マンションを売るときの売却(仲介)と買取の違いとは？各種メリット・デメリットと利用した方が良い人特徴について

この記事を書いた人

中村 昌弘

不動産コメンテイター

都内の私立大学を卒業後、新卒採用で不動産ディベロッパー勤務。 不動産の用地仕入れや、分譲マンションの販売・仲介などを手掛ける。 2016年に独立して以降、不動産関係のライティングも業務の1つに。

マンションを売るときには大きく分けて売却（仲介）と買取の2種類あります。結論からいうとマンションの売却（仲介）を選択することが一般的であり、マンションの売却を急いでいる…などの特別な理由がない限りマンションの売却（仲介）を選択して問題ないでしょう。

一方、マンション買取は売却活動がなかったり売却期間（現金化までの期間）が短かったりというメリットがあるのも事実です。そのためマンションの売却（仲介）か買取かで迷っている人は、それぞれの概要やメリット・デメリットを理解しておく必要があります。

そこでこの記事ではマンション売却（仲介）と買取の違い、メリット・デメリットを解説します。そして、どのような人がマンションの売却（仲介）を利用すべきで、どのような人がマンションの買取を利用すべきか？についても解説していきます。

マンションを売るときは「売却」か「買取」の2種類

まずはマンションを売るときには売却と買取の2種類があるので、それぞれの概要について解説します。

マンション売却は「個人」が物件を購入する

一般的なマンション売却（仲介）は一般個人が物件を購入します。つまり法人が購入するのではなく、その部屋に「居住」することを目的にした個人が購入するというわけです。

個人の場合は不動産仲介業者が仲介する

そしてマンション売却（仲介）は売主も一般個人であり、その場合は不動産仲介業者がマンションを仲介します。厳密にいうと「自己所有の不動産を反復して継続的に売却する」わけではないので、不動産仲介業者に依頼せずに自分一人で売却することも可能です。

ただし検討者の集客や契約手続きは専門的かつ面倒な作業になるので、基本的には不動産仲介業者に仲介を依頼すると思って問題ありません。

マンション買取は「不動産企画・開発業者」が物件を購入する

前項までは一般的なマンションの売り方である「仲介」でしたが、「買取」を利用することでマンションを売却することもできます。 マンション買取とは不動産企画・開発業者に物件を買い取ってもらうことです。

不動産企画・開発業者はマンションを買い取った後に転売することで利益を得ます。言い換えると転売することを目的にマンションを買い取るということです。

マンション売却(仲介)と買取の違い

ここまででマンション売却（仲介）と買取の概要が分かったと思います。 その点を踏まえ次はマンション売却と買取の具体的な違いである以下について解説していきます。

マンション売却(仲介)と買取では成約までの期間が違う

マンション売却（仲介）と仲介では以下のようにマンションを売るときのステップが異なります。

このように買取の場合は査定に来た不動産企画・開発業者がマンションを買い取るので、媒介契約～売却活動（交渉含む）までのステップが不要です。

この売却活動期間を加味するとマンション売却（仲介）では査定~引渡しまで半年程度かかることが一般的といえます。 一方、買取は大体の取引が1か月以内に終わり、最短であれば1～2週間以内に引き渡すことも可能です。

2024年2月26日 宅建業者が自ら売主になると仲介手数料はどうなる？売主なのに仲介手数料が必要と言われた場合の注意点

マンション売却(仲介)と買取では売れる価格が違う

次にマンション売却（仲介）と買取では売却価格が異なります。 マンション売却（仲介）の場合は、通常の売却活動を行うので相場並で売れる可能性は高いでしょう。

一方、買取の場合は相場の7割程度まで価格は下がるケースが多いです。 というのも買取の場合は不動産企画・開発業者が転売目的で買い取るので、利益を出すためには安価で買い取る必要があるからです。

マンション売却(仲介)と買取では売る相手も違う

上述したようにマンション売却（仲介）と買取では、売る相手も異なります。 マンション売却（仲介）の場合は基本的に一般個人に売りますが、買取の場合は不動産企画・開発業者に売ります。

マンションを売る際の瑕疵担保責任の違い

前項の「売る相手が異なること」による大きな違いとして、瑕疵担保責任の違いがあります。瑕疵担保責任とは売主が瑕疵（≒欠陥）について責任を負うことです。

たとえば物件を引き渡した後に雨漏りが発覚し、その雨漏りに関して売主に責任があるとします。 その場合売主は瑕疵担保責任を負うことになるので、補修費用などを買主から請求されるというわけです。

言い換えると、売主は瑕疵担保責任を半年～2年間は追及されるリスクがあるのです。 一方、売主が個人で買主が宅建業者であれば、売主に瑕疵担保責任はなくなります。 不動産企画・開発業者は宅建業者なので、マンション買取を利用すれば瑕疵担保責任がないというメリットがあるのです。

マンションの売却(仲介)と買取の違いから分かるメリット・デメリット

ここまででマンション売却（仲介）と買取の概要や違いが分かったと思うので、次はそれぞれのメリット・デメリットである以下について解説します。

マンションを売るときに売却(仲介)を選ぶメリット・デメリット

マンション売却（仲介）の大きなメリットはやはり相場並の価格で売れるという点でしょう。 もちろん物件や仲介を依頼する不動産仲介業者によって売却価格は異なりますが、少なくとも買取ほど売却価格が下がることはないでしょう。

一方、売却期間が半年程度かかったり瑕疵担保責任があったりという点は買取と比較してデメリットです。 また内見者がたくさん来訪したりチラシなどの広告をしたりするので、近所の方にマンションの売却をしていることを知られるというデメリットもあります。

マンションを売るときに買取を選ぶメリット・デメリット

一方マンション買取の最も大きなメリットは、売却期間が短いという点です。 マンションは引き渡し時に決済されるので査定~引渡しが1か月以内に終わる買取は、マンションを現金化するまでの期間も1か月以内ということです。

また瑕疵担保責任もありませんし、広告活動もしないので他人に知られるリスクがない点もメリットといえるでしょう。 ただし売却価格が相場の7割ほどまで下落するという点は大きなデメリットになります。

マンションを売るとき売却(仲介)を利用した方が良い人の特徴

ここまでを踏まえマンションを売るときに売却（仲介）を利用した方が良い人の特徴は以下の通りです。

基本的にマンションを売るときは売却（仲介）を利用するものと思って良いでしょう。

マンションを売るとき買取を利用した方が良い人の特徴

一方マンションを売るときに買取を利用した方が良い人は以下の人です。

特に「1か月以内にまとまったお金が欲しい」など、現金化を急いでいるのであればマンションの買取を利用しないと時間がかかります。

2023年12月4日 中古マンションは100万円値引きできる？交渉しやすい物件の特徴と流れ、注意点

まとめ

このように売却価格を考えると基本的にマンション売却（仲介）を利用した方が良いでしょう。 ただし早急に現金化できる点や瑕疵担保責任がない点に大きな魅力を感じるのであれば、マンション買取を検討しても良いです。

とはいえマンション買取を利用する場合でも、一旦はマンション売却（仲介）と買取の両方で査定依頼するとことをおすすめします。 その金額差を見比べた上でマンション売却（仲介）を利用するか、買取を利用するかを判断しましょう。