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気密性が高い家のメリットとは?気密性が低い場合の弊害や断熱・換気との関連性も解説

この記事を書いた人
小島 優一
宅地建物取引士

宅地建物取引士、2級ファイナンシャルプランニング技能士。生命保険会社にてリテール業務に従事した後、2014年に不動産仲介会社であるグランドネクスト株式会社を設立。 2021年より幻冬舎ゴールドオンラインにて不動産を通じて財産を守る、増やす、残す記事を連載している。 >> 詳細はこちらから

この記事のざっくりとしたポイント
  1. 断熱効果や結露対策、エコなどの観点から気密性の高さは重要
  2. 高気密の家は密閉された空間のため、健康面に影響が出ることも。換気性能の高い家を選ぶことが大切
  3. 高気密の家にするためには気密測定が必須

家を建てる際、気密性の高さは重視したいポイントの一つ。

断熱性や耐震性などと並んで、高機能な住宅を建てるためには気密性も必要です。

今回の記事では、気密についての概要をはじめ、気密性が高い家に関するメリット・デメリットをご紹介します。

また、気密性能が低いことの弊害や換気との関係性、気密測定についても詳しく解説しているので、ぜひ最後までご覧ください。

気密とは

気密とは、家を隙間なく密閉して空気が出入りしない状態を意味します。

家を購入・建築する際に耳にする「気密性」は、その家にどれほど隙間があるかを表す指標です。

ちなみに、より気密性を高めるために密閉性を高める行為を「気密化」と言います。

気密性は、家の中にある暖かい空気を逃がさない「断熱性」などと同じぐらい重要です。

いかに断熱性が優れていても、暖めた空気が隙間から逃げてしまっては、本当に暖かい家にはなりません。

そのため、生活をより快適にするには、気密性をいかに高くするかが大切です。

気密性はどのような方法で高くできるのでしょうか?

事務員

浜崎編集長

建材の接合部を気密テープやシートで塞ぐことで気密性を高めています。

また、できるだけ寸法誤差のない建材を利用することも、気密性を高める有効な方法のひとつです。気密性の高い家を建てるには、建材や施工にこだわる必要があります。

日本では、気密性能を「C値(隙間相当面積)」という数値で表します。C値は「○.○c㎡/㎡」の単位で表され、数字が小さいほど気密性が高いことになります。

MEMO

家の建築をハウスメーカーなどに依頼する場合は、これまで建築した家のC値を聞いたうえで依頼するのがおすすめです。




気密性能が高い住宅のメリット

気密性能に優れた家には、以下のメリットがあります。

  • 断熱性能が高くなる
  • 壁や屋根の内部にカビや結露が発生するのを防ぐ
  • 計画的な換気ができる
  • 汚染物質が入るのを防ぐ
  • 電気代の節約になる

ここでは、それぞれの詳細について解説します。




断熱性能が高くなる

気密性が高いほど外気が入り込んでくるのを防げるため、その家が持つ断熱性を活かせます。

断熱材にはグラスウールなどが使われているのですが、綿のような素材のため隙間があると外気が入り込むのが特徴です。

いくら断熱性能が優れていても、暖かい空気を逃してしまっては意味がないですよね。

事務員

浜崎編集長

そうですね。断熱性の高さを発揮するには、高い気密性を意識するのも大切です。

また気密性が高いことで、床の底冷えを防ぐ効果もあります。暖房などで暖まった空気は上に昇っていく性質があり、屋根に隙間があるとそのまま抜け出てしまいます。

気密性が優れていれば屋根から暖気が排出されず、床から侵入する冷たい空気も防げるため、底冷えの防止が可能です。

壁や屋根の内部にカビや結露が発生するのを防ぐ

気密性が低い家は外からの冷たい空気が浸入しやすく、暖房で温めた室内との温度差が原因で結露が発生してしまいます。

気密性が高い家であれば外気との温度差を少なくできるため、結露の発生を防止可能です。

結露が発生するとどのような弊害がありますか?

事務員

浜崎編集長

結露を放置することでカビが発生し、そのカビを餌にしてダニが繁殖してしまいます。

また、結露やカビは建材の老朽化にもつながるので、対策として気密性を高めることが重要です。

気密性を高めることは、湿度の影響を受けにくくするメリットがあります。

MEMO

夏は外の湿度を侵入させず、冬は室内の湿気を防止できるため、気密性は「快適性」といった観点でも非常に重要なポイントです。




計画的な換気ができる

気密性が高い家は隙間がないため外気の影響を受けず、空気の流れをコントロールしやすいのが特徴です。

そのため、計画的な換気が実現できます。

換気が不十分だと、どのような弊害がありますか?

事務員

浜崎編集長

二酸化炭素や水蒸気などが家の中に充満してしまいます。また、匂い成分などが溜まりやすくなるのもデメリットです。

汚染物質が入るのを防ぐ

気密性の高い家は外気だけでなく、花粉やPM2.5などの汚染物質の侵入を防止できるのが特徴です。花粉やPM2.5などの汚染物質は粒度が高く、窓を閉めていても隙間から侵入してきます

外の空気を入れた方が良いというイメージがありましたが、汚染物質が入り込むリスクが高いということですね。

事務員

浜崎編集長

はい。計画的な換気は大切ですが、いわゆる「開けっぱなし」は危険です。

高気密住宅は、汚染物質を含んだ外気の侵入を防ぐことも意識して設計されます。また、給気口に取り付けられるフィルターなどを活用すれば、より快適な空間を実現できます。




電気代の節約になる

外気が侵入しない家を設計することで、冷暖房の効率がよくなります。

気密性を高めて外気の影響を少なくすれば、家の中に温度の「ムラ」が発生しません。一軒家などでありがちな「リビングは暖かいけど廊下に出たら寒い」といったことが少なくなります。

夏は暑くて冬は寒いというのが当たり前だと思っていましたが、気密性を高めれば1年中快適に過ごせそうですね。

事務員

浜崎編集長

そうですね。冷暖房が効きやすくなるのはもちろん、効率的な運転ができるため電気代が節約できます。
MEMO

気密性の高い家は快適性に優れているだけではなく、エコの面にも配慮した設計であることがわかります。




気密性能が低いことによる弊害

気密性能が低いことは、家に隙間が多い状態と同義です。

外気が侵入しやすく、室内の温度が安定しないという弊害があります。

室温が外気の影響に左右されるため、夏は暑く、冬は寒くなりやすいのが特徴です。

気密性の低さが原因で生じる温度差で懸念されるのは、血管の伸縮が原因で起きるヒートショックです。とくに冬の風呂場などで発生しやすく、脳梗塞や心筋梗塞につながることもあります。

快適性が不十分だと、結果的に健康面への弊害があると言えますね。

事務員

浜崎編集長

そうですね。気密性が低いと結露やカビなども発生するので、快適性・健康面を意識するうえで重要です。

気密性が高い住宅にデメリットはあるのか

ここまで触れてきた内容を見ると、気密性の高い家を設計することは非常に重要で、メリットのあることだとわかりました。ただし、気密性が高いことで生じるデメリットもあります。

気密性の高い家は、密閉されていることで換気への意識をより高めなければなりません。

換気をしないと空気が循環せず、健康面に影響が出る可能性があります。

空気が循環しないと、どのような影響がありますか?

事務員

浜崎編集長

汚れた空気が原因で頭痛を発症することがあります。また、ストーブやファンヒーターをつけっぱなしにすると、一酸化炭素中毒になる可能性もあります。
注意

カビやダニ、ホコリや、建材の化学物質が原因でシックハウス症候群などを発症することもあります。




高気密・高断熱の住宅は換気性能も大切に

先ほどの項目で紹介したように、高い気密性を持つ家は換気を意識しないと健康面に被害を与える可能性があります。

そのため、高気密の家を設計する際は換気性能にもこだわらなければなりません。

日本では24時間換気が法律で義務付けられており、それに付随した計画換気への意識も高い傾向にあります。このことから、多くのハウスメーカーは換気性能にもこだわった施工をしています。

では、換気性能に関してはとくに意識しなくても、実装されると考えて良いのでしょうか?

事務員

浜崎編集長

完全に任せてしまうのはおすすめできません。ハウスメーカーごとに換気性能にどのような違いがあるかを把握したうえで、より優れた機能を実現できるハウスメーカーの選定が必要です。

換気性能にフォーカスしてハウスメーカーを選ぶ場合は、どのような機能が備わっているかが重要なポイントです。

とくに最近では24時間換気の義務化により、室内の空気を常に循環させる「24時間換気システム」が備わっています。

24時間換気システムには第1種換気・第2種換気・第3種換気の3種類があり、それぞれ以下の特徴があります。

※横にスクロールしてご覧ください
第1種換気 第2種換気 第3種換気
  • 給気と排気をすべて機械で実施する
  • 窓の開閉に影響を受けない
  • コストがかかる
  • 給気は機械、排気は自然の力で行う
  • コストが安い
  • 給気・排気の位置によっては各部屋を十分に換気できない場合がある
  • 排気は機械、給気は自然の力で行う
  • 他の2種類よりも低コスト
  • 十分な気密性を備えていないと換気性能が発揮されない

気密性を重要視して家を建てる際は、上記で紹介したような換気性能についても合わせて意識してください。




高気密の家にするためには気密測定が必須

気密測定とは、先ほど紹介した「C値(隙間相当面積)」を、専用の機械を使用して計算する方法のことです。

扇風機のような機械で建物内の空気を外に出し、その際の外側・内側それぞれに生じる気圧の差を計測します。気密測定により、実際どのぐらいの隙間があるかを計測できます。

また似たような用語に「気密試験」がありますが、これは圧縮機などの耐圧試験なので、家の気密性には関係しません。

ここでは、気密測定のタイミングや依頼に関して解説します。




工事中に気密測定をする

気密測定を工事中に実施することで、気密性に関する設計の修正や、施工内容の調整が可能です。

基本的にはエアコンや換気扇の工事などが終わった後に実施されます。工事中に気密測定を行っておけば、気密性が不十分だと判断された場合に対応できます。

では、工事後に気密測定はしないのですか?

事務員

浜崎編集長

いいえ。工事中に1回、工事後にも1〜2回実施されます。

工事後の気密測定は、工事中の気密測定で出た結果なども含めて、設計上と同様の気密性が実装できているか判断するために行われます。

ハウスメーカーか外部の業者に直接依頼

気密測定は、建築を依頼するハウスメーカーか、もしくは外部の専門業者に依頼するのが一般的です。

ハウスメーカーへの依頼は、ワンストップで行えるため余計な費用や時間がかからないメリットがあります。

一方で、気密測定のノウハウが不十分である可能性や、そもそも実施できないハウスメーカーであることも想定しなければなりません。

外部の専門業者に依頼する場合、費用や段取りが増える可能性があるものの、専門的な知見で見てもらえるため、より優れた気密性の実現が可能です。




まとめ

今回は、より快適な家を建てるために重要な気密について紹介しました。

家を隙間なく密閉して空気の出入りを無くすことで、暖かさを逃がさない快適な空間が実現します。

気密性の高い家には、高い断熱性能の実現や、カビをはじめとした有害物質のリスクを避けられるメリットがあります。

ただし、換気をしっかり行わないと危険なこともあるため、注意が必要です。換気に関するデメリットを解消するためには、換気性能にこだわり、汚染された空気を排出する必要があります。

また、高気密の家を実現するためには、気密測定の実施も必要不可欠です。

気密測定は実施のタイミングなども重要になるので、建築を依頼するハウスメーカーなどの専門業者に依頼してください。

今回紹介した内容で、気密性に優れた家の重要性を身近に感じられたでしょうか。

事務員

浜崎編集長

これから新しく家を建てる方は、本記事の内容を参考に気密性にも意識を向けてみてください。