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賃貸物件をリノベーションするメリットと注意点

この記事のざっくりとしたポイント
  1. 築古リノベーション物件は近年人気が高い
  2. リノベーションをすると家賃収入アップが期待できる
  3. 資金繰りのシミュレーションは綿密に行うことが大切

浜崎編集長

昨今、不動産賃貸市場において、築古リノベーション物件が人気であることをご存じでしょうか。

リノベーションとは、価値や機能を向上させる改修工事を指します劣化したものを従来の仕様に修繕する意味合いが強いリフォームに対して、リノベーションは規模が大きく、費用も高額になることがほとんどです。築古物件をリノベーションすることで新築物件と遜色ない家賃で入居者付けできる可能性が高まりますが、その費用対効果も考慮してリノベーションを行う必要があります。

そこで今回は、物件をリノベーションして賃貸に出すことを検討している不動産オーナーの方に向けて、賃貸物件をリノベーションするメリットや注意点を解説していきます。

入居者から見たリノベーション済み物件の魅力とは?

入居者目線で見たリノベーション済み物件の魅力はやはり、安くてこだわりの部屋に住めることです。

浜崎編集長

リノベーション済み物件はリノベーションされている分、周囲の築年数が同程度の物件に比べると家賃は高めですが、築浅物件に比べると家賃が低めの設定になっていることが一般的です。

また、リノベーション物件は間取りや内装が個性的であったり、どこか懐かしさがあったりと、特徴のある部屋が多いのも魅力です。

MEMO

新築だと一般的な間取りや内装がほとんどですので、こだわりのある部屋に住みたいという人にとってリノベーション済み物件は魅力的と言えます。

賃貸物件にお勧めのリノベーションとは?

では早速、どのようなリノベーションがお勧めなのか、具体的な事例をご紹介します。ここでは、投資用の賃貸物件をイメージした、比較的低単価でできるものをご紹介していきます。

内容工事費用の目安備考
アクセントクロス材料費約2,000円/1㎡+人件費約20,000円 –
和室6帖→洋室へ変更40万円~壁:クロス張り、天井:銘木張り、出入り口の戸襖取替え、内障子・押入れ襖の張替えを含む
1間(約1.8m)幅の押入れをクローゼットに改装25万円~押入れ襖を折り戸に変更。撤去・処分費用を含む
和式トイレ→洋式トイレへ変更35万円~撤去・処分費用・トイレ1帖分の内装工事費用を含む
洗面化粧台取替え43万円~撤去・処分費用・洗面室2帖分の内装工事費用を含む
ビルトイン食器洗浄乾燥機取り付け22万円~電源・給排水工事費用を含む

内装では、アクセントクロス、和室→洋室への用途変更や、収納を現代風に入れ替えるのがおすすめです。アクセントクロスとは、部屋の壁面の一部分だけクロスの色を変える手法で、安価におしゃれな部屋を作るのに向いています。

設備では、劣化が目立ちやすいキッチンやトイレ、お風呂などの水回りを実施するのがおすすめです!

事務員

最近では、ニトリや無印良品などの家具メーカーもリフォーム工事を行っています。一般的に既製品を使うことで価格を抑えることができるので、既製品をうまく組み合わせて理想のリノベーションを実現させましょう。

不動産オーナーが賃貸物件をリノベーションするメリットとは?

続いては、不動産オーナーが賃貸物件をリノベーションするメリットについて解説していきます。

賃貸物件をリノベーションする主なメリットとして以下の3つが挙げられます。

  1.   築古物件の資産価値アップが期待できる
  2.   新築物件より固定資産税を抑えられる
  3.   賃料収入アップが期待できる

1つずつ詳しく説明します。

資産価値アップが期待できる

リノベーションによって不動産の資産価値を向上させ、もし物件を手放すことがあったとしても売却時の価格を上昇させることができます。売却時、物件が新築同様に綺麗な状態であれば、買い手の印象はずっと良くなります。また買い手にとっては、購入してから改修工事なくすぐ居住できる、貸し出せる点も高評価につながるため、売却価格が多少高くとも成約につながりやすいでしょう。

資産価値がアップするリノベーション事例としては、買い手のライフスタイルに寄り添った内容が挙げられます。

・ インターネット環境の整備(光回線引き込みなど)

・ 子育て共働き夫婦向けに食器洗い機などの時短家電を導入

・ 高齢者向けに段差を取り除くなどのバリアフリー工事(ルンバなどのお掃除ロボットを動かしやすいメリットも)

 新築物件より固定資産税を抑えられる

固定資産税とは、所有する不動産に対して課税される税金で、建物が古くなるほど安くなるという特徴があります。

建物において、固定資産税の計算式は以下の通りです。

自治体が評価する建物の評価額×税率1.4%(評価額=建物再建築費用×築年数の経年劣化)

建物の評価において築年数を考慮するため、建て替えを行うよりリノベーションをした方が、固定資産税が安くなるのです。(ただし、増築を行う場合は、固定資産税が上がるので注意が必要です。)

MEMO

また、政府は良好な住宅環境を未来に残せるよう、特定のリノベーションに対して固定資産税の減額措置を設けています。内容は省エネやバリアフリー、耐震工事など多岐にわたるので、一度国土交通省のHP を確認してみましょう。

 賃料収入アップが期待できる

リノベーションの3つ目のメリットは、家賃収入アップが期待できることです。古いアパートでも、間取りや設備、防犯面などの環境を整えれば、競合の新築物件や築浅物件に対抗できます。家賃アップを目指すなら大規模に、家賃下落を抑えたいだけであれば中規模にというように、目的に応じて規模や内容を検討しましょう。

浜崎編集長

ただし、費用対効果(かけたコストを賃料で回収ができるか)は必ず検討するようにしましょう。

周辺環境から入居者のニーズを捉え、実施する内容を取捨選択することで費用対効果を高めることができます。まずは所有する物件のある地元の不動産仲介業者に、どんな入居者の方が多いのか、どんな物件が人気かヒアリングしてみましょう。

リフォーム・リノベーションの違いをわかりやすく解説!費用相場や施工期間、メリット・デメリット

賃貸物件をリノベーションする上で知っておきたい注意点とは?

不動産オーナーが築古の賃貸物件をリノベーションする上で押さえておきたい注意点は下記の通りです。

  1. リフォームより工期が長くなる
  2.   リフォームより費用がかかる
  3.   新築物件より融資条件が厳しくなる

1つずつ詳しく見ていきましょう。

リフォームより工期が長くなる

一般的に、リノベーションの方が大規模な分、リフォームより工期が長くなる傾向にあります。例えば、物件を一度骨組みの状態まで解体する「フルリノベーション」の場合、打ち合わせに約3ヵ月・工事に3~5ヵ月はかかります。 

なお、その間家賃収入が途絶えるにも関わらず、リノベーション費用の支払いはしなくてはなりません。工期を短くするためには、以下の対策が挙げられます。

・リフォームの繁忙期である年末や年度末の時期は避ける

・工事の必要性を確認し内容を絞る

・物件に自身が住んでいる場合は、仮住まいへ引っ越す

・物件購入前の場合は、資材搬入にエレベーターが使える物件にする

・マンションリフォームの場合は、管理組合の許可が必要であるため予め規程を確認しておく

リフォームより費用がかかる

工期と同じく、リノベーションはリフォームより費用が高くなる傾向にあります。その為、投資用物件においては投資採算性を意識し、工事の内容を精査することが重要です。

投資対効果で見るべき点は投資回収年数と投資利回りです。

投資回収年数

投資を何年で回収できるか。回収年数が長すぎる場合は、その後の情勢の変化などの理由により投資回収ができず損をしてしまう可能性が高まります。 計算式は以下の通りです。

投資額÷投資したことによる年間の家賃上昇額予想

投資利回り

投資した資本に対してどれくらいの年間利益を得られたかを表し、%の数値が高ければ高いほど物件の利益率が高いという事になります。計算式は以下の通りです。

投資したことによる年間の家賃上昇額予想÷投資額

 投資採算性の例として、家賃6万円の1Kアパートを保有している場合で考えてみましょう。

同じ駅で条件の近い新築・築浅物件が家賃8万円で募集している場合、あなたの物件もリノベーションにより家賃が最大2万円(年間24万円)上がる可能性があります。競合と同様の状態にするための投資額が300万円だった場合、投資回収年数は300万円÷24万円=12.5年、投資採算性は24万円÷300万円=年利8%となります。

2021年8月現在、銀行の定期預金で年利約0.2%、10年物の米国債 で年利約1.3%の利回りです。そういった他の金融資産で運用するのに比べ、元本が回収できそうか、利回りは高いかを考え、投資の判断を行います。

注意

この例では単純にしましたが、実際は工事期間中の賃料逸失リスクや、賃料が年々低減するリスクなども踏まえて考えなければなりません。

融資条件が厳しくなる

築古リノベーション物件の注意点3つ目は、融資の審査が厳しく、また金利が高いことです。ローンにおいて、銀行は貸したお金がきちんと返ってくるのかを判断すべく、以下の項目を審査します。

・借りる人の年齢・健康状態

・年収・会社の勤続年数

・担保となる不動産の物件価値

不動産の物件価値を審査する際、どうしても築古物件は新築物件に比べ価値が低くなるため、融資が下りづらい傾向にあります。

また、金利の安い住宅ローンは、自分自身が居住すること等、借りる条件を満たせないことが多く、投資用物件では利用できません。投資用物件のリノベーションにおいては、金利の高いリフォームローンを利用することとなります。

両者の一般的な相場は以下の通りです。

住宅ローンリフォームローン
借入期間最長35年最長15年
適用金利の相場0.50%〜1.00%2.00%~4.00%
借入限度額上限1億円以内上限1,000万円以内

 

浜崎編集長

例えば、2021年9月現在、三菱UFJ銀行では、住宅ローンの適用金利が0.475%に対して、リフォームローンは1.99%~2.875%とされています。

融資を受ける際は、この金利も資金繰りシミュレーションにきちんと織り込むようにしましょう。

競合やターゲットが変わる

リノベーションを加えることにより、入居者となりうるターゲット層を変えることができます。物件の周辺ではどういった施設があり、どういった層が住んでいるのかを予め調べたうえで、ターゲットを明確にしたリノベーションを行うのが重要です。

MEMO

新築は高く手を出せないけれど、綺麗な物件に住みたい。こういったニーズを持つ方は多くいます。ターゲットが好む設備や内装を考え、競合となる周辺の築浅物件と差別化を図りましょう。

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ターゲットと採算性を意識してリノベーションしよう

いかがでしたでしょうか。今回は、賃貸物件をリノベーションするメリットと注意点を説明しました。

築古物件をリノベーションすることで、新築物件を購入したり、建て替え工事をするよりも、投資額や固定資産税を抑えながら、資産価値の高い物件を手にいれることができます。一方、リノベーションは、工事の規模が大きい分、リフォームより費用は高く、工期は長くなる傾向にあります。新築物件より融資条件も厳しいため、資金繰りのシミュレーションは綿密に行いましょう。

投資用物件のリノベーションで重要なことは、投資した金額をきちんと回収できるようなプランを立てることです。そのためには、ターゲットを意識し必要最低限の内容に絞ることで、投資効率を高める必要があります。リノベーションを安く済ませるために、減税制度や補助金を活用する方法もあります。併せて確認しておきましょう。