建売に欠陥があることが発覚!欠陥住宅とは何かその対処法まとめ【弁護士が解説】

この記事のざっくりしたポイント
  1. 購入した建売住宅に欠陥があった!対処法まとめ
  2. そもそも欠陥住宅とは何か?判断基準を解説
  3. 国民生活センターや欠陥住宅問題に詳しい弁護士に相談するのが良い

多くの人にとって「家」は人生の中で最も大きな買い物です。ほとんどの人は多額のローンを組み、毎月少しずつ数十年間という長期にわたって返済することでようやく家を手に入れます。

そこまでして多くの人たちが家を購入するのは、やはり「長く住み続けられる」「ローンが終われば自分のものになる」といった理由があるからでしょう。

 

購入した建売住宅に欠陥が見つかりました。どうすればいいですか?

 
 

購入した物件に欠陥があった場合の対処法や、そもそも欠陥住宅とは何かその法的根拠をあげながら解説しましょう。

 

欠陥住宅とは

欠陥住宅とは

どんな物件でも経年劣化は避けられません。しかし引き渡しを受けた直後にも関わらず、例えばドアが閉まらない・開かない、床が傾いている、雨漏りがする、といったことが起きた場合は、もともと欠陥住宅であった可能性が高くなります。

高額な買い物である家の購入は法律によってその品質や補償などが定められています。つまり、もともと欠陥がある家を買った場合、建売住宅なら不動産会社、注文住宅ならハウスメーカーなど、売った側がその欠陥を補修する費用を負担する責任があると定められているのです。

そもそも欠陥の判断基準は?

テレビのニュースなどでも耳にすることがある「欠陥住宅」という言葉ですが、欠陥とはどのような状態を指すのでしょうか。

例えば家を建てる時には家の高さや土地の広さに対する家の広さ、耐震性などさまざまな基準が建築基準法という法律によって定められています。

そのため人が暮らしていくうえで特に不便なことがなかったとしても、この法律に合致していなければ欠陥住宅ということになります。もちろん、欠陥住宅かどうかは法律に合致しているかどうかだけで決まるわけではありません。

人が家に求める快適さや便利さがない、つまり家としての性能や品質に不備があれば、それは当然のことながら欠陥住宅です。

欠陥に関する法的ルール

購入した家に「欠陥」があった場合は売り主に対して損害賠償請求を行います。この請求は引き渡しから5年(コンクリート造りの場合は10年)と決められています。

しかし新築住宅で土台や柱、外壁や屋根など構造上重要な部分に欠陥があった場合は「住宅品質確保法」という法律によって10年は補償の義務を負うと決められています。

さらに2009年に施行された「住宅瑕疵担保履行法」という法律によって、不動産会社やハウスメーカーなど住宅を販売する会社に「住宅瑕疵保険」か「保証金の供託」が義務づけられました。

 

欠陥に気づいた時にはもう住宅販売会社が倒産していたのですが…。

 
 

上記の住宅瑕疵担保履行法により、もし欠陥に気づいた時に住宅を販売した会社が倒産していたとしても、補修費用は保険や供託金によってまかなわれることになっています。

 

もし仮に不動産会社やハウスメーカーなどが「住宅瑕疵保険」に入っていなかった場合、当然のことながら保険金は支払われません。

しかし保険に加入しなかった場合は法務局に保証金を預ける必要があります。この「供託金」の額は住宅の販売実績が1戸なら2000万円、10戸なら3800万円、100戸なら1億円、と決められています。

この中から補修に必要な費用が支払われることになります。

建売に欠陥が見つかった場合の解決方法

建売に欠陥が見つかった場合の解決方法

では、購入した建売住宅に欠陥が見つかったらどのような解決方法があるのでしょうか。

「欠陥住宅かもしれない」と感じたら、まずは一級建築士に調査を依頼しましょう。そして、欠陥の原因が何かを突き止めます。その原因がもともと家を建てた時に発生したものであれば、売り主に対してその補修費用の支払いなどを交渉します。

任意交渉

暮らしていて感じる不具合が調査によってもともと家の欠陥によるものであると判明すれば、まずは売り主に連絡します。ただ売り主が自分たちの非を認めて賠償責任を果たしてくれるとは限りません。

一級建築士による調査結果を提示するのはもちろんですが、あらかじめ弁護士に相談しておくことも大切です。欠陥住宅問題に詳しい弁護士に相談し代理人として交渉してもらうほうがスムーズな解決へとつながる可能性が高いといえるでしょう。

調停

弁護士を代理人に立てて交渉しようとしても相手方が交渉に応じない、話し合いが進まない、といったケースは少なくありません。そのような場合は公的な場に相手方を呼び出して交渉を進める必要があります。

国民生活センターの紛争解決委員会や各自治体の弁護士会の住宅紛争審査会などに相談すれば調停や和解、仲裁など紛争解決に乗り出してくれます。

訴訟

調停でも解決しない場合は最終手段として訴訟を起こして白黒つけることになります。一般的に住宅の欠陥に関する裁判は専門家による調査などに時間がかかり最終的な判決に至るまでに長い時間と費用を要します

 

解決するまでに、かなり時間がかかるんですね。

 
 

裁判を起こしてから和解するという可能性もあります。実際に住宅の欠陥に関する裁判では、裁判中に和解によって解決したケースも少なくありません。

 

受けられる可能性のある補償

受けられる可能性のある補償

では、どのような「欠陥」の補修費用がまかなわれるのかというと、耐震性能や防水性など家の基礎や構造にあたる部分になります。

具体的には住宅の基礎や土台、柱、外壁、屋根、窓など、もし欠陥があった場合に人が暮らすことそのものが危ぶまれる根本的な欠陥の補修費用となります。一般的に支払われる保険金の上限は2000万円で、これは補修費用に加えて調査費用や補修工事期間中の住宅費用、引っ越し費用なども含まれます。

中古住宅の場合は保険への加入や供託金の拠出が義務ではありません。したがって、もし欠陥があった場合には短い期間しか補償を受けることができません。

購入時の契約書の内容にもよりますが、だいたい引き渡しを受けてから2~3カ月程度の間に土台や柱といった基礎部分の腐食、雨漏り、給排水管の故障、シロアリ被害などがあれば売り主から賠償を受けることができます。

一級建築士に調査依頼を

購入した家に欠陥があるように感じたとしても欠陥として感じられる部分は家の内装や床などの傾き、扉や窓の枠の歪みといった目に見える部分だけです。

この場合、欠陥だと感じている部分が内装などの仕上げの問題なのか、それとも家の基礎的な構造の問題なのかは素人には分かりません。

 

欠陥かどうかの判断基準がよく分かりません。

 

 

欠陥住宅かもしれないと感じた時には、一級建築士などに依頼して目に見えない部分まできちんと調査を行い、欠陥だと感じている部分の原因を突き止めてもらいましょう。

 

欠陥住宅問題を相談できる窓口

欠陥住宅問題を相談できる窓口

高価な買い物である家の購入にあたっては、さまざまな法律などが整備されて消費者の保護が進んでいます。それでも、やはり欠陥住宅はなくなりません。

最初から利益だけを目的として欠陥住宅であることを隠して販売するケースもあれば、誠意を込めて建てて販売した家に欠陥が出てしまうこともあるでしょう。

いずれにしても欠陥住宅となれば支払った対価に見合わない高い買い物ということになります。

「欠陥住宅かもしれない」と感じた場合はなるべく早く解決へとつなげるためにも、まずは一級建築士に依頼して欠陥の原因を突き止めると同時に、売り主との紛争解決につながる相談窓口に相談するようにしましょう。

弁護士会の住宅紛争審査会

欠陥住宅であることが判明して売り主と交渉を始める際、弁護士の選定に迷うこともあるかもしれません。そのような時は住んでいる地域の弁護士会に相談するのが一般的です。

自治体の弁護士会には「住宅紛争審査会」が設置されています。これは裁判までいかずに紛争を解決するためのもので、住宅に関するあっせんや調停、仲裁などをお願いすることができます。

話し合いに建築士が参加してくれるのもポイントといえるでしょう。

 

この制度は誰でも利用できますか?

 
 

この制度を利用するにあたっては「建設住宅性能評価書」が付与された住宅瑕疵担保履行法の適用を受けた保険付き住宅であること、などの条件があるので注意が必要です。

 

国民生活センターの紛争解決委員会

消費者保護を目的とした国民生活センターにも住宅に関する紛争解決のための相談窓口があります。国民生活センターでは、その性質上紛争解決が他の消費者にとっても有益であると判断される場合は「重要消費者紛争」として紛争解決委員会を設置して和解・仲裁に乗り出します。

MEMO
紛争解決委員会は不動産業者や施工業者などが交渉を拒んだ場合、その事業者名を公表できるので、交渉が進み解決へとつながる可能性が高いといえます。

全国宅地建物取引業保証協会・不動産保証協会

建物の売買契約に伴って紛争が発生した場合は全国の宅地建物取引業保証協会や不動産保証協会などが相談窓口となってくれます。これらの協会では加入している宅建業者から営業保証金を預かっています。

そのため宅建業者が賠償金を支払わない場合は協会が支払いをしてくれます。ただし建物の売買に関する契約なので、注文住宅には適用されません。

まとめ

多額のローンを組んで購入したマイホームが欠陥住宅だった時の精神的負担は計り知れないものです。しかし、そのような場合もきちんと交渉をすることで解決につながるケースも少なくありません。

「欠陥住宅かもしれない」と感じた場合でも決して泣き寝入りはせず、国民生活センターや欠陥住宅問題に詳しい弁護士に相談してみましょう。

目に見えない部分まできちんとした調査を行い、原因を突き止めたうえで売り主との交渉に臨めば、解決につながる可能性も高くなります。