地盤調査とは?やり方や費用と調査期間・時間、必要になるケースを解説

この記事の監修者
平野編集者
不動産コンサルタント・一級建築士

関西大学工学部卒業後、首都高速道路の設計や戸建設計など建設コンサルタントとして活躍。川を活かした街づくりや土地有効活用を掲げるシンクタンクを経た後、現在は有限会社エクセイト研究所の取締役を務める。 保有資格:1級建築士、1級土木施工管理技士、宅地建物取引士

この記事のざっくりしたポイント
  1. 地盤調査は建物基礎形状の決定に大きな要因となる土質・土層などのデータを提供してくれる重要な調査
  2. 建物を売却する際、地盤調査報告書の有無が売買に影響を及ぼす
  3. ハウスメーカーや建築士などと相談し、地盤調査を実施するのが良い

一戸建てやマンションなどの住宅を建築する場合、建物の基礎形状を決定するために地盤調査が必要になります。特に注文住宅の場合、建築主自らが地盤調査を依頼する必要があります。しかし地盤調査といいましても、様々な方法があります。「地盤調査の費用はいくらなのか?期間はどれ位かかるのか?」と困っておられる方はいませんか?実は注文住宅の場合、大半はスウェーデン式サウンディング試験(SWS試験)という方法で済ませることができます。

住宅に関する多くの相談事や悩み事を解決してきた不動産コンサルタントが地盤調査の概要や目的、やり方と費用、期間、必要になるケースについて解説します。地盤調査は将来において売主の立場になるケースも考慮に入れ、必ず実施しておいた方が良策といえることを理解することができます。

地盤調査とは

地盤調査は住宅などの建物を建てるために、以下などを決めるための事前調査になります。

  • 建物を安全に支えることができるのか?
  • 軟弱地盤の場合、建物をどの様に建てるのか?

地盤の強度が地盤調査により明確になれば、建物を安全に建てるための基礎データとなります。地盤は建物などの基礎を支える地面のことです。地盤が支持することにより様々な建物などが形状や位置を保つことができます。柔らかい粘土や砂などでできた軟弱地盤の上に建物を建てますと地震発生時に液状化し建物自体の重量に耐え切れず、沈下や傾斜することもあり大きな問題となります。

建物が丈夫だとしても地盤が軟弱であれば、安全な建物とはいえません。地盤は建物の安全性を決定づけるため、建てる前に地盤調査を行い、その強度などの特性を把握します。地盤調査は住宅などの建築を依頼したハウスメーカーや建築士などの判断により実施されます。必要と判断された場合、地盤調査会社を選定し調査を依頼します。

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地盤調査を行う目的は大きく5つ

地盤調査を行う目的は下記の5つとなります。建築計画を作成する建築士が建物の用途に応じて、どの調査を実施するのかを選定します。

該当土地における地盤構成の把握

先ず当該土地における地盤構成の把握が必要になります。過去にどの様な経緯で地盤が形成されたのかを調査します。いわゆる「地質学的調査」に該当します。例えば以下などです。

該当土地における地盤構成の把握
  • 河川の流砂による堆積から成る地盤
  • 火山噴火による噴出物の堆積から成る地盤
  • 人工的に造成(盛土・切土・埋立地など)されたことによる地盤

それらが重ねりあっている場合もあります。自然的な地盤構成なのか人工的な地盤構成なのかにより地盤の強度は異なります。

地盤の強度を把握する

次に地盤の強度を把握します。

  • 河川や湖沼などに比較的近い立地であれば、地盤強度は低くなる可能性が高くなります。
  • 岩盤などで構成されている立地であれば、地盤強度は高くなります。

これらのデータが下記の地盤支持力と相まって建物の基礎形状を決める一つの判断基準になります。

地盤支持力を知る

建物の基礎形状を決定づけるデータが地盤支持力となります。上記の地盤強度と地盤支持力とは異なります。組合せとしては以下などがあります。

地盤強度と地盤支持力の組み合わせ
  • 地盤強度:強、地盤支持力:強 → 直接基礎(布基礎・べた基礎)など
  • 地盤強度:弱、地盤支持力:強 → 支持杭
  • 地盤強度:弱、地盤支持力:弱 → 地盤改良・摩擦杭

それぞれのケースにより建築物の基礎形状は異なります。例えば以下の通りです。

建築物の基礎形状
  • 地盤強度:強、地盤支持力:強の場合、地表面から地下すぐに硬い岩盤などが存在するケースです。このケースでは、直接基礎(布基礎・べた基礎)などが候補として挙がります。
  • 地盤強度:弱、地盤支持力:強の場合、地表面から地下数m~十数mまでは泥炭などの柔らかい土層で構成されており、その層の下に硬い岩盤が存在するケースです。このケースでは、硬い岩盤まで到達させる支持杭などの基礎形状が候補として挙がります。
  • 地盤強度:弱、地盤支持力:弱の場合、地表面から地下数十mまで調査しても、柔らかい土層で構成されているケースです。このケースでは、地盤改良や摩擦杭などの基礎形状が候補として挙がります。

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土質や土層を把握する

土質は土壌の物理的・化学的性質のことです。粘土・シルト・砂・礫の土質名は、粒子の大きさ(粒径)により決まります。

土質名には砂質シルトや砂混じり粘土という名称が使用されます。質や混じりは各土質の混入割合により決められています。

  •  質  :混入率が15%~50%未満
  •  混じり:混入率が5%~15%未満

例えば砂質シルトの場合、砂が15%~50%未満の混入率、シルトが50%~85%の混入率となります。土層は土壌で構成された広義の地層の一つで上記の地盤構成と重なる部分もあります。土層を形成する土質の種類を分類し各土層の強度や支持力、変形有無、揺れやすさなどを調査します。下表はある立地における土質と土層を調査した結果をまとめたものです。これらのデータを基にして、建物の基礎形状を決定します。

地下水位の把握と液状化の判定

地下水位の高低により建物の耐震性に影響を与えますので地下水位の把握は必須です。ただし一般的な戸建住宅の様な規模が比較的小さい建物の場合、設計に考慮されないケースがありますので注意が必要です。液状化の判定は土質・土層・地下水位などのデータから総合的に判断して見極めます。地下水位が高く均一な土質の土層が拡がっている地域では、液状化が発生し易くなります。逆に地下水位が低く様々な土質が混合しているケースや土層が入り込んでいるケースでは、液状化は発生しにくくなります。

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地盤調査のやり方と費用について

 

地盤調査にはどんな方法がありますか?

 
 

建築物や規模により異なります。一戸建住宅の場合:スウェーデン式、サウンディング試験、マンションの場合:ボーリング調査などがあります。

 

戸建て住宅の地盤調査はスウェーデン式サウンディング試験(SWS試験)

一般的な戸建住宅の地盤調査にはスウェーデン式サウンディング試験(SWS試験)が使用されます。ロッド(鉄の棒)にスクリューポイント(ドリル状の部品)を設置し、おもりを載せて荷重をかけます。スクリューポイントを回転させながら地中に貫入させる調査方法です。おもりの重さとスクリューポイントの回転数により、地盤強度を測定します。調査費用も安価で、導入し易いという特徴があります。

簡易的な地盤調査はSWS試験

SWS試験は他の地盤調査方法と比較して、低コストで簡易的に行うことができるため、一戸建木造住宅の場合によく採用されます。住宅などの建築物の荷重は長方形状の場合、四隅にかかり易くなります。そこで、SWS試験の計測ポイントとしては、建築物の中心点と四隅と計5箇所になります。建築物の形状により計測ポイントを6箇所以上計測することもあります。しかし、3m前後の違いでは土質に違いはそれほど生じないため、5箇所のままで計測を進める場合もあります。計測深度としては、約10mまでの深さとなります。

SWS試験にかかる時間は約半日ですが、正確な分析結果が出るまでに数日を要します。地盤改良の必要性の有無については、SWS試験直後にわかります。ただし土質が砂質土か粘性土かの判定はできますが、地盤の構成や傾斜の状態、地下水位まで把握することはできません。一戸建木造住宅の場合、その重量を考慮しますと、地盤の詳細なデータまで把握する必要はなく、SWS試験での判定にて十分です。

MEMO
試験費用は約5万円~10万円です。

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マンションの地盤調査ではボーリング調査(標準貫入試験)が用いられる

マンション建築の場合、地盤調査にはボーリング調査(標準貫入試験)を採用します。地表面に口径約8cmの孔をあけ、そこからサンプラー(鉄の筒状部品)を挿入します。その後、所定の高さ(76cm)からハンマー(63.5kg)をサンプラーの上に落下させます。サンプラーが一定の深度(30cm)に貫入するまでにハンマーによる打撃回数が何回要したかを計り、N値として表現します。その計測値により、地盤強度を判断します。計測深度は、硬い岩盤などの支持層に到達するまで行われるため、立地によっては数十mになることもあります。また、土を採取し、土質や土層、地盤の傾斜、構成状態、地下水位などの詳細を調査します。

MEMO
試験費用はマンションの規模により異なり、数十万円から数百万円を要するケースもあります。

表面波探査法

表面波探査法は振動を発生させる起振器とう装置と振動を捉える検出器を地表面に設置します。起震器により発生させた振動が地中に伝わり、検出器により振動を捕捉し振動伝達速度を測定することにより、地盤の強度を分析します。具体的な土質や土層を調査することはできませんが地盤の硬さを調査する手段としては、他の調査方法よりも正確に把握することができます。

この測定方法は以下などにより、測定結果に影響を与えます。

測定結果に影響を与える要因
  • 調査担当者の技量
  • 測定器(起震器・検出器)の設置方法
  • 地中の空洞や埋設物

短期間で測定可能ですが試験費用はSWS試験と比較しますと高くなります。

地盤調査にかかる期間

地盤調査に要する時間は、どの工法を採用するかにより異なります。一戸建住宅の地盤調査の場合、最も簡易でスピーディに地盤調査を行えるSWS試験であれば、1箇所に要する調査時間は、30分~1時間程度です。測定箇所を5箇所に設定することが多くなりますが3~5時間で済み約半日となります。その他の調査方法の場合、SWS試験よりも時間はかかりますが、一戸建住宅の地盤調査の場合、目安として4~8時間程度と約1日となります。

ただし、どの地盤調査方法でも以下などにより調査時間は前後します。

調査時間は前後する要因
  • 調査当日の天候状況
  • 調査地点の敷地状況(敷地形状・傾斜地など)
  • 調査担当者の技量

地盤調査そのものは調査担当者が現場において器材を設置し調査を実施するだけとなりますので、建築主の立会は不要です。一般的な一戸建住宅の場合、上記で解説した地盤調査の内容を、費用と期間の2点でまとめますと、下表の通りです。

地盤調査 費  用 期  間 特  徴
スウェーデン式サウンディング試験 5万円~10万円 半日 ・安価で早くできる。・最も一般的な調査方法
ボーリング調査 15万円~30万円 1日 ・最も詳細なデータを取得することができる・高価で時間がかかる
表面波探査法 8万円~15万円 半日~1日 ・最も地盤強度を正確に捉えることができる。

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中古住宅購入や建て替え、建売住宅購入時にも地盤調査は必要?

 

地盤調査は中古住宅購入や建替え、建売住宅購入時にも必要ですか?

 
 

必要です。将来において逆に売主になる場合、買主から必ず要求されるものと考える必要があります。

 

中古住宅の場合は売主に地盤調査報告書の確認をしてみよう

中古住宅の場合、売主が建物を新築する際に地盤調査を行っていれば、地盤調査報告書が残っているはずなので、その確認をすることが大切です。中古住宅の築年数が30年以上になるなど、かなり経過している場合には地盤調査を行っていないケースもあります。地盤調査を行っていたとしても間違って処分してしまったなど、既に残っていないケースもあります。

中古住宅を購入する際、先ずは売主に地盤調査報告書の有無を確認し、あれば提示をしてもらい、内容を確認する必要があります。無い場合には、現状有姿(現状の土地・建物での引渡し)で売買する契約が多くなります。売主が地盤調査を、費用をかけて売却時に行うケースはありません。買主が役所調査やWEB調査などで、近隣物件の地盤データを収集するなどして、地盤強度を推測する必要があります。

MEMO
売主の了解を得られれば購入前に敷地内の1箇所を地盤調査する方法もありますが費用は発生します。正確な地盤情報を得ることはできませんが地盤強度の目安がわかり、購入有無の判断材料にすることができます。

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建て替え時にも地盤調査は必要

自身が住んでいた住宅や相続などで引き継いだ住宅を建て替える場合、地盤調査は必要です。古い家よりも新しく建て替える家の方が、建物そのものの重量が大きくなる傾向にあります。仮に古い家が軟弱地盤の上に建っていて何事も無かったとしても、新しく建て替えた建物の重量により、不同沈下などを発生させることもあります。そうなりますと修繕費用も高くなりますので地盤調査は必須です。

MEMO
瑕疵担保保険に申請する際にも地盤調査が必要になりますので、必ず行うようにします。

建売住宅購入時も地盤調査は必要

建売住宅を購入する場合、売主は建物を建てる前に地盤調査を行っていますので、地盤調査報告書の提示を依頼し、必ず確認を行うようにします。仮に無い場合には、その立地での建売住宅購入は見合わせた方が良策といえます。売主の姿勢として、建物の安全性に対する配慮が不足していると思われるからです。また、建売住宅購入後、数年後から十数年後には、逆に売却する可能性があります。その際、将来の買主から必ず地盤調査報告書の提示を要求されるものと準備しておく必要があります。

まとめ

以上、地盤調査の概要や目的、やり方と費用、期間、必要になるケースについて解説しました。地盤調査は建物基礎形状の決定に大きな要因となる土質・土層などのデータを提供してくれる重要な調査です。基礎形状により建物の耐震性・耐風性・耐水性に大きな影響を与えます。また、将来において建物を売却する際、地盤調査報告書の有無が売買に影響を及ぼします。建物にとっても売買においても重要な書類となりますので、ハウスメーカーや建築士などと相談し、地盤調査を実施されることをお勧めいたします。