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地震保険料控除とは何かわかりやすく解説!対象者や一括払いにしたケースといくら控除されるのかについて

この記事を書いた人
直江編集者
不動産コンサルタント・FP

大学卒業後、一部上場企業に勤め、退職後は大手不動産会社で賃貸物件入居者のコンサルタント業務に従事。アパート経営もしており、これまでの経験とファイナンシャルプラナーの観点から住宅ローンや税制の執筆をメインに担当。

地震保険料控除のまとめ
  1. 地震保険料控除を受けられるので、所得税や住民税を軽減できる
  2. 夫婦共有名義の住宅でも地震保険で契約できる人は一人
  3. 旧長期損害保険に加入している人も条件が合えば適用になる

地震保険に加入すると税金から一定額を控除できますが、地震保険料控除の仕組みについてご存じでしょうか?

地震大国「ニッポン」!いつ身近で地震が起きても不思議ではありません。

近年頻発する地震に対する備えとして地震保険への加入は必須といえるでしょう。

そこでこの記事では地震保険料控除の概要や対象者・控除可能な金額・申請の方法・注意すべき点などについてわかりやすく解説します。地震保険料控除をよく知り、忘れずに申請を行って損をしないようにしましょう。

地震保険料控除制度とは

地震保険料控除制度は地震保険の保険料を支払った場合に、契約者の所得税と住民税から一定の額が控除できる制度。これにより所得税及び住民税を安くできます。地震保険料控除は年末調整或いは確定申告により申請します。

2006年度に税制改正が行われ、それまであった損害保険料控除が廃止され、従来より一層控除額が大きい地震保険料控除が新設されました。地震保険料控除は加入率を高める目的で新設されましたが、損害保険料率算出機構によると、2019年度の保険加入者が33.1%でとても高いとは言えません。

 

そもそも地震保険とはどんな保険なのですか?

 
 

地震による損害は、火災保険では補償されないんだよ。日本は地震が多い国なので、備えは必要だね。地震保険はどんな保険なのか、簡単にまとめてみよう。

 

地震保険とは火災保険では補償されない地震や噴火・津波による損害があった場合に保証してくれる保険建物と家財のそれぞれに加入できます。地震保険には次のような特徴があります。

地震保険の特徴
  1. 地震保険単独での加入はできず、火災保険とセットで加入する
  2. どこの保険会社でも補償内容は同じ
  3. 損害が甚大になる可能性があるので、政府が再保険を行いリスクカバーしている

地震保険料控除制度の対象者

地震保険料控除対象者は地震保険の契約者本人、または生活を共にする配偶者・その他の親族が所有し使用している居住用家屋および家具や衣服などの生活用動産

MEMO
店舗併用住宅の場合は住宅に使用している面積だけを地震保険料控除が可能です。なお住宅に使用している面積が90%以上あるときは全額を地震保険料控除の対象にできます。

経過措置が適用される長期損害保険契約について

税制改正以前の2006年12月31日までに締結された旧長期損害保険契約については、経過措置がとられて地震保険料控除が適用されます。旧長期損害保険契約には年金払積立傷害保険や積立傷害保険・積立火災保険等がありますが、下記の条件を満たすことにより特例を受けられます。対象になると思われる保険があればチェックするようにしましょう。

特例を受けるための条件
  1. 保険期間の開始日が、2006年12月31日以前の契約
  2. 満期返戻金があり、且つ保険期間が10年以上ある保険
  3. 2007年1月1日以降、契約内容を変更していないこと

地震保険料控除は所得税・住民税がいくら差し引かれる?

 

それでは払い込んだ保険料から、いくら迄控除できるのですか?

 
 

地震保険では所得税で最高50,000円、住民税は最高で25,000円まで控除できるよ。旧長期損害保険契約は控除できる金額は少なくなります。具体的な例も挙げて説明しよう。

 

地震保険の保険料控除額

地震保険の保険料控除額は1年間に支払った保険料額で決まってきます。

所得税からの控除は年間の支払い保険料額が50,000円以下であれば支払額全額。50,000円超の場合には一律25,000円が控除されます。

また住民税からも保険料控除が行われ年間の支払い保険料額が50,000円以下であれば、支払額の1/2が控除されます。50,000円超の場合には一律25,000円が控除されます。一覧表にしてまとめてみましょう。

  年間支払保険料 年間控除限度額
所得税
50,000円まで 保険料の全額
50,000円超 一律50,000円
住民税
50,000円まで 保険料の1/2
50,000円超 一律25,000円
所得税の地震保険料控除額計算例

次の例における地震保険料控除額を計算してみましょう。

地震保険料控除額の例
  • 年間所得:300万円
  • 契約期間が5年
  • 支払った保険料額:5年分を一括で20万円(1年間の保険料額は4万円)

次の順に計算します。

地震保険料控除額の計算手順
①控除される金額

1年間の保険料額は5万円以下なので、納めた保険料4万円全額が控除されます。

 

②所得金額から控除額

年間所得が300万円なので、4万円を控除すると296万円になります。

 

③次に下記所得税速算表に当てはめ税額を算出

296万円×10%-97,500円=198,500円

所得税額は198,500円となり、地震保険料控除がない場合と比べ、4,000円所得税を軽減できます。

所得税の速算表(令和2年4月1日現在)

課税される所得金額 税率 控除額
1,000円 から 1,949,000円まで 5% 0円
1,950,000円 から 3,299,000円まで 10% 97,500円
3,300,000円 から 6,949,000円まで 20% 427,500円
6,950,000円 から 8,999,000円まで 23% 636,000円
9,000,000円 から 17,999,000円まで 33% 1,536,000円
18,000,000円 から 39,999,000円まで 40% 2,796,000円
40,000,000円 以上 45% 4,796,000円

出典国税庁:所得税速算表

住民税の地震保険料控除額計算例

住民税の地震保険料控除額の計算例
①控除される金額

住民税の保険料控除額は5万円までは保険料1/2なので、2万円を控除できます。

 

②住民税からの控除額

年間所得から2万円を引くと、298万円となります。

 

③所得額に対する税率をかけて税額を算出

(300万円-2万円)×10%=298,000円

住民税では地震保険料控除がない場合と比べ、2,000円住民税を抑えられます。したがってこの例では所得税では4,000円、住民税では2,000円の合計6,000が軽減されます。

旧長期損害保険の保険料控除額

経過措置が適用される旧長期損害保険契約では下記の表の控除額が適用になります。地震保険と比べると、所得税で15,000円・住民税で10,000円が満額の控除額であり低額となっています。

税区分 年間の支払い保険料 控除額
所得税
10,000円以下 保険料の全額
10,000円超20,000円以下
支払保険料×1/2+5,000円
20,000円超 15,000円
住民税
5,000円以下 支払保険料全額
5,000円15,000円以下
支払保険料×1/2+2,500円
15,000円超 10,000円

地震保険料控除と旧長期損害保険料控除の両方が対象になる場合

地震保険料控除と旧長期損害保険料控除のどちらも対象になる場合には、それぞれの控除方法で算出した合計金額を控除できます。ただし所得税で50,000円を超える場合には50,000円、住民税は25,000円超では25,000円が限度額です。なおひとつの契約が地震保険料控除と旧長期損害保険料控除の両方に該当する場合には、どちらかひとつの控除を選択できます。また年によってどちらかを選ぶことも可能です。

地震保険料控除の受け取り方法

 

地震保険料控除はどのように申請したらよいのでしょうか?

 
 

年末調整または確定申告で申請します。次に申請方法や必要書類などについて説明しよう。

 

地震保険料控除は年末調整時に申請する

会社員の場合は年末調整で申請すれば勤務先が手続きを行ってくれるので簡単です。還付は確定申告よりも早く、12月下旬から1月に行われます。手続きは会社から「給与所得者の保険料控除申告書」をもらって必要事項を記入し、保険会社から送られてくる「地震保険料控除証明書」を添付し提出すれば良いだけ。なお地震保険料控除証明書は失くしやすいので、その場合には保険会社に再発行してもらいましょう。

MEMO
年末調整とは:年間に支払うべき所得税額を確定し、毎月天引きされた税金との不足額を納めたり、納めすぎた税金を還付してもらう手続きのこと。10月下旬から12月上旬までに、勤務先に申告を行います。

確定申告でも申請することは可能

年末調整で地震保険料控除の申請をしなかったサラリーマン、あるいは自営業者については確定申告により地震保険料控除の手続きをします。

MEMO
確定申告とは:確定申告は年間支払うべき所得税額を確定するために、前年の所得額を申告するもの。サラリーマンは年末調整があるため不要ですが、自営業者や他に控除がある人は還付を受けるために必要になります。確定申告の期日は2月16日から3月15日の間に所轄の税務署で受け付けます。なおネット上で手続きをするe-Tax(電子申告)は税務署を訪れたり郵送する手間がなく便利です。

必要書類について

 

地震保険料控除に必要な書類を教えてください。

 
 

申告する際に必要な書類には、申告書と地震保険料控除証明書が必要で、ほかに申告方法により必要な書類があります。

 

年末調整の場合

年末調整で必要な書類は次の通りです。

年末調整で必要な書類
  • 給与所得者の保険料控除申告書…勤務先からもらいます。
  • 地震保険料控除証明書…契約の際に保険証券に添付されています。2年目以降は毎年10月頃に保険会社から送られてきます。

確定申告の場合

確定申告の場合に必要な書類は次の通りです。

確定申告の場合に必要な書類
  • 確定申告書…税務署からもらうか、国税庁ホームページからダウンロードします。e-Taxで申告する場合には、WEB上で行うことができます。
  • 地震保険料控除証明書…契約の保険会社から送付されます。
  • 本人確認書類…マイナンバーカード・運転免許書・パスポートなど
  • 源泉徴収票…添付の必要はありませんが、申告書を作成の場合に使います。会社から入手します。

なおe-Taxで申告する場合にはマイナンバーカードやICカードリーダーライターなどが必要になります。

地震保険料控除の3つの注意点

 

地震保険料控除を申告する際に、気を付けなければならない点はありますか?

 
 

それでは次に申告の際の注意すべき点を3つ説明しましょう。

 

火災保険は地震保険料控除の対象外になっている

地震保険は火災保険とセットで加入することになっており、火災保険単独では対象外になります。したがって火災保険だけでは、地震保険料控除の特典を受けることはできません。しかし火災保険に地震保険が付加されていることもあるので、一度加入している火災保険の内容を調べておくことが必要です。

注意
なお証券に火災保険と地震保険の保険料が合算されている場合がありますが、控除対象となるのは地震保険だけなので間違いないようにしましょう。

地震保険を一括払いした場合は1年で換算した額が控除になる

計算例の章でも述べましたが、複数年分の保険料を一括払いした場合には、加入した保険年数で割って1年分の保険料を算出します。一括払いの場合の地震保険料控除の申告は、一度にするわけではありません。毎年申告の時期を迎えたら、忘れずに申告しましょう。

夫婦共有名義の場合はどちらかを契約者にする必要がある

夫婦共有名義の住宅でも地震保険で契約できる人は一人です。そのため夫婦でマイホームを購入した場合でも、夫婦のどちらか一人を契約者に決めなければなりません。所得税は所得が高くなるほど税率が高くなる累進課税です。したがって一般的には所得の多い人を契約者にした方が、税金を軽減する効果は高いといえるでしょう。

まとめ

地震保険を契約する際に保険料の支払いにより出費が増えるので「まさか地震に合うことはないだろうと」躊躇する人も多いでしょう。しかし地震を予知できる人はおらず、いつ発生するかわかりません地震保険に加入すれば安心を得られますし、地震保険料控除を受けられるので、所得税や住民税を軽減できます。

注意しなければならないのは控除を受けるための申告が必要なこと!年末調整や確定申告をするのを忘れないようにしましょう。また旧長期損害保険に加入している人も条件が合えば適用になるので必ずチェックしてみましょう。