残価設定型ローンとは?メリット・デメリット、乗り換え、一括返済など気になる疑問を解決

この記事のざっくりしたポイント
  1. 「残価設定型住宅ローン」は家の代金から将来の下取り価格(残価)を引いた分について毎月返済するローン
  2. 「残価設定型住宅ローン」は価値ある住宅を少ないコストで手に入れられる有効な方法のひと
  3. 残価の支払いができない場合はマイホームを失う可能性もある

車の購入時に組むローンの種類のひとつに「残価設定ローン」というものがあります。毎月の返済額が抑えられるのが特徴です。この「残価設定ローン」が住宅にも普及する可能性が出てきました。

国土交通省が「残価設定型」住宅ローンの普及に向けて2021年度にも民間の金融機関が参加するモデル事業を始めると発表したのです。これが実現すれば住宅ローンのあり方は大きく変わる可能性があります。

この記事では今後普及していく可能性の高い残価設定型ローンとは何か、メリット・デメリットを解説します。残価設定型ローンが住宅にも使えるようになるとどうなるのか確認しましょう。

残価設定型ローンとは

「残価設定型ローン」を利用して車を購入すると車の代金から将来の下取り価格(残価)を引いた分について毎月返済していくことになります。残価についてはローン支払い終了時点まで据え置かれ終了時に清算します。

通常のローンと同じ借り入れ期間の場合、元本が少なくなる分月々の返済額も少なくなるのが大きな特徴です。住宅を購入する際の残価設定型ローンも仕組みは同じです。

この残価設定型ローンが住宅購入時のローンに導入されれば毎月の返済負担を大きく抑えることができるでしょう。住宅ローン終了時には「残価分を一括払いする」「残価分について再度ローンを設定して住み続ける」「設定された資産価値の額で家を売却し住みかえる」といった選択が可能です。

 

住宅ローンには今までこのようなタイプはなかったです!しっかり把握しておきましょう。

 

途中解約には残りを一括返済する必要があるので注意

残価設定型ローンは期間の途中で解約することも可能です。ただし残りのローンと残価を一括返済しなければなりません。たとえば残価設定1000万円で3000万円の家を購入し、ローンの残債が1500万円の状態で途中解約をしたい場合、ローンの残債と残価を合わせて2500万円を支払う必要があります。

ローンが終了した場合の残価について

残価設定型住宅ローンの終了時には「設定された資産価値の額で家を売却し、住みかえる」「残価分を一括払いする」「残価分について再度ローンを設定して住み続ける」「リバースモーゲージへ借り換えする」という4つの選択肢があります。以下より詳しく説明します。

住み替え希望の場合は売却による完済が選べる

一つ目は住宅を売却して残価を完済する方法です。売却する際に物件の資産価値が残価より高ければ、手元にお金が残ります。不動産会社が残価での買取りを保証している場合は、万が一売却先が見つからなくても保証額で買い取りをしてくれるため、売却時に「残価」が残ることはなく安心です。

注意
ただしローンの契約時に買い取り保証の要件や詳細を確認しておく必要があります。

継続居住希望の場合は自己資金で一括返済する

二つ目は自己資金で残価を一括返済する方法です。いま住んでいる住宅にそのまま住み続けたいときに退職金やそれまでに貯めておいた自己資金で一括返済します。

残価を約定返済ローンに切り替え80歳まで延期する

三つ目は残価を通常の住宅ローン(約定ローン)に切り替える方法です。いま住んでいる家に住み続けたいけれど一括返済する資金がないという人もいるでしょう。そんなとき残価を改めて80歳までのローンに組み替えることができれば、ローンを返済しながら住み続けられます。

リバースモーゲージへ借り換えする

四つ目はリバースモーゲージを利用する方法です。自宅を担保にして融資を受ける「リバースモーゲージ」なら毎月の返済額は利息だけですみます。残価を住宅ローンに切り替えるよりも毎月の返済額が少なくなることがメリットで、自己資金に余裕がない場合に選択肢となるでしょう。リバースモーゲージの元本は契約者の死亡時に清算されます。

注意
ただし現在リバースモーゲージローンを取り扱っている金融機関は限られているので利用を考える際は事前に確認が必要です。

残価設定型ローンをうまく活用して得られるメリット

残価設定型ローンは上手に活用すればお得になるローンです。以下より残価設定型ローンのメリットを3つ紹介します。

フルローンで組むよりも月々の返済が楽になる

残価設定型ローンを利用した場合、通常のローンを組むよりも月々の返済額が安くなります。支払い終了時までの元金が残価設定分少なくなり、毎月の返済額も少なくなります。たとえば次の条件で残価設定型ローンと通常のローン、両方の毎月の返済額を比べてみましょう。

  • ローン借入額500万円
  • 上記のうち残価設定額100万円
  • 利率1.5%
  • 年数10年

この条件で計算すると残価設定型ローンの場合、月々の返済額は37,456円、通常のローンの場合は44,896円です。残価設定型ローンのほうが月々の返済額が安くなることがわかります。これを住宅購入時に当てはめて考えた場合、所得が伸び悩んでいる若い世代でもローンを組んでマイホームを取得しやすくなると予想されます。

注意
ただし残価設定型ローンは月々の返済額は安くなりますが、通常のローンよりも総返済額が多くなってしまう点に注意が必要です。詳しくはデメリットの項目で説明します。

下取り額が保証されているので買い替え予算の計算がしやすい

残価設定型住宅ローンでは返済期間終了時、契約時に設定した残価での買取りが保証されています。仮に当初設定した残価(買取り保証額)より住宅の価値が下がっていたとしても契約時に決めた価格を保証してもらえるということです。

住宅は築年数が古くなるほど資産価値が減り「中古の木造住宅は20年程度で価値が0になる」といわれています。「将来の買取価格が残価を下回ったため、買い替えたくてもできない」というリスクを回避できる点は、残価設定型住宅ローンのメリットです。

 

住宅の価値は建物の構造によっても大きく異なるので査定してみないと分からないよ!

 

頭金やボーナスがいらない

残価設定型ローンには頭金やボーナス支払いが必要ありません。住宅を購入したくても手持ち資金が少ない人、ボーナス払いに依存した返済方法をとりたくない人にとっては残価設定型ローンが便利です。

残価設定ローンのデメリット

上手に活用すればメリットの多い残価設定型ローンですが、デメリットもあります。以下より残価設定型ローンのデメリットを4つ説明します。

フルローンより総支払額が多くなる

先ほど残価型ローンのメリットの項目で「月々の返済額は安くなるが総返済額が多くなる」と説明しました。実は残価設定型ローンは残価を差し引いた分だけでなく据え置いている残価を含めた元金に対しても利息がかかります。

たとえば500万円の車を購入して10年間の残価設定型ローンを組んだ場合、残価を100万円とすると400万円についてローンを組むことになります。毎月の返済額には400万円の元金と利息にプラスして残価100万円に対する利息も含まれます。そのため総支払額が多くなってしまうのです。

この例だと総支払額は次のようになります。

総支払額の違い
  • 通常のローン:月々の返済額44,896円、総支払額5,387,520円
  • 残価型ローン:月々の返済額37,456円、総支払額5,457,264円

このように残価設定型ローンの方が月々の支払いは安くすみますが総支払額では一般的なローンより高くなってしまいます。月々の支払いよりも総支払額をおさえたいという方には残価設定型ローンはおすすめできません。

残価保証条件を満たしていないと追加金が請求されることも

残価設定ローンは残価を保証するにあたって条件がつきます。その条件を満たさなくなった場合、差額を追加金として請求されることがあります。残価設定型住宅ローンについても建物の傷み具合や損害状況、その損害の理由などによっては、追加金が請求されたり保証額が減額されたりする可能性があるでしょう。

注意
残価保証があるからといって手放しでは安心できません。

残価が査定額を下回るケースもある

残価設定型住宅ローンの支払い終了時の査定額が残価(買取り保証額)より高かったとしても買取り保証額は変わりません。差額がもらえるわけではありませんので少し損をした気になる人もいるでしょう。

残価設定住宅ローンが向いている人の特徴

これまでに説明してきた特徴やメリット・デメリットから残価設定型の住宅ローンが向いているのは次のような人です。

残価設定型の住宅ローンが向いている人
  • 毎月の返済を抑えながら、良い家に住みたい人
  • 将来、住み替えを考えている人
  • マイホームを資産形成の手段と考える人
  • 子育て期間はマイホームで、その後は夫婦で賃貸暮らしをしたい人

残価設定型住宅ローンは購入した住宅を終の棲家だと考えていない人に向いています。

https://grand-next.jp/journal/2021/01/21/7362.html

残価設定住宅ローンが向いていない人の特徴

一方で残価設定型住宅ローンをおすすめできない人の特徴は次のとおりです。

残価設定型住宅ローンをおすすめできない人
  • 月々の返済が苦にならない人
  • 支払総額を抑えたい人
  • 将来的にその土地で建て替えを考えている人
  • 購入する住宅に一生住み続けたい人

残価設定型住宅ローンは毎月の返済金額を押さえられることが最も大きなメリットです。そのため毎月の返済が苦にならない人にとっては支払総額が増えるだけのメリットがないローンといえるでしょう。

また支払終了時に住宅を売却できないため建て替えを考えている人にも残価設定型住宅ローンは向きません。支払い終了時の状況によっては住み続けたいと思っても新たなローンが組めずに家を失う可能性があります。

注意
残価型設定の住宅ローンはリスクをよく確認してから利用したほうがよいでしょう。
https://grand-next.jp/journal/2021/01/21/7383.html

残価設定型住宅ローンは普及するか

残価設定型住宅ローンが後押しされるようになった背景には高品質な住宅が増え、中古住宅の価値が見直されてきたことにあります。これまでは「築20年もすれば建物の資産価値が0円」とも言われていた中古の木造住宅が長期優良住宅の普及によって価値が見直され、残価設定(買取り保証)ができるようになったからです。

とはいえ2019年11月に新生銀行で取り扱いが始まったものの、なかなか広がりをみせなかった残価設定型住宅ローン。2021年からスタートする民間の金融機関が参加する国のモデル事業の今後に注目です。

まとめ

長期優良住宅が普及してきた現在「残価設定型住宅ローン」は価値ある住宅を少ないコストで手に入れられる有効な方法のひとつです。ただし残価の支払いができない場合は、マイホームを失う可能性もあります。今後残価設定型住宅ローンが普及するまでに、メリットやデメリットを把握しておきましょう。