟を起こして判決を得て強制執行の手続きを取らなければいけません。
 

鍵を勝手に変えたり無理やり追い出したりなど、オーナー側で独自に行うことは、自力救済といって、法律上禁止されています。必ず判決を得て裁判所を通して行いましょう。

契約解除しても賃借人が物件を退去しない場合には、判決を得て最終的には判決に基づく強制執行の手続きによって強制退去を実現することになります。

強制退去の大まかな流れ

手順1
入居者と話し合い
手順2
改善が無ければ契約解除する旨の通知をする
手順3
実際に契約解除をする通知をし、退去を求める
手順4
退去しなければ訴訟を提起する
手順5
退去の強制執行(強制退去)

先述したとおり、ペットを飼っていることが分かれば、まずは話し合いです。賃借人が話し合いに応じない場合、一定期間以内に改善されなければ契約解除する旨の通知書を送付し、それでも改善がなければ契約解除の通知書を送付します。

法律上は契約が解除されたらすぐに退去すべきですが、賃借人が応じないこともあります。その場合には、裁判所に対して訴訟を提起します。

オーナーが原告、賃借人を被告として、建物の退去・明渡しと明渡しまでの賃料総統損害金の支払いを求める内容の訴訟を起こします。

賃借人(被告)側が何も争ってこなければ、 訴訟提起から2ヶ月程度で判決 が得られます。賃借人が争ってきたときは、訴訟提起から判決まで半年から1年程度かかることもあります。

そうして判決を得てその判決が確定したら、裁判所に対して確定した判決に基づく強制執行手続きを申し立てます。

執行官による強制執行

建物明渡の強制執行が申し立てられた場合、 執行官が物件の現地に行き、物件内に立ち入り、明渡の催告を促す書面を物件内部に貼ります。 通常は4週間程度の催告期間を設けます。

それでもなお明け渡しを行わない場合には、 催告期間満了の日に執行官が再び現地に行き、物件内部に立ち入り、物件内の人を退出させ、物件内部のものをすべて搬出 します。

このような流れによって強制退去が実行されます。

 
結構時間がかかるものなんですね。それでも居座る賃借人はいるのでしょうか?
 
 
その人によりますが、通常は判決がでたら、退去する人が多いように感じます。強制執行を申し立てて、執行官が立ち入って、催告期間経過までに居座るというケースは少ないです。
 

まとめ

ペット不可物件においてペットを飼うことは、オーナーと賃借人との信頼関係を損ねるものです。オーナー側としては、まずは改善に向けて賃借人と話し合い、それでも賃借人が改善しないのであれば、信頼関係が破壊されたものとして契約を解除せざるを得ません。

契約が解除されれば、賃借人は物件を退去すべき義務を負いますが、居座る賃借人もいます。

そのような場合には、無理やり追い出すなどの自力救済はせず、裁判所に訴訟を起こして判決をもらい、判決確定後に強制執行を申し立てるという法律上の手続きを遵守して行うようにしましょう。

その過程で、裁判所が間に入り説得することで賃借人が退去に応じることもあります。

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住宅ローン本審査に落ちたら違約金を請求された!支払いに応じる必要は?【弁護士が解説】https://grand-next.jp/lawyer/examination-penalty-feeMon, 22 Jan 2024 16:54:18 +0000https://grand-next.jp/lawyer/?p=47

この記事のざっくりしたポイント 住宅ローンの本審査に落ちたら違約金を払うのかを解説 手付金の本来の目的は「契約解除時のための預け金」 買主の都合で契約を破棄したら手付金は返却されない 売買契約後に住宅ローンの本審査に落ち ... ]]>

この記事のざっくりしたポイント
  1. 住宅ローンの本審査に落ちたら違約金を払うのかを解説
  2. 手付金の本来の目的は「契約解除時のための預け金」
  3. 買主の都合で契約を破棄したら手付金は返却されない

売買契約後に住宅ローンの本審査に落ちてしまうことがありますが、 やむなく契約を解除した場合の違約金発生の有無や手付金の返還について 弁護士が詳しく解説します。

住宅ローン本審査に落ちたら違約金を払う?

不動産売買契約を結ぶ際、 買主は契約時に手付金入金を要求される 場合がほとんどです。

手付金とはどのようなお金なのか違約金とは何が違うのか 説明します。

手付金の本来の目的は「契約解除時のための預け金」

手付金とは不動産の売買契約が結ばれた際に、相手方の意向に関わらず片方の契約者から契約を解除できるよう預けておくお金 のことです。

 

手付金と頭金は同じ意味ですか?

 
 

手付金のことを頭金として支払う売買代金の一部と捉えている人も多くいますが、手付金と頭金は性格が異なるお金で手付金を支払ったとしても不動産売買代金の一部を支払ったことにはなりません。

 

ただし一般的な不動産売買契約では契約書に 「手付金は、残余金支払時に売買代金の一部として充てるものとする」 などと明記され、売主と買主が双方の責務を果たした場合は売買代金の一部として見なされます。

契約時にはこの取り決めがあるか確認 しておきましょう。

そもそも住宅購入契約では契約時に買主が代金を一括して支払うケースは少なく、 「手付金を支払い契約」→「住宅ローンなどで残額を確保」→「売買代金全額を支払った後に物件が引き渡される」という流れが一般的 です。

物件引渡し時に不動産の売買契約は終了し、あとは買主と金融機関との契約のみとなります。

不動産の権利譲渡は全額支払後の登記をもって完了するため 契約時から引き渡し時までは法律関係上不安定な状況 となります。そこで法律関係を安定させる意味を含めて 契約時に買主が売主に手付金を払い、契約の成立を明確にしておく 目的もあります。

買主の都合で契約を破棄したら手付金は返却されない

買主の一方的な事情で不動産売買契約を破棄した場合、 手付金は違約金として売主のものとなり、買主には返却されません。

手付金には3つの種類があり前述した 相手方の意向に関わらず片方の契約者から契約を解除する権利を担保するために預けておくお金という考え方については「解約手付」 と呼ばれ、不動産売買における手付金は一般的にこの解約手付を指します。

契約を解除する場合 「買主からの解除では手付金を放棄する(手付流しと呼びます)」「売主からの解除では手付金の倍額を返還する(手付倍返しと呼びます)」 ことで契約は解除され、他に違約金を支払う必要はありません。

ただし解約できる期限は相手が 「契約の履行に着手するまで」 と定められています。

MEMO
具体的には売主が注文住宅建設用の資材を購入する、中古マンションの間取り変更に着手する、新築マンションの引渡しと登記手続き日を通知する、買主が手付金のほかに中間金を支払う、などです。
 

期限の決め方がちょっと曖昧ですね。

 
 

はい。どの時点をもって“履行に着手”となるのかについて、売主と買主の見解が異なりトラブルに発展することも少なくありません。そのため、解除期日は○月○日以前などと定められている契約が多いです。

 

他の手付金としては買主または売主による債務不履行があった場合、 損害賠償とは別に手付金を罰として没収する「違約手付」 があります。

ただし損害賠償金額の確定には多くの費用と手間がかかるため、 不動産売買契約解除については、あらかじめ金額を定めておく ことが多く、実際の損害が多くても少なくても契約書にある金額を支払うことになります。

手付金が戻り、違約金もなしの「住宅ローン特約」とは

仮に買主が転勤や重病などの理由で不動産売買契約を履行できなくなった場合、 売主にとって責任は全くないのですから買主のもとに手付金が返還されなくても買主は受け入れるしかありません。

対して不動産売買契約後に申請していた住宅ローンが通らなかった場合、 契約内容に「住宅ローン特約」が定められていれば手付金が返還 されます。

住宅ローンを組んで不動産を購入する場合は 不動産会社の担当者が住宅ローン申請の手引きを担うケースが一般的 です。

住宅ローンについて詳しい知識や経験を備えた買主はそう多くはありません。また不動産会社の担当者は買主の経済状態等を考慮のうえ、 住宅ローンが通りやすいと思われる金融機関や借入金額を提案してくれるため、アドバイスに従えば比較的安心 といえます。

MEMO
ただし、そうしてアドバイスを受けたとしても申請した金融機関全てで住宅ローンが通らなかったという事態は決して珍しいことではありません。そのため不動産売買契約においては多くの場合「住宅ローン特約」なる特約条項が規定されています。
 

住宅ローン特約とはどういうものですか?

 
 

住宅ローン特約とは買主が住宅ローンを利用することを前提とした契約について、買主が住宅ローンの本審査に通らず購入代金を借りられなかった場合には、買主は“違約金を支払う必要がなく”“手付金が返還され”“無条件で契約を解除できる”という取り決めで、この特約が設定されていれば契約書に明記されているはずです。

 

契約書に「住宅ローン特約」の記載があるか必ず確認を

「住宅ローン特約」が附記されていない不動産売買契約においては、 もし住宅ローンが通らなかったとしても買主は売買代金の支払を免れることができません。

代金が用意できなければ債務不履行となり手付金は没収 されます。住宅ローンの利用を前提とした売買契約を結ぶ前には、 住宅ローン特約が定められているかを必ず確認 しましょう。

「住宅ローン特約」は必ず適用できるとは限らない

住宅ローン特約は買主にとって安心な取り決めですが 住宅ローン申請が通らなかった場合に必ず適用されるものでありません。

買主に求められる責務を果たしていなければならない のです。具体的に解説していきましょう。

住宅ローン特約は利用できる期限がある

多くの住宅ローン特約では適用可能な期日が定められています。

住宅ローン特約が適用できる期日は、 売買契約日より30日間以内、○年○月○日まで など契約によりまちまちですが、いずれにせよ住宅ローン審査に落ちてしまった場合は、 期日までに同特約を適用しなければ解除権は消滅し、その後契約解除となれば手付金は返還されません。

 

期日を過ぎてしまいそうな場合はどうすればいいですか?

 
 

金融機関の審査が長引き、契約書に定められた期日を過ぎてしまう可能性がある場合は、速やかに売主へ状況を伝え、対応策を相談すべきです。売主側は、住宅ローン特約に基づき契約が解除されたとなれば、契約までにかかった費用が損失となり手付金も返却しなくてはならないため、1~2週間程度なら期日延長に応じてもらえるはずです。

 

2種類の住宅ローン特約 契約時に要確認

住宅ローン特約は 「停止条件型」と「解除権留保型」 という2つの形式があります。

「停止条件型」特約は住宅ローン融資を申請した金融機関の審査が通らなかった場合、住宅売買契約が自動的に白紙解除となる特約 です。不動産取引では一般的にこの特約が用いられますが契約時に必ず確認しておきましょう。

対して 「解除権留保型」特約は申請した全ての金融機関で住宅ローン審査が通らなかった場合、買主は速やかに住宅ローン特約適用を申し出て契約を解除するか、他の方法で資金を調達するかを選択し売主に伝えなくてはなりません

どちらも選択せずに相当期間が経過すると解除権は消滅し、住宅ローン特約適用外となってしまいます。

 

契約解除を申し出る時はどうすればいいですか?

 
 

買主が解除権留保型住宅ローン特約による契約解除を申し出る場合、対面による解除書類の作成や内容証明郵便による書面送付などを用いて、解除告知日と解除内容を必ず明確にしておくことが大切です。万が一悪意ある売主だった場合、口頭による通知のみでは、言った言わないの水掛け論に陥ってしまうことがあります。

 

住宅ローン特約が利用できないケースも

住宅ローン特約を付けて契約を締結した場合、 買主は一定の期限内に住宅ローンの申請手続きを行う義務を負います

住宅ローンの申請をしなかった、必要な書類を用意せず手続きが進まなかった、住宅ローン利率が思ったよりも高率だったため融資を断った、連帯保証人の同意が得られなかったなどの場合、 買主は義務を果たしたとは言えませんから住宅ローン特約は適用されません。

MEMO
また住宅ローン特約では契約時に「●●銀行と▲▲銀行に○○万円の住宅ローン融資を申請する」等、融資申込先を明記するのが一般的です。その他の金融機関に申請する場合は必ず売主と相談し承諾を取り付けておきましょう。

まとめ

ここまで 不動産売買契約解除となった場合の手付金や違約金の扱い についてご説明しました。誤解を生みやすい部分でもありますので重要な内容を再度まとめておきます。

不動産売買契約解除となった場合の手付金や違約金の扱いについて
  1. 買主側の事情により契約解除に至った場合、手付金は返却されません。
  2. 「住宅ローン特約」がある契約では、住宅ローンの審査に全て落ちた場合、契約は解除となり手付金は返却されます。
  3. 住宅ローン特約には適用条件があり、期日を過ぎた、買主が責務を怠ったなどの場合は適用されず、この場合手付金は返却されません。

不動産購入契約の解除では 双方の利害がぶつかり合うためトラブルに発展するケースが多くなります。

買主が個人で対応できる範囲を越えた場合は速やかに弁護士に相談することをお勧めします。

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ペット不可マンションで飼ってないと言い張る!?ペット禁止なのに飼っているとどうなるのか【弁護士が解説】https://grand-next.jp/lawyer/pet-apartmentMon, 22 Jan 2024 16:46:35 +0000https://grand-next.jp/lawyer/?p=38

この記事のざっくりとしたポイント ペット不可マンションで飼ってないと言い張る人への対処法 ペット禁止なのに飼っているとどうなるのかを解説 飼育が発覚してもすぐに賃貸借契約を解除できない 国土交通省発表の「平成30年度マン ... ]]>

この記事のざっくりとしたポイント
  1. ペット不可マンションで飼ってないと言い張る人への対処法
  2. ペット禁止なのに飼っているとどうなるのかを解説
  3. 飼育が発覚してもすぐに賃貸借契約を解除できない

国土交通省発表の「平成30年度マンション総合調査」によると、マンションの完成年次別のうち平成11年までのものは『禁止している』が過半数であったのに対して、 平成12年以降は『種類・サイズ・共用部分での通行形態等を限定し、認めている』が過半数となっており、近年のペットブームを背景にペットの飼育を認めるマンションが増えています。

それに伴いペットトラブルも増加傾向にあり、ペット不可マンションであるのに「飼ってない」と言い張る人などに頭を悩ませている大家さんも多いはずです。

本記事では、「飼育可」及び「飼育不可」とする賃貸マンションにおけるペットトラブルの大家の対応についてまず確認し、さらに「飼育可」とした場合の注意点についても解説していきます。

ペット不可マンションで飼ってないと言い張るリスク

ペット不可のマンションで「飼ってない」と言い張るのはいくつかのリスクを伴いますし、 大家さんや管理会社との信頼関係を失い最悪の場合強制退去となりかねません。

契約違反

マンションの入居契約には通常、ペットの飼育が許可されていない旨が明記されています。契約に違反することは、賃貸契約の解除やペナルティの対象になる可能性があります。

近隣トラブル

ペット不可の建物では、隣人がペットアレルギーを持っていたり、騒音や匂いに対する感受性が高いことがあります。ペットを隠して飼うことで、近隣トラブルが発生する可能性があります。

ペット不可の建物でペットを飼うことは、状況によっては法的な問題を引き起こす可能性があるため、慎重に考えることが重要です。建物のルールを守ることや、 可能であれば事前に許可を得るよう努めることが賢明です。

飼ってないと言い張る人

では部屋を貸し出す側から、ペット不可マンションで「飼ってない」と言い張る人への対処はどのようにすればよいのでしょうか。

実は、 ペットを飼っているという事実だけではすぐに強制退去させることはできません。

次の章で詳しく説明します。

ペット禁止なのに飼ってる人への対処法

賃貸借契約書の内容や使用規約において、借主がペットを飼育することを禁止している場合です。

直ちに解除できるわけではない

禁止されているのに借主のペット飼育が判明した場合、 違反した以上、大家は直ちに賃貸借契約を解除できるとも思えますが、判例上、解除には一定の歯止めがかかっています。

信頼関係破壊の理論

借主の生活の基盤となる賃借権は手厚く保護すべきと一般には考えられており、借地借家法などはその典型例です。そして、 解除の場面でも借主保護の要請が働きます。

櫻井弁護士

すなわち、借主によって賃貸借関係の継続を著しく困難にするような不信行為があった場合に、貸主・借主間の信頼関係が破壊されたことを理由に、貸主からの解除が認められるという「信頼関係破壊の理論」が裁判上、古くから採用されています。
MEMO

この理論のポイントは、義務違反行為自体が解除原因になるわけではないことです。

義務違反を通じて「このような借主には、もはや部屋を使わせることはできない」と大家に思わせるに至った状態が解除原因になるのです。

たとえば、ハムスター等の小動物を適切に飼っている借主が大家の注意によって速やかに飼育をやめれば、信頼関係が破壊されたとはいえません。 約定に反してペットを飼っているというだけで解除した場合は、裁判上その効力は、まず認められないでしょう。

まずは話し合う 

大家は借主に契約書の記載や使用規約を確認してもらうことになりますが、その際、 「ペット禁止と書いてある」の一点張りでは合理的な説得になりません。

それではどうすればいいのでしょう?

相談者

櫻井弁護士

やはり、ペットの鳴き声や臭いが原因で近隣住民の迷惑となるおそれがあること、また、部屋がペットによって汚されると賃貸物件の価値が下がるおそれがあり、これをカバーするには相当の償金請求しなければならないこと等を冷静に告げ、その上でペット飼育状態の解消を求めるとよいでしょう。
MEMO

ここで重要なのは、話し合いの経緯を記録に残し証拠化することです。

「度重なる交渉を経たのにペットの飼育をやめない」という状態が信頼関係の破壊につながるからです

話し合いの日時や内容はもちろん、借主の態度や行動についても細かく記録します。また、 確実に証拠として残すには内容証明郵便の利用も検討しましょう。

契約解除の方法

話し合いを重ねてもペットの飼育をやめない、そもそも話し合いにも応じないといった場合には、大家は契約を解除することができます。

解除の意思表示は口頭でも可能ですが、 言った言わないのトラブルを避けるため、配達証明付きの内容証明郵便で解除するのが一般的です。

ここで気になるのが、解除する前に改めて催告する必要があるかどうかです。

解除前の催告

賃貸借契約で借主に賃料不払い等の債務不履行があった場合、大家はすぐに解除できるとすると、借主は是正の機会が与えられないまま生活の基盤を失うことになりますよね…それは少し酷ではないですか?

相談者

櫻井弁護士

そうですね。なので大家は解除する前に相当期間を定めて違反状態を解消するよう催告する必要があります(民法541条1項)。つまり、催告後、相当期間経過してはじめて解除できるというのが原則です。

信頼関係が破壊された場合は催告不要

では、禁止事項遵守義務違反の場合にも大家は催告をしなければならないのでしょうか?

相談者

櫻井弁護士

賃料の支払い等と異なり、禁止事項遵守は借主が負担する本質的債務ではないため、その違反がただちに債務不履行にあたるとは言いづらい状況です。それよりも、上述のとおり、ペット飼育の場合は信頼関係が破壊されてはじめて解除が認められることに着目すべきです。

何度もペット飼育をやめるよう促しているのに聞き入れようとしない借主の態度によって信頼関係が破壊された場合に、今度は解除に向けてペット飼育をやめるよう改めて催告する実益がありません。

したがって、このような場合には541条1項が適用されずに、催告は不要と考えられています(最高裁昭和47年11月16日判決)。

もっとも、解除のための催告は不要ですが、解除が認められるハードルは高いのは上述したとおりで、 結局のところ、大家は辛抱強く借主に働きかけなければなりません。

ペット可マンションでのトラブル

賃貸借契約書の内容や使用規約において、借主がペットを飼育することを容認している場合です。

迷惑行為の放置は賃貸人の責任が問われる

「ペット可」だからといって、どのような飼い方をしてもよいのではなく、他の住人も我慢しなければならないわけではありません。

大家はすべての住人が平穏かつ安全・安心して居住することができる環境を提供する義務があります(601条)。 つまり、ペット飼育者が他の住人へ迷惑を生じさせた場合にはやめるように求めることができ、同時に、求めることが義務でもあるのです。

注意

よって、迷惑行為が何度も繰り返されているのに大家が何ら手立てを行わずに排除することを怠った場合には、他の借主から解除されたり、債務不履行責任を追及されたりするおそれがあります。

問題となる借主に対して

大家は貸主としての責任を果たすためにも、 問題となる借主に対しては、まず適切に飼育するよう話し合いをもつ必要があります。

具体的には糞尿の始末や無駄吠えをしないようにしつけすること、決められた場所以外で解放しないこと、必要に応じた動物病院での治療等についても話し合います。ペット飼育可能物件であっても飼育者として守るべき社会的ルールがあることの自覚を促すのです。

話し合いを重ねても事態の改善がみられず、信頼関係が破壊されたと評価できる場合には、大家は解除することができます。

大家ができる防止策

ペット飼育可能物件におけるトラブルを防止するために、以下のような方策があります。

①ペット飼育に関するルール

ペット飼育に関する規約を定めて、各借主に理解の上、遵守を求めて誓約書を提出してもらいます。

ペット飼育規約の内容については、東京都福祉衛生局が作成している「 集合住宅における動物飼養モデル規程」が参考になります。

主な規定事項は以下のとおりです。

集合住宅における動物飼養モデル規程
  • 「飼主の心構え」:快適な生活環境の維持向上、飼い主としての自覚、法令遵守等の心がけを示します。
  • 「飼主の守るべき事項」:飼育場所の限定、糞尿の始末、しつけ、疾病や害虫の発生予防、繁殖制限措置等について定めます。
  • 「居住者の行う手続き」:飼育する場合の許可や飼わなくなった場合の届出、犬については狂犬病予防注射の証明の提示を求めること等を定めます。
  • 「飼うことのできる動物の種類」
  • 「飼うことのできる動物の数」 等

② 修繕費用等に関する取り決め

ペットを飼育していた部屋の退去後は、ペットによるクロスのひっかき傷やカーペットのシミ、臭い等、原状に回復するには過分の費用がかかることが予想されます。 本来その費用は飼い主が負担すべきものですから、家賃の上乗せや修繕費用の支払いを借主に求めることは、適正な額であれば、問題ありません。

これらの負担を承知の上で賃貸借契約を締結することが、飼い主としての自覚を促すことにもなります。

櫻井弁護士

実際には、賃料は1か月あたり数千円アップ、敷金には1か月分の賃料上乗せといった条件が多いようです。適切妥当な金額を設定の上、賃貸借契約の内容として定めることになります。

③ ペット飼育の設備を整える

マンションの設備もペット飼育を想定したものに整え、他の住人とのトラブルをできるだけ防止する工夫が必要です。

ペット飼育を想定した設備
  • 玄関の飛び出し防止フェンス
  • 玄関リード掛け
  • 汚物ダスト
  • 足洗い場 

まとめ

ペットトラブルをめぐる契約解除を中心に解説しました。 実際多くのペット可マンションでは適切に設備や契約を整え、住民とペットが快適に過ごせる住環境づくりをしています。

この記事がペットトラブルでお困りのオーナー様はもちろん、「ペット可」にすることを検討中であり、契約内容や使用規約についてお悩みの方の参考になれば幸いです。

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不動産の名義変更をしないとどうなる?税金や手続きなど徹底解説!【弁護士監修】https://grand-next.jp/lawyer/name-change-realestateWed, 17 Jan 2024 16:58:12 +0000https://grand-next.jp/lawyer/?p=50

この記事のざっくりとしたポイント 不動産の名義変更をしないとどうなるかと解説 不動産の名義変更でかかる税金についてまとめ 名義変更にかかる費用は「書類取得費用」「税金」「司法書士への依頼料」 「不動産の名義変更ってしない ... ]]>

この記事のざっくりとしたポイント
  1. 不動産の名義変更をしないとどうなるかと解説
  2. 不動産の名義変更でかかる税金についてまとめ
  3. 名義変更にかかる費用は「書類取得費用」「税金」「司法書士への依頼料」

「不動産の名義変更ってしないとどうなるの?」

「名義変更でどんな税金がかかってくるんだろう」

このように悩んでいる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

手続き自体は必須ではありませんが、手続きを行っていないと相続の際に手間が増えたり、土地を売却する際にスムーズに進められなかったりすることが考えられます。

櫻井弁護士

今回の記事では、不動産の名義変更に必要な費用や手続き、そもそもしないどどうなるのかに関して詳しく解説します。財産分与、生前贈与などの細かいポイントについてもご紹介しているので、これから不動産の名義変更を実施する場合は是非、ご参考にしてください。

不動産の名義変更とは

不動産(マンション・家)の名義変更とは

マンションや家における名義変更は、登記簿に記載する家の所有者の名義を変更することです。

登記簿とは不動産の物理的状況と権利関係を法的に登録した帳簿のことで、所有権が移った場合に名義変更が必要になります。

家賃を払っていたり、住んでいたりしても登記簿に名義の記載がない場合は、他人に対してその不動産の家主であることが証明できません。

名義変更を行えば所有者が証明でき、他人に対する所有権の主張が可能です。

また、固定資産税は、1月1日時点での所有者に対して課税が発生するので、年の途中で不動産を譲渡した場合でも、元の所有者に納税義務が残ります。

名義変更を行うことで、その後の固定資産税の負担がなくなるので早い段階で法務局にて手続きを行いましょう。

名義変更が必要なケース

名義変更が必要なケースとしては下記の4つのケースが考えられます。

名義変更が必要なケース
  1. 財産分与
  2. 贈与
  3. 遺産相続
  4. 不動産売買

櫻井弁護士

ここからはそれぞれのケースに分けて詳しく解説します!

財産分与

財産分与とは、離婚した際に婚姻生活中に夫婦で持っていた財産を分配することです。

元夫名義の家を財産分与で名義変更して元妻の名義にする場合は、元夫から元妻へ名義変更する手続きを行う必要があります。

原則として贈与税、登録免許税、不動産取得が発生しないのが特徴となっています。

注意

離婚成立前に財産分与を行ってしまうと、生前贈与と判断され贈与税が課税される可能性が高くなるので注意しましょう。

贈与

贈与は財産の所有者が相手に対して、生前に財産を無償で譲渡することを指します。

不動産を贈与する場合は、元の所有者から贈与を受けた人に名義を変更する手続きが必要です。

不動産を生前贈与する場合は、受け取る側に不動産取得税、登録免許税、贈与税が発生するので贈与を受ける場合は把握しておきましょう。

遺産相続

不動産の所有者が亡くなった場合は、相続する方の名義に変更する必要があります。

相続登記の手続きを行わないでそのままにしておくと、さらなる相続が発生して、他の相続人とのトラブルに繋がりやすくなるので注意が必要です。

注意

トラブルに繋がる可能性があるので、なるべく早い段階で相続する方の名義に変更しましょう。

不動産売買

不動産を購入した後は、他人に客観的に証明するために速やかに名義変更を行うのが一般的です。

通常は不動産購入後に不動産会社から司法書士を紹介してもらい、代金支払いの当日に登記の手続きを行います。

司法書士の方と細かく確認し、納得した形でスムーズに手続きを終わらせるようにしましょう。

不動産の名義変更をしないとどうなる?

現状は不動産の名義変更をしなくても法的な罰則はなく、名義変更する期限も設けられていません。

住み続けるだけでは何の支障もありませんが、売却などを考えている場合は早い段階で手続きしておくことがおすすめです。

ただし、 相続登記については2024年を目処に義務化することが決まっているので、ルールについて詳しく理解しておく必要があります。

相続登記の義務化

相続により不動産の所有権を取得した場合は、相続の開始及び所有権を取得したことを理解した日から3年以内に所有する不動産の名義を変更する義務が発生します。

期限内に登録手続きを行わない場合は 10万円以下の過料が発生 するので注意しましょう。

こうしたルールの変更が行われた背景としては、少子高齢化の影響によって所有者不明の土地が増え、土地の有効利用や再開発が難しくなることが挙げられます。

遺言などの遺贈によって所有権を得た方も同様の義務が発生するので、あらかじめ覚えておくと良いでしょう。

また、法改正後のみだけではなく、法改正以前についても対象となっているのがポイントです。

櫻井弁護士

「法改正前に遺贈を受けていたから大丈夫だと思った」と考えていると危険です。法改正前に相続を受けた場合でも今回のルールの変更は必ず把握しておきましょう!

名義変更をしないメリット・デメリット

不動産における名義変更の概要はわかったのですが、名義変更を行わないメリットとデメリットは具体的にどのようなものなのでしょうか。

相談者

櫻井弁護士

ここからは名義変更をしないメリット・デメリットについてご紹介するので、合わせてご参考にしてください!

名義変更をしないメリット

1つ目のメリットとしては法務局での手続きや、司法書士に依頼する手間が省けるポイントが挙げられます。

登記を行う場合は平日にわざわざ手続きを行う必要があるので、手間に感じる方も多いでしょう。

また2つの目のメリットして、登記に必要な費用が発生しないという点が挙げられます。

注意

登記手続を司法書士などの専門家に依頼すると、5~6万円程度の費用が発生し、登録免許税も必要になり、相続の場合は評価額の0.4%の費用がかかるので注意が必要です。

名義変更をしないデメリット

名義変更をしない場合、将来的に親子間で相続を行う場合に手続・コストが面倒になり、負担を感じてしまうでしょう。

相続人が分からず、何人いるかも分からないという場合は専門家への依頼が必要となり、より手間がかかるのがネックです。

また、 土地を売る際に、名義変更が済んでいないと手続きを進められません。

「売るチャンスがあるのに、名義変更を済ませていないから売却できない」となると損です。将来的に売却も視野に入れている場合は必ず名義変更を行いましょう。

不動産の名義変更にかかる税金・費用

不動産(マンション・家)の名義変更における費用

名義変更にかかる費用は「書類取得費用」「登録免許税や贈与税などの税金」「(依頼した場合の)司法書士への依頼料」の3つです。

それぞれでかかる費用や詳細も異なるので、名義変更を行う場合はすべて把握しておく必要があります。

それぞれ、どれくらい費用がかかるものなのでしょうか?目安が知りたいです。

相談者

櫻井弁護士

ここからは名義変更における費用についてそれぞれ詳しく解説します!「どのケースでどの税金がいくらほどかかるのか」「司法書士への依頼料相場」を知りたい方はチェックしてください!

書類取得費用

ここまで財産分与、贈与、遺産相続、不動産売買に必要な書類についてご紹介しました。それぞれの書類を発行する場合は下記のように別途で取得費用が必要になります。

※横にスクロールしてご覧ください

書類名 費用 取得方法 財産分与 贈与 遺産相続 不動産売買
印鑑証明書 300円 不動産が所在する市町村役場の窓口
住民票の写し 300円 不動産が所在する市町村役場の窓口
戸籍謄本 450円 不動産が所在する市町村役場の窓口
離婚協議書 5万~10万程度 自分で作成
固定資産評価証明書 400円 不動産が所在する市町村役場の窓口
贈与契約書 10,000円~ 法務局
相続関係説明図 弁護士事務所によって変動 法務局
遺産分割協議書 弁護士事務所によって変動 法務局
不在籍証明書 300円 該当の区の区役所で請求
建築確認通知書 200円~400円 各自治体で指定の申請書を建築指導担当窓口へ提出することで発行
測量図 約40万~50万円 法務局

税金

不動産の名義変更を行う場合、登録免許税、贈与税、不動産取得税、譲渡所得税が発生し、ケースごとに課税にかかる計算方法が変わります。

櫻井弁護士

ここからはそれぞれのケースに分けて解説を行います。

登録免許税

登録免許税は、登記手続きの際に納める税金のことを指します。税率は登記の種類で下記のように異なるのが特徴です。

土地の所有権移転登記 2%
新築したときの所有権保存登記 0.4%
中古住宅などの所有権移転登記 2%

贈与税

贈与税は、1月1日から12月31日までの1年間にもらった財産の合計額から基礎控除額の110万円を差し引いた残りの額に対して発生します。

税率の計算は一般贈与財産用と直系尊属(祖父母や父母など)から、その年の1月1日で20歳以上の者に贈与する場合の特例贈与財産用の2パターンに分かれます。

【一般贈与財産用】※ 横にスクロールしてご覧ください

基礎控除後の課税価格 200万円 以下 300万円 以下 400万円 以下 600万円 以下 1,000万円 以下 1,500万円 以下 3,000万円 以下 3,000万円 超
税率 10% 15% 20% 30% 40% 45% 50% 55%
控除額 10万円 25万円 65万円 125万円 175万円 250万円 400万円

 

【特例贈与財産用】※ 横にスクロールしてご覧ください

基礎控除後の課税価格 200万円 以下 400万円 以下 600万円 以下 1,000万円 以下 1,500万円 以下 3,000万円 以下 4,500万円 以下 4,500万円 超
税率 10% 15% 20% 30% 40% 45% 50% 55%
控除額 10万円 30万円 90万円 190万円 265万円 415万円 640万円

不動産取得税

不動産取得税は土地や家屋の購入、贈与などで不動産を取得した際に、課税される税金のことを指します。

不動産所得税を計算する場合は下記の税率が適用される仕様です。

取得日 土地/家屋(住宅) 土地/家屋(非住宅)
平成20年 4月 1日から 令和6年 3月31日まで 3/100 4/100

譲渡所得税

譲渡所得税は不動産売却時に得た利益にかかる税金を指し、「所得税」と「住民税」に分かれます。譲渡所得金額の計算方法は下記の通りです。

譲渡価額 -(取得費+譲渡費用)- 特別控除額(一定の場合)= 課税譲渡所得金額

また、所有期間5年以下であれば「短期譲渡所得」、5年超の場合は「長期譲渡所得」が 課税譲渡所得金額に適用されます。

【短期譲渡所得】譲渡所得×39.63%(所得税30%+復興特別所得税0.63%+住民税9%)

【長期譲渡所得】譲渡所得×20.315%(所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%)

司法書士への依頼料

地域や内容によっても差があり、5万円~15万円程度が目安になります。

司法書士事務所によって費用は異なるのであくまで参考程度に留めておきましょう。

櫻井弁護士

登記の申請のみの依頼、遺産分割協議書の作成、証明書の収集を任せるのかでも依頼料は異なります。司法書士事務所によって、報酬基準は違うので十分に確認した上で比較検討を行いましょう。

名義変更手続きは自分でもできる

 

不動産に関する名義変更は自分でもできます。 期間としては2週間~1カ月ほどかかることがあるので、余裕をもって手続きを行うことが大切です。

自分で手続きを行うのが面倒な場合は 司法書士に依頼するという手段 もあります。

司法書士に依頼する場合はまず名義変更に関する相談を行います。

無料で相談できることも多く、安心して相談することが可能です。

相談者

説明の段階では、名義変更における諸条件、かかる費用について案内されることが多くなっています。

その後、諸条件や費用について納得ができ、費用を支払った後は司法書士が書類作成を行います。

自分で書類を作る必要はなく、何度か書類作成のためにやり取りをすることがありますが、基本的には司法書士に任せることが可能です。

書類が完成した後は、申請のために必要となる書類に署名・捺印を行います。代表者の本人確認を行う必要が出てくるので、印鑑証明書等本人のみ取得できる書類も用意をスムーズに進みやすくなるでしょう。

書類が整った後は司法書士が法務局へ所有権移転の登記申請を行い、完了後は返却書類と一緒に変更後の登記簿まで送ってもらえることもあります。

MEMO

司法書士によって対応が異なるので依頼時に十分に確認しておきましょう。

名義変更の大まかな流れ

名義変更の大まかな流れ

司法書士に依頼せず、自分で名義変更の手続きをする場合は土地の所在地に対応する法務局を調べましょう。

土地の名義変更を行うのは土地を管理する法務局となるので、事前に十分に確認することが大切です。

確認が取れた後は、法務局で登記申請書を取得して作成を進めることになりますが、事前に下記の必要書類を取得しておくとよりスムーズに手続きを進められます。

必要な書類
  1. 登記識別情報もしくは登記済証
  2. 登記原因証明情報
  3. 代理権限証書
  4. 印鑑証明書
  5. 住所証明書
  6. 課税価格
  7. 登録免許税

場合によっては戸籍謄本の取得が必要になることもあるので、どのような書類が必要になるのかは法務局で事前に確認しておきましょう。

書類不足や記入漏れがある場合は、再度修正して手続きを行うことになり、二度手間になるので提出前はチェックを欠かさないことが重要です。

また、 名義変更を行う場合は理由によっても異なりますが、1カ月程度の時間が必要です。

書類が多く必要になる相続の場合だと、1カ月~1カ月半かかることもあるのであらかじめ覚えておきましょう。

MEMO

登記申請書は 法務局のサイトからダウンロードすることが可能です。

財産分与の場合の必要書類と注意点

財産分与の場合の必要書類と注意点

夫婦が離婚してしまった場合などで名義変更を行うケースは財産分与に当たります。

元夫婦で共同で進めるものですが、離婚が原因の場合は片方が主導して手続きを行うことが多くなります。

財産分与によって名義変更を行う場合は、分与元・分与先によって下記のように必要な書類が異なります。

分与元 ・登記識別情報通知(登記済権利証) ・印鑑証明書(発行して3か月以内のもの)
分与先 ・住民票の写し
共通 ・戸籍謄本 ・離婚協議書

離婚協議書の作成については元夫婦同士で行う必要があるので、お互いの確認の下で抜け漏れがないようにするのが望ましいです。

市町村役場で発行してもらう書類ではないので、自分たちで作成する必要があるのも注意点になります。また、特定の書式やフォーマットがあるわけではないので、あらかじめ把握しておきましょう。

注意点として登記簿に載っている土地の情報や、手続きの費用や税金の支払いはどちらが行うか明確にしておくことが大切です。

注意

確認不足だと金額が大きい分、元夫婦同士でトラブルに発展する可能性が高いので注意しましょう。

贈与の場合の必要書類と注意点

贈与の場合の必要書類と注意点

親族などから土地を譲り受けた場合などは「贈与」のパターンになり、注意点を把握してから名義変更を行うことが大切です。

相続を行うケースと違って、贈与する側とされる側のお互いで手続きができるので、効率よく手続きを進められます。

贈与の場合に必要となる必要書類は下記の通りです。

分与元 ・固定資産評価証明書(年度内に発行したものに限る) ・登記識別情報通知(登記済権利証) ・印鑑証明書(発行して3か月以内のもの) ・登記簿謄本
分与先 ・住民票の写し
共通 ・贈与契約書

住民票の写し・印鑑証明書・固定資産評価証明書は各市町村役場で発行、その他の書類は法務局で発行します。

手続きを行う場合の注意点としては、相続の場合と比べて税額が上がる傾向にあるので、登録免許税が2.0%となることが挙げられます。

また、固定資産評価額4.0%の不動産取得税、土地の評価額から110万円を控除した金額にかかる贈与税も納めることも必要です。

MEMO

いくら支払うことになるのかあらかじめ把握した上で、慎重に手続きを進めていきましょう。

遺産相続の場合の必要書類と注意点

遺産相続の場合の必要書類と注意点

遺産相続にて名義変更を行う場合、必要書類は相続元・相続先で下記のように異なります。

相続元 ・戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍 ・住民票の除票(または戸籍の附票)
相続先 ・戸籍謄本(法定相続人全員) ・住民票
共通 ・固定資産評価証明書 ・相続関係説明図 ・遺産分割協議書 ・印鑑証明書 ・不在籍証明書、不在住証明書 ・登記済権利証 ・上申書 ・相続人全員の本人確認資料(運転免許証等)

遺産相続にて名義変更するのであれば、相続人調査を十分に行う必要があります。

例として 絶縁状態にあった兄弟や、親族の隠し子など広い範囲まで相続の対象となるので、念入りにチェックを行いましょう。

また、 他の注意点として遺言書があった場合は、基本的に遺言書通りの遺産分割を行うことになります。

提出する書類などにも影響してくるので、遺言書の有無についても十分に確認することが大切です。

また、遺言書がない場合は、遺産分割協議と呼ばれる亡くなった方の財産を誰が相続するのか決める話し合いを行います。

MEMO

名義変更登記をする場合は原則として、相続人全員が署名した遺産分割協議書が必要になるのであらかじめ覚えておきましょう。

不動産売買の場合の必要書類と注意点

不動産売買の場合の必要書類と注意点

動産売買を行う場合、売主と買主で必要な書類が下記のように異なります。

売主 ・土地・建物登記済証(権利証)または登記識別情報 ・実印 ・印鑑証明書 ・固定資産税・都市計画税納税通知書 ・パンフレット・管理規約・管理組合総会議事録(マンションなどの場合) ・建築確認通知書・検査済証 ・測量図・建物図面・建築協定書など ・物件状況等報告書 ・設備表 ・印紙、または印紙代 ・運転免許証などの本人確認書類 ・仲介手数料(半金)
買主 ・本人確認書類 ・印鑑
買主代理人が契約に立ち会う場合 ・委任状 ・印鑑証明書 ・代理人の本人確認書類

不動産売買を行う場合の注意点として売主側の必要書類が多いことが挙げられます。抜け漏れがあると、再度手続きすることもあるので慎重に確認しましょう。

売却される不動産の種類や売却方法によっても必要な書類が変わることもあり得ます。

必要書類でミスをしないためにも段取りを設定した上で書類を準備しましょう。

書類によっては交付に時間がかかる場合もあるので、必要な時期を逆算した上で調整や確認を行うことが大切なんですね。

相談者

櫻井弁護士

個人のみで調整が難しい場合は不動産会社にも相談した上で、じっくりと準備を進めるとスムーズに手続きがしやすくなります。

まとめ

今回の記事では、不動産における名義変更に関する費用や手続きの詳細をご紹介しました。名義変更の大まかな流れや、それぞれのケースで必要となる手続き方法などお役立ち情報を多く記載しています。

名義変更を行う場合は細かい注意点、税率、計算方法まで覚えておく必要があります。

知識に漏れがあると、書類提出ができなくなり、手続きが思ったように進まずに手間がかかってしまうことがあるからです。

悩んだ場合は司法書士や不動産事務所に相談しつつ、スムーズな解決を図りながら手続きを進めましょう。

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手付金の返還義務とは?手付金を返してもらう方法【弁護士が解説】https://grand-next.jp/lawyer/bankruptcy-depositMon, 15 Jan 2024 16:48:52 +0000https://grand-next.jp/lawyer/?p=41

この記事のざっくりしたポイント 手付金に返還義務があるのかを解説 手付金を返してもらう方法とは? 不動産会社が倒産しても、保全措置が講じられていれば全額返還してもらえる 不動産の売買においては、「手付金」という言葉が出て ... ]]>

この記事のざっくりしたポイント
  1. 手付金に返還義務があるのかを解説
  2. 手付金を返してもらう方法とは?
  3. 不動産会社が倒産しても、保全措置が講じられていれば全額返還してもらえる

不動産の売買においては、「手付金」という言葉が出てきます。

手付金とは、契約が成立したことの証として、買主が代金の一部を売主に支払うお金のことを指します。

では、この手付金を支払った後に売主である不動産会社が倒産してしまった場合、手付金は戻ってくるのでしょうか。 手付保証制度の仕組みなど含めて、返還義務があるのかを弁護士が解説します。

手付金の返還義務とは?

先に一般論で言いますと、売主が倒産したときは手付金は返ってきません。

法律上は、売主は手付金を返還すべき義務を負いますが、倒産してしまっているのですから、返せるだけの資金力がありません。

では買主は泣き寝入りするしかないのかというと、そのようなことはなく、宅地建物取引業法(宅建業法)が手付金の保全措置を定めています。

原則論としては売主が倒産したら返してもらえない

不動産に関して買主と売主とで売買契約を締結した場合、買主は代金を支払う義務を負い、売主は不動産を引き渡す義務を負います。この買主の代金支払いの一部として支払われるのが手付金です。

手付金を支払ったものの、物件の引き渡し前に売主が倒産・破産してしまった場合、売主は物件の引き渡しが履行できなくなるため、契約は解除されることになります。そうすると、 売主は契約解除により受け取った手付金を返還すべき義務を法律上は負うことになります。

しかし、これはあくまで法律上の義務です。

売主は倒産してしまっているため、法律上の義務はあっても現実にはお金がなくなっており、手付金が実際に返還されることは極めて少ないと言えるでしょう。

 

そうすると、売主が倒産したら手付金は返してもらえないということですか?

 

 

そうした事態に備えて、宅建業法が保全措置を定めています。すなわち、売主が倒産した場合、買主は多大な損害を被ることにもなります。そのような場合に備え、宅建業法は、手付金の保全措置として、銀行、保険事業者などによる保証を義務付けています(宅建業法41条、41条の2)。

 

不動産売買が行われる場合、多くの場合には宅地建物取引業者(不動産業者)が売主であったり、仲介に入っていたりします。

このような場合において、 宅建業法は手付金を受領する前に銀行や保険事業者の保証を付けることを定め、その保証を得ない状態では宅建業者は手付金を受け取ってはいけないとされています。

この保全措置が取られていた場合には、手付金は保証を行った銀行、保険事業者などから全額返還してもらえる可能性があるのです。

手付金を返してもらう方法

不動産会社が倒産してしまい、その会社に資金力がない場合は保全処置により手付金を返してもらう方法があります。

手付金などの保全措置

宅建業法が保全措置を定めていることにより、 売主から手付金の返還がされなくとも、保証を行ったものから手付金を返還してもらえることになっています。

 

どんな場合に保全措置が取られるのですか?

 

 

宅建業法では、宅建業者(不動産業者)が売主になる場合と定められています(宅建業法41条、41条の2)。不動産業者のほとんどは宅地建物取引業免許を得て事業を行っていますので、不動産業者が売主である場合は、保全措置が取られることになると認識しておいて良いです。

 

宅建業者(不動産業者)自身が売主となる場合で、対象物件が未完成のものについては、銀行と保険事業者が保証することになります(宅建業法41条)。銀行か保証事業者かは宅建業者が選択します。

これに対して、対象物件が完成している場合や中古物件である場合には、宅建業者の協会の保証か、銀行・保険事業者のいずれかが保証することになります(宅建業法41条の2)。協会か銀行・保険事業者のどれにするかについては宅建業者が選択します。

売買代金に対する手付金の割合規制

宅建業法は手付金の保全措置を定めて買主を保護しています。ただ、 すべての手付金が保護されるわけではなく、一定の割合、金額による規制があります。

 

不動産業者(宅建業者)が売主なら、すべての手付金が、宅建業者の協会や、銀行・保険事業者によって保証されるのではないのですか?

 

 

はい、すべての手付金ではありません。手付金の金額や売買代金に対する割合による規制があります。

 

宅建業法では、 対象物件が未完成の場合には、手付金が契約代金の5%以下の場合で、かつ、手付金額が政令で定める額(現状では1,000万円)以下である場合には、銀行・保険事業者による保証は不要であるとしています (宅建業法41条1項但書)。

また、 様に対象物件が完成している場合や中古物件である場合には、手付金が契約代金の10%以下で、かつ、政令で定める額(1,000万円)以下である場合には、宅建業者の協会、銀行、保険事業者のいずれの保証も不要であると定めています (宅建業法41条の2第1項但書)。

保全措置の対象にならない場合は返還されない

保全措置の対象にならない場合は返還されない

宅建業法では、不動産業者が売主となる場合の保全措置を定めていて、具体的には、宅建業者の協会や、銀行、保険事業者による保証がされることとなっています。

売主が倒産した場合には、保証を行った協会、銀行、保険事業者から手付金が返還されます。

しかし、すべての場合に保全措置が取られるわけではなく、 手付金の額が契約代金の一定割合以下の場合ですと、こうした銀行などの保証はつけなくて良いことになっています。

注意
保証が付いていない場合には手付金を返還してもらうのは難しいでしょう。

手付金が返還されないケース

 

手付金が返してもらえないというのはどのようなケースですか?

 

 

まず、第一に売主が不動産業者ではない場合です。個人間の売買ですと、宅建業法が適用されませんので、手付金に保証を付ける義務はありません。

 

次に、不動産業者が売主となる場合でも宅建業法上の規制価格を下回る場合です。

保証を付ける必要がないパターン
  • 未完成の物件では代金の5%以下で、かつ、1,000万円以下である場合
  • 完成した物件では代金の10%以下で、かつ、1,000万円以下である場合

例えば、不動産業者から1,000万円で中古物件を購入することとして、手付金40万円を支払った場合、手付金は代金総額の4%ですので、②にあたり、宅建業法上、銀行などの保証を付ける義務はありません。銀行などの保証がなければ、手付金が返還される見込みは低いでしょう。

他にも 購入した物件について、既に所有権移転登記が買主になされている場合には、銀行などの保証は不要とされています (宅建業法41条、41条の2)。

これは当然といえば当然のことで、買主に登記があるということは買主に所有権が移っているため、仮に売主が倒産したとしても手付金を返してもらう必要はありません。

逆にその場合、買主としては売主に残代金を支払う義務が残ることになります。

トラブルを防ぐために契約前の確認すべきこと

手付金が返還されないトラブルを防ぐためには、 手付金を支払う前に銀行、保険事業者、宅建業者の協会による保証が付けられているかどうかをしっかりと確認することが重要です。

不動産業者に尋ねれば答えてくれますし、不動産業者はこの点について、説明する義務があると言えます。

 

不動産業者に、銀行などの保証がついていることを証明する書類を提出してもらうことはできますか?

 

 

できます。宅建業法では、手付金を受領する前に、銀行、保険事業者、宅建業者の協会のいずれのかの保証を得たことを証する書面を、買主に交付することが義務付けられています(宅建業法41条1項1号、2号、41条の2第1項1号)。手付金を支払う前に、銀行などの保証を証する書面の提出を求めてください。

 

保証証書等が交付されない場合は手付金の支払いを拒否できる

不動産業者が銀行などの手付保証を付けているか分からないときは、手付金の支払いを拒否することができます。

これは、宅建業法に明確に定められています(宅建業法41条4項、41条の2第5項)。

MEMO
不動産業者が銀行等による保証証書を出してくれない場合は、手付金の支払いを拒むことは、法律上保護された権利であると言えます。

まとめ

手付金は不動産購入契約を締結したことを証する性格がありますが、一方でその金額は大きく、もし売主が倒産してしまい返還されないことになってしまうと、精神的打撃だけはなく経済的な打撃も大きくなります。

そうした事態に備えて、宅建業法は手付金の保全措置を定めています。 不動産業者が売主である場合には、手付金を受領する前に、銀行、保険事業者、宅建業者の協会による保証を付け、その保証証書を買主に交付することを義務付けています。

買主としては、不動産業者が保証証書を交付するまでは手付金の支払いを拒むことができます。ただし、この保証は、①未完成の物件では代金の5%以下で、かつ、1,000万円以下である場合、②完成した物件では代金の10%以下で、かつ、1,000万円以下である場合には不要とされています。

ご自身が購入される不動産について、この手付金保全措置が必要なものかどうか、必要な場合はきちんと保証が付けられているかを、しっかりとご確認ください。

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建売に欠陥があることが発覚!欠陥住宅とは何かその対処法まとめ【弁護士が解説】https://grand-next.jp/lawyer/property-defectThu, 11 Jan 2024 17:10:15 +0000https://grand-next.jp/lawyer/?p=57

この記事のざっくりしたポイント 購入した建売住宅に欠陥があった!対処法まとめ そもそも欠陥住宅とは何か?判断基準を解説 国民生活センターや欠陥住宅問題に詳しい弁護士に相談するのが良い 多くの人にとって「家」は人生の中で最 ... ]]>

この記事のざっくりしたポイント
  1. 購入した建売住宅に欠陥があった!対処法まとめ
  2. そもそも欠陥住宅とは何か?判断基準を解説
  3. 国民生活センターや欠陥住宅問題に詳しい弁護士に相談するのが良い

多くの人にとって「家」は人生の中で最も大きな買い物です。ほとんどの人は多額のローンを組み、毎月少しずつ数十年間という長期にわたって返済することでようやく家を手に入れます。

そこまでして多くの人たちが家を購入するのは、やはり「長く住み続けられる」「ローンが終われば自分のものになる」といった理由があるからでしょう。

 

購入した建売住宅に欠陥が見つかりました。どうすればいいですか?

 
 

購入した物件に欠陥があった場合の対処法や、そもそも欠陥住宅とは何かその法的根拠をあげながら解説しましょう。

 

欠陥住宅とは

どんな物件でも経年劣化は避けられません。しかし引き渡しを受けた直後にも関わらず、例えばドアが閉まらない・開かない、床が傾いている、雨漏りがする、といったことが起きた場合は、もともと欠陥住宅であった可能性が高くなります。

高額な買い物である家の購入は法律によってその品質や補償などが定められています。つまり、もともと欠陥がある家を買った場合、建売住宅なら不動産会社、注文住宅ならハウスメーカーなど、売った側がその欠陥を補修する費用を負担する責任があると定められているのです。

そもそも欠陥の判断基準は?

テレビのニュースなどでも耳にすることがある「欠陥住宅」という言葉ですが、欠陥とはどのような状態を指すのでしょうか。

例えば家を建てる時には家の高さや土地の広さに対する家の広さ、耐震性などさまざまな基準が建築基準法という法律によって定められています。

そのため人が暮らしていくうえで特に不便なことがなかったとしても、この法律に合致していなければ欠陥住宅ということになります。もちろん、欠陥住宅かどうかは法律に合致しているかどうかだけで決まるわけではありません。

人が家に求める快適さや便利さがない、つまり家としての性能や品質に不備があれば、それは当然のことながら欠陥住宅です。

欠陥に関する法的ルール

購入した家に「欠陥」があった場合は売り主に対して損害賠償請求を行います。この請求は引き渡しから5年(コンクリート造りの場合は10年)と決められています。

しかし新築住宅で土台や柱、外壁や屋根など構造上重要な部分に欠陥があった場合は「住宅品質確保法」という法律によって10年は補償の義務を負うと決められています。

さらに2009年に施行された「住宅瑕疵担保履行法」という法律によって、不動産会社やハウスメーカーなど住宅を販売する会社に「住宅瑕疵保険」か「保証金の供託」が義務づけられました。

 

欠陥に気づいた時にはもう住宅販売会社が倒産していたのですが…。

 
 

上記の住宅瑕疵担保履行法により、もし欠陥に気づいた時に住宅を販売した会社が倒産していたとしても、補修費用は保険や供託金によってまかなわれることになっています。

 

もし仮に不動産会社やハウスメーカーなどが「住宅瑕疵保険」に入っていなかった場合、当然のことながら保険金は支払われません。

しかし保険に加入しなかった場合は法務局に保証金を預ける必要があります。この「供託金」の額は住宅の販売実績が1戸なら2000万円、10戸なら3800万円、100戸なら1億円、と決められています。

この中から補修に必要な費用が支払われることになります。

建売に欠陥が見つかった場合の解決方法

では、購入した建売住宅に欠陥が見つかったらどのような解決方法があるのでしょうか。

「欠陥住宅かもしれない」と感じたら、まずは一級建築士に調査を依頼しましょう。そして、欠陥の原因が何かを突き止めます。その原因がもともと家を建てた時に発生したものであれば、売り主に対してその補修費用の支払いなどを交渉します。

任意交渉

暮らしていて感じる不具合が調査によってもともと家の欠陥によるものであると判明すれば、まずは売り主に連絡します。ただ売り主が自分たちの非を認めて賠償責任を果たしてくれるとは限りません。

一級建築士による調査結果を提示するのはもちろんですが、あらかじめ弁護士に相談しておくことも大切です。欠陥住宅問題に詳しい弁護士に相談し代理人として交渉してもらうほうがスムーズな解決へとつながる可能性が高いといえるでしょう。

調停

弁護士を代理人に立てて交渉しようとしても相手方が交渉に応じない、話し合いが進まない、といったケースは少なくありません。そのような場合は公的な場に相手方を呼び出して交渉を進める必要があります。

国民生活センターの紛争解決委員会や各自治体の弁護士会の住宅紛争審査会などに相談すれば調停や和解、仲裁など紛争解決に乗り出してくれます。

訴訟

調停でも解決しない場合は最終手段として訴訟を起こして白黒つけることになります。一般的に住宅の欠陥に関する裁判は専門家による調査などに時間がかかり最終的な判決に至るまでに長い時間と費用を要します

 

解決するまでに、かなり時間がかかるんですね。

 
 

裁判を起こしてから和解するという可能性もあります。実際に住宅の欠陥に関する裁判では、裁判中に和解によって解決したケースも少なくありません。

 

受けられる可能性のある補償

では、どのような「欠陥」の補修費用がまかなわれるのかというと、耐震性能や防水性など家の基礎や構造にあたる部分になります。

具体的には住宅の基礎や土台、柱、外壁、屋根、窓など、もし欠陥があった場合に人が暮らすことそのものが危ぶまれる根本的な欠陥の補修費用となります。一般的に支払われる保険金の上限は2000万円で、これは補修費用に加えて調査費用や補修工事期間中の住宅費用、引っ越し費用なども含まれます。

中古住宅の場合は保険への加入や供託金の拠出が義務ではありません。したがって、もし欠陥があった場合には短い期間しか補償を受けることができません。

購入時の契約書の内容にもよりますが、だいたい引き渡しを受けてから2~3カ月程度の間に土台や柱といった基礎部分の腐食、雨漏り、給排水管の故障、シロアリ被害などがあれば売り主から賠償を受けることができます。

一級建築士に調査依頼を

購入した家に欠陥があるように感じたとしても欠陥として感じられる部分は家の内装や床などの傾き、扉や窓の枠の歪みといった目に見える部分だけです。

この場合、欠陥だと感じている部分が内装などの仕上げの問題なのか、それとも家の基礎的な構造の問題なのかは素人には分かりません。

 

欠陥かどうかの判断基準がよく分かりません。

 

 

欠陥住宅かもしれないと感じた時には、一級建築士などに依頼して目に見えない部分まできちんと調査を行い、欠陥だと感じている部分の原因を突き止めてもらいましょう。

 

欠陥住宅問題を相談できる窓口

高価な買い物である家の購入にあたっては、さまざまな法律などが整備されて消費者の保護が進んでいます。それでも、やはり欠陥住宅はなくなりません。

最初から利益だけを目的として欠陥住宅であることを隠して販売するケースもあれば、誠意を込めて建てて販売した家に欠陥が出てしまうこともあるでしょう。

いずれにしても欠陥住宅となれば支払った対価に見合わない高い買い物ということになります。

「欠陥住宅かもしれない」と感じた場合はなるべく早く解決へとつなげるためにも、まずは一級建築士に依頼して欠陥の原因を突き止めると同時に、売り主との紛争解決につながる相談窓口に相談するようにしましょう。

弁護士会の住宅紛争審査会

欠陥住宅であることが判明して売り主と交渉を始める際、弁護士の選定に迷うこともあるかもしれません。そのような時は住んでいる地域の弁護士会に相談するのが一般的です。

自治体の弁護士会には「住宅紛争審査会」が設置されています。これは裁判までいかずに紛争を解決するためのもので、住宅に関するあっせんや調停、仲裁などをお願いすることができます。

話し合いに建築士が参加してくれるのもポイントといえるでしょう。

 

この制度は誰でも利用できますか?

 
 

この制度を利用するにあたっては「建設住宅性能評価書」が付与された住宅瑕疵担保履行法の適用を受けた保険付き住宅であること、などの条件があるので注意が必要です。

 

国民生活センターの紛争解決委員会

消費者保護を目的とした国民生活センターにも住宅に関する紛争解決のための相談窓口があります。国民生活センターでは、その性質上紛争解決が他の消費者にとっても有益であると判断される場合は「重要消費者紛争」として紛争解決委員会を設置して和解・仲裁に乗り出します。

MEMO
紛争解決委員会は不動産業者や施工業者などが交渉を拒んだ場合、その事業者名を公表できるので、交渉が進み解決へとつながる可能性が高いといえます。

全国宅地建物取引業保証協会・不動産保証協会

建物の売買契約に伴って紛争が発生した場合は全国の宅地建物取引業保証協会や不動産保証協会などが相談窓口となってくれます。これらの協会では加入している宅建業者から営業保証金を預かっています。

そのため宅建業者が賠償金を支払わない場合は協会が支払いをしてくれます。ただし建物の売買に関する契約なので、注文住宅には適用されません。

まとめ

多額のローンを組んで購入したマイホームが欠陥住宅だった時の精神的負担は計り知れないものです。しかし、そのような場合もきちんと交渉をすることで解決につながるケースも少なくありません。

「欠陥住宅かもしれない」と感じた場合でも決して泣き寝入りはせず、国民生活センターや欠陥住宅問題に詳しい弁護士に相談してみましょう。

目に見えない部分まできちんとした調査を行い、原因を突き止めたうえで売り主との交渉に臨めば、解決につながる可能性も高くなります。

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