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メゾネットとは?戸建てやテラスハウスとの違い、メリット・デメリットと一人暮らしにおすすめの賃貸間取り

この記事を書いた人
平野 直樹
不動産コンサルタント・一級建築士

関西大学工学部卒業後、首都高速道路の設計や戸建設計など建設コンサルタントとして活躍。川を活かした街づくりや土地有効活用を掲げるシンクタンクを経た後、現在は有限会社エクセイト研究所の取締役を務める。 保有資格:1級建築士、1級土木施工管理技士、宅地建物取引士

この記事のざっくりしたポイント
  1. メゾネットはマンションでありながら、住戸内部に階段を設けて2階以上の居住空間を持つ住戸型式
  2. 戸建て住宅のように居住エリアを分けることができるのがメリット
  3. 家事動線はそこまでよくないのがデメリット

マンションの購入や賃貸借を検討する際「メゾネット」という名称を見かける場合があります。メゾネットと聞きますと高級で広々としたイメージを思い浮かべる方もおられるかもしれません。とろろで「メゾネットって何ですか?」「他の住戸型式と何が違うのですか?」「メリット・デメリットは何ですか?」と考えておられる方はいませんか?

実はメゾネットはマンションでありながら、住戸内部に階段を設けて2階以上の居住空間を持つ住戸型式となります。多くの住宅に関する相談事や悩み事を解決してきた不動産コンサルタントがメゾネットの概要や他の住戸型式との違い、メリット・デメリット、一人暮らしにおすすめの賃貸間取り、物件の選び方について解説します。メゾネットのメリット・デメリットを把握することにより、物件選びには、自身の中で優先順位を明確に定めておくことの重要性を理解することができます。

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メゾネットとは

メゾネットは共同住宅(マンション・アパート)でありながら、住戸内部に階段を設けて2階以上の居住空間を持つ住戸形式です。一般的な共同住宅の住戸内はフラットに構成される住戸型式となります。メゾネットは住戸内に入りますと、2階戸建住宅の様な使い方ができます。2階部分も居室となるため天井高さや窓の大きさに制限が無く、広々とした空間を設けることが可能です。吹抜けなどの開放空間の設置などデザインの自由度も高くなるのが特徴です。

MEMO
メゾネットを採用する共同住宅の中には全住戸をメゾネットにする型式もあれば、最上階の2層をメゾネットにし、下層は通常のフラットな住戸にする型式など、バリエーションもあります。

メゾネットタイプと戸建て・ロフト・テラスハウスとの違い

メゾネットタイプと戸建て・ロフト・テラスハウスとの違いは何なのか?下表にまとめます。

住戸型式内  容
メゾネット・共同住宅内に設けられ、住戸内部が2階以上の居住空間を持つ住戸型式です。
戸建て・土地に家族(一人暮らしも含む)が居住する家屋を1戸建てる住戸型式です。(1棟・1戸)
・建て方の種類として、注文住宅と建売住宅の2種類があります。
ロフト・天井を高くし、部屋の一部分に中2階を設けた上部空間のことです。
・ロフトに上がるために、専用のはしごを設置し、就寝スペース・収納スペース・子供の遊び場・コレクション収集スペースなど、多目的に利用されます。
・建築基準法では、床面積に入らない「小屋裏物置等」という扱いになります。ただし、天井高を1.4m以下、床面積を下部空間の床面積の2分の1未満に収める規定があります。
・原則として、窓の設置は認められず、換気用の開口部も大きさが規定されています。
・ロフトを設けた共同住宅を、「ロフトスタイル」「ロフトアパート」と呼ぶこともあります。
テラスハウス・2階建てもしくは3階建ての長屋のことです。
・各住戸が土地に設置している住戸型式で、2階建てもしくは3階建ての家が隣の住戸と壁を共有して連なります。
・マンションやアパートとの違いは、  
・テラスハウスは、住戸が水平に並ぶだけで、上階には住戸が無く、共有するエントランスはありません。各住戸に直接外に出る玄関扉が設けられます。   (1棟・1層・複数戸)  
・マンションは、住戸が水平・垂直に配置され、上階・下階にも住戸があり、共有するエントランスがあります。(1棟・複数層・複数戸)

メゾネットのメリット

 

メゾネットのメリットは何ですか?

 
 

上下階があることによるゾーン分けや騒音トラブル軽減などです。

 

戸建て住宅のように居住エリアを分けることができる

メゾネットはワンフロアタイプのマンション・アパートとは異なり、上階と下階とで居住エリアを分けることができます。例えば、以下というように、戸建て住宅と同様な使い方ができます。

メゾネットのしつらえ例
  1. 1階:LDK(リビング・ダイニング・キッチン)、水回り(浴室・洗面所・トイレ)
  2. 2階:寝室・仕事部屋・プライベートルーム

来客時においても2階に上げなければ寝室やプライベートルームなどを見られる心配がなく、プライバシーを保持できるため、安心して接客できます。分譲マンションの場合、上下階で内装などのインテリアの雰囲気を変更しても、違和感がなくなるのが、メリットの一つです。例えば以下など、それぞれの好みに応じたしつらえを施すことができます。

メゾネットのしつらえ例
  1. 1階:LDK:家族で共有する空間では、異素材を組み合わせた居心地の良いカフェスタイル
  2. 2階:仕事部屋:落ち着いたビンテージ調、子供部屋:キャラクターモチーフ調

通常のアパートやマンションと違って苦情や騒音トラブルも起きにくい

通常のアパートやマンションの場合、ドアの開閉音や子供の足音などが下階に伝わり易く、クレームの元になり易いです。しかし、2階部分を子供部屋にするだけでも、遊んだり騒いだりした際の音が、下階の住戸に伝わりにくくなり、トラブルは起きにくくなります。

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間取り次第では日当たりや風通しを調整することもできる

メゾネットの場合、吹抜けなどの間取りにより、日当たりや風通しも良くなり、より快適な空間を演出することができます。ベランダ側に吹抜け空間がありますと、上階から自然光が差し込みますので、温かみのある柔らかな光が室内を照らし、気持ちの良い空間となります。また窓を開けますと上下階共に十分な心地よい風が室内に入り込み、通風・換気といった点においても優れます。

メゾネットのデメリット

 

メゾネットのデメリットは何ですか?

 
 

間取りによっては、家事動線が長くなる場合や生活エリアが狭くなる場合、温度調整に時間を要する場合があります。

 

家事動線はそこまでよくない

メゾネットの場合、水回り(洗濯機置き場)やベランダの配置によっては、家事動線が長くなり、家事労力が増すケースがあります。洗濯物を干す場合、通常のマンションであれば、フラットな造りであるため、洗濯機置き場からベランダまでの距離は、それほど長くなりません。しかし、1階に洗濯機置き場、2階にベランダを配置したメゾネットの場合、

  • 洗濯機置き場からベランダまでの距離が長くなる
  • 内階段の上り下りも生じる

ため、家事労力が大変になります。また掃除の場合、通常のフラットなマンションであれば、水平方向の移動だけで済みますので比較的楽です。しかし、メゾネットの場合は、内階段があるため、垂直方向の移動も加わり、家事労力が大変になります。

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内階段があるため生活エリアが少し狭くなる

メゾネットは、うち階段があるため、その分のスペースが上下階で取られてしまし、生活エリアが少し狭くなるデメリットがあります。しかし階段下などを収納スペースなどにするなど、工夫次第で無駄な空間を活かすこともできます。また吹抜けがある場合、開放的な空間を備えることができますので、心理的には狭さを感じにくくなります。

部屋の構造上温度調整に時間がかかる

LDKに直接的に階段が面している場合や吹抜けがある場合、空間が上下階と繋がっており、空気容量が増加しますので、温度調整に時間がかかるデメリットがあります。高温多湿の夏の季節において住戸内の場合、下階は温度が下がり、上階は温度が上がります。エアコンなどで冷房をつけたとしても、下階は比較的温度を下げ易くなりますが、上階は熱がこもり、なかなか温度が下がりません。低温乾燥の冬の季節において住戸内の場合、同様に下階は温度が下がり、上階は温度が上がります。エアコンなどで暖房をつけたとしても、上階は比較的温度が上がり易くなりますが、下階はなかなか温度が上がりません。

MEMO
温度調整を優先したい方にとっては、LDKに面する階段や吹抜けを設けた間取りは、避けた方が良策といえます。

賃貸メゾネットで一人暮らしにおすすめの間取りは1LDK

一人暮らしで賃貸メゾネットを選択する場合、生活のし易さや掃除のことを考慮しますと、おすすめの間取りは1LDKになります。通常、1階がLDKで2階に寝室という間取りになりますが、1階だけ綺麗に掃除をしておけば、友人などを気軽に呼ぶことができます。2階に友人などを上げなければ、乱雑になっていたとしても、気にしなくてよくなります。

また最近ではリモートワークが普及していますので、1階LDKをくつろぎスペースにし、2階をワーキングスペースにして、仕事でのオンオフを切り替えて使用する方法もあります。ワーキングスペースには、業務関係の機材や書籍、資料のみを置くようにし、その空間に入った瞬間に仕事モードに自然と入れる空間を造ります。くつろぎスペースには、ベッドやソファーを配置して休憩でき、趣味などのコレクションなどを飾って楽しめる空間とします。

MEMO
階段もトレーニング空間として、上り下りしながら軽い運動に利用しますと、健康にも良くなります。

メゾネット物件の選び方

 

メゾネット物件を選ぶ際、何に注意をすれば良いですか?

 
 

階段の位置・形態・傾斜、外部・隣戸からの音漏れ、冷暖房効率などです。優先順位を決めて選ぶことが重要です。

 

階段で選ぶ

メゾネットで大事なポイントは階段の位置や形態になる可能性が高いです。自身で考えた生活スタイルに合わせた空間を求めた場合、意外と階段の位置が合わないケースや邪魔になることもあります。また、階段の傾斜が自身に合わないケースや、デザイン重視で意外と危険な造りになっているケースもあります。物件選びの際には、実際に自身で階段を上り下りして肌で実感し、自身の歩調や生活スタイルに合うか否かを確かめる必要があります。

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音漏れしていないかで選ぶ

音漏れの確認も必要です。外部からの音がどれだけ室内に入ってくるか否かの確認を事前にしておくことが大切です。内覧を行い、実際に壁に耳を当ててみて確かめます。都心部のマンションの場合、大きな通りや高速道路に面した住戸になりますと、車や街の喧騒音は意外と大きく感じます。特に夜中にも車の通行量が多い道路に面したマンションの場合、その音でなかなか眠れない事態に陥ることもあります。ですので外部環境の確認も必要です。

また隣の住人の生活音が入り込まないか否かの確認も必要です。特に若い世代が住んでいる場合や大音量で音楽などを楽しむ人が住んでいる場合、夜中に騒がれたり音楽が流れたりしますと、睡眠妨害にもなりかねません。入居してしまった後に気づくと手遅れになりますので、注意が必要です。

冷暖房効率で選ぶ

上記の「部屋の構造上温度調整に時間がかかる」においても解説しましたが、LDKに階段が面している場合や吹抜けがある場合、冷暖房効率は極端に落ちますので注意が必要です。暑さ・寒さに敏感な方や電気代が気になる方にとっては、上記の間取りを避ける方が賢明といえます。

まとめ

以上、メゾネットの概要や他の住戸型式との違い、メリット・デメリット、一人暮らしにおすすめの賃貸間取り、物件の選び方について解説しました。メゾネットの特徴は、都会にあるマンションでありながら、戸建て感覚で暮らすことができる点にあります。住戸内が上下階に分かれていますので、その特徴を活かした暮らし方ができますと、メゾネットもマンション選びの選択肢の中に入ります。

例えば以下などです。

メゾネットの暮らし方
  • 1階だけ掃除して綺麗にし、友人などを呼んで頻繁に交流会などを催す暮らし方
  • 1階はくつろぎスペース、2階は仕事スペースといったオンオフを明確に区別する暮らし方
  • 1階は生活空間、2階は趣味特化スペースといった趣味中心の暮らし方

いずれにしましても、物件選びは優先順位を明確にすることが大切です。マンション選びの際、メゾネットも候補の中に入れて検討されることをおすすめいたします。