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家の解体費用を坪・構造ごとに完全ガイド!解体までの流れや安く済ませるコツ、メリット・デメリットとは

この記事を書いた人
平野 直樹
不動産コンサルタント・一級建築士

関西大学工学部卒業後、首都高速道路の設計や戸建設計など建設コンサルタントとして活躍。川を活かした街づくりや土地有効活用を掲げるシンクタンクを経た後、現在は有限会社エクセイト研究所の取締役を務める。 保有資格:1級建築士、1級土木施工管理技士、宅地建物取引士

この記事のざっくりしたポイント
  1. 解体工事費用は重機で行えるか、人手を多く要するかによって大きく異なる
  2. 自治体によっては一定の条件を満たせば解体費用に対して助成金が交付される
  3. なるべく自分で作業をしておくことも費用を抑えるポイントの一つ

様々な事情で家を解体する場合、解体費用が気になります。いくらかかるのか?解体に対して融資は出るのか?高く請求されないか?工事の流れは?事前の準備は必要なのか?など気になる点が多く不安になります。

しかし解体工事が高騰する要因やケースを押さえれば、失敗するリスクは軽減されます。数多くの住宅に関する相談に応じてきた不動産コンサルタントが、解体費用相場や高騰する要因、工事の流れ、安くするポイント、メリット・デメリットなどを解説します。以上により解体工事を安くスムースに問題なく行う方法を知ることができます。

家の解体にかかる費用相場を坪・構造ごとに解説

家の解体費用は床面積や建築構造、その他の諸条件により異なります。しかし事前に大まかな目安を知りたいものです。床面積の単位面積当たりの解体費用を構造別にまとめますと下表の通りです。ただし廃棄物処理費や整地費用は含まれていません

単位面積当りの構造別解体費用

上表に基づいて、家の床面積別・構造別の解体費用の相場を下記において項目別に表示します。

20坪の一軒家解体費用相場(木造・鉄骨造・RC造)

20坪の一軒家の解体費用相場を構造別にまとめますと下表の通りです。

20坪の一軒家の解体費用相場

30坪の一軒家解体費用相場(木造・鉄骨造・RC造)

30坪の一軒家の解体費用相場を構造別にまとめますと下表の通りです。

30坪の一軒家の解体費用相場

40坪の一軒家解体費用相場(木造・鉄骨造・RC造)

40坪の一軒家の解体費用相場を構造別にまとめますと下表の通りです。

40坪の一軒家の解体費用相場

50坪の一軒家解体費用相場(木造・鉄骨造・RC造)

50坪の一軒家の解体費用相場を構造別にまとめますと下表の通りです。

50坪の一軒家の解体費用相場

80坪の一軒家解体費用相場(木造・鉄骨造・RC造)

80坪の一軒家の解体費用相場を構造別にまとめますと下表の通りです。

80坪の一軒家の解体費用相場

解体費用が左右される環境について

 

解体費用が高くなるのは、どの様な場合ですか?

 
 

家が閑静な住宅街にあったり、隣接地の家と近接していたり、狭小地や変形地にあったり、アスベスト工事などが必要になる場合に解体費用は高くなります。

 

閑静な住宅街は解体費用が高くなる傾向にある

閑静な住宅街で行う解体工事は防音対策や防塵対策、通行人の安全対策など様々な規制に対して配慮をする必要性があり、解体費用は高くなります。防音対策としては解体する家の周囲に防音シートを張りめぐらすことが必要です。

また防塵対策としては解体重機が家屋を壊す際、水を散布しながら埃などの飛散を抑える手間が必要です。これらの対策費用が加算されることにより、解体費用は高くなります

解体される建物と別の建物の距離

特に都心部などの戸建住宅密集地帯では解体する家と隣接地の家との距離が接近している場合、様々な手間が発生するため解体費用は高くなります。良心的な解体業者であれば解体工事の前に隣接する家の事前調査を行います。

隣人に対して挨拶をし解体工事の案内をすると同時に、家の事前調査を依頼・承諾を取ります。外観写真や壁・柱などの傾きを計測し解体工事前・工事後の比較を、写真や計測数値により検証可能とします。また解体重機で一気に解体工事をすることができないため手作業が増加します。これらの手間の増加により解体費用は高くなります

道路が近い場合、ガードマンを必要とすることも

特に解体する家が前面道路に接近して建てられている場合、安全確保のために警備員が必要となるため解体費用は高くなります。解体工事が始まりますと解体重機の搬入・搬出や解体廃棄物を搬出するための運搬トラックの搬入・排出が頻繁に発生します。

特に前面道路が通学路になっている場合、子供の登下校時には安全確保のために最大限の注意を払う必要があります。中でも道路に接近して家が建てられている場合、解体重機なども歩行者が通る道路に近い場所で作業を行うため警備員の配置が必須となります。これらの配慮により解体費用は高くなります。

重機などが入れない狭い敷地

解体現場の敷地が狭小地や変形地であると解体重機などが解体現場内に入ることができず手作業での解体工事となり、解体費用は高くなります。手作業で解体工事を行いますと解体工期が長期化し、人件費の割合が非常に高くなります。ただし手作業で解体工事を行う場合には騒音や振動は小さくなるというメリットもあります。

また解体現場の敷地までに至る道路幅員が狭い場合も高くなります。廃棄物の搬出作業を通常、大型運搬車に積載しますが、道路幅員が狭いと大型運搬車が通行できず2tトラックでの搬出作業となります。

MEMO
積載容量は2分の1から3分の1まで下がりますので運搬回数は2倍から3倍になります。運搬の効率が悪くなり運搬費用が高騰し、解体費用の高騰に繋がります。

アスベスト除去工事や地中障害撤去工事を含む工事

解体する家にアスベストが使用されていますと別途アスベスト除去工事を加算するため、解体費用は高くなります

鉄骨造の家の場合、1975年以前には鉄骨部分の耐火用被覆材としてアスベストが一般的に使用されていました。その後、発癌性物質がアスベストの中に含まれていることが判明し使用禁止となりました。解体現場ではアスベスト内の発癌性物質が飛散するため防護服着用した上での除去工事が必要となり、解体費用が高騰します。

MEMO
また地中に昔の建物の基礎部分や浄化槽などの地中障害物が残っている場合、その撤去工事が必要となるため、解体費用が高くなります。

家の解体までの流れ

 

家の解体までの流れを教えてください。

 
 

数社に見積依頼→現地調査→見積書提出→業者選定→近隣挨拶→解体工事準備→解体工事→整地→近隣挨拶→完了となります。

 

STEP1.先ずは見積依頼と現地調査を行う

先ずは解体業者に見積依頼よる現地調査を行ってもらい、家の構造(木造・鉄骨造・RC造など)や階数・形状の確認、隣接家との距離の確認などを行います。

他にも解体現場の敷地面積や形状、解体現場までの道路幅員を確認し、解体重機や廃棄物運搬車の搬入・搬出のための出入りがスムースに流れるかなどの確認を行います。さらに庭の樹木や石などの有無確認、地中障害物の有無確認などを行います。

MEMO
左記内容は全て解体費用の見積金額に反映されますので確認漏れが生じますと、金額が違ってくることになります。事前にわかっていることは解体業者に知らせるようにします。

STEP2.家を解体する準備を行う

解体業者が決定しましたら家を解体する準備に入ります。先ずは解体工期、作業時間帯、作業曜日、重機や運搬車両などの通行ルート、連絡先などを記載した案内書を持参して、解体業者による近隣住民への挨拶回りから始めます。

MEMO
この工事案内を怠りいきなり解体工事を始めますと、近隣トラブルの元となりますので必ず行うようにします。また電気・水道・ガスの供給停止手続きを行い、引込線などの撤去作業を行います。

STEP3.家の解体工事開始

解体工事を開始する前に解体する家の周囲に足場を造り、防音シートで家の四方を覆います。騒音の軽減や粉塵の飛散を軽減する処置として必要な工事となります。

その後、ドアやサッシなどの建具、設備・器具、備え付け家具などを取外します。基礎・床・柱・壁・屋根だけの状態になれば、本格的に重機などによる解体工事となります。出てきた廃材は順次、運搬車両に積載し、処理場へ搬出していきます。

MEMO
上物が無くなれば基礎部分の撤去工事となり、併せて地中障害物を撤去します。

STEP4.後片付け・整地工事で家の解体完了

家の解体・撤去が終われば敷地内の後片付けとなります。廃材やガラス片などの危険物などが残っていないか確認を行います。確認後、敷地内の整地工事を行い平らで綺麗な状態に仕上げます。

最後に近隣住民へ再度挨拶回りを行い、解体工事による家屋への影響の有無などを確認します。影響があれば対処するようにします。ここまで行って解体工事は完了となります。

家の解体費用をできるだけ安くするポイント

 

家の解体費用を抑えるポイントは何ですか?

 
 

自治体による助成金の利用や各種ローンの利用、自身による解体準備作業、解体業者の見積比較などがあります。

 

自治体によっては助成金を使える

自治体によっては一定の条件を満たせば解体費用に対して数十万円の助成金を交付している場合があります。助成金の上限金額の設定は、20万円~100万円としている自治体が多くなります。

注意
家が立地する自治体に助成金有無や交付金額、条件などの確認が必要となります。

フリーローンや空き家解体ローンを利用する

土地の売却を前提とした解体工事費用に対して「フリーローン」や「空き家解体ローン」を利用することが可能です。「フリーローン」は利用目的が特定されずに利用することが可能なローンです。様々な金融機関で扱っていますが融資審査は厳しくなります。

「空き家解体ローン」は政府からの要請により空き家対策の一環として、提供されている空き家解体専用のローンです。地方銀行で多く扱っていますが、融資条件が銀行により異なりますので、事前の確認が必要です。

なるべく自分で作業をしておく

解体工事の費用を抑えるにあたり自分でできることは、廃棄物の量を減らすことです。例えば家屋内の家具や電化製品、衣類、食品などの家財道具一式を処分するだけでも搬出用トラック1~2台分の費用削減に繋がります。また敷地内の樹木や雑草、石などの撤去を自身で行うと費用削減となります。

MEMO
早めに計画して準備し家財道具などを処分できた分、解体費用を抑えることができます。

依頼する業者を比較する

解体業者の比較検討も解体費用を安くするために必要となります。解体業者の中には自社で解体工事に必要な重機や運搬車を所有する会社もあれば、下請けに丸投げするだけで自社では解体工事をしない会社もあります。当然、自社で解体工事を全て行う会社の方が解体費用は安くなります。しかし解体専門会社を探すことは容易ではありません。

WEBサイトの中には全国の解体工事を「最安値で提案する」ことを謳い文句として解体専門会社をカバーしている「解体工事のナコウド」というサイトがあります。また国内最大級の解体工事一括見積もりサービスである「くらそうね」というサイトもあります。

MEMO
これらのサイトを参考の一つとして閲覧・比較検討をしてみるのも良いです。

家を解体するメリット

 

家を解体するメリットは何ですか?

 
 

買い手の手間が不要になり売却し易くなることや家の管理不要、事故・犯罪のリスク軽減といった点になります。

 

土地のみの買い手を対象とすることができる

家を解体し更地の状態にしますと土地のみの買い手を対象にすることができ、売り手と買い手の条件が合えば早く売却できます。一般的に住宅地に土地を購入する人の目的は、家の新築の割合が多くなります。

注意
古い家が残っている状態で売りに出されていても買い手側で解体する手間が発生し、購入することに躊躇させる原因となります。

空き家の場合、管理が不要になる

空き家の場合、定期的に家の外観・内観や庭の状態を確認するなどの管理が必要となります。しかし解体しますと管理する手間や費用が不要となります。家を維持する場合、特に夏場などの湿気が多い季節では、定期的な換気が必要となります。それを怠ると部屋中にカビが発生し、ダニやノミなどの害虫の温床となります。

注意
また庭への不法投棄やゴミのポイ捨てなどにも目を光らせる必要が生じます。

古い家の場合、事故や犯罪のリスクがなくなる

古い家の場合、特に空き家の状態ですと犯罪者やホームレスなどの不法侵入により、器物損壊や火災といった事故や犯罪のリスクが生じます。しかし解体しますと事故や犯罪のリスクがなくなります。

注意
管理を怠りますと長期間に亘る不法占拠といった事態になることもあります。

家を解体するデメリット(注意点)

 

家を解体するデメリットや注意点は何ですか?

 
 

固定資産税が高くなることや、自身でのゴミ処分、滅失登記、再建築不可となる可能性、住宅ローンの利用不可などがあります。

 

固定資産税が高くなる

家を解体しますと固定資産税の納税額は増えます。建物が建っている場合、土地・建物の固定資産税・都市計画税を納税する義務が生じます。建物が住宅の場合「小規模住宅用地の特例」を利用することができます。土地部分の固定資産税が、1戸当たり200㎡までの部分が6分の1まで減税することができます。

建物の固定資産税は経年劣化と共に固定資産税評価額が下がり、固定資産税は年々減少します。

固定資産税・都市計画税の小規模住宅用地の特例

しかし住宅を解体し更地にしますと建物の固定資産税は無くなりますが、「小規模住宅用地の特例」が利用できなくなります。その結果、土地部分の固定資産税は元に戻り6倍になります。一般的な住宅の場合、

更地の固定資産税 > 土地の固定資産税 + 建物(住宅)の固定資産税

となる傾向にあります。

ゴミは自分で処分しなければならない

解体する家の中のゴミについては解体業者は処分することができず、自身で一般廃棄物処理業者へ依頼をする必要があります。ゴミ処分費用の目安は一般的な家の場合には10万円前後、ゴミ屋敷レベルの場合には、20万円~30万円は必要となります。

解体後1か月以内に滅失登記する必要がある

家の解体工事が完了すれば管轄する法務局に対して1か月以内に建物の登記を無くす滅失登記を行う義務があります。これを怠りますと10万円以下の過料が課されます。

更地にした後に問題が起こることもある

築30年以上の家の場合、解体しますと元の規模と同じ家が建てられない場合があります。平成4年6月に都市計画法と建築基準法の一部が改正され用途地域が8種類から12種類へ細分化されました。特に住居系の用途地域では、ゆとりのある住宅地を形成するために、以前の用地地域での建蔽率や容積率を厳しく制限する用途地域に変更する場合が生じました。

例えば建蔽率:50%、容積率:100%であった用途地域が、建蔽率:40%、容積率:80%の用途地域に変更された場合です。元々の建蔽率・容積率の規定をフルに活用して家を建てた場合、用途地域が変更された後では、規定に合わなくなり「既存不適格」物件となります。

注意
また解体をし更地にしてから新たに建てる場合には、建蔽率・容積率の規定が厳しくなっているため、以前の建物よりも規模縮小して建てざるを得なくなります。(再建築不可)

基本住宅ローンは使えない

解体工事費用に住宅ローンを利用することはできません。住宅ローンは住宅を建てるためのローンであり担保価値も生じます。解体工事は住宅が無くなり担保価値は無いため利用できません。

まとめ

以上、解体費用相場や高騰する要因、工事の流れ、安くするポイント、メリットやデメリット・注意点などを解説しました。解体工事費用は重機で行えるか、人手を多く要するかによって大きく異なります。

またアスベストや地中障害物などの特殊工事の有無によっても異なります。それらの要因を事前に調査・解決するためにも解体業者の選定は最重要項目となります。ベテラン業者であるほど、困難な解体工事でもたやすく安く仕上げることができます。

上記で解説したポイントを押さえることにより、良心的な解体業者を選定し、納得のいく解体工事がなされることをお勧めいたします。