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注文住宅にかかる相場を地域別で比較!予算別でどんな家が建つか、理想のマイホームを建てるコツ

この記事を書いた人
平野 直樹
不動産コンサルタント・一級建築士

関西大学工学部卒業後、首都高速道路の設計や戸建設計など建設コンサルタントとして活躍。川を活かした街づくりや土地有効活用を掲げるシンクタンクを経た後、現在は有限会社エクセイト研究所の取締役を務める。 保有資格:1級建築士、1級土木施工管理技士、宅地建物取引士

この記事のざっくりしたポイント
  1. 注文住宅は自身のこだわりポイントを実現させ、理想に近いマイホームを建築することができますが、予算に左右される
  2. 優先順位の高いこだわりポイントは活かし、低いこだわりポイントは切り捨てる判断が必要
  3. 建売住宅と異なり各種費用の支払い手続きが多くなり、支払時期も異なる

住宅に対するこだわりポイントが多数ある場合、注文住宅を検討するのも一つの方法です。しかし誰しも自己資金は限られており、建築予算も限られることになります。その様な状況下において、

「〇〇〇万円で、どんな家が建つのだろうか?」

「理想のマイホームを建てるコツはあるのだろうか?」

と悩んでおられる方はいませんか?

実は、こだわりポイントの優先順位を付けることにより、理想に近いマイホームを建てることができます。多くの住宅に関する相談事や悩み事を解決してきた不動産コンサルタントが、注文住宅の費用内訳や相場、予算別注文住宅の特徴、予算内で理想の住宅を建てるコツについて解説します。注文住宅は建築設計と積算(建築費用算出)を同時並行で進めながら、こだわりポイントと予算のバランスを取ることがポイントになることを知ることができます。

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注文住宅にかかる費用内訳

注文住宅を建築する場合、建売住宅と異なり各種費用の支払い手続きが多くなり、支払時期も異なります。先ずは、「土地の購入」を済ませてから「住宅の建築」へと、2段階の手続きを踏む必要があります。

土地の購入にかかる費用

土地代以外に印紙税や土地を仲介した不動産会社への仲介手数料などがかかります。それぞれ支払時期が異なりますので注意が必要です。

支払時期 支払項目 内 容
売買契約時
手付金 土地の成約価格の10%前後を支払うのが、目安となります。ただし、売主と買主の合意で決まるため、必ずしもこの割合ではありません。
印紙税 売買契約書に貼る形式で納める税金です。税額は、土地売買の成約価格により異なります。
仲介手数料 不動産仲介会社を通して購入した場合、仲介手数料の半額を売買契約時に支払います。土地に消費税はかかりませんので、仲介手数料の計算式は、「成約価格×3%+6万円」が上限となります。
引渡時
残 金 土地の成約価格から手付金を差し引いた残金を支払います。これを残金決済といいます。
印紙税 住宅ローン契約書に貼る形式で納める税金です。税額は、借入額により異なります。
登記費用 土地所有権の移転登記、抵当権設定登記の際に登録免許税を支払います。同時に司法書士報酬も必要になります。
ローン手数料 事務手数料・ローン保証料などが必要になります。
仲介手数料 売買契約時に支払った仲介手数料を差し引いた残金を、不動産仲介会社へ支払います。


住宅の建築にかかる費用

住宅建築費用以外に土地の測量費、建築設計費(建築設計事務所へ依頼した場合)などがかかります。建築工事費用は通常、工事請負契約時・着工時・上棟時・引渡時の4回に分けて支払います。

支払時期 支払項目 内 容
建築設計時
測量費 敷地の形状・寸法・高低差・前面道路幅員などを計測します。測量費用は、敷地面積・敷地形状・高低差の有無により大きく異なります。また、境界明示の有無によっても大きく異なります。
地質調査費 敷地内の地質を調査します。費用は、建築面積・建物形状・調査方法により異なります。
建築設計費 建築設計事務所に依頼した場合に必要になります。上記の測量データや地質データに基づき、住宅や外構の設計を行い、建築確認申請までを行います。建築設計費用の目安は、建築工事費用の3%~10%となります。著名な建築家に依頼しますと高額になります。
建築工事
請負契約時
工事費用 工事費用の約10%を目安として、建築会社に支払います。
印紙税 建築会社と交わす建築工事請負契約書に貼る形式で納税します。税額は、建築工事費用により異なります。
ローン
契約時
印紙税 住宅ローン契約書に貼る形式で納める税金です。税額は、借入額により異なります。
着工時
工事費用 工事費用の約30%を目安として、建築会社に支払います。
地鎮祭費用 神主への謝礼や祭壇・お供え費用として支払います。目安は数万円前後です。
上棟時
工事費用 工事費用の約30%を目安として、建築会社に支払います。
上棟式費用 神主への謝礼や祭壇・お供え費用として支払います。目安は10万円前後です。工事関係者のねぎらいの意味もあります。
引渡時
工事費用 工事費用の約30%を目安として、建築会社に支払います。
登記費用 建物の表示登記・所有権保存登記・抵当権設定登記の際に登録免許税を支払います。同時に司法書士報酬も必要になります。
ローン手数料 事務手数料・ローン保証料・火災保険料などが必要になります。

注文住宅の相場を床面積・建築費で比較

注文住宅を建築する場合、床面積や建築費の相場を検証してみます。住宅金融支援機構は毎年「フラット35利用者調査」を公表しています。

主な調査事項は以下などです。

調査事項
  • 利用者の属性(年齢・家族数・世帯収入)
  • 建設または購入した住宅の概要(住宅面積・敷地面積など)
  • 所要資金の調達内訳

この中から土地付き注文住宅の建築費・土地取得費などを抜粋します。

土地付き注文住宅の建築費相場

2019年度の地域別の建築費相場を下表にまとめます。

  住宅概要 社会的属性
地 域
住宅面積 敷地面積 建築費 土地取得費 世帯年収 年収倍率
全 国 111.5㎡ 198.3㎡ 2,874.3万円 1,382.5万円 627.5万円 7.3倍
首都圏 105.8㎡ 136.8㎡ 2,751.6万円 2,241.7万円 698.6万円 7.7倍
近畿圏 111.0㎡ 151.3㎡ 2,749.3万円 1,594.1万円 616.2万円 7.5倍
東海圏 115.2㎡ 203.4㎡ 3,019.4万円 1,258.7万円 614.6万円 7.4倍
その他 113.8㎡ 230.2㎡ 2,945.2万円 924.0万円 599.4万円 7.0倍

出所: 「2019年度 フラット35利用者調査」 住宅金融支援機構

注文住宅の建築費にかける全国平均値は2,874.3万円、土地取得費は1,382.5万円、計4256.8万円となります。過去のデータと比較しますと、住宅面積の全国平均値は年々減少傾向にあります。表3より、地域別の建築費単価と土地取得費単価を下表にまとめます。

地 域 建築費単価 土地取得費単価 建築費+土地取得費 建築費の割合
全 国 25.8万円/㎡ 7.0万円/㎡ 4,256.8万円 67.5%
首都圏 26.0万円/㎡ 16.4万円/㎡ 4,993.3万円 55.1%
近畿圏 24.8万円/㎡ 10.5万円/㎡ 4,343.4万円 63.3%
東海圏 26.2万円/㎡ 6.2万円/㎡ 4,278.1万円 70.6%
その他 25.9万円/㎡ 4.0万円/㎡ 3,869.2万円 76.1%

建築費単価の差は小さいですが土地取得費単価の差は大きくなります。それに伴い、建築費+土地取得費に占める建築費の割合も、地域により異なります。

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【予算別】注文住宅の特徴

建築費の予算により住宅の規模や仕様に違いが生じます。また敷地形状や高低差の有無によっても違いが生じます。ここでは建築予算が、1,000万円台・2,000万円台・3,000万円台・4,000万円台と分類して、どの様な住宅が建つのかを解説します。

予算1,000万円台の注文住宅|コスト重視の方におすすめ!

コスト重視の方におすすめの価格帯となります。例えば以下と考えている方には向いています。

〜箇条書き〜
・「住宅費よりも教育費や趣味などにお金をかけたい。」
・「若くて貯蓄は無いけれども、早めに家を建てたい。」
・「住宅ローンを無理なく返済したい。」

建築コストを抑えるために、様々な工夫が必要になります。

例えば以下などです。

様々な工夫
  • 住宅規模(建築面積・延床面積)は、やや小さめ(90㎡~110㎡)
  • 住宅の形状は、凹凸の少ない方が安価となるため、長方形または正方形にする。
  • 1階と2階の床面積が同じとなる総2階建てにする。
  • 屋根形状は、シンプルな切妻屋根または片流れ屋根にする。
  • ドアやサッシなどの開口部は、シンプルなデザインを選択し、出窓などは採用しない。
  • ベランダを設ける場合、1箇所にとどめ、面積も小さくする。
  • 間取りは、シンプルに構成する。
  • 内装材は、単価の安いビニルクロスを使用し、単価の高い塗り壁や無垢材を使用しない。
  • 水回り設備や家電設備は、標準品を採用する。
  • オプションは採用せず、必要な時は後日装備する。
  • 外構費用には、費用をかけない。

ただし形状がシンプルな住宅は耐震性・耐風性に優れる傾向にあります。ハウスメーカーによっては、「ローコスト住宅」としてのラインナップを豊富に取り揃えている会社もあります。

予算2,000万円台の注文住宅|どこに予算を使うかで十分な家が建てられる

予算1,000万円台よりは若干余裕がありますので、上記で挙げた制約項目のいくつかを外すことができます。ここで肝心なことは、こだわりポイントの優先順位を事前に決めておくことです。あくまでも、こだわりポイントと予算のバランスを図る必要があるため優先順位の高いものだけを実現するようにします。例えば以下などです。

こだわりポイントと予算のバランス
  • 間取りにワークスペースを採用
  • 1~2部屋の壁・床・天井材に健康を意識して自然素材を利用:珪藻土・漆喰塗り、無垢材
  • 外回り開口部を全て、防音・耐火・断熱仕様
  • 家具を高級仕様:ダイニングテーブル、応接ソファーセット、タンス、など
  • 電化製品を高級仕様:大型テレビやスクリーンの設置、電化製品のIoT化
  • 外構の敷地境界部にフェンスの設置や、花壇・植栽などの充実化

採用箇所が多くなりすぎますと、すぐに予算オーバーします。したがって、設計による積算費用と比較しながら、採用箇所を絞る工夫が必要です。

予算3,000万円台の注文住宅|理想の家を作りたい人におすすめ!

全国の注文住宅建築費の平均は表3より2,874.3万円です。予算3,000万円台になりますと、こだわりポイントを実現することが、ある程度可能になります。例えば上記で挙げたグレードアップ項目の採用数が、かなり増加します。それらの採用数を減らして以下のいくつかを実現させることができます。

だわりポイントを実現
  • 住宅規模の大型化(建築面積・延床面積の増加)
  • 変形敷地に建物形状を合わせて建築
  • 建物外壁をタイル仕様
  • 一つ一つの部屋の大型化もしくは部屋数の増加
  • 階高を高くする(通常2.4m→2.7m~3.0m)
  • 屋上階を設ける
  • 外観デザインを凝る
  • 建設資材を高級仕様(木造の場合:杉→ひのき、鉄骨の場合:軽量鉄骨→重量鉄骨)
  • 全部屋の壁・床・天井材に健康を意識して自然素材を採用:珪藻土・漆喰塗り、無垢材
  • 水回り設備を高級仕様:システムキッチン、ミストサウナ機能付ユニットバス、など
  • 駐車スペースに車庫を設置

予算4,000万円台の注文住宅|あらゆるプランの実現が可能!

高級仕様住宅にすることが可能ですので、こだわりポイントを高い割合で実現できます。予算4,000万円台の注文住宅になりますと、上記のグレードアップ項目の採用数増加が見込めます。

また、住宅の型式として以下なども視野に入れることが可能です。

住宅の型式
  • 完全分離型二世帯住宅:二世帯が完全に独立して生活できる住宅
  • ガレージハウス:車庫と家屋が一体となった住宅で、車庫から直接、家屋内に出入り可能な仕様
  • 自然素材型住宅:人工の建設資材は使用せず、天然素材のみを使用した住宅
  • 斜面地上住宅:勾配の大きな斜面地上の住宅

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なるべく予算内で理想の住宅を建てるには?

注文住宅の予算が大きくなるほど、こだわりポイントを実現させた理想の住宅を建てることができますが、大半の方は予算に限りがあります。優先したいこだわりポイントを明確にして、建築計画・資金計画を立案する必要があります。

立地にこだわりたいなら1,000〜2,000万円の予算で検討する

立地にこだわりたい場合、土地取得費は高めになります。その分、建築費を削減する必要があります。建築費の目安として1,000万円~2,000万円を目途に、予算を検討することになります。

例えば以下などです。

立地にこだわりたい場合
  • 人気路線で快速電車が停車する駅から徒歩10分以内
  • 高級ブティックが並ぶハイセンスな地域
  • 子供の教育重視のため、進学校のある地域
  • 商店街やスーパーなどが近くにあり、生活のし易い地域

いずれも人気のある居住地域となりますので空地は少なく、あったとしても高値になります。

家の内装・外装にこだわりたいなら3,000万円の予算で検討する

住宅の内装・外装にこだわりたい場合、建材・資材などは高級仕様になる傾向にあります。その分、建築費の予算を上げる必要があります。建築費の目安として、3,000万円以上の予算で検討する必要があります。外装の場合、タイル張りの仕様にしますと、高級感・重厚感を演出できます。また、光触媒コーティングを施すことにより、風雨や砂塵にさらされても汚れにくいというメリットがあります。

内装の場合、天然素材の仕様にしますと湿度調整機能があります。夏など湿度が高ければ空気中の水分を吸収する機能があります。冬など湿度が低ければ(乾燥していれば)、空気中に水分を放出する機能があります。また、天然素材は、シックハウス症候群対策にもなります。建材から発生する化学物質を抑える機能があり、化学物質過敏症になるリスクを抑えます。

MEMO
このように高級感・重厚感のある住宅や健康に配慮した住宅にこだわりたい方にとっては、快適な住宅を実現することができます。

コスパ重視の方は建売住宅や中古住宅も検討する

コスト・パフォーマンスにこだわりたい場合、建築費の目安として1,000万円台の予算で検討する必要があります。建物形状・屋根はシンプルなものに、建物外装・内装も標準仕様以下、水回り設備・家電設備も標準仕様以下にする必要があります。別の手法として建売住宅や中古住宅を視野に入れ、選択肢を広げることも良策といえます。時間をかけ丁寧に調査しますと理想に近く安価な住宅を見つける可能性もあります。

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まとめ

以上、注文住宅の費用内訳や相場、予算別注文住宅の特徴、予算内で理想の住宅を建てるコツについて解説しました。注文住宅は自身のこだわりポイントを実現させ、理想に近いマイホームを建築することができますが、予算に左右されます。優先順位の高いこだわりポイントは活かし、低いこだわりポイントは切り捨てる判断が必要になります。また、住宅設計と同時に積算もできる設計士を見出すことができますと、こだわりポイントと予算のバランスを上手く取り、アドバイスも的確なものとなります。

一生に一度の買い物となる方が大半となる注文住宅です。手間や時間をかける分、理想に近づけることができますので、予算に応じた注文住宅に挑戦されますことを、おすすめいたします。