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一般媒介とは?専任媒介との違いやメリット・デメリットについて

この記事を書いた人
平野 直樹
不動産コンサルタント・一級建築士

関西大学工学部卒業後、首都高速道路の設計や戸建設計など建設コンサルタントとして活躍。川を活かした街づくりや土地有効活用を掲げるシンクタンクを経た後、現在は有限会社エクセイト研究所の取締役を務める。 保有資格:1級建築士、1級土木施工管理技士、宅地建物取引士

この記事のざっくりしたポイント
  1. 一般媒介契約は売主や貸主といった依頼者が複数の不動産会社に対して、売却や賃貸を依頼できる媒介契約
  2. 多角的に営業活動を進めたい人には一般媒介契約は相応しい契約方式
  3. 依頼をした複数の不動産会社が思ったよりも営業活動を行わないといったデメリットもある

不動産を売却したい場合や賃貸したい場合、不動産会社に依頼するケースが大半となります。その際、媒介契約を締結することになりますが、一般媒介契約・専任媒介契約・専属専任媒介契約という3種類の契約方式があります。

不動産の売却や賃貸を検討されている方の中に「一般媒介契約とは、何ですか?」「他の媒介契約との違いは?」など、疑問を持たれている方はいませんか?実は複数の不動産会社への依頼の有無などにあります。

多くの不動産に関する相談事や悩み事を解決してきた不動産コンサルタントが、一般媒介契約・専任媒介契約・専属専任媒介契約の概要やメリット・デメリット・違いについて解説します。それぞれの特徴やメリット・デメリットを把握して、自身に合った契約方法を選択することができます。

一般媒介契約とは

一般媒介契約は売主や貸主といった依頼者が複数の不動産会社に対して、売却や賃貸を依頼できる媒介契約のことです。したがって依頼者は業者を限定することなく媒介を依頼することができます。また依頼者自らも買主や借主といったと顧客を探して、売買契約や賃貸借契約を締結することができます。

一般媒介契約には以下の2型があります。

一般媒介契約の2つの型
  1. 明示型 :依頼をした複数の不動産会社に対して、依頼先の不動産会社を明示する義務がある契約
  2. 非明示型:依頼をした複数の不動産会社に対して、依頼先の不動産会社を明示する義務がない契約

依頼を受けた不動産会社にとっては業者間で物件情報を共有する形態となりますので、独占的に物件取引の媒介業務を行えません。一方、物件を探している買主や借主にとっては様々な不動産会社から物件情報の開示を受けることができます。

仲介と媒介の違い

一般的には仲介も媒介も不動産取引における売主と買主、貸主と借主の間に立つことを意味しています。あえて違いを言えば以下の通りです。

仲介と媒介の違い
  1. 仲介:不動産取引に限らず、広く一般的に商業用語として使用されています。業者から取引の紹介をされることです。
  2. 媒介:宅建業法(宅地建物取引業法)で使用される法律用語です。不動産物件の売主や貸主から直接取引の仲立ちを依頼されることです。

関係性で説明しますと、

       媒介      仲介

  売主・貸主 → 不動産会社 → 買主・借主

といったニュアンスになります。

また不動産会社には立場の違いにより媒介会社と仲介会社とがあります。

不動産会社の違い
  1. 媒介会社:物件を所有する売主・貸主と直接媒介契約し、買主・借主を探す立場で、元付(もとづけ)業者ともいいます。
  2. 仲介会社:買主・借主を媒介会社へ紹介する立場で、客付(きゃくづけ)業者ともいいます。

契約の説明と利用した方が良い人の特徴をまとめる

 

専任媒介契約と専任専属媒介契約との違いは何ですか?

 
 

依頼者が買主・借主といった顧客を自ら探し出すことができるか否かの違いです。

 

専任媒介とは

専任媒介契約は売主や貸主といった依頼者が売却や賃貸を依頼した不動産会社以外の業者に重複して依頼できない媒介契約のことです。ただし依頼者は自身で買主や借主といった顧客を探して、売買契約や賃貸借契約の締結をすることができます。

依頼を受けた不動産会社にとっては一般媒介契約とは異なり、他の不動産会社に取引を横取りされる可能性はありません。しかし依頼者が自身で取引先を見つける可能性はあります。

MEMO
一般媒介契約と比較して不動産会社の営業努力が無駄になる確率は少なく、積極的な営業活動が期待できます。

<利用した方が良い人>

利用した方が良い人
  • 取引している不動産会社があり、その会社の取引実績・内容などを把握し、信頼を置いている場合
  • 自らも取引できそうな顧客を有しており、その顧客に対して積極的に営業活動を行う場合
  • 不動産の売却・賃貸を急いでいる場合

専属専任媒介契約とは

専属専任媒介契約は売主や貸主といった依頼者が売却や賃貸を依頼した不動産会社以外の業者に重複して依頼できないと同時に、依頼者も自ら買主や借主といった顧客を探して取引できない媒介契約のことです。したがって依頼した不動産会社に対して、取引を全面的に任せる契約です。

依頼を受けた不動産会社にとっては一般媒介契約とは異なり、他の不動産会社に取引を横取りされる可能性はないと同時に専任媒介契約とは異なり依頼者が、自身で取引先を見つけることもできません。一般媒介契約・専任媒介契約と比較して、不動産会社の営業努力が無場になる確率は、より少なくなります。

<利用した方が良い人>

利用した方が良い人
  • 取引している不動産会社があり、その会社の取引実績・内容などを把握し、信頼を置いている場合
  • 不動産取引に関して特に顧客を有さず、全面的に取引を任せて、自身の業務などに専念したい場合
  • 不動産の売却・賃貸を急いでいる場合

一般媒介契約のメリット・デメリット

 

一般媒介契約のメリットは何ですか?

 
 

複数の不動産会社に依頼して、競争心をあおることができる点です。

 

一般媒介契約のメリット

一般媒介契約のメリットは、

①依頼した複数の不動産会社間において、競争心をあおることができます。

一般媒介契約の特徴の一つとして複数の不動産会社と媒介を締結することができます。その中で売買契約や賃貸借契約を成立させた不動産会社に対してだけ、仲介手数料を成功報酬として支払う契約方式です。したがって不動産会社に対して、競争心をあおることができます。

②自身で買主を見つけた場合、仲介手数料が無しになるか減額できます。

自己発見取引が認められていますので、自身で買主を見つけた場合、仲介手数料を支払う必要はありません。しかし契約書作成などを依頼する場合には、仲介手数料を減額してもらうことができます。

③物件情報が公になりません。

レインズへの登録義務がありませんので世間に知られることはありません。

一般媒介契約のデメリット

一般媒介契約のデメリットは、

①契約までに時間がかかることがあります。

依頼を受けた不動産会社は他にも競争相手が多数いる場合、逆に積極的に営業活動を行わない可能性もあります。特に不動産会社が不得意なエリアや分野の物件の依頼を受けますと放置する可能性が高くなります。したがって売買契約や賃貸借契約に至るまでの時間が思った以上にかかることもあります。

②依頼した複数の不動産会社に対して個別に確認する必要があります。

一般媒介契約は依頼者に対して、営業活動の報告義務がありません。したがって依頼した複数の不動産会社に対して個別に確認する必要があります。

③物件情報が広まらないことです。

レインズへの登録義務が無いため物件情報の案内告知が行き届かない可能性があります。

専任媒介契約のメリット・デメリット

 

専任媒介契約のメリットは何ですか?

 
 

媒介契約した不動産会社と並行して、依頼主も営業活動ができます。

 

専任媒介契約のメリット

専任媒介契約のメリットは、

①窓口を1社に絞ることができるので、連絡がスムーズです。

専任媒介契約は1社としか媒介契約を締結することができません。逆に1社に絞られるため、連絡を要する時には一般媒介契約の様に複数社に連絡を要することは無く、楽になりスムーズにいきます。

②不動産会社の営業活動を把握し易くなります。

専任媒介契約は不動産会社が、2週間に一度の不動産営業活動報告を行う義務があります。したがって売却・賃貸状況が定期的に把握できますので、売却・賃貸時期の目途を立て易くなります。

③専任の不動産会社に営業活動をしてもらいながら、自身でも営業活動をすることができます。

専任媒介契約は依頼主自身の顧客に、取引できそうな買主・借主候補がいれば、営業活動をすることができます。仮に依頼主が買主・借主を見つけ売買契約・賃貸借契約に至った場合、仲介手数料を不動産会社に支払う必要はありません。

専任媒介契約のデメリット

専任媒介契約のデメリットは、

①不動産会社の担当営業マンの手腕に左右されることです。

専任媒介契約をした不動産会社の営業マンが力量不足の場合、いつまでも買主・借主を見つけることができない事態に陥ります。

②3か月間は不動産会社を変更することはできません。

専任媒介契約の上限期間は3か月という規定のため、通常3か月間の媒介契約を締結します。そのため不動産会社に見込客すら挙がらない事態になったとしても、契約期間中は不動産会社の変更をすることはできません。

専属専任媒介契約のメリット・デメリット

 

専属専任媒介契約のメリットは何ですか?

 
 

積極的に営業活動をしてもらい易い点です。

 

専属専任媒介契約のメリット

専属専任媒介契約のメリットは、

①不動産会社に積極的に営業活動をしてもらい易いです。

不動産会社としては営業活動を専任してもらっていますので、他社の営業活動を気にすることはありません。また依頼主も営業活動をすることはできませんので、自社の営業活動が無駄になることはありません。したがって積極的に営業活動を行うことができます。

②買取り保証や瑕疵保証サービスなどの特典を受けられることがあります。

他の不動産会社や依頼主の動きを気にすることなく、営業活動を行うことができます。その見返りとして買取り保証や瑕疵保証サービスなどの特典を受けられる場合があります。

専属専任媒介契約のデメリット

専属専任媒介契約のデメリットは、

①自身で買主や借主といった顧客を探すことはできません。

専属専任媒介契約は依頼主自身が買主や借主といった顧客を探すことはできません。契約をした不動産会社の成果を待ち続けなければなりません。

②不動産会社は他社・依頼主との競争が無くなります。

営業活動は媒介契約した不動産会社のみとなるため競争心が無くなります。したがって、営業活動のスピード化を図れない可能性があります。

③囲い込みされる可能性があります。

囲い込みは専属専任媒介契約を締結した不動産会社以外の不動産会社(仲介会社)から、物件の購入・賃借依頼が入った場合、既に売却・賃貸したと偽情報を流すことです。

契約した不動産会社は自身の会社だけで売主と買主あるいは貸主と借主を見つけたい心理が働くため、他の仲介会社が買主・借主候補者を仲介しても断る場合があります。売主・買主あるいは貸主・借主の双方から仲介手数料を獲得したいからです。(業界用語で両手といいます。)

一般媒介・専任媒介・専属専任媒介契約の違い まとめ

一般媒介契約・専任媒介契約・専属専任媒介契約の違いを宅建業法上の観点とメリット・デメリットの観点で解説します。

宅建業法上の観点

宅建業法(宅地建物取引業法)上の観点で、違いを下表にまとめます。

  一般媒介契約 専任媒介契約 専属専任媒介契約
契約可能業者数 複数 1社 1社
依頼主が探した買主との取引 可能 可能 不可
業者によるレインズ登録 任意 必須 必須
業者による営業活動の報告義務 2週間に1度 1週間に1度
媒介契約期間 3か月が上限 3か月が上限

メリット・デメリットの観点

メリット・デメリットの観点で違いを下表にまとめます。

媒介契約の種類 メリット デメリット
一般媒介契約 ①依頼した複数の不動産会社間において、競争心をあおることができます。
②自分で買主を見つけた場合、仲介手数料が無しになるか減額できます。
③物件情報が公になりません。
①契約までに時間がかかることがあります。
②依頼した複数の不動産会社に対して個別に確認する必要があります。③物件情報が広まらないことです。
専任媒介契約 ①窓口を1社に絞ることができますので、連絡がスムーズです。
②不動産会社の営業活動を把握し易いです。
③専任の不動産会社に営業活動をしてもらいながら、自身でも営業活動をすることができます。
①不動産会社の担当営業マンの手腕に左右されます。
②3か月間は、不動産会社を変更することはできません。
③囲い込みされる可能性があります。
専属専任媒介契約 ①窓口を1社に絞ることができますので、連絡がスムーズです。
②不動産会社の営業活動を把握し易いです。
③不動産会社に積極的に営業活動をしてもらい易いです。
④買取り保証や瑕疵保証サービスなどの特典を受けられることがあります。
①不動産会社の担当営業マンの手腕に左右されます。
②3か月間は、不動産会社を変更することはできません。
③自身で買主や借主といった顧客を探すことはできません。
④不動産会社は、他社・依頼主との競争が無くなります。
⑤囲い込みされる可能性があります。

まとめ

以上、一般媒介契約・専任媒介契約・専属専任媒介契約の概要やメリット・デメリット・違いについて解説しました。一般媒介契約を利用した方が良い人の特徴は複数の不動産会社に営業活動をしてもらいながら、依頼主自身も営業活動をしたい人となります。多角的に営業活動を進めたい人には一般媒介契約は、相応しい契約方式となります。

しかし依頼をした複数の不動産会社が思ったよりも営業活動を行わないといったデメリットもありますので、物件の特性も考慮する必要があります。好立地で売却価格が高額になる物件であれば不動産会社による積極的な営業活動を期待できますが、そうでなければ期待できません。

その辺のさじ加減を上手く計りながら少しでも希望価格に近く、期間も短く売買契約や賃貸借契約に至ることができる媒介契約方式を選択されることをお勧めいたします。