このサイトの表記には、プロモーション広告が含まれています。

中古マンションの建替えと大規模修繕工事の費用と期間

今回は、中古マンションの大規模修繕工事に注目すると見えてくる意外な事実や、なぜ大規模修繕を真剣に考えていかなければならないのかを解説してゆきます。

コンクリの劣化と人口減少の悪循環

 

昨日、築40年以上の中古マンションの内覧に行ったんだけど、普通はどのくらいの年数で建て替えになるのかな。

 
 

以前は100年といわれることが多かったですが、歴史をたどるとコンクリートは数千年も前から建物に使われており、数々の遺跡がコンクリート造りであるという研究結果もあります。

 

ただ、最近では1950年代に作られた宮益坂アパートメントや四谷コーポラスといった歴史あるマンションの建て替えが行われました。

つまり、コンクリートの寿命は100年だと言われているのに、実際には60~70年ほどでマンションの建て替えが必要と判断されたことになります。マンションの建替えの理由をいくつかピックアップします。

マンションの建替えの理由

建替えの3つの理由
  1. 耐震性に問題がある判断されるため
  2. コンクリートの構造と環境で寿命
  3. 社会的な要因のため

耐震性に問題がある判断されるため

日本の建物は大きな被害をもたらした震災の度に耐震基準を見直してきましたが、大きな転換点とも言える1981年以前の建物については、震度5の地震に耐えられるように設計された建物が非常に多いため、国交省も旧耐震基準のマンションについて建て替えを推奨しています。

コンクリートの構造と環境で寿命

数千年前の建物にもコンクリートが使われているとお話させていただきましたが、これは原料や環境が現在と昔では違うためです。

現代のマンションには鉄筋コンクリートが使われますが、雨の染み込みや乾燥、寒い時期の凍結などを何度も繰り返せばコンクリート内でひび割れを起こします。また、コンクリート内の鉄筋も錆びたり、それによる膨張や化学反応が起こればコンクリートに深刻なダメージを与えます。

 

つまり、四季のある日本では鉄筋コンクリートの劣化は速いと言えるのです。

 

社会的な要因のため

旧耐震基準のマンションは、現時点で3~4万棟あると言われています。事実、国交省が公表する旧耐震基準のマンション104万戸という統計に対し、一般的マンションの戸数平均である34戸で割ると、おおよそ3万棟になります。約3万棟もあるマンションを解体して建て替えるとなると、かなりの時間がかかる事になります。
更に、建物だけでなく、古い建材で作られている内部の設備についてももはや修理できないほど劣化していたり、マンションの入居者の高齢化や人口減少により、多くのマンションで修繕費用が足りなくなる恐れも指摘されています。

大規模修繕の費用と期間

大規模修繕自体は、上記のような事実がなくとも行わなければいけません。
理由は建物を長く使えるようにし、安全と安心が得られる住まいを確保するためです。
既にマンションをお持ちの方であればご存知かと思いますが、マンションに住むにあたっては必ず「管理費」「修繕積立金」といったものを毎月支払います。

しばしば「家賃を払いたくないからマンションを買うのに、なんで毎月支払いが必要なの?」なんて疑問もよく耳にしますが、毎月支払うこれらの費用は建物の維持に不可欠なものなのです。

 

それらの疑問を分かりやすく解消させていただくために、3つの事実をお伝えしましょう。

 

マンションの建替えの理由
  1. 大規模修繕の1戸当たりの費用は90万円前後
  2. 大規模修繕は12年ごとの実施が推奨
  3. マンションは一人のものではない

大規模修繕の1戸当たりの費用は90万円前後

東京都整備局の調査データによると、大規模修繕を行ったマンションの3割ほどが1戸当たり60~90万円の費用であったというデータがあります。続いて多いのが90~120万円で2割ほどとなっています。

参考:東京都整備局「マンション実態調査結果」

 

修繕積立金の額はこの「90万円 ÷ 12年(144ヶ月) = 6000円」の計算から納得がいくと思います。

 

大規模修繕は12年ごとの実施が推奨

国交省が参考として提示しているガイドラインでは、建物の多くの部分で12年ごとの修繕が必要との見方を示しています。これにより、多くの管理組合や管理会社が12年を目安として大規模修繕を行っています。
参考:国土交通省「長期修繕計画標準様式、長期修繕計画作成ガイドライン」

マンションは一人のものではない

上記の事実から、マンションを買えば管理会社が多額の修繕費を顧みずに修繕や管理をしてくれるわけではなく、マンションの住人同士の協力が必要であることが分かります。

ただ、マンションブームの頃に建設されたマンションの中には、住人の協力が得られずに修繕積立金が集まらなかったり、「終の棲家だから修繕も建て替えも不要」という高齢者の声もあったりという理由で、大規模修繕を先送りにしているケースがあります。

施工会社と管理組合の癒着に注意!

 

管理組合は集めた修繕積立金を適性に使ってくれているかな

 
 

その点は、一部の管理組合はお金を適正に支出していない可能性があって、それで情報開示について裁判にもなっているんだ。

 

管理組合や修繕委員会は議事録や修繕記録などを保管する義務はありますが、定期的に開示しなければいけないと決められているわけではないため、開示請求でもない限りは特に人に見せる必要がないのです。
もちろん、その工事における利害関係者に開示を求められたら拒否してはならないと法で定められています。

出典:2017年10月朝日新聞より
 

住んでいるマンションが建築関連の知識の無い住民ばかりだった場合、修繕工事の内容や費用などについて開示請求する人がいるかというと、恐らくほとんどいないだろうと考えられます。
住人が無関心なままだと、管理組合や修繕委員会によって修繕積立金を悪用されてしまうなんて可能性があるのです。実際、管理組合と施工会社、若しくはコンサルタントなどの癒着関係は昔から問題視されており、黒い噂が絶えません。

 

修繕積立金が絶対的に必要なものであるのは間違いありません。
かといって、「払って終わり」と人任せにするのではなく、実際の大規模修繕がどのような内容になるのか、費用はどのくらいかかるのか、最終的に修繕積立金は足りるのか足りないのかといったところはチェックすべきでしょう。

もし時間に余裕があれば、管理組合員や修繕委員会のメンバーとして参加するのもいいのですが…。

まとめ

修繕積立金や管理費を払っていることが、イコールとしてマンションの安全や安心に自動的に繋がるのではありません。
これは先ほど申し上げた「管理組合の仕事をチェックする」ということでもありますが、マンションそのものが数人の組合運営により成り立っているのではなく、住人全体の理解があってこそ成り立つものだからです。
入居者や所有者一人一人が 「管理組合の仕事をチェックする」意識をもち、計画的な大規模修繕を互いに協力し実施することがマンションを長寿命化に繋げるため必要といえます。